*2021年12月13日:四季のコンサート
*2021年12月14日:「SFマンガ傑作選」
*2021年12月15日:幻想美術選「The Gray MAHATMA」ヴァージル・フィンレイ
*2021年12月16日:すべての可能なメロディーについて
*2021年12月17日:湯風景しおりのこと
*2021年12月18日:インフルエンザ予防接種など
*2021年12月19日:年賀状印刷発注/三国8版/くるみ割り人形/M−1/神田沙也加
*目次へ戻る *先週へ *次週へ


*2021年12月13日:四季のコンサート


 快晴。朝寒い。

 午後半休。志都呂イオンに車を走らせ、まず3Fの谷島屋書店。昼食は2Fの歌志軒で油そば。

 高丘の富田整形外科でリハビリをして、15:00過ぎに帰宅。昼は暑いのだが、夕方になると、もう寒い。今冬初めてコートを着て、バスでアクトシティ中ホールへ。四季のコンサート。今回は、カルテット・アマービレ である。

モーツァルト/セレナード 第13番 ト長調 K.525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」より 第1楽章
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲 第10番 変ホ長調 作品74「ハープ」
ブラームス/弦楽四重奏曲 第2番 イ短調 作品51-2
アンコール:ピアソラ/リベルタンゴ

 明らかにおかしなプログラムであり、劈頭いきなりアイネ・クライネのしかも冒頭楽章だけで、どういうお子様ランチコンサートかよと思いきや、本体はベートーヴェンとブラームスの、ガチな渋めのやつ [;^J^]。このバランスの悪さが、狙いどころらしい。なかなか良い演奏だったと思う。

 これまたよくあることだが、アンコール曲が、もっともよく手になじんでいる、弾き込まれた曲のように思えた。また、あまりこういうことは話題にしたくないのだが、「目に優しい」演奏者たちでもあった。[;^J^]

*目次へ戻る


*2021年12月14日:「SFマンガ傑作選」


 SFマンガ傑作選」(福井健太編、創元SF文庫)、読了。収録されているのは、

手塚治虫「アトムの最後」
松本零士「ヤマビコ13号」
筒井康隆「急流」
萩尾望都「あそび玉」
石ノ森章太郎「胎児の世紀」
諸星大二郎「生物都市」
竹宮惠子「ジルベスターの星から」
山田ミネコ「冬の円盤」
横山光輝「昆虫惑星」
佐藤史生「金星樹」
佐々木淳子「リディアの住む時に…」
高橋葉介「ミルクがねじを回す時」
水樹和佳子「樹魔」
星野之宣「残像 AN AFTER IMAGE」

 ..である。編者曰く、

「最初にコンセプトを記しておくと、本書はオールタイムベストの選集ではない。ジャンルの巨大さを鑑みるに、全時代を対象にすることは極めて難しい。そこで今回は黄金期である1970年代を中心として、メジャー作家の名篇を採ることにした。目的は隠れた逸品の発掘ではなく、有用な起点を示すことにある。各々の著作に手を伸ばし、描き手やテーマのリンクを辿り、SFマンガの世界を渉猟してもらえれば幸いである。」

 それはわかる。そうあるべきだろう..

 ..であるならば。

 筒井康隆「急流」を入れたのはどういうわけだおいコラ!(..ト、編者ノ胸倉ヲ掴ム)..[;^.^][;^.^][;^.^] ま、傑作だとは思いますよ。久々に再読してみたら、すべてのコマのすべてのネームを記憶していた(!)ぐらいですからね。しかし、「先がない」ではないか。確かに筒井康隆にも単行本1冊まとめられるぐらいのマンガ作品があるのだが、ここはやはり、その後のSF漫画の滔々たる流れの「源流」のひとつとなる作品を収録すべきではなかったか。少なくとも、永井豪と入れ換えるべきではなかったか。

 ..ま、アンソロジーというのは、(特にマニア/オタクが蝟集しているこのようなジャンルのアンソロジーは、)編者と読者の 殴り合いの 喧嘩の場も同然 [^.^]。たとえば手塚治虫。「アトムの最後」を採り上げた意図は非常によくわかるのだが(「鉄腕アトム」の原作漫画を読んでいない、アニメのイメージをうっすらともっているだけの“浅い”連中に対する 嫌がらせ 先制奇襲パンチでしょ?[^.^])、当然、他の選択肢も多数、あるわけだし。

 そういうイチャモン(「俺ならこうする!」「俺に直させろ!」)もまた、アンソロジーの楽しみのひとつ。このあたりの作品は(当然)全部読んでいる、という世代の人にも、全然知らない名前ばかり、という世代の人にも、お薦めできる1冊である。

*目次へ戻る


*2021年12月15日:幻想美術選「The Gray MAHATMA」ヴァージル・フィンレイ


 「幻想美術選」、第277回。この画家の作品をご紹介するのは、「イシュタルの船」「The Crystal Man」に続いて、3回目である。

Picture

「The Gray MAHATMA」(ヴァージル・フィンレイ、1951年)

 Virgil Finlay(1914〜1971、Wikipedia)とくれば、美女と怪物(画像検索結果)。彼のファンの大多数がそうであるように、私も(怪物もさることながらそれより遥かに)その魔法のペン先から生み出される蠱惑的な 裸女 美女のイメージに魅入られており、この連載ではもうそればかり紹介したい想いでいっぱいなのであるが、それをすると人格を(少し)疑われるので(いまさら [;^.^])、今回は「美女」ではなく「怪物」の代表作を、ひとつ。といっても、モンスターではなくヒンズー教の神々なのであるが、われわれ異教徒の目には怪物同然(← 神罰相当。[;_ _][;^.^])

 タルボット・マンディ(Talbot Mundy)の「The Gray MAHATMA」という小説(1922)が、1951年に「Famous Fantastic Mysteries」誌に再録された際の挿画(扉絵?)らしい。管見の及ぶ限りでは、邦訳はなさそうだ。

 ストーリーに深入りする必要は、あるまい。アジアの宗教/思想に(単なる装飾としてのオリエンタリズム/エキゾチシズムではなく)真面目に取り組んでいたというマンディによる、インドを舞台とするファンタジー..らしい [;^.^]。なかなか面白そうなのだが、原書を取り寄せて読もうとまでは、思わないかな。[;_ _][;^J^]

 まさに「異教的」な神々が浮かび上がってくるのは、星々を映し出す「沼」からのようにも見えるが、しかしここはやはり、宇宙空間の神秘的な平面、異次元との境界の彼方からの出現と見たい。幻視家・フィンレイの傑作である。

*目次へ戻る


*2021年12月16日:すべての可能なメロディーについて


 今夜は、指先が飽きるまで、無限連想をダラダラと書き連ねることにする。[_ _][^.^]

 16〜7世紀に、自殺した作曲家がいたと記憶する。「可能なメロディーはすべて作られてしまった」、と、絶望して。(検索しても、どうしても名前が出てこないのだが..)それ以降の作曲史の展開(膨大な量に及ぶ「新たなメロディー」の発明)はご存じのとおりだが、それにしてもメロディーのバリエーションは、確かに有限のはずなのである。

 少し飛躍して。

 作曲家は、想起したメロディーの独自性(あるいは「独自性のなさ」)を (訴訟に巻き込まれないためにも)どうやって担保できるのか。(自分を含む)エキスパートの「記憶」に頼るのが、結局は、現時点では実用的なのだろうか。

 極めて近い将来に実用化されると思われるのが、「これまでに知られているあらゆるメロディーが入力されているAI」に、お伺いをたてる方法である。パラメーターを変えると「ドンピシャおんなじメロディーの既存の曲」から「ある程度似ているメロディーの既存の曲」まで、いろいろ出力してくれるのである。これは既に存在しているのではあるまいか。(iPhone には、鼻歌を入力すると楽曲名を出力するアプリがあるが、ちょっと認識精度が低く、これはまだまだそれほどのものではない。)

 また少し飛躍して。

 「可能なメロディーをすべて出力する(数え上げる)」という研究は、当然、行われているのであろう。わかりやすくするために、制約をいくつかつけてみよう。

・曲の長さは8小節。
・単旋律のみ。
・使っていい音高は、平均律(1オクターブ12音)で4オクターブ。
・使っていい音長は、全音符(休符)から16分音符(休符)まで。3連符は許可。

 ..などなど。この条件で作れるメロディーを「全部」出力するのは、高校生か、たかだか大学の教養課程レベルの演習問題である。面倒だから、今は解かないけどさ。[;^J^]

 ここまでは、簡単だしつまらない。しかしここから、「音楽的に無意味なメロディー」を「なんらかのルールで」削り落とすことによって、桁外れに出力数が減る。そうして残された「メロディー」には「音楽的に意味がある」わけだが、この「絞り込み」アルゴリズムは、そう簡単ではないし、「何をもって無意味とするのか」というルールを作るのは、面白い。「音楽的教養/知見/主張」が問われるし、また、その「教養/知見/主張」によって、結果が大幅に変わる。早い話が「無調」のメロディーを認めるか否か、とか。条件をきつくしすぎると、無調どころか「(日本を含む)エスニック系」が全滅するし..

 ..どこかで聞いた話だな、と、思ったら、アーサー・C・クラークの「90億の神の御名」(Wikipedia)ではないか [^J^]。「すべての可能なメロディーが記述されたとき、宇宙は消滅する」のである。[^.^]

*目次へ戻る


*2021年12月17日:湯風景しおりのこと


 行きつけのスーパー銭湯「湯風景しおり」。だいぶ前になるが、壁に貼りだされている「投書(アンケート)」の中に、「(夫婦でここに通っているのが)老後の生きがいです」というのがあった。

 気持ちはわかる。

 私も、「生きがい」とまでは思わないが、もしも2年後からの隠棲先として(横浜に帰るのではなく)浜松に残ることを選んでいたとしたら、週3〜4は湯風景しおりで、数時間ないし半日、ゴロゴロしていることになったに違いない。(難しい時制だな。[;^J^])要するに、居心地がいいのである。

 多分、大きすぎないということもポイントなのだろう。それに、街中の至便なところにありながら、周囲は林で、男湯の野天風呂の周りには塀すらない。(へぇ〜〜っ) 素晴らしい解放感なのだ。ちょっと小高いところにあって、食事処からの見晴らしもいいし、建屋の中の空間設計がうまいのか、なんとも広々とした感覚がある。漫喫エリアの蔵書量もさほどのものでもないのに、「(インティミートな)ちょうどよさ」があるのである。

 横浜の家から徒歩10分のところに、やはり一流のスーパー銭湯「竜泉寺の湯」があるのだが、ほかの点はともかくとしても、野天風呂は「空があいている」だけで、湯風景しおりの解放感には遠く及ばないのが、残念なところではある。

*目次へ戻る


*2021年12月18日:インフルエンザ予防接種など


 快晴、寒い。朝いちで大坂内科医院。月いちの健診と、インフルエンザ予防接種。今年もまた、インフルエンザはあまり流行っていないらしいのだが(新型コロナの巻き添えで、ほぼ全国民によるマスク装着攻撃と手指アルコール消毒攻撃で気息奄々、という大迷惑をこうむっていらっしゃる [;^J^])、もちろん油断大敵ですからね。

 浜松西郵便局。志都呂イオン。浜菜坊で食事をして、帰宅。

 平田弘史、12月11日に、心不全のため逝去。享年84。合掌..

*目次へ戻る


*2021年12月19日:年賀状印刷発注/三国8版/くるみ割り人形/M−1/神田沙也加


 適当に検索してみつけたサイトで、年賀状の発注をしてみた。写真印刷つき宛先住所氏名印刷つきである。人生初、である [;^.^]。なんか間違えていないか、どきどきものである。[;^J^]

 「言葉の「もやもや」に応える辞書に 三国8版の進化」..面白い。「8版では「お役立ち情報」を多くしました。たとえば「汚名挽回」。誤りとされることが多いけれど、「元気回復」と「疲労回復」の両方があるのと同じで、「汚名挽回」も「名誉挽回」と同じ意味になり必ずしもおかしくない。」..なるほど。「汚名挽回」にはうるさく突っ込んできた私であったが、確かに「疲労回復」は看過してきたことであるなぁ..[;_ _][;^J^]

「汚名挽回」は、汚名を着た状態をもとどおりにすることで、「名誉挽回」と同じ。汚名を取りもどすことではない。「疲労回復」が「元気回復」と同じ意味になるのと似ている。

 ..うーむ。ぐうの音も出ない。[;^.^]

 「『くるみ割り人形』が消える?「人種差別的」と欧州のバレエ団が公演中止・改変」..ま、センシティブな問題なので、あまり軽々しくは発言できませんけどね。しかしまぁ、一言でいって、なんじゃこりゃ。中国人やアラビア人からの抗議を受けてのことなのか? 自分たちが歴史的に差別してきた国や民族の「国民感情」を「勝手に」忖度してるだけなんじゃないの? それはそれで、なかなかの思い上がりでは?

 M−1グランプリ。この日記をアップする頃にはもうネタバレではなくなっているだろうから、優勝者(..を直接書くのはやはりまだ憚って、優勝を逸したコンビ名)を書くことにする。オズワルドを応援していたのだが、惜しかった。ファーストラウンドのネタ、「友人」を「奪いにくる」サイコパス [;^.^] は、「恐怖」と「笑い」の理想的な結合にほかならない。決勝ステージでのネタが、ここまでの高みには至っていなかった(優勝コンビのネタの爆発力には及ばなかった)ことが、敗因か。

 個々にコメントしていると大変なので、あとひと組だけ。ロングコートダディはネタも非常に面白かったのだが、それ以上に、2人の顔(頭部)の大きさが違いすぎて、並んで立っているのを見ていると遠近感が狂い、軽い眩暈に見舞われてしまって、心地よかった。[_ _][;^.^]

 私は通例、特にバラエティ番組は、少し遅れて「追っかけ再生」しながら手際よく「CMカット」しつつ視聴するのだが、今回、珍しくCMも観ていたら、久々にどん兵衛のCMが..なんじゃこの新展開 [;^J^]。SFシフト? やけくそ? [;^.^]

 神田沙也加、急逝。驚いた。飛び降り自殺であることは間違いないらしいが..理由の詮索は、いっさい無用。享年35。合掌..

*目次へ戻る *先週へ *次週へ


*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Dec 23 2021
Copyright (C) 2021 倉田わたる Mail [KurataWataru@gmail.com] Home [http://www.kurata-wataru.com/]