*1997年06月16日:レコードのジャケットについて
*1997年06月17日:ロックとの出会い
*1997年06月18日:「住めば都、生まれれば黄金時代」
*1997年06月19日:研修第1日目
*1997年06月20日:研修第2日目
*1997年06月21日:“12歳”
*1997年06月22日:贔屓にしようかな
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*1997年06月16日:レコードのジャケットについて


 ネタが無い日は昔話。小中学校を通じてクラシック少年だった私が、なぜ、高校生になってから“不良の音楽(ロック)”を聴くようになったのか、という物語である。

 これは(1970年代当時の)クラシック愛好少年少女一般の傾向だったかどうかは、判らないのだが、私は密かに、ロック(あるいはジャズ)にコンプレックスを抱いていた。音楽面で、ではない。あのやかましくて汚い音響は、全然理解できなかった。コンプレックスを感じたのは..その、美しいレコードジャケットに対してである。

 クラシックのレコードジャケットデザインには、基本的に3つのパターンしかない。名画か、風景写真か、演奏者の顔写真である。もちろん、例外は当時(70年代前半)でも沢山あったのだが、大多数はこの3パターンにくくられる。

 美術愛好家でもあった私にとっては、もちろん、名画をフィーチュアしたジャケットは嬉しいものであった。しかし、手持ちの画集に収録されている絵画の複製である場合、そのジャケットのレコードを買うのは、なんとなく“冗長”に思えたものだ。風景写真も、よほど美しい写真であればともかく、概して“万人向け”というか、無難な可も無く不可も無い写真が多いのだ。そして、演奏者の顔写真。[;-_-] アイドルや映画スターの写真じゃあるまいし、あんなもん、喜ぶ客がおるんかいな(と思っていたのだが、最近知り得た情報によると、例えばアシュケナージの場合、顔写真を出さないと、売れ行きに響くらしい。ほんまかいな)。

 それらに比べると、レコード屋でも“ポピュラー音楽”の棚は、全くの別世界であった。特に“ロック”。

 SF小説のイラストのようであったり、チープなアメコミのようであったり、時にはシュールな、時にはエロティックな合成写真であったり。その題材も技法も、実に多彩であった。そして私は“ロック”コーナーの一角に、異様に美しい、一連の幻想絵画を発見したのである..

 どちらかと言えば、押さえた色調。透き通った空間。なによりも、ほとんど高貴ですらある、格調高い夢想..

 私と“YES”の運命的な出会いは、かくのごときものであった。

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*1997年06月17日:ロックとの出会い


 昨日の話の続きである。

 私はただちにそれらのレコードを買って帰った..わけではない。まだしばらくは、レコード屋の店頭で、ためつすがめつ眺めながらも、聴かず買わずの日々が続いたのである。

 そんな私に、不良の音楽(ロック)を手ほどきしたのが、小学校時代の悪友たち。(当時私は、高校一年生だったと思う。)

 彼の家に、泊りがけで遊びに行った。全部で4人もいたろうか。その晩は、子どものことだから、もちろんウィスキーのがぶ飲み大会である。そして飲みなれぬが故の強烈な酩酊の中で、彼に聴かされたのが、「トミー」「ケルン・コンサート」「チューブラー・ベルズ」、そして「ヘンリー八世の6人の妻」であった。

 「トミー」の記憶は、全く無い。もしかすると「ジーザス・クライスト・スーパースター」だったかも知れない。もっとも強烈な印象を刷り込まれたのは、「ケルン・コンサート」の、執拗に繰り返される“下降音型”のリフである。(むろん、「ケルン・コンサート」はロックではないのだが、当時の私には、そんなことは識別し分けられなかった。)その一方で、マイク・オールドフィールドや、リック・ウェイクマンの、特に後者の“漫画的”な音の動きに、より深く心惹かれた。

 それは恐らく、キース・ジャレットが、より“クラシックに近かった”からだ。実際、クラシックのピアノ曲でも、ドビュッシー、ラヴェル、バルトークあたりになると、相当ジャズに近い。正確な前後関係は思い出せないが、当時の私は、恐らくラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲」を聴いていたと思う。「ケルン・コンサート」の響きは、これの延長線上にあった。

 それに比べると「ヘンリー八世」は、遥かに“やすっぽかった”。マンガのようだと思った。そしてそのさまざまな様式とアイデアのゴッタ煮状態が、心底面白かった。

 その翌日。地獄のような二日酔いに、半ばゾンビと化して這いずりかえった帰り道では、レコード屋に寄る元気など全くなく、数日(あるいは数週間)後に、改めてレコード屋の店頭で手にした、生まれて初めて自分の金で買った、ロックのレコード。それがイエスの「リレイヤー」だった。

 決してイエスの代表作とはされていない、このアルバムに、だから私は格別の思い入れがある。実際、良く出来た作品だと思う。唯一の悔いというか失敗は..“ロック”にも“プログレ”にも全く免疫の無かった、うぶな私は、「平均的なロックは、このようなものなのだ」と刷り込まれてしまったことなのであった。[;^O^]

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*1997年06月18日:「住めば都、生まれれば黄金時代」


 唐突に思い付いた格言である。意味は自明であろう。

 但し、あらゆる“一般法則”同様、“例外条項”は設けておきたい。本当に生きるのが苦しい時代や国家に生まれた人々に、これが適用できるかどうか、私には想像もできないのだ。所詮は、平和な時代の平和な国に生きているが故の、気楽な妄言である。

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*1997年06月19日:研修第1日目


 さる事情があって、今日明日と、泊りがけで研修である。業務の一環なので、差し障りのない範囲でしか内容は書けないが、要するにシミュレーションである。課長役になって、会議に出たり、支店長役になって、優秀だが(優秀だから)言うことを聞かない部下と面接して、言うことを聞けと説得したり。

 特に後者は、相手役の顔の上に、(実在する)あーんな部下や(実在する)こーんな部下の顔を投影することにより、大いに臨場感を高めることも、感情を込めることも出来た。(差し障りありまくり。[;^J^] あいつら、ここ読んでないだろーな。[;^J^])

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*1997年06月20日:研修第2日目


 台風で叩き起こされてみれば、研修2日目の朝である。昨夜しこたま飲んだせいか、頭が痛い。

 VTRで振り返るなど、前日の演習のフォローが中心。4時過ぎに終わったが、実に面白い研修であった。しかし、これは金かかってるだろーなー。

 会場をあとにする頃には、台風一過、めいっぱいの快晴である。暑いあつい。

 浜松駅までワゴン車で送ってもらい、街角のグレ電でメールを落としてから、ビヤホールで晩飯。

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*1997年06月21日:“12歳”


 先日は、「住めば都、生まれれば黄金時代」という(私製の)“格言”を紹介したが、今日は、これと本質的には良く似ている(これは古くから言われている)“格言”を紹介しよう。


「SFの黄金時代は“12歳”である」

 多くのSFファンは、12歳の頃にSFと出会っている、逆に言うと、人生における“12歳”という時代にSFと出会う機会の無かった人は、決してSFファンにならない(その後、もっと歳をとってからSFに出会っても、SFに入れ込んでしまうことはない)。そして言外のニュアンスとして、「だからSFは(高々12歳の)子どもの読み物なのだ」、と続く。

 しかしこれは、良く考えてみると当たり前のことである。

 12歳。人生における、もっとも多感な時期だ。たまたまその時代に出会い、入れ込んだ対象から、生涯離れられないのは、当然のことではないか。それがスポーツでも音楽でも映画でも芝居でも、そしてSFでも。

 休日出勤。会社のすぐ近くに、浜松としては結構大きなパソコンショップが開店した。休憩時間に行ってみると、それほど品数が多いわけでもなく、それほど廉いわけでもない。しかし、帰宅途上や昼休みにちょっと寄って行ける場所に、この規模のショップが開店したのは嬉しい。

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*1997年06月22日:贔屓にしようかな


 今日は散髪してから休日出勤。いやはや、先日の研修でビデオを見て、自分の頭髪のあまりの鬱陶しさに愕然としたのであった。

 リブ60の第一報が入る。ペンチ100をはじめとして、完璧に予想内のスペックのように思える。(正式発表前らしく、情報が断片的かつ曖昧で、良く判らないのだ。)どうも..ときめかないな。FreeBSD マシンとして、目をつけていたのだが(現有のメインマシンであるリブ30に(HDを換装して)インストールするのは、トラブルがちょっと恐い)、やや見送り気配。なんにせよ、スペックが正式に発表されてからだ。

 休日出勤の休憩時間に、ようやく、「吾妻ひでお 著作リスト」のページの中の「注釈」から、注釈の参照元への逆リンクを張る。いやはや、この作業にほとんど2週間近くかかってしまった。注釈は500件弱、それらへの参照件数は2000件弱あり、今後のメンテのことを考えても、手作業でのリンクは、絶対に考えられない。既存のHTMLファイル群からのコメントリンク自動生成が、必須だったのだ。こんなに時間がかかったのは、毎日数十分しか連続して作業できないからである。それにしても、実に複雑なスクリプト群を書いたものよ。(なにしろ、jgawk と sed を使い倒したのはいいとして、ベースが BAT script ON command.com だからな。[;^J^] sh なら3日ですんだかも。あぁぁ、FreeBSD にしてしまいたいっ)

 晩飯は、やや久しぶりに、会社の近くの居酒屋Mへ。別にうまくも廉くもないのだが、ちょっと目先を変えたかったまでのことなのだが..

 わりと可愛い、かなりロリ入ってる(はたち位の?)給仕の女の子が、

「お客さん、いちど来たことあるでしょう?」
「へぇ、良く憶えているねぇ、もうだいぶ前なのに」
「この前も手塚治虫のマンガ読んでたでしょ?」
「(なるほど)」
「歳は、おいくつなんですか?」
「何歳くらいに見える?」
「24かな?」

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Jun 27 1997 
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