2020年05月11日:幻想美術選「反逆天使たちの墜落」フランス・フローリス 2020年05月12日:ディルビー 2020年05月13日:確定申告ようやく完了 [;_ _] 2020年05月14日:何を今さらではあるが。 2020年05月15日:「SHOW at 東京キネマ倶楽部」 2020年05月16日:幻想/ダンテ/マイスタージンガー 2020年05月17日:「ウロン文学選集」「カルメン」目次へ戻る 先週へ 次週へ
「幻想美術選」、第195回。「反逆天使の墜落」もまた幻想絵画史上の重要なテーマであり、本連載でも既に、ピーテル・ブリューゲル(父)の名作(「叛逆天使の墜落」)をご紹介ずみであるが、これもまた逸品である。
Frans Floris(1516頃〜1570、Wikipedia(英文))は、フランドルの成功した画家であるが、なかでも本作が有名である。
ピーテル・ブリューゲル(父)の作品は、ほとんど「祝祭的・漫画的」とすら呼びたくなるような「明るい哄笑」に満ち溢れていたが、本作は、より伝統的。まさに「デーモン族((C) 永井豪)」を髣髴(ほうふつ)させる(もっぱら頭部が)変貌した堕天使たちのたくましい肉体が、画面を息苦しくなるほどまでに埋め尽くしており、その量感が、見る者を圧倒するのである。
この、ほとんど音楽的なまでの「崩落する質量」..次回は、まったく異なる「堕天使たち」を、ご紹介する予定である。
目次へ戻るネタが無い日は昔話 [_ _]。30年以上も前のことになるだろうか..職場で仕事中に電話をとった私は、「はい、ディルビーです」、と、返事をしてしまったことがあるのである。もちろんすぐに気がついて、「..あ、倉田です..[;_ _]」、と、言い直したのだが..
意味がわからない人が少なくないと思う。まず、「ディルビー」とは、「dir b:」のことである。そして当時のOSは Windows ではなく、MS-DOS だったのである。(もしかすると、CP/M(または CP/M-86)だったかも知れないが。)MS-DOS の時代には高価なハードディスクドライブは標準搭載されておらず、フロッピーディスクベースだったのである。基本的に2ドライブ構成。Aドライブにシステムフロッピーを入れて起動し、Bドライブにアプリケーションソフトやデータファイルを収めたフロッピーを挿入していた。
つまり、システムを起動したあとは、通常、カレントドライブをBに切り換えて、「Bドライブ」に「居る」のである。「Bドライブ」に終日居座って、そこで仕事をしているのである。だから、電話がかかってきたときに、反射的に「はい、(ここは)ディルビーです」と答えるのは、自然なことだと思うのだが..(こういう経験がない人は、仕事への没入度が足りないのではないかと思うのだが..[_ _][_ _][_ _][;^.^])
目次へ戻る有休。浜松西税務署に着いたのは、アポしていた9:00の少し前。確定申告の相談である。「4月16日を過ぎてもOKよ!」、とされていた確定申告を、ようやく終わらせたのだった。[;_ _]
私の名誉を(いくらかでも)守るために書いておくと、既に国税庁のHPから書類は作成ずみだったのである。(4月16日に。[;^J^])ただ、その出力結果が正しいのかどうか自信がなく(どうも納付金額が多すぎるように思え [;^.^])、念のために見てもらいたいと(4月16日に)税務署に電話したら、予約がとれたのが(1ヶ月も先の)今日だったという次第である。
結果、まったく問題のない、正しい書類が作成されていた。それはいいのだが..申告が遅れた理由を訊かれた [;_ _]。〆切に関する今回の特例措置は、あくまでも新型コロナが原因で申告が遅れた人たちを救済するためのものであり、そういう理由がない(単に無精な、あるいはこの特例措置をいいことに面倒な作業を先送りにする)悪質な納税者は、延滞税を支払わなければならないのである。[;_ _][;_ _][;_ _]
「..えーと、えーと。コロナと関係はあります。ありますよ。ありますとも。おかげで業務の段取りが大幅に、えーと..」
飛躍はあるが、ウソじゃない。
飛躍はあるが、ウソはついていない。[;^.^][;^.^][;^.^]
..見逃していただきました。[;_ _][;_ _][;_ _][;^J^]
蜆塚の郵便局で納付。やれやれ、やっと終わったか..
夕方、自宅直近の遠鉄ストアで、マスクの50枚入りボックスを(ようやく)買えた。[;^J^](備蓄が底をつきかけていたのである。)2380円だから、1枚50円近い。平年の相場の5倍ぐらいじゃないかなぁ..これを使い切る前に事態が終息(は無理でもいくらかでも鎮静化)していることを祈りたい..
目次へ戻る私はマスクが、大っ嫌い!
..ようやく手に入ってから書くのもどうかとは思うが、こればっかりは仕方がない。
私はマスクが死ぬほど嫌い!
..コロナに殺される前に、気色悪い湿度と温度に蒸し殺されるっつーの..[;_ _][;_ _][;_ _]凸
目次へ戻る「5thALBUM『MOMOIRO CLOVER Z』SHOW at 東京キネマ倶楽部 LIVE Blu-ray」(ももいろクローバーZ、EVIL LINE RECORDS、KIZX-397~8)が届いたので、さっそく視聴した。
5番目のアルバム「MOMOIRO CLOVER Z」を曲順もそのままに再現した、2019/05/17 のライブ。小劇場感が漂う600人ぐらいのハコであり、とにかく、客席が近い。大規模ライブとは異なるももクロの魅力を満喫できるという寸法なのだが..この演出がまた..[^.^] アダルトで、ビザールで、エロティック [*^.^*]。18禁というほどではありませんが、(すべての)観客と舞台が近くなければ成立しない趣向である。
ちなみに、ももクロ自身はセクシーな衣裳を着たりしていませんのでご安心下さい [_ _]。ジャケ写どおりのスーツ姿であるのだがこれはこれで(← ややこしくするな。[;^.^])とにかく、素晴らしくカッコいいライブである! 75分というコンパクトなサイズなので、繰り返し繰り返し視聴するのに向いている。繰り返し繰り返し視聴するのに向いている。繰り返し繰り返(略)
目次へ戻る積聴消化日。まずは、「幻想交響曲」(ベルリオーズ、Skrowaczewski指揮、ロンドン交響楽団、CHANDOS、CHAN 8727)。ライナーノーツでも雑誌のレビューでも「テンポの異様な遅さ」が強調されているし、確かに60分を越えているのだが、実は「遅い」とは感じなかった。むしろ、「重戦車」的な重さ。これはこれで悪くない。
「シラー祭のためのパレード、交響詩“タッソー、悲劇と”勝利、ダンテ交響曲」(リスト、Kirill Karabits指揮、ヴァイマール国立管弦楽団・他、Audite、97.760)。「シラー祭のためのパレード」は初めて聴く曲だが、中盤以降は、交響詩「理想」の主題が展開される。「タッソー」と「ダンテ交響曲」は馴染みの作品。後者の「第1楽章:地獄」の幕切れ近くで、総譜にはないウィンドマシンが追加されているが、これはかなり効果的。ギミックには違いないが、下品さがなく、リストの音楽に相応しく思える。
そして問題の、「幻想交響曲、他」(ベルリオーズ、Francois-Xavier Roth指揮、レ・シエクル、Harmonia Mundi、HMM 902644)。評判がいいので買ってみたのだが..これは素晴らしい! ピリオド楽器による演奏であるが、そういう枠を越えて新鮮であり、刺激的である!
各場面の旋律、フレーズ、リズム、音型が、くっきりと「見える」。エッジが効いており、しばしば、聴いたこともないようなバランスに驚かされる。ほとんどヒリヒリするような..終楽章(「ワルプルギスの夜の夢」)は、鮮明な色彩で描かれた「地獄漫画」、怪奇音楽である。本当に信じがたいことに、これが、ベートーヴェンの「第9」の、僅か6年後の作品なのである。ほぼ、あり得ない。断層が生じているとしか。[;^.^]
「..ま..ままま、落ち着け。落ち着けってば! [;^.^]」「おい、正気か!? [;^.^][;^.^][;^.^]」..と、突っ込みながら。半世紀もこの曲を聴き込んできた、手元には115枚もこの曲のCDがある、この私が。今さら、まさに今さら、このように突っ込まざるを得ないほどの音楽だったのである、ということを、思い知らせてくれる演奏である。これは長く、つきあえそうだ。
録画も1点、消化。「ニュルンベルクのマイスタージンガー」(ヴァーグナー、レヴァイン指揮、オットー・シェンク演出、メトロポリタンオペラ)。 2014年のライブであり、2016年に録画したまま、寝かせていたもの。
「今さらマイスタージンガーごときに感動するような子どもじゃないしな..」..感動したのである [;^J^]。私見では、ほとんどザックスのひとり芝居なのだが、彼に込められた「人格の多様性」が、素晴らしい。一見すると、歌の規則に縛られ拘っている親方歌手たちに対する、そもそも規則の存在すら知らない若者(ヴァルター)の自由奔放な破格の歌、という構図であり、「旧」に対する「新」、「悪」に対する「善」、「闇」に対する「光」(← 徐々に言い過ぎ [;^.^])として、後者が前者を圧倒し勝利する..などという単純な話ではないのだ。ヴァルターの歌に理解を示して協力するザックスは、しかしながら、「規則を勉強しろ」、と、ねばり強く辛抱強く、繰り返し教え諭すのだ。古い枠組みには違いないが、時の試練に耐えてきた「規則」は、新たな、自由な発想を、夢を、さらに高めてくれる力になるのだと..この段階で涙ぐんでしまう私は、もう、ダメ? [;^.^][;^.^][;^.^] そしてラストシーン。親方たちを感服させて組合への加入を認められたヴァルターは、最初は断る。「(そんな古い組織になんか入りたくない、)私は幸せになりたいだけだ」、と。しかしここでもザックスは、ヴァルターをたしなめる。「親方たちに敬意を持て」、と。彼らこそが、長い年月、「芸術」を守ってきたのだから、と。ここでもまた涙ぐんでしまう私の涙腺は、もう、老化が進みすぎてる? [;^.^][;^.^][;^.^]
演出は、「読み替え」のかけらもない、完全にオーソドックスなものであり、穴のない歌手陣ともども、安心して観賞できる。なかなかの逸品であった。(ヴァルター:Johan Botha、エヴァ:Annette Dasch、マグダレーネ:Karen Cargill、デイヴィッド:Paul Appleby、ポーグナー:Hans-Peter Konig、ベックメッサー:Johannes Martin Kranzle、ハンス・ザックス:Michael Volle)
目次へ戻る先日届いた「復刻版 ウロン文学選集」を、通読した。これは2冊セットの復刻版であり、「ふるむまかをめら」は以前から所有していたものの、「へろ」は手元になく、今後とも(尋常な価格では)入手できないことは確実なので、この(尋常な価格ではない [;^J^])復刻版を購入したというわけだ。
吾妻ひでおの著作では、ない。(オリジナルイラストは入っているが。)だから、「吾妻ひでお 著作リスト」に記載することはしないが、しかしこれは、吾妻ひでお史上の、重大なイベントなのである。何しろ、これは彼の作品世界から現実世界への「侵犯」なのだから..(よくわからない(幸いなる)常人 一般人は、安全距離を保って、遠くから観察していればよろしい。[;^.^][;^.^][;^.^])
昨日に続いて、録画を1点、消化。「カルメン」(ビゼー、パブロ・エラス=カサド指揮、リチャード・エア演出、メトロポリタンオペラ)。2014年のライブであり、2015年に録画したまま、寝かせていたもの。
「今さらカルメンごときに感動するような子どもじゃないしな..」..感動したのである。[;^J^](すみません、コピペしました。[;_ _][;^.^])素晴らしい! とにもかくにも、カルメンを演ずる Anita Rachvelishvili の歌唱と演技、エキゾチックな美貌とボリューミーな肉体美の迫力! 完璧な、カルメンである!
誰もが認めるように、この物語では、ドン・ホセ(Aleksandrs Antonenko が熱演)が、いちばん、「ダメ」。素敵なフィアンセ(ミカエラ、Anita Hartig)がいる真面目な軍人だったのに、妖しげなカルメンごときにたぶらかされて、軍規を破って投獄され、軍を脱走して犯罪者集団に身を投じ、どんどん落ちぶれてミカエラを嘆かせ、ついには自分を捨てたカルメンを殺す..(物語はここで終わるが、当然、処刑されるはず..)こんな男にちょっかいかけてしまったカルメンこそ、災難だったとも考えられるが..しかしこの演出/演技も、なかなか一筋縄ではいかない。一番「ダメ」なのが「ドン・ホセ」であると同時に、一番「ヒドイ」のが「カルメン」であるというのが、衆目の一致するところであろうが、彼女の個性(人格)も、多様である。後半、明らかに(ストーカーと化した)ドン・ホセを嫌悪しているのであるが、しかし同時に、気遣ってもいる。彼を破滅させたことを、多少は悔やんでいるのかもしれない。そして最後は、彼のナイフをいっさいよけず、むしろ微笑みながら、死を受け入れる..まるで、永遠の愛を成就したかのように..いやいや、やはりカルメンは誰にも縛られない、ドン・ホセとの心中など、とんでもない..いやいや..いやいや..この、永遠の万華鏡!
これも、読み替えのかけらもない、オーソドックスな(しかし、回り舞台を巧妙に使った)演出。ダンスも素晴らしい。長くつきあえるソフトであった。
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