*2016年03月21日:夏樹静子、逝去
*2016年03月22日:情けは人の為ならず(ではなく [;^.^])
*2016年03月23日:ブリュッセル攻撃
*2016年03月24日:古屋兎丸とベルリオーズ
*2016年03月25日:「運転中は、
*2016年03月26日:小山田いく、逝去
*2016年03月27日:幻想美術選「火星のプリンセス」武部本一郎
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*2016年03月21日:夏樹静子、逝去


 (週間予報:月末月初各種引継ぎを抱えて仕事がパネェので、今週はテキスト量が少ないでしょう。[_ _])

 曇天。朝いちで高丘のアマノ書店。目当てのものはなく、すぐ帰宅。午前中の残り時間は、一昨日入力した「ワンダー・AZUMA HIDEO・ランド2」のデータのデバッグ作業。(10個以上、バグ発見 [;_ _]。アップ前に見つけられて良かった..[;_ _][;^J^])

 昼には快晴。でも引きこもり。

 夏樹静子、19日に逝去していたとのこと。心不全。彼女の著作には、さほど親しんでいたわけではないが..しかし享年77歳とは、いささか早い..合掌。[_ _]

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*2016年03月22日:情けは人の為ならず(ではなく [;^.^])


 ネタがない日は、思い出話。亡父から、かれこれ40年以上前に聞かされた話である。

 とある大きな駅の券売機の前で、小学校低学年ぐらいの女の子が困っていたのだという。チケットの買い方がわからなかったのだ。聞けば、結構複雑な買い方をしなければ目的地にまでたどり着けないようで、父は相談にのった上で、これは手に余ると駅員のところまで連れていき、サポートを依頼した。結果、もちろん、彼女は望みの切符を買うことができ、別れ際には笑顔で手を振ってくれたとのことである。まずはハッピーエンドといったところだが..

 ..父は思い悩んでいた。「俺は、あの子のために、いいことをしたのだろうか?」、と。「(幼くして、都会の大人は親切で優しい、と、憶えてしまった)あの子は、いずれ悪い大人に騙されるのではないか。俺はもっとドライにあしらって、都会の(大人の)冷たさ、信用ならなさを、教えるべきだったのではないか..」..確かに。せちがらい話ではあるが..

 それが、現実だ。「情けは人の為ならず」..(← いま、うなずいたそこの読者っ! 辞書引けっ! [;^.^]凸)

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*2016年03月23日:ブリュッセル攻撃


 同時多発テロの死者、(今のところ)30人..

 暢気(のんき)で浮世離れしている私にとっては、「ベルギー」も「ブリュッセル」も、「文化」あるいは「ヨーロッパ文明」の別名ですら、ある。そこを狙われた..考えてみれば、EUのいわば「首都」でもあったのだから、攻撃目標では、十分あり得た..後知恵だが。ベルギーはテロリストの温床だとの指摘は、パリ同時多発テロの直後から、あった..

 敢えて、不穏な書き方をする..ロシア、大喜び..

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*2016年03月24日:古屋兎丸とベルリオーズ


 この3月、「浦沢直樹の漫勉」のセカンドシーズン、4本が放映された。(萩尾望都、花沢健吾、五十嵐大介、古屋兎丸。)いずれも面白く興味深く、全て録画を保存してある。(ちなみにEテレ(NHK)の番組である。「まともな番組を作れない国営放送などつぶれてしまえっ」、という「勇ましい」発言は、ネットをチラ見しただけで溢れかえっているが(こういう人たちは「日本放送協会」という言葉が難しくて憶えられないらしく、必ず「国営放送」と呼ぶのだが、どう略すと「NHK」になるんだろう? [?_ _][^.^])、しかしこういう「面白くて尖っていて高品質な」番組をどの民放よりも数多く作っているのは、NHKである。私の見聞の及ぶ範囲ではね。)

 今夜放映されたのは、セカンドシーズン最終回「古屋兎丸」。実に面白かった。私は彼のマンガ作品をさほど読んでいるわけではないが、しかしもちろん、いくつかの作品もその作風も知っている。なるほど、こうやって描いていたのか..

 ダサい言い方で恐縮だが、「デジアナ」の理想型である。個々の絵自体は、超アナログなのだが、それをデジタル(コンピュータ)で見事にサポートしている。そして、その超アナログ(というか、「どアナログ」)な「手描きの絵」において、まさに「技のデパート」というか、実に自由に、あらゆる技法の実験が繰り広げられている。今回の取材の折りに制作されていた作品では、主として丸ペンと鉛筆を用いて、画用紙や半紙の上に描かれていたが、ほかにも、「紙を一度くしゃくしゃにしてスプレーで固める」とか「レンガに描く」とか..

 とにかく、PCの使い方がスマートで妥当である。(誰が見てもそれとわかる)派手なエフェクトなどは、使わない。(少なくとも、この番組で取材された範囲内では。エフェクトを使っている作品もあるのかもしれないが。)例えば、たくさんの動物がいる見開きのシーンでは、タブレットで個別に描かれた動物の下絵(アタリ)ごとに、細かく拡大/縮小/角度の微調整/位置の修正を行い、それらを合わせて一枚の下絵が完成する。それを印刷して下絵にして、絵自体は、鉛筆で描く。

古屋 「コンピューターの一番いいところは、僕はアタリにあるんじゃないかとすら思っていて(中略)試行錯誤ができますからね。動かしたり..」
浦沢 「これやろう。勉強になるな」

 鉛筆の質感を生かすために、原稿用紙ではなく画用紙に描いたり、半紙に筆ペンで描いたり、厚手の和紙にマーカーで描いてPCに取り込んだり、右手左手の二刀流を駆使したり(左手の微妙なコントロールの出来なさ(作為の入らなさ)が、自然物を描くのに好適)。なかでも興味深かったのは、鉛筆を削りだして粉にして水に溶いて薄墨にし、それを筆で塗る技法。乾くと練り消しゴムで消えるし、乾いた上からティッシュでこするとぼやける。あとで消せるし、濃さを調整できる。「これ、うち帰ったらさっそくやるね、僕」(浦沢)。

 それら、様々なアナログ手法で描かれた絵を、個別にPCのソフトのレイヤーにとりこんで、合成する。「焼き込み」といって、PCで線や影の濃さを調整し、仕上げる。デジタルを使ってデジタルっぽくない画面を作る。

古屋 「自分のうまさに自信がない。自分の絵に自信がないから、いろんなことをやってみることによって、いい絵ができるんじゃないかって..「もがき苦しんでいる」と言った方がいいのかもしれないですね」

 これを聞いて思い出したのが、ベルリオーズの言葉である。現代日本の漫画家と、19世紀のフランスの作曲家になんの関係があるのかと思われるだろうが、管弦楽法に一時代を画(かく)し、オーケストラの各楽器(及びその組み合わせ)の、あらゆる可能性を試み引き出したこの偉人は、こんな言葉を残しているのである。

 「単純な要素で大きな感動の直接的な理由となるものを創り出すには、稀な天才性が必要であるが、残念ながら、私はその部類に属していない。少しの効果を出すためにも、私には沢山の方法が必要です」

 ..似ていると思わん?

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*2016年03月25日:「運転中は、


 運転のことだけを考えろ!」

 某所に掲示されていた標語である。安全運転の基礎の基礎。素晴らしい。しかしこれがなかなか実行し難いのも、事実。

 いっそ、プライベートなドライブであり、かつ、運転手が、自動車あるいはドライビング自体が好きなら(趣味なら)、喜んで運転に専念するだろう。運転のことだけを一心に考えていられるだろう。

 しかし、例えば社用(仕事)の場合は、これが難しいことがある。特に、別の事業所でトラブルが発生したなどの急ぎの用件で駆けつける場合、頭の中は、着いてからの段取りの組み立てでいっぱいになってしまうことがある。1分1秒でも早く、事態を収束させられるように..結果として、運転に集中できない。危険な状態であると、常々、肝に銘じてはいるのだが、これがなかなか..[;_ _]

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*2016年03月26日:小山田いく、逝去


 快晴。7:20に出て、月いちの診察のためO内科医院へ。7:00開扉、8:30診察開始なのだが、7:30に着いた時点で一番乗りであった [;^J^]。8:25頃から診察(といっても問診+α程度)。8:50、いったん帰宅。曇ってきたかな?

 9:00に再起動。日産系の中古車のU市野店へ。自動車保険の更新。(結局快晴。)

 手続きは手早くすませて、9:55から16:50まで、湯風景しおり。こんなに長時間、風呂やサウナに入っていたわけではなく、日光浴していたわけでもない。(風はまだまだ涼しいし。)ほとんどの時間は、某参考書の読書である。「そんなの、自宅で読めばいいのに..」..まったく正論である [;_ _]。正論ではあるのだが、私の自宅(自室)は、誘惑の塊..というか、誘惑だけで構成されていると言っても良い [;^J^]。私は聖アントワーヌではないので、悪魔や魔女や精霊たちの誘惑にはなんら抗すべくもなく、たちまち堕ちてしまう [;_ _][;_ _][;_ _] ..というわけで、いわば、作家や漫画家がホテルに缶詰めになる(される)ように、自宅から自主避難しているという次第なのであった。[;^.^][;^.^][;^.^]

 17:20、帰宅。

 いくらなんでも、訃報が続きすぎる..小山田いく、逝去。正確な没日と死因は、いまのところ未詳(未公表)。享年、59歳..若すぎる。私よりも年上ではあるが、僅か2歳..合掌..[_ _]

 手塚治虫(享年61歳)よりも早世されると、つらいなぁ..(いま、気がついた。私、手塚治虫の寿命まで、あと僅か4年なのか..人間のポテンシャルには(生涯に成し遂げられる仕事の質と量には)、ここまで差があるものなのか..)

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*2016年03月27日:幻想美術選「火星のプリンセス」武部本一郎


 自業自得で四苦八苦しているこの連載 [;^J^]。第4回は、世界に誇る日本の傑作。

Picture

「火星のプリンセス 表紙絵」(武部本一郎、1965年)

 エドガー・ライス・バローズの「火星シリーズ」(Wikipedia)の第1作、「火星のプリンセス」(Wikipedia)が発表されたのは、1917年。邦訳(創元推理文庫)が出版されたのが1965年。その折りに付けられた日本オリジナルの、武部本一郎の表紙絵と挿画たるや、文字どおり驚嘆に値する素晴らしさで、本家アメリカで描かれていた挿画を圧倒するものであった。(合衆国のファンたちをも、魅了したと聞く。)「火星シリーズ」は日本でも大ヒットしたが、作品自体の面白さはもちろん言うまでもないにせよ、武部本一郎の「絵」の功績が計り知れないほど大きかったことは、疑いようがない。

 舞台は火星。SFというよりはファンタジーで、地球より発達した科学を持ち、特殊な光線によって飛行する(反重力的な)飛行艇が存在するなど、未来社会的であるのだが、同時に、古代社会的な部族も混交して存在する世界で繰り広げられる、ヒロイックファンタジー。

 ヒロイン、デジャー・ソリスを描く、第1作「火星のプリンセス」の、この(日本版の)表紙絵こそ、世界SF史上、最高の美人画であると、断言する。いま、あなたの目が、この 巨乳 美乳に釘付けになっていることは知っているが [^.^]、それは後回しにしていただいて、まず、鼻。非常に高く、日本人離れしている。では、白人(というかコーカソイド)の顔かというと、そうでもない。どこか東洋的なのだ。しかしながら、いわゆるハーフ顔でもない。まさに「この世離れ」した、「火星の王女」の顔である!

 そして、この背景! 実のところ、作品世界の正確な描写ではない。読んだのは数十年前になるので記憶に全幅の信頼はおけないが、ドーナツ型の宇宙ステーションや、垂直離陸型のロケットは(たしか)登場しなかったと思う。その意味では(二重の意味で)「空想画」なのだが、そんなことはどうでもいい。空に浮かぶ2つの球体は、もちろん、衛星フォボスとダイモスだろうが、こんなに大きく見えるはずはないのだが、そんなことも、どうでも良い。この、夢のような幻想世界! 特に素晴らしいのが、左上から飛来してくる飛行艇で、(これはあとから描き足されたらしいのだが、)目覚ましい効果を上げている。特に、その噴射炎が軽く(クィッと)曲がっているのがポイントだと思う。これが直線だと、単に真っ直ぐ突入してくるだけだが、軽く曲がって回り込んできただけで、(理由は説明できないのだが)この世界の「夢度」が、格段に濃密になっている。

 今の若者のことは知らない。しかし、ある年齢以上の「SF少年」(年齢も性別すらも越えて、「SF少年」は死ぬまで「SF少年」なのである)の、永遠の恋人、デジャー・ソリス。それは、武部本一郎以外の絵筆からは、生まれ得なかった。この、幻想世界の不滅の美女は..


【幻想美術選:これまでのラインナップ】

*第1回 2016年02月14日 「天使の声」マックス・エルンスト
*第2回 2016年03月10日 「見捨てられた町」フェルナン・クノップフ
*第3回 2016年03月18日 「アレクサンドロスの戦い」アルトドルファー


【未来からの介入】

2023年01月10日:懐かしのエロ本」にて、本作品を含む、「バローズ作品&創元推理文庫&武部本一郎のイラスト」の、黄金時代を追想している。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Mar 31 2016
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