*2003年09月22日:最近読んだ本を3冊
*2003年09月23日:「Forget−me−not」
*2003年09月24日:「臥夢螺館」
*2003年09月25日:八ヶ岳ツアー2003:第1日
*2003年09月26日:八ヶ岳ツアー2003:第2日
*2003年09月27日:八ヶ岳ツアー2003:第3日
*2003年09月28日:八ヶ岳ツアー2003:第4日
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*2003年09月22日:最近読んだ本を3冊


 「怪奇探偵小説名作選 10 香山滋集」(日下三蔵編、ちくま文庫)

 「探偵小説」といっても、こんにちの読者には「冒険小説」として紹介する方が、誤解が少なかろう。人見十吉シリーズの全編を収める。特選が、「エル・ドラドオ」「十万弗の魚料理」。佳作が、「美しき獣」。他、「海蛇の島」「沈黙の復讐」「美しき山猫」「緑の蜘蛛」「爬虫邸奇譚」「心臓花」「魔林の美女」「シャト・エル・アラブ」「有翼人を尋ねて」「ソロモンの秘宝」「マンドラカーリカ」など。主人公の人見十吉は、体力はともかく、知力と性格にはかなり難あり [;^J^]。(小栗虫太郎の「人外魔境」シリーズの主人公の)折竹孫七は、もう少しマシだったろうか? [;^J^]

 「レ・ファニュ傑作集」(Le Fanu、小池滋、齋藤重信訳、国書刊行会 ゴシック叢書)

 「タイローン州のある名家の物語」の他、「アイルランドのある伯爵夫人の秘めたる体験」と「夢」を収録。いずれも佳作とまでは言えず、やはり、やや古い..というか生気に欠ける。逆に言えば、古色蒼然たるパターンは楽しめる。

 「ロートレアモン全集」(Lautreamont、渡辺広士訳、思潮社)

 「マルドロールの歌」を読んだのは、確か高校生時分である。ひっさしぶりの再読であった。この「全集」(全1巻)の大部分を占めているのが「マルドロールの歌」で、これと「ポエジ」が、事実上の全業績。この2編以外に収録されているのは、ごく僅かな手紙と出生証明書、死亡証明書のみ。寡作であったことも夭折したことも知ってはいたが、これほど極端な状況だったとはね。

 高校生の頃には、「なにやら難解」、という感想をどこかに書いたはずであるが..少しも難解な点は無い [;^J^]。要するに、背伸びする年頃の子は、自分が読んだ物を「難解な書籍」に祭り上げたがるのである..つまり、それによって、それを読んだ(少なくとも挑戦した)自分の「ステート」が上がるわけなのですね、気持ちの上では [;^J^]。ま、私も昔は若かった。[;^.^]

 さまざまな「悪のイメージ」の連鎖なのだが..例えばサドの小説のような思想性は、感じられない。冗長さも、サドよりはマシか [;^J^]。「ポエジ」はまた、「マルドロールの歌」の作者がこれを言うか [;^J^] といったていのものであるが..特に後半の「他者の箴言の言い換え」の集積には辟易した。論理の流れをブッ壊した姿らしいが..

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*2003年09月23日:「Forget−me−not」


 浜松西郵便局で、野暮用1件。高丘のアマノ書店で、「Forget−me−not 1」(鶴田謙二、講談社、KCDX)を購入。先日購入した「イブニング」誌に「発売中!」という広告が載っていて、慌てて手帳にメモっていたもの。完全に意表を突かれました。まさかこれが発売される日が来るとはね [;^J^]。なにしろ、最初の発売予定日は2001年の1月だったのである。[;^J^]

 それにしても、「1」だとさ [;^J^]。このあとのエピソードは、私の知る限りまだひとつも描かれていないし、仮に「2」が出るとしても、普通に考えれば10年後である [;^J^]。ま、とり・みきの「てりぶる少年団 1」(少年サンデーコミックス スペシャル)みたいなものであるか。[;^.^]

 なかなか心地良い作品世界である。舞台はベネチアなのだが、一度もそこに行ったことが無い私としては、素直に憧れてしまう。(現実には、公害やら地盤沈下やらで大変らしいですが。)優秀なんだかボンクラなんだかわからない、私立探偵・伊万里マリエル。スコットランド・ヤード時代には、殺人事件を3ヶ月で18件も解決したらしいが、いまやそんな片鱗はほとんど伺えない昼行灯であり、脱ぎっぷりの良い接吻魔である [;^J^]。また、通読して改めて気がついたのだが..この作品に「そこはかとない寂しさ」を漂わせているのは、「群衆が描かれていない」ことである。ごくたまに背景(遠景)に小さく描かれているのみ。これによって、(ベネチアといえば結構な大都市であるにも関わらず)どこか廃墟めいた..「死都ブリュージュ」めいた雰囲気が、醸し出されているのである。

 なんにせよ、続編を(内容には期待しつつ、出版されることは期待せずに [;^J^])待つことにしましょうか。

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*2003年09月24日:「臥夢螺館」


 数日前から書店に並んでいたのだが、どうしても買う気になれなかった「臥夢螺館(がむらかん)上・下」(福山庸治、講談社、e−manga KCDX)を、根負けして [;^J^] 買ってしまった。どうして買うのを躊躇していたのかというと..10年ほども昔の「モーニング」誌に一部が連載されていた時に読んでおり、なんとも{恐い|嫌な|気色悪い}印象が残っていたからであった。

 結局、雑誌連載では完結に至らず、その後オンラインマガジンに場所を移すなどして、この度ようやくまとまったものである。

 文句無しの傑作! 解決されていない伏線(?)が多数あるが、まだ、分析しきれない。「童夢」(大友克洋)の、こんにち的(21世紀的)展開と言えようか。

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*2003年09月25日:八ヶ岳ツアー2003:第1日


 休暇を取って3泊4日、毎年恒例の八ヶ岳ツアー。メンツはここ数年固定化していて、Yさん夫妻、A君、そして私の4名である。参考までに、私が参加した過去3回のツアーの日記へ、リンクを張っておこう。→(1999年2001年2002年。)

 A君に自宅まで迎えに来てもらい、勤務先(R社)の高丘工場の駐車場に4人集合して、(なんだかんだで予定を押して、9:30になって)出発。生憎の(かなり強い)雨である。大体、この旅行は星を観るのが目的なのであるが、例年、天候に恵まれていないのである。今年も、どうなることやら。[;^J^]

 10:05に、東名の牧ノ原SA。10:25に発って、10:55に清水ICを降りる。あとは、国道1号、52号、20号、141号、と辿って、清里に向かうのである。

 例年どおり、昼食は「道の駅 とみざわ」。11:43着、12:28発。13:57には、韮崎のフジミモールで休憩。非常に規模の大きいホームセンターで、品揃えが豊富。(農村寄りにバイアスがかかっているが。)台所回りの小物を数点購入。14:37に発って、15:12に、清里圏内の「萌木の村」着。ここで、お茶とショッピング。

 16:34に発って、ペンション・アルペジオに向かうが..雨に加えて、凄い霧。途中で何度も橋をわたるのだが、橋をわたり始める時点で、ほとんどの場合、橋の向こう側が見えない [;^.^]。本当に向こう側に着くのか..向こう側は「ある」のか..向こう側から変なものが現れたりしないか..プテラノドンが歩いてこなかったのが不思議なほどである。ジュラシック・パーク3である。[;^J^]

 17:00、アルペジオ着。今日のところは雨でどうしようもないので、食事をすませて、ごろごろして、寝る。(こんなこともあろうかと、文庫本(SF系短編集)を5冊ほど持ってきたので、全くのノープロブレム。結局、帰宅するまでに3冊読了した。)

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*2003年09月26日:八ヶ岳ツアー2003:第2日


 天気予報によれば、今夜は期待できる(明晩は、また曇る)とのことである。

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 Yさんの車に4人乗り合わせ、10:30にアルペジオ発。11:00に、(4人とも生まれて初めての)そば手打ち実習。ちょうど1時間で出来上がり、12:00からいただく。写真を載せておくが、どうです、なかなか美味しそうでしょう。実際、こしがあり、歯ごたえも喉こしも絶妙で、実に美味しいものであった。(もちろん、私たちの手柄ではなく、コーチの女性が、随時、調整・軌道修正 [;^J^] してくださったおかげなのであるが。)麺の太さがさまざまであったことなどは瑕疵に過ぎないことは、言うまでもない。[;^.^]



 12:30に、すぐ近所の八ヶ岳大泉図書館へ。「金田一春彦 ことばの資料室」などがある。ゆったりまったりとして、13:35に発つ。

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 13:50に、八ヶ岳薬用植物園。約300種類の植物が、その利用法や利用部位別に植栽されている。漢方薬用以外に、民間薬として用いられているものも含まれる。純然たる食用・建築資材用は、対象外らしい。

 「きのこの森」に分け入ったのはいいが..下生えの草をかき分けているうちに、「おなもみ」ではないが、その同類が、盛大にズボンや靴にくっつき、このあと園内のあちこちを歩きつつ、はがし続けるはめになった。(← 生態系に完全に取り込まれてしまっている。[;^.^])写真で紹介した植物には、ラベルが掲示されていなかったので、名前がわからない。ちょっとケムール人に似ているでしょう?(左右で高さが違う眼のようなものがついていたり、手足のごときものがぶら下がっていたり。[;^J^])


 16:00に発って、16:07に「焼菓子工房 LECHE」でお茶。16:40に発って、17:03に「まきば公園」へ。寒い寒い。(ここで初めて、北海道の地震のニュースを聞く。)

 17:20にアルペジオに戻る。食事。空のコンディション、良し。まずはペンションのドームで、堪能するまで観る。M2、M15、M57星雲など。0:00から2:30頃まで、アルペジオのテニスコートで、改めて満天の星空を満喫する。

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*2003年09月27日:八ヶ岳ツアー2003:第3日


 今夜は星は観られそうもないが、昨夜、満腹するまで観たので、もう思い残すことはない。

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 10:12にアルペジオを発つ。10:30に、スキー場展望リフト下に着き、マンネリだとは思うが [;^J^] リフトで10分間。毎年、雲っぽいのであるが、今年は比較的遠くまで見通せた。とはいえ、富士山は見えなかった。百合がたくさん植えられていたが、これは去年には無かったと思う。



 12:05にスキー場を離脱。12:15に「小作」という「ほうとう」の店で昼食。(「ほうとう」というのは、手打ちうどんのようなもの(あるいはうどんの原型)である。)私は「茸ほうとう」を注文したが..すみません、ごめんなさい、私が悪うございました [;_ _]。もう食べられません [;_ _][;^.^]。なにしろ、鍋の底をさらってもさらってもキノコが出てくる。マタンゴになるかと思った [;^.^]。一同の胃が落ち着くのを待って、13:30に発つ。

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 13:35に、千ヶ滝。(2001年にも来ているので、お暇なら、上の方に置いておいたリンクをクリックしてみてもよろしいかと。)空気中に水しぶきが飛び散って、マイナスイオンが心地よい..というか、ほとんどびしょぬれである [;^J^]。IXY DIGITAL 400 が防水かどうか確かめていなかったが、まぁ多分大丈夫でしょ、と、レンズの水を拭き拭き [;^J^] 撮影する。また、今ごろになって、動画撮影機能があるのに気が付いたので [;^J^] いい気になって、撮りまくる。(256Mのコンパクトフラッシュが入っているので、残り時間(あるいは残り枚数)の心配が、ほとんどいらない。)流石に、5M以上のAVIファイルを置くのも迷惑なので、ここからはリンクは張らずにおく。[;^J^]


 14:05に発つ。14:16に(ここにも毎年来ているような気がする)「JR最高地点」で一休み。14:36に発って、14:41に「南牧村美術民俗資料館」。小振りな展覧会と、博物館の展示。なかなか和んだ。

 15:40に発って、16:06にアルペジオに帰還。すぐに(いつもの)温泉へ向かい、17:50に改めてアルペジオに帰還。食事を済ませて、19:20にアルペジオを発ち、19:35に「萌木の村」の「HALL of HALLS」。20:00から21:50まで、「Antique Musical Box Concert 自動人形特集」。観客は、私たち4人を含めて、9人。おかげで、目の前でメカを動かしてみせてもらったり、手回しオルガンを操作(演奏)させてもらえたり。第1部では、オルゴール、自動ピアノ、自動オルガン、各2機種ずつ。第2部では、自動人形7種。最後に、モーツァルトの「自動オルガンのための幻想曲 ヘ短調 K.608」を、この曲を演奏する本来の楽器であるバレル・オルガンで。堪能した。

 22:08にアルペジオに戻り、早めに眠る。(私は、0:00頃まで読書していたが。)

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*2003年09月28日:八ヶ岳ツアー2003:第4日


 9:59にアルペジオを発つ。10:05にトリハタというジャム屋さん。お土産を買って、10:15に発つ。

 10:30に「清里フォトミュージアム」。「細江英公の写真:1950−2000」展。どこかで聞いた名前だと思っていたが(私は、写真界には疎いのです)、「薔薇刑」を観て思いだした。あぁ、この写真集のカメラマンだったのか。他、「鎌鼬」など、印象的な作品多数。さらに驚いたのは、細江氏がここの館長だったということ。[;^J^]

 11:34に発って、11:44に(またしても)萌木の村。ショッピングをしてから、12:35に発つ。12:39に、ク・ソフトのあたりの店。ショッピングをしてから、12:48に発つ。

 そろそろ(遅い)昼食をとらなければならない刻限だが、あてにしていたカレーライスの店がclosedであった(潰れていた)ので、ガイドブックで当たりをつけて、すぐ近所のハンバーグ屋(「カリフォルニウム」)に着いたのが、13:04。ここが大当たりというかなんというか。[;^.^]

 一見して、平凡なレストランである。昼食時刻を微妙に外したせいか、ほとんど客は入っておらず、カウンターに近い窓際の無人の席には、初秋の午後の陽光を浴びる(かなり旧式の)98note(外付けFDD付き)。出窓にはテディベア..なんともけだるい、良い雰囲気で、このノートは何に使っているのだろうか、Win3.1も満足には走るまい、MS−DOSベースかな、一太郎で店のチラシでも作っているのかな。私も老後は、「きょうびのチャラチャラした“新鋭機”なんか、使ってられないよねぇ..」..とか言いながら、どこぞの鄙びた町の鄙びた店の片隅で、数世代前の型落ちのノート(リブ100とか [;^.^])を使って、鄙びたことでもしているのかも知れないなぁ..などと(少し)遠い眼をして和んでいたら..これが、罠。[;^.^]

 トイレを借りて、出てきた時に気が付いた。トイレの近傍に、異様なジャンクがある。旧式のプリンター、ショップブランドのDOS/V機、かなり新しめのマザーボード..そして、そのあたりのカーテンで区切られた一角を覗いてみたら..タワーが少なくとも3台。(恐らく、4〜5台?)もちろん電源は入っているし、OSはXP。LANケーブルが走り回っており、ハブは16ポートか?..な、なんなの、ここは? たかが一介のレストランに、どうしてこんな(どう考えても過剰な)設備があるの!?..

 ..わかった。

 ..秘密基地だ。

 これは、この地域(あるいは清里全域?)に張り巡らされた秘密結社の、サーバーなのである。みるがいい。気が付かなかったが、このレストランの天井には、キツツキがデザインされた大きな絵。壁には埋め込みディスプレイが数台。集会に際しては、このディスプレイには幹部たちが..そしてあのキツツキの絵が反転して、首領の顔が..そしてそれは実はダミーであって、真の「首領」が、あのテディベアであることは、言うまでもあるまい。

 我々が案内された一角には、妙な段差がある。ここがエレベーター式に地下に潜るのだろうが..それより何より、我々一行4人のうち、3人までもが、あのサーバールーム(?)を見てしまった..まずい..あの、ひとりで食器洗いから料理の上げ下げまで行っている、ウェイターの老人の正体は..我々の食事には、水には、何が入れられているのだろうか..BGMはモーツァルト..

 ..などと妄想を暴走させつつ食事を終え [;^.^]、13:48に発つ。(念のため安全のため、写真は撮らなかった。[;^.^])

 13:55に、「道の駅 南きよさと」。こんなところあったっけ? いや、何かしらの施設が存在することは知っていたが、「道の駅」に昇格になったのは、今年からである。ちょっと寄ってみる。

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 なるほど。結構面白い。「道の駅」はどこでもそうなのかも知れないが、「道の駅 とみざわ」に比べても、さらに地域密着型である。写真は、左から、近くの畑で取れた野菜などの市場、林産物直売場、及びその中の一角である。ご覧の通り「林産物」に限らず、「利根川二郎さんちで作ったようじ入れ」などが置かれている [;^J^]。市場の野菜にも、お百姓さんの名前が入っている。自慢の品を持ち寄っているのであろう。ビデオルームもあって、ここでは(お約束の)村(町)の宣伝ビデオ。あとは食堂、小公園。急坂を登るモノレールがあり、上には庭園系の施設があるようなのだが、そこまでは足をのばさなかった。

 商売するには、清里にあまりに近すぎる立地に難があるのでははないかと思われるのだが、結構混みあってるし、今後の企画次第では、地域観光の核として伸びるかもよ。私はわりと気に入りました。14:12に発つ。

 15:03、南アルプス市のケイヨーデイツーで休憩。(いつの間にこんな「市」ができたのかと思ったら、今年の4月からのようです。)ついうっかり、恐竜のガチャ玉を買ってしまう [;^J^]。15:14に発つ。

 あとは例年どおり。16:24に「道の駅 とみざわ」。16:38に発って、17:25に清水ICから東名へ。17:58に牧ノ原SA。18:14に発って、18:44に浜松西IC。18:48に高丘工場の駐車場。19:00に解散し、A君に自宅まで送ってもらう。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Oct 1 2003 
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