*1999年05月24日:「食人族」
*1999年05月25日:よくやる見間違い
*1999年05月26日:「少女アリス」情報
*1999年05月27日:ネットワーク・ハイ
*1999年05月28日:信頼について
*1999年05月29日:久々の「鎌ぶら」オフ
*1999年05月30日:やけっぱちのマリア/アラバスター、調査
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*1999年05月24日:「食人族」


 昨夜からの、軽度の鼻風邪が治らない。ただこれだけの症状であるし、熱も何もないので心配はしていないのだが、この時期に風邪をこじらせるとやっかいである。念のために有休を取って、自宅で大人しくしていることにする..予定だったが、何を血迷ったか、晩になって「食人族」(ルジェロ・デオダート監督、1979)を借りてきてしまった。重くはないものの不快な症状に対する、逆療法としてである。(意味不明。)

 「二度と観たくない映画」として、しばしば言及されている作品であるから、さぞかし、ゲロゲロのグログロのゲッチョンゲッチョンでビッチャビチャな、吐き気を催す最低映画であろう、と、期待(?)していたのだが..なんとも気の抜けた、お笑い映画であった。1979年当時に観ていれば、もう少し違った感想になったかも知れないが。

 どういう作品かというと、一種の「メタ・ヤラセ」映画なのである。

 アメリカの探検隊が、アマゾン奥地の人喰い人種地帯で行方不明になった。探検隊員は(腕はともかく性格に難ありの)4人の若者で、リーダー格の映画監督は「ヤラセ」映画専門なのである。

 捜索隊は人喰い族の部落で、4人の遺体(というより残骸)と、フィルムが収められた缶を発見した。(人喰い族たちは、その缶を、装飾品にしていたのだ。)

 缶を取り戻してきた捜索隊。そのフィルムに映っていたものは..


 ..当時、この作品は「ドキュメンタリー」と銘打って公開されたという。殺された4人の遺品であるフィルムには、想像を絶する残虐図絵が記録されていた!と、喧伝されたという。

 映画の後半では、この「遺品」フィルムが再生される。4人の「文明人」は、「人喰い族」以上の野蛮行為を行っていた。「人喰い族」の部落の抗争シーンを「ヤラセ」(というか、でっち上げ)で作るために、人喰い族の女子供たちを小屋に追い込んで火を放ち、焼き殺す。(その場面を、じっくりと撮る。)また、人喰い族の少女を輪姦する。そして、人喰い族の怒りをかって、ひとり残らず惨殺され、喰われてしまうのである。最後に残った1人は、追われながらもフィルムを回し、それには全員が殺されるまでのシーンが、映っていた..

 そのフィルムはしばしば切れ、ノイズが混じり、最後の場面では横倒しになったまま映されているなど、それなりに「リアル」に見えたが故に、本国イタリアでは「本物のドキュメンタリー」と信じる客が続出し、大騒ぎになったとも聞く..

 ..到底、信じられることではない [;^J^]。「信じる客が続出し云々」自体が、映画会社の宣伝文句であり、いわば「ヤラセ」であろう。この「ドキュメンタリー・フィルム」が「ヤラセ」であり、人喰い族が全員俳優であることは、一目見れば、どんな馬鹿にでも判る。

 大体、探検隊には、カメラマンは一人しかいなかったのである。なのに、そのカメラマンが他の隊員を撮しているシーンが、たくさん撮られている [;^J^]。4人揃って映っているシーンも、たくさんたくさん撮られている [;^J^]。最後のフィルムを映写機から取り出して缶に収めたのは、誰なんだよ [;^J^]。

 これに呆れた私は、フェイクドキュメントとしての「巧妙な詐術」を味わう悦びは早々に放棄して、人喰い族と(野蛮な)文明人の、ゲロゲロのグログロのゲッチョンゲッチョンでビッチャビチャな闘いを楽しもうとしたのだが..(だって、鼻風邪だったし(意味不明)。)

 これがもう、全っ然、駄目。ぬる過ぎる。

 この映画の中で、一番「グロ」で「印象的」なシーンは、探検隊員たちが「亀」を喰うシーンであろう。首を落としてから甲羅を剥がすのだが、体はまだ死んでいなくて、内臓が文字どおり煮えたぎるように、グツグツボコボコと蠢いている。それを切り裂き、千切り取る。女性隊員は、あまりの気色悪さに吐く..

 ..しかし、このシーン自体は、別に「残酷」でも「野蛮」でも無い。(肉食の)生き物が他の生き物を喰う、というのは、こういうことなのである。確かにこんにちの我々が、(自分の食料について)こういうシーンを目にする機会は、まず無いが、それは他の誰か(あるいは機械)に「代行」させているからに過ぎない。だから、この「亀を喰う」シーンは、この映画の中では、むしろ極めて健全(あるいは健康的)なシーンなのである。

 これに対比させられるのが、「人間を喰う」シーンなのであるが..腹が引き裂かれた女の内臓に向かって、周囲の人喰い族たちが、何度も手斧を振り下ろして、ズタズタに切り裂いて行く..という設定(場面)なのであるが..どうみても、斧の玩具で、人体の内臓模型を、「タントンタントンタントントン」、と、「叩いて」いるようにしか見えない [;^J^]。女を殺す前にはバコバコと犯しまくると聞いていたので、そのシーンも楽しみ [;^J^] であったのだが、これも全然駄目。(気の抜けたロングではなく)ナイスな角度で接写してしまっては、それこそ「ヤラセモドキ」にすらならないというのは、確かだが [;^J^]。

 有名な、串刺しオブジェもなぁ..尻から口に突き通っている杭が一直線でないのが、一目で判るってば。[;^J^]

 ま、「真の野蛮人とは、人喰い族か? それとも「ヤラセ」映像を撮るためには虐殺も厭わぬ“文明人”か?」というアイロニーは、まぁまぁ効いている。しかしこのテーゼはただの「アリバイ」であって、監督の真意は、ゲロゲロのグログロのゲッチョンゲッチョンでビッチャビチャな映像を撮ることにあったはずであるが、そこで完全にスカっていた。

 (やや面白いのは、多くの“残虐”シーンに牧歌的・田園的な音楽を被せて、それなりの効果を出していることである。もっとも、その音楽自体は、やはり“スカ”なのであるが。[;^J^])

 人生の無駄遣いをしたく無いあなたは、この映画(ビデオ)を観るべきではない。しかし、この日記を読んでいる時点で、あなたは既に人生を無駄遣いしている [^.^]。

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*1999年05月25日:よくやる見間違い


「バイオさん募集中!」

 ..ま、広義にはそうだ。確かに。

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*1999年05月26日:「少女アリス」情報


 スキャナーの画質の不具合の証拠としてキヤノンに送ったCD−Rのデータを、会社のPC&CRTで観てみる。

 おやまぁ、確かにこのCRTでは、ノイズ(縦線)は観えんわ。(リブ100の)液晶と、これほど写り方が違うものなのかぁ。よし、オッケーだ。近々修理から帰ってくるはずだが、その時の状態を受け入れることにしよう。

 Fさんから、「少女アリス」誌に掲載された吾妻ひでお作品について、メールをいただく。何度かやりとりしているうちに、従来の「吾妻ひでお 著作リスト」に記載されていた、


	午後の淫荒::6:少女アリス Vol.7:80/02

というのは間違いで、正しくは、


	午後の淫荒::6:増刊少女アリス:80/02?

である、ということが判明した。Vol.7 に掲載されたのは「午後の淫荒」ではなく、


	ゴタゴタマンション:我ら、少女を愛す:7:プレイコミック:74/08/24

の再録だったのである。(「ゴタゴタ・ブラザース!」と、改題されていた。)

 いや全く有り難い情報である。なにしろ「少女アリス」は、国会図書館にも現代マンガ図書館にも無く、古書店でも滅多に見つけられない(一度だけ目録で目撃したが、抽選負けした)ものなのであるから。

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*1999年05月27日:ネットワーク・ハイ


 数日間、ネットニュースの fj.rec.movies から目を離していただけで、未読が1000近くになった。(元々、投稿の多いニュースグループではあるが)何ごとかと思って流し読みしてみたら..

 ..なんだ、新人が3人少々、ネットワーク・ハイしていたのであった。

 こういうのは、批判しにくいなぁ。なにしろ、身に憶えがあるもんなぁ。[;^J^]

 とにかく、全国区(本当は「全世界」なのだが、当人の意識としては「全国区」)に、自分の記事をじゃんじゃんまき散らすのが、楽しくて仕方が無い時期なのである。それで、「名を売った!」「ビッグになれた!」、と、錯覚できてしまう時期なのである。(身に憶えがあるもんなぁ。[;^.^])

 一応、下記の程度のフォローをしておいた。別に、へこますつもりはないのだ。


From: kurata@roland.co.jp (Wataru Kurata)
Newsgroups: fj.rec.movies
Subject: 今が一番楽しい時期なんですよね。
Date: Thu, 27 May 1999 19:34:23 JST
Message-ID: <7ij73f$9tm@rhos1.roland.co.jp>
References: <HUQ13.648$Mm5.18135@news1.dion.ne.jp>
	<11421-3747F847-34@newsd-1.iap.tokyo.webtv.ne.jp>
	<VrT13.661$Mm5.18442@news1.dion.ne.jp>

In article <VrT13.661$Mm5.18442@news1.dion.ne.jp>
    joe_lane@d1.dion.ne.jp writes:
> POP ELFIN (あのー…、僕まだ新入りなんですけど…) 

    そりゃ、内容を読まなくても、投稿の数を見るだけで一目瞭然ですとも。

#  で、すぐに減るんですよね。
--
倉田わたる (KURATA Wataru)  In NIFTY-Serve QFH01667  In ASAHI-Net QF3W-KRT
Mail [KurataWataru@gmail.com]  Home [http://www.kurata-wataru.com/]
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*1999年05月28日:信頼について


 Yさんから、少年チャンピオン誌の切り抜きが届く。手塚治虫の「やけっぱちのマリア」と「アラバスター」が掲載されている時期の切り抜きを、貸していただいたのである。このあたり(1970年前後以前)は、国会図書館と現代マンガ図書館を合わせても、とびとびにしか閲覧できなくて、困っていたのだ。いや全く、有り難い。

 Yさんも、横浜のTさんも、良い意味でのオタクでありコレクターであるが、こういう、真の「オタク」「コレクター」は、決して、自分のコレクションを秘匿しない。世間に流布している(俗な)オタクイメージとの最大の相違点が、これである。

 しかし、誰にでも見せる(貸す)というものでも無い。信用出来る人でなければ、駄目である。わけのわからぬ(見知らぬ)人が、いきなりふらりとやってきて、貴重なコレクションを見せて(貸して)くれ、と言ったとしても、これはためらう(断る)のが当然であろう。

 だから、こういう、個人所有の貴重な文献(コレクション)にアクセスするためには、信用を積み重ねるしかない。そして信用を積み重ねるためには、なんらかの形で情報発信をし続けるほかは無いのだ。(情報発信の仕方をしくじれば、逆に「信用を失う」ことになるのは、言うまでもない。そこは経験と修行だ。世間は甘くはないのである。)どんな場(ニュースグループやメーリングリスト)にも、必ず“ROM”(Read Only Man の略。読むだけで発言しない人のこと)はいるが、その存在を認知されることすら無いROMは、信用を得るどころでは無いのである。


 ..わはは、なんだ、このメールは! [^O^]


From:***
To:kurata@rinc.or.jp
Subject:コミックの募集
Date:Fri, 28 May 1999 13:36:58 +0900 (JST)

吾妻ひでお様

初めまして!

KIOSKで、あなたの作品を売らせてもらえませんか?

今回JR西日本デジタル実証実験「デジタルキオスク」が9月よりスタートします。

「デジタルキオスク」これはデジタルデータを販売するの自動販売機です。
皆さんの作品をデジタルデータに変換(弊社で行います)し、この自動販売機で販売
します。

(以下略)

 ..「プロ・アマ不問」と書かれているので、「吾妻ひでお」というプロの漫画家がいることは知っているのかも知れないが、kurata@rinc.or.jp が「吾妻ひでお」のメールアドレスだと思っているようでは、いかんなぁ。ちゃんと読めよ、俺のページ!(もしかして、「吾妻ひでお 著作リスト」には、作者本人が運営しているページと思われる要素があるのか? そうとは思えんが。)

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*1999年05月29日:久々の「鎌ぶら」オフ


 (「鎌ぶら」オフの開催が久々だというのではなく、「鎌ぶら」オフへの私の参加が、久々だったのである。)

 13時に北鎌倉駅前に集合。澁澤龍彦の聖地である故、一度は澁澤邸を訪れたい..とは言わないまでも、せめて近所に立ち寄ってみたいものだが、まぁ、遠慮しておこう。閑静な住宅地なのだし。(純文作家・広岡の聖地でもあるが。(いしいひさいち参照。))

 今日はこぢんまりと、4人でスタート。(ピーク時に6人。)まず、神奈川県立近代美術館で「水の物語」展。水を題材にした作品群。マイナーな作品が多いが、モロー、アンソール、クノップフらの名品も。眼福眼福。一部の作品のデータ(作品名、作者名)に誤記があるような気がするので、念のためにカタログを買っておく。(翌日、自宅で調べたら、やはり誤記ではなく私の勘違いであった。)

 次に、報国寺。竹の庭。

 杉本観音では、絵文字般若心経の解読を試みる。文盲の信者達のために考案されたものなのだが、こんなに難しい解読法を憶えるよりは、仮名を習う方が、遙かに容易で応用もきくであろうに、と、一同思ったことであった。[;^J^]

 喫茶店でお茶。少し早いが、焼き肉屋でたらふく喰い、もう一度お茶。(最後の店で私が飲んだのは、ウォッカだったが。)

 以下、備忘。鎌倉発20:58 → 大船で下りに飛び乗り乗り換え → 小田原に21:55着。浜松行きの最終こだまは、小田原を22:09発である。やれやれ。[;^J^]

 小田原で14分間の余裕が出来たことに増長して、余裕をかまして、グレ電からニフ&インターネットしているうちに、ホームにこだまが入ってきてしまった、というのは、お約束の展開である。飛び乗って事なきを得た。[;^J^]

 23時30分頃に浜松着。今夜は腹は減っていないので、有楽街の屋台のニンニク卵入りラーメンは省略。タクシー代がもったいないので、徒歩で帰る。50分かかった。確か45分の距離だったはずだが、さすがにいくらか疲れているのかな?

 帰ってみたら、恒例の東芝PCグレードアップサービスの案内が。


・6.4G化は、もう自力でやってもうた。

・CPUのMMX166からMMX233への交換は魅力的だが、なんせ上記自力入れ替えをしてしまっているので、保証外=対象外であろう..確認ぐらいしはしてみてもいいが..68250円じゃあねぇ。

・前からあるカラーリング&ネーミングには、興味無し。

・新サービスの、「スケルトンキーボード交換サービス」..

 ..は、は、恥を知れ、恥を! [;^O^]


 ったくもう、透けていればそれでいいのかっ! ならば、往年(何十年前か忘れた)のシースルールックの大流行が、再び猖獗を極めるとでもいうのかっ!(そうあって欲しいっ!!)

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*1999年05月30日:やけっぱちのマリア/アラバスター、調査


 Yさんから預かった少年チャンピオン誌の切り抜きによって、「やけっぱちのマリア」と「アラバスター」の初出データを確定する。胸のつかえのひとつがおりた。(まだあと、数十あるのだが。[;^J^])

 Fさんからの情報に依って、「吾妻ひでお 著作リスト」のデータも修正する。

 5/2に実家で発症したリブ100の液晶不良が、再現しなくなった。あの日(正確には5/3)以来、目にしていない。なんだったんだろ? 実家の水、もとい電気が合わなかったか? [;^J^] バッテリー駆動中にも見られた症状なんだけどな〜。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Jun 2 1999 
Copyright (C) 1999 倉田わたる Mail [KurataWataru@gmail.com] Home [http://www.kurata-wataru.com/]