*2017年03月06日:幻想美術選「海の底」オディロン・ルドン
*2017年03月07日:「桃色つるべ」
*2017年03月08日:「トリビュートロジー」
*2017年03月09日:「シビリアンコントロール」って..
*2017年03月10日:Sさん、逝去
*2017年03月11日:江戸の絶景展/暁斎展/線画展/渋谷で飲み
*2017年03月12日:シャセリオー展/Sさんの通夜
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*2017年03月06日:幻想美術選「海の底」オディロン・ルドン


 「幻想美術選」の第54回は、再登場組の二人目、オディロン・ルドンである。

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「海の底」(オディロン・ルドン、1904年)

 「第20回」では、「黒のルドン」(「仮面が弔鐘を鳴らす」)を、ご紹介した。当然、今回ご紹介するのは、「色彩のルドン」であるのだが..普通に考えれば「キュクロプス」か「オルフェウス」、あるいは、「ロジェとアンジェリック」であるが、それほど悩まずに、この「海の底」を選んだ。少し年季が入ったクラシック音楽ファン(というか、クラシックレコードファン)ならば、ひと目で見抜き、加えて、私の嗜好(オブセッションに近い)をご存知ならば、膝を打って納得されるであろう。これは、「ミュンシュ指揮:パリ管弦楽団」の「幻想交響曲」(ベルリオーズ)のジャケットに選ばれた絵画なのである。

 自分史を少し語ることになるので、ここは辛抱のしどころです [;_ _][;^.^]。小学生時分、私が初めて自分の小遣いで買ったレコードが、(街の小さなレコード屋のカウンターに、貯金箱から出した100円玉20枚を並べ、店主に微苦笑されました [;^J^]、)「英雄交響曲」(ベートーヴェン)の、「フルトヴェングラー指揮、ウィーン・フィル、1944年録音」の盤、いわゆる「ウラニアのエロイカ」であった。私は、それまで「英雄交響曲」の名前ぐらいは知っていたが、「フルトヴェングラー」も、ましてや「ウラニア盤」などというマニアックな語彙も、まったく知らなかったのである。なのに、「何故か」わざわざこのモノラル盤を選んで買って帰った私に、父は、「なんという勘の鋭さだ!」、と、驚き呆れたことを憶えているが..その「勘の鋭さ」が二度目に発揮されたのが、その1〜2年後?(さすがに半世紀近く昔の、歴史上の事件なので、記憶の数年間の誤差は、おおめに見て下さい [;^J^])、ベルリオーズの「幻想交響曲」のレコードを買った時である。私はほとんど迷わずに、この「ミュンシュ/パリ管盤(1967年録音)」を買ったのである。ミュンシュという風変わりな名前を聞いたことなどなく、これが、「幻想交響曲」録音史上屈指の(というか、当時としては史上最高の)名盤であることなど、全く知らずに..

 今となっては、その演奏様式(豪快で狂熱的)は、いささかオールドファッションではある。しかし、それを言ったら、1980年代には既にオールドファッションだったのだ。にもかかわらず、21世紀初頭にいたるまで、「ミュンシュ・パリ管の幻想」は、「幻想交響曲」のレコード(と言ってわからなければ、「演奏史上」)の、トップであり続けたのだ。(さすがに今では、トップ5には入る、程度に時代が変わっているだろうが..)実に、「オールドファッションとされてからもなお、30年間も!」..これがいかに常識外れなことか。いかに深くリスペクトされ続けたことの証左であるか、考えていただきたい。

 その「幻想交響曲」演奏史上最高のレコードのジャケットを飾った、ルドンの「海の底」。これこそ、まさに、「「幻想音楽」と「幻想絵画」の「交わるところ」」であったのだ!

 「幻想音楽」の定義づけなど面倒なので、すっとばす。私が幻想音楽だと言えば、それが幻想音楽だ。(酷い奴だ。[;^J^])そして「幻想交響曲」こそは、それが「幻視の物語」であること、その文学的意味、その音楽の特質、さらには作品を取り巻く状況の、何もかもが「幻想的」であり、まさに「幻想音楽」の最右翼というほかはない。(詳しく知りたければ、拙文「新・ベルリオーズ入門講座 第1講 幻想交響曲」、そしてついでに [;^.^] Wikipedia をご一読あれ。)ついでに牽強付会してしまうと、第一楽章「夢と情熱」の揺蕩うような、そして熱狂的な情動の揺らぎは、まさにルドン、そしてときにフュスリの世界を、第二楽章「舞踏会」は、ヴァトーの雅宴画、ロココの夢を、第三楽章「野の風景」の、広大な風景のなかでの心理描写の揺れは、ターナーを、第四楽章「断頭台への行進」の群集心理の狂気は、まごうかたなくゴヤを、そして第五楽章「ワルプルギスの夜の夢」は、いうまでもなく、ボス、そしてブリューゲルを..そう、幻想交響曲を聴くことは、最高水準の幻想美術のサンプルを「体験する」ことに、ほかならないのである!

 「色彩のルドン」の名作は、指を屈すればきりがない。しかし中でもこの作品が別格である(あえて言えば「聖別されている」..あくまでも、倉田によって、だが)のは、ここまでの説明でおわかりだろう。無論、このような「周辺状況」を必要としない、幻想絵画の名作であることは、言うまでもない。ウミユリとも貝ともつかぬ黄色い生命体?の形態を背景が繰り返しており、このエコーが、輝き(発光)を演出しているところが、面白い。

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*2017年03月07日:「桃色つるべ」


 CSのホームドラマチャンネルで放映されている「桃色つるべ」という番組を、毎週録画して楽しんでいる。これは、関西テレビで2015年から2016年にかけて放映された番組らしいのだが(すなわち、もう終わっている)、昨年12月から、前記CSのチャンネルで放映され始めたという次第。

 これは、ももいろクローバーZの5人+笑福亭鶴瓶、計6人がホストとなって、ゲスト(初期設定としては「一般人」だったが、徐々に有名人(タレント)が増えてきて、終わりごろにはほぼ、有名人だけになったらしい)からのインタビューや相談を受ける、という趣向。一般人の場合も、キャラが立っていればそれなりに面白いのだが、やはり、誰もが知っている有名人に振れていったことは、やむを得ない判断であろう。

 多分、ぐぐれば、何回続いたのか、これからどんなゲストが来るのか、すぐにわかるのだが..それでは面白くないので、ぐぐらないことにしている [;^J^]。CSでは、現時点で第11回まで放映されているが、ここまででのゲストの白眉は、「キダ・タロー」と「田原総一朗」であろう。彼らの「人間力」は、そもそも言うまでも無く、視点や指摘の鋭さ、切り込みの深さは、再視聴・三視聴に耐える。うならされた。まだ当分は続くこの週一番組、まことに楽しみにしているのである。[^J^]

 ..というわけで、毎週毎週、「ももクロChan」と「桃色つるべ」、そして月一の「坂崎幸之助のももいろフォーク村NEXT」に癒されている日々なのであった。[;_ _][;^J^]

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*2017年03月08日:「トリビュートロジー」


 モルゴーアのELPトリビュート盤と、ベルリオーズが2枚(2セット)、届いた。

 後者(ベルリオーズ)は、少しまとまった時間が必要。トリビュートロジー」(モルゴーア・クァルテット、Columbia、COCQ-85332)から片づけていこう。何年前だか忘れたが、六本木でライブを聴いたこともある。大変、楽しみである。[^J^]

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*2017年03月09日:「シビリアンコントロール」って..


 ..「シベリアン・カートゥル」っぽいなぁ..

 ..すまん、ごく一部のプログレオタクにしか通用しない上に、その世界では同案多数どころではなかったと思われ..[;_ _][;_ _][;_ _][;^.^]

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*2017年03月10日:Sさん、逝去


 ..信じがたい..

 私がR社に入社したときの最初の上司であったSさん(今は別部署)が、3月9日に逝去されたとのこと..

 なみのショックではない。まだ、64歳ぐらいだったはず。(考えてみれば、亡父の享年も64歳だったか..)まだまだお元気そうだったのに。聞けば、検査入院中に容体が急変したらしいが..

 月曜日の告別式に出席するのは、無理。日曜日の通夜には駆けつけないと。土日に上京するが、日曜日午後に入れていたプランを、ひとつ先送りすれば問題ない。それにしても..

 朴大統領罷免。(申し訳ないが(ほぼ既定だったこともあり)今の私にとっては、まったくどうでもいいニュースである。)

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*2017年03月11日:江戸の絶景展/暁斎展/線画展/渋谷で飲み


 6:05に発つ。快晴。薄手のジャンパーで十分。まったく寒くない。例によって、浜松駅北口ロータリーから、7:00発の渋谷新宿ライナー浜松2号。

 例によらない事態が発生したのは、東名に乗る前である。7:25、もらい事故発生! 優先道路を走っているこちら(バス)の左前方入り口付近に、見通しの良い脇道から、オバハンの運転する小型車(軽?)が、カミカゼアタック! どう考えてもオバハンの前方不注意だが、双方動いていたのだから、保険が10:0はあり得ない。バスの運転手には災難だったなぁ..同情する。バスの被害はドアの下半分のガラスが全壊。オバハンの車は右フロント付近が少々クシャったぐらいだが、パッと見、30万以下で修理できるとは思えない。廃車にするだろうなぁ、多分。いずれにせよ、双方、怪我人皆無なのは、何より。

 警察。バス会社。「静岡から代車を呼んでいますが、お急ぎの方は、全額払い戻しますので鉄道で」、とのことだが、そんな面倒なことをするぐらいなら、最初からバスをチョイスしたりはしない [;^J^]。多少の遅延リスクは、織り込み済みである。こんなこともあろうかと、本はたくさん持参している [^J^]。のんびり読書。

 結局、代わりのバスに乗り換えてリスタートしたのは、9:20。2時間のロスだが、渋滞に巻き込まれたと思えばよい。その後は(さすがに神様も同情したか [;^J^])首都高の定番の渋滞もなく、12:50、渋谷着。(つまり、2時間遅れ。)

 今日の午後の予定は、最初から緩めに組んであったが、さすがに少しは詰めるべきなので、昼食は(SAで調達してバス内で食したコンビニ握りで代用して)すっ飛ばし、13:05、原宿の太田記念美術館着。「江戸の絶景〜雪月花」(後期:〜3月26日(日)まで)である。

 前期は、2月4日に観ている。そのときも述べたように、歌川広重メイン。無論、以前から親しんでいる作品が多いのだが、観ながら作品リストにマークしたものを、ピックアップしておこう。

 歌川広重作品では、「上野榛名山雪中」画像検索結果)、「近江八景 比良暮雪」画像検索結果)、「甲陽猿橋之図」画像検索結果)、「江戸近郊八景之内 玉川秋月」画像検索結果)。

 「京都名所之内 あらし山満花」画像検索結果)、「東都名所 新吉原五丁町 弥生花盛全図」画像検索結果)、「相州江之嶋弁才天開帳参詣群集之図」画像検索結果)などなども、いろいろな機会に何度も観ている作品なのだが、浮世絵は一点一点コンディションが違うので、何度観ても面白い。

 他の画家では、葛飾北斎の「諸国名橋奇覧 飛越の堺つりばし」画像検索結果)(高所恐怖症の私は、何度観ても足がすくむ [;^.^])、歌川国芳の「相州大山道田村渡の景」画像検索結果)、河鍋暁斎の「東海道名所之内 那智の瀧」画像検索結果)など。

 13:55に退出し、渋谷へ。(バスは渋谷マークシティに着いたのだから、戻ったわけである。)14:25、Bunkamuraザ・ミュージアム着。「これぞ暁斎! 世界が認めたその画力」(〜4月16日(日)まで)である。全て、イギリス在住のゴールドマン氏のコレクションであるだけに、あまり目にしたことがない作品が多い。

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 左から、「象とたぬき」「鯰の船に乗る猫」「雨中の蓮池に降り立つ白鷺」「象」



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 左から、「鴉と鷺」「蛙の放下師匠」「月に手を伸ばす足長手長、手長猿と手長海老」「動物の曲芸」。いずれも、一級品の「漫画」である。



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 左から、「大仏と助六」(不思議な画題。展覧会でこれを観ていた熟年女性の二人連れが、「食べちゃうのかしら?」、と、真面目に囁きあっていたが、多分、食べないと思うぞ、私は [;^J^])、「猫と鯰」「鬼を蹴り上げる鍾馗」「蓬莱七福神図」



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 左から、「鷹に追われる風神」「貧乏神」「地獄大夫と一休」(一休が踊っている有名な作品とは、別のバージョン)、「雨中山水図」



 16:20、退出。ちょっと歩いて、16:35、ギャラリーコンシール渋谷着。(わかりにくい雑居ビルで、正直、迷いました。[;^J^])「線画展2017」(〜3月12日(日)まで)である。(つまり、あなたがこれを読んでいる時点では、もう終わっている。[_ _])

 こぢんまりとした展覧会であるが、一時期のビアズリーを想わせる、超細密な描き込みが見事な作品、「書」の技法の応用が面白い作品、繊細な鉛筆画などが展示されており、大いに楽しめた。

 この会場で、Yさん、Y君と合流し、18:30前に会場を出た。18:32、すぐ近くの「居酒屋バッハ」へ。ハイボールが廉い! また、料理も、(並みの味のものもあるが)美味いのがいくつか。3時間半も居て、ひとり3千円なのだから、これは悪くない。まったく、悪くない。絵の話、SFの話。Y君には、写真撮影について、いろいろアドバイスをいただいた。

 22:00過ぎにお開きになったんだったかな。渋谷駅前で解散して、私は例によって、新宿歌舞伎町の定宿(きこえが悪い? もしかして? [;^.^])、カプセルホテルの「はたごや」へ。そんなに遅い時刻ではなかったはず。

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*2017年03月12日:シャセリオー展/Sさんの通夜


 7:10にチェックアウト。快晴。朝食は例によって、はなまるうどん。8:00に国立西洋美術館着。9:30開場なのだから、早過ぎるどころではない [;^J^]。そんなには混まないであろうと予想される展覧会であるし。もちろん、行列はゼロ [;^J^]。30分ほど、公園内を写真撮影して回る。

 9:30、入館。「シャセリオー展 ― 19世紀フランス・ロマン主義の異才」(〜5月28日(日)まで)である。

 正直、あまり認識していない画家であった。新古典主義からスタートしてロマン派を駆け抜け、のちに象徴主義を花開かせる次世代の画家たち(モロー、ピュヴィス・ド・シャヴァンヌら)に甚大な影響を与えて、37歳で夭折したという、まさに疾風怒濤。山田五郎曰く「ひとり絵画史」。思わず襟を正してしまった。

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 左から、「気絶したマゼッパを見つけるコサックの娘」「マクベスと3人の魔女」「泉のほとりで眠るニンフ」。右の2点の左端に光が入っているのは、スキャンするときに図録を押さえつけてもガラス面に密着せず、浮いてしまったからである。



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 肖像画も、素晴らしい。左から、「カバリュス嬢の肖像」「アレクシ・ド・トクヴィル」「エミール・ドサージュの肖像」



 11:30に退出。東京駅、オアゾの丸善で買い物。13:03のひかりで、14:31、浜松着。普通はバスを使う時刻であるが、急いでいるので、タクシーで14:50に帰宅。

 着替えて香典を持ち、16:20に車で出て、まず浜松駅へ。17:00少し前に、(昨日会ったばかりだが)東京から到着したY君を拾い、Sさんの通夜へ。

 久々に会う人たちが、大勢。Uさん曰く、「人は亡くなるときに、最後にひとつ、良いことをする。それは、懐かしい人たちと引き合わせてくれることだ」..まさに..

 19:00を待たずに失礼して、東京に帰るY君を浜松駅まで送り、19:40に帰宅。

 以下、おまけ。

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 左は、上野の国立西洋美術館前で暇つぶしに撮った、太陽をあえて真正面から撮った写真。逆光どころの騒ぎではなく [;^J^]、青空が見事な灰色になったので、RAW現像で、少々ヤケ気味の [;^.^] 青で染めてみた。

 右は、もう少し真面目に撮った [;^J^] 今宵の満月。三脚を使いました。(RAW現像で、コントラストや明瞭度、シャープネスを上げる、といった 小細工 お化粧は、施しています。)レンズは「AF-S NIKKOR 28-300mm f/3.5-5.6G ED VR」。300mm望遠では、ここらが限界かなぁ。オートフォーカスだけど、マニュアルフォーカスなら、もっと追い込めるのかしらん?



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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Mar 16 2017
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