*2016年03月07日:アーノンクール、逝去
*2016年03月08日:見えない人々
*2016年03月09日:今週末は、西の魔都
*2016年03月10日:幻想美術選「見捨てられた町」フェルナン・クノップフ
*2016年03月11日:資料返却とか落札とか
*2016年03月12日:キース・エマーソン、逝去
*2016年03月13日:相国寺/東寺/京都文化博物館
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*2016年03月07日:アーノンクール、逝去


 享年86歳。合掌..[_ _]

 それほど多くの音源を持っているわけではないが、私のコレクションの中で、とりわけ忘れがたいものを2点挙げておこう。「オルフェオ」(モンテヴェルディ、LD、W80Z25013)と、「オラトリオ“7つの封印の書”」(フランツ・シュミット、CD、WPCS10639〜40)。いずれもしばらく(特に前者は確実に10年以上)ご無沙汰しているが、供養のために、久々に聴き返してみるか..

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*2016年03月08日:見えない人々


 昔も書いたかも知れないが、忘れたねっ(← 悪質な開き直り。[;^J^])

 確か、乱歩の(中期の)シニア作品のどれかの中の記述だったと思う。数十年前?に読んだっきりなので記憶も朧(おぼろ)だし、捜す気力も全くないが..なんらかの事件が起こって、舞台となった屋敷の主人が、取り調べに来た警官にむかって、「ええ、そのとき、この屋敷の中には、私以外、まったく誰もいなかったのです。書生と運転手と女中と下働きの小女だけで..」

 「大勢いるやん、容疑者が!」、と、目いっぱい突っ込んだものであるが [;^.^] ..そういうもの(そういう社会)だったのだろう。これらの(あえて言うが)階級の人々は、「目に入らない」存在だったのだ。(だからこそ、(タイトルは挙げないが)チェスタトンのあまりにも有名な作品も、成立したわけだ。)そういう時代だったのである。

 そして現在。21世紀。私の(そして読者諸氏の)周囲には、「見えない人々」が群れをなしている..(← 狡猾にも、綺麗なまとめを試みております。[;^J^])

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*2016年03月09日:今週末は、西の魔都


 先日の日記にも書いたとおり、私が浜松に(確実に)居るのは、あと数年。なんだかんだで、10年近くは居るかも知れないが、その先はわからない。(生きているかどうかも、わからない。)つまり、「浜松にいるメリット」を生かせる年月は、それほど残されているわけではないのだ。今のうちに享受しておかないと..

 それは、「西日本」へのアクセスのしやすさである。(少なくとも、東京からよりは、相対的に、遥かにアクセスしやすい。)具体的には、京都、大阪、さらにその西側だ。特に京都には、もっと足を運ばないと、見るべきものを大量に見損ねているのである..

 ..というわけで、今週末、13日(日)には、上洛することにした。本当は12日(土)から出かけて、まる2日かけて、あちこち回りたいところであるが、12日(土)の午前中に仕事が入ってしまったんだから、仕方がない。(そのかわり、14日(月)の午前は半休をとり、13日(日)の夜に、京都に泊まることにした。)

 今回のターゲットは、相国寺と東寺。冬季特別公開の秘仏などがあるらしいので、それをメインに。(「ぶらぶら美術・博物館」で仕入れた知識であるが、京都は(寒い冬などの)オフシーズンには観光客が減り、その対策として「期間限定特別公開」などのサービスが設定されるので、狙い目だとのこと。)

 夜には、Fさんとの会食のアポもとった。京都駅そばのホテルも予約した。

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*2016年03月10日:幻想美術選「見捨てられた町」フェルナン・クノップフ


 ネタが無い日の埋め草記事として立ち上げたこの企画。第1回は、2016年02月14日:「天使の声」マックス・エルンスト」だったが..シリーズ化する気か? 自分? [;^.^] 早くも、自分で自分の首を絞めている感がアリアリなのだが..[;_ _][;_ _][;_ _]

 ..まぁ、泣いていても仕方がない [;^J^]。第2回は、この作品。知っている人も多いのではないかしら..

Picture

「見捨てられた町」(フェルナン・クノップフ、1904年)

 ベルギー象徴派(まぁ、カテゴライズするのもどうかと思うが)のクノップフの手になる、もっとも神秘的な作品のひとつ..

 ..肌に粟立つほどの傑作である。

 「贅言(ぜいげん)無用」と言いたいところだが、それでは、「ネタが無い日の埋め草記事」として機能しない。[;^J^](..なぜ苦しいのか、ここまで書いて、今、わかった [;^J^]。この企画、根本的に発想が間違っていた [;_ _]。今さら遅いが。[;_ _][;^.^])まずは、この美しく、不気味で、かつ、「意味が解らない(あるいは、なんとでも解釈できる)」世界に、耽(ひた)っていただきたい。

 舞台は、ブリュージュのメムリンク広場..と聞けば、当然、ローデンバッハの小説、「死都ブリュージュ」(未読なら、今すぐ買って読め!)が想起されようが、具体的にどのシーンの挿画、というわけではない。

 圧倒的な「世界」である。海浜にほど近い無人の広場は、海に浸されつつある。霧につつまれて、空と海と陸の区別も曖昧になりつつある。人は居ない..確かに描かれていないが、本当に無人なのだろうか..この建物の中にも、ひとりも居ないのだろうか? 廃墟なのだろうか? あるいは息を潜めて立て籠もっているのだろうか? それともあの童話のように、みな、深い眠りに落ちているのだろうか? それとも、死体となって転がっているのだろうか..?

 何もわからない..しかし、徒(いたづら)に書き連ねた前記のどの想像(妄想)も、あっているようにも思われる..描かれているものが極端に少ないが故に、そこからなんでも読みとれてしまうのだ..第1回でとりあげた「天使の声」とは、まったく逆の意味で..

 私は、この絵から、いつもふたつの、不吉な連想をしてしまう。まず、広場を浸す海から、「沈み行くヴェネチア」のイメージを。(たとえここが、ブリュージュであるとしても。)そして、この圧倒的な霧から、スティーヴン・キングの「霧」を..この「無人」の「世界」は(特に、内側から板を打ち付けられた?窓の連なりは)、見る人の魂から、その人の「地獄」を引きずり出すかのようだ..しかしそれは、必ずしも「地獄」だろうか?

 この絵を何時間でも見ていられる私は、この絵の世界の中に、ひとりだけ取り残されてしまいたい..と、ふと、想うことがある..時間と空間の中の孤島として、この町と共に切り離されて、この町「だけ」が存在する世界の中のただひとりの人間として、漂って行きたい..永遠に..それは、客観的には「地獄」だろうが、主観的には、さぁ、なんとも言えないだろう..(この屋敷の中に、十分な蔵書さえあれば。[;^J^])

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*2016年03月11日:資料返却とか落札とか


 A氏の新刊に関連して、Sさんに貸し出していた資料が(洩れなく)返却され、同時に、その新刊の見本が届いた。私など、出せる限りの資料と情報を出しただけで、あとの実務にはタッチしなかった(できなかった)のだが、かなりの難産を、はらはらしながら見守った1冊 [;^J^]。それだけに、感慨無量である。(問題は、作品リストへの反映ね [;^J^]。どう考えても、まる1日以上、かかる..[;_ _][;^.^])

 それとは別に、久々にヤフオクで1件、落札。高橋葉介の未知の作品の載った同人誌である。届くのが楽しみだ。

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*2016年03月12日:キース・エマーソン、逝去


 ちょっとだけ休日出勤。7:50に自宅を出て、8:00過ぎに出社して(鍵を開けて警備のセットを解除するのは久しぶりなので、ちょっとだけ緊張した [;^J^])、8:30から10:15まで仕事。内容は詳述しないが、まぁ、ITインフラの足回りだ。

 10:35、帰宅。曇天ではあるが暖かい..なのに、廃墟通信の更新が遅れているので、外に遊びに出ることもできない [/_;][/_;][/_;]。セルフ軟禁を解除(=更新完了 [;^.^])できたのは、ようやく昼過ぎである。13:00から16:10まで、湯風景しおりで疲れを癒す。[;^J^]

 メイワン内の店で、スラックスを3本、購入。金を下ろし、郵便局で振込を2件。19:50、帰宅。

 キース・エマーソン、拳銃自殺。享年71歳。言葉を失う..

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*2016年03月13日:相国寺/東寺/京都文化博物館


 6:50過ぎに出て、7:08のバスで浜松駅へ。7:49のこだまで、9:38、京都着。地下鉄烏丸線で今出川へ。(今日は終日、烏丸線を上下することになる。[;^J^])

 まず、相国寺。開館というのか開扉というのか入場というのかよくわからないが [;^J^]、10:00の予定のところ、9:55には寺内の長得院に入れてもらえた。初公開である。岸連山の水墨障壁画が見所。「水辺虎図」「山水図」「波濤鷲図」「花鳥図」。次に、養源院。ここも初公開。秘仏「毘沙門天」など。数年ぶりの公開となるらしい法堂・方丈も、見応えあり。11:20に発って、烏丸線で九条へ。

 東寺まで徒歩15分だが、途上、葱太郎で昼食。温玉ぶっかけうどん。うまい。

 12:20から14:20まで、東寺。灌頂院で曼陀羅。講堂、金堂、五重塔で、仏像浴。特に講堂の「立体曼陀羅」は、大変な迫力である。烏丸線で烏丸御池へ。

 15:00過ぎから15:40まで、京都文化博物館。「実相院門跡展」(〜4月17日(日)まで)。実相院は文献(書類)の宝庫であり、学術的には超貴重なものであるということは重々理解できるが、美術品を観る目で見ても、すれ違いが生じてしまうのは仕方がないところである [;_ _]。読めないし [;^J^]。障壁画等には、狩野派(画家名不詳)のものが多い。「竹に虎図杉戸」「花鳥図襖」「竹に虎図襖」など。

 しばらく館内をそぞろ歩いて他の展示なども見たのち、徒歩ですぐの「えむえむ」(「京都国際マンガミュージアム」)へ向かうが、この途上、蹴躓(けつまず)いた勢いで、左の靴が鰐口になってしまった [/_;]。ショック [/_;]。まぁ、この蹴躓きは最後のとどめを刺しただけで、以前から痛めつけていたようではあるが..浜松に帰ったら、修理しなくては..[;_ _]

 16:20から、閉館間際の17:55まで、えむえむで時間調整。烏丸線でひと駅南下して四条へ。

 18:20、四条駅の改札でお久しぶりのFさんと落ち合う。18:30、徒歩ですぐのまんざら亭へ。京都人の話(「東京のテレビでは、「京都人さえ居なければ、京都は最高だ」、などと揶揄されるけど?」、と振ったら、「東京のテレビで描写されるような京都人は、実在しない!」..まぁ、そりゃそうなんだろうなぁ [;^J^])、健康の話、京都の(仏像の)穴場の話(なぜ「穴場」なのかというと、国宝に指定されると管理義務が煩わしいので敢えて国宝申請(というのかどうか知らないが)せず、従って知名度もないから)、京都内を動き回るのならタクシーが使いやすい(値段もリーズナブルである)こと(予約もできるし迎車料金もない)、京都を訪れるのなら梅雨の終わり頃がお薦め(日本庭園の苔がエメラルド!)、IT関連の仕事の話、SFの話、ミステリの話、猫の話(「猫に命令されるようになれば、猫の主人として一人前だ」[;^.^])、犬の話、などなど、などなど。

 22:20に散会。店を出た頃には雨。鰐口になってしまった左足の靴を極力濡らさないよう注意しながら、烏丸線で京都へ。徒歩ですぐのホテル(ほとんど地下道のみでアプローチでき、助かった)に、22:45着。

 繰り返しになるが、終日、烏丸線を上下するだけで、これだけ片づけられた。この効率の良い、巧妙極まりないプラン(を組み立てた私の頭脳)を、称賛していただきたいものである。[^.^]

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Mar 17 2016
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