*2022年02月14日:幻想美術選「悪夢」ルイ・ジャンモ
*2022年02月15日:ベルリオーズのヴィオラジョーク
*2022年02月16日:「怪異猟奇ミステリー全史」
*2022年02月17日:後発白内障でした [;^J^]
*2022年02月18日:倉田わたるの定休日の法則
*2022年02月19日:3回目接種予約
*2022年02月20日:3回目接種
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*2022年02月14日:幻想美術選「悪夢」ルイ・ジャンモ


 「幻想美術選」、第284回。

Picture

「悪夢」(ルイ・ジャンモ、1854年)

 Louis Janmot(1814〜1892、Wikipedia)は、フランスの画家。ロマン主義から象徴主義への架け橋となった。その理想主義的・神秘的傾向は、ナザレ派やラファエル前派とも通底する。

 特に有名なのが、ライフワークとなった「魂の詩」である。これは、18点の油彩画(第一部)と16点の素描(第二部)の計34点からなるシリーズであり、1881年には、これらの写真にジャンモ自身による詩を加えた印刷本「魂の詩」が刊行された。(第三部、第四部も構想されていたようであるが、制作されなかった。)

 作品リストと第一部の全画像は、前記 Wikipedia の「魂の詩」のセクションに載っているので、参照されたい。この「悪夢」は、その第8作である。

 画家の生前にはごく一部の理解しか得ることができず、長きにわたって忘れ去られていた「魂の詩」は、キリスト教をベースにした独自の神秘思想という観点からは、やはり同時代には受け入れられなかったウィリアム・ブレイクに通ずるところが、あるように思われる。

 この両者に共通するのは、単なる頭でっかちで観念的な「思想」ではなく、圧倒的な「美の力」が、その作品に生命を吹き込んでいるということである。この「悪夢」も、恐るべき怪物が登場するわけではないが、そのヒヤリとするような冷たいリアリティが、忘れがたい印象を残すのである。

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*2022年02月15日:ベルリオーズのヴィオラジョーク


 管弦楽法」(Hector Berlioz、Richard Strauss、小鍛冶邦隆 監修、広瀬大介 訳、音楽之友社)から、ヴィオラの章の一部をご紹介しよう。

 本書は、1844年に初版、1856年に改訂版が出版された、ベルリオーズの「現代楽器法および管弦楽法大概論」の独語訳に、リヒアルト・シュトラウスが追加コメントを書き入れ、「ベルリオーズ以降」の譜例(そのほとんど全てがヴァーグナー作品)を大量に追加したものである。(1905年刊行。)西洋クラシック音楽史上まずは最高水準の管弦楽法の大家ふたりのコラボレーションであり、しかもベルリオーズは第一級の文筆家でもあるのだから、面白くなかろうはずがない。

 原著が150年以上、リヒアルト・シュトラウス補筆版でも100年以上前の「理論書」なのであるから、内容はしばしば古い。楽器も進化したしね。しかし、ある意味では、その「古さ」にこそ価値があると言えるのだ。古い百科事典の価値と同じことだ。その時代の楽器とオーケストラの事情の(超一流の筆による)活写なのである。そしてまた、時代を越えて今でも通用する記述も、豊富に含まれているのだから。

 リヒアルト・シュトラウスが行ったのは、あくまでも「追記」であって、ベルリオーズの原文には、いっさい手を入れていない。以下は、イタリアのハロルド ―― ヴィオラ独奏付きの4楽章の交響曲を作曲した、ベルリオーズ自身の御言葉である。ヴィオラ奏者は刮目して読むがよい。

 (前略)すべてのオーケストラの楽器の中で最もすばらしい特質を持っているにもかかわらず,ヴィオラはいつも正しく評価されることがなかった。ヴァイオリン同様機敏であり,その特徴的な低弦の響きは金属的,高音は特にもの悲しく情熱的で,その深いメランコリックな音が他の弦楽器と明確に異なる全般的な特徴である。それにもかかわらず,この楽器は長い間軽視され,バス声部を1オクターヴ上でなぞるだけの無意味でなんら効果を生まない役割などを負わされてきたのである。

 この気高い楽器が不当に扱われてきた理由はいろいろある。まず,実質的な4声の作品をほとんど作らなかった18世紀の作曲家たちが,ヴイオラをどのように扱ってよいのかわからなかったことがひとつである。和声を満たす音を考えつかないとき,作曲家はためらうことなく"col basso"(低音と一緒)と書き込み,和声,旋律,あるいはその両方においてバス声部にオクターヴで重ねるという軽率な処置がなされた。第2に,残念なことに当時は,演奏に高度な技術を要するような,はっきりと聴こえる重要な楽節をヴィオラに振り分けることは不可能だったのである。ヴィオール奏者(ヴィオラのかつての名前)というのは,常に「使えない」ヴァイオリン奏者から選ばれていた。ヴァイオリン奏者としての役割を十分果たすことができなかった奏者が,ヴィオラ奏者に格下げになっていたのである。従って,ヴィオラ奏者というのはヴァイオリンもヴィオラもきちんと演奏することができないのである。今日もまだヴィオラに対するこうした偏見は完全に消えたとは言えないことを,筆者は認めなくてはならない。最も優れたオーケストラでさえ,ヴァイオリン奏者に比べて演奏技術に乏しいヴィオラ奏者がまだいるのである。しかし,このようなヴィオラ奏者を大目に見ることによって生じる不都合は次第に認識されるようになってきており,他の楽器と同様に,その楽器の演奏に卓越した奏者の手にのみヴィオラが委ねられるようになりつつある。(後略)

 ..私の言葉ではない。ベルリオーズの150年前の言葉である。私になんの責任もあろうはずがない。[^.^][^.^][^.^][;^.^]


 ちなみに「ヴィオラジョーク」とは、「戸谷玄のヴィオラ空間」の「音楽ジョーク集」で紹介されている、一群のジョークのことである。(このページには、ヴィオラ以外のあらゆる楽器(声楽その他も含む)のジョークも「大量に」含まれている。)なんらかの楽器の心得(あるいは興味)があるあなたなら(奏者でなくてもよい)、読み始めたらやめられないはずである。超お薦め。

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*2022年02月16日:「怪異猟奇ミステリー全史」


 怪異猟奇ミステリー全史」(風間賢二、新潮選書)、読了。

 コンパクトながら、このジャンルの通史がサーベイできて、非常に便利かつ刺激的で面白い。まぁ、目次を見ていただきたい。

*ゴシックこそがミステリーの源流
*恐怖のふたつのタイプ
*ポーとセンセーション・ノベル
*スピリチュアリズムとオカルト探偵
*ドイル、そしてフロイトへ
*内なる獣人、吸血鬼、火星人
*黒岩涙香と翻案小説
*ホームズとルパン、そして捕物帖
*日本SFの始祖、押川春浪と武侠冒険小説
*文豪たちの探偵小説
*雑誌「新青年」と江戸川乱歩、そして〈変態〉
*乱歩とエログロ・ナンセンスの時代
*探偵小説から推理小説、そしてミステリーへ
*〈新本格〉の登場、時代はパラミステリーヘ?

 あなたがどうだかは分からないが、私はこの目次だけで、ご飯を3杯、食べられる [^.^]。これまでに読んできた、あの本この本を思い出しながらの「メタ読書」としても機能するし、また、それらがこのジャンルの滔々たる流れの中に位置づけられ、いわばひとつの巨大な物語として組み上げられていくさまを見上げる快感にひたることもできる。未読の書籍のブックガイド、購入の指針ともなる。お薦め。

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*2022年02月17日:後発白内障でした [;^J^]


 快晴。有休取得済み。8:15頃に海谷眼科。数ヶ月前から徐々に、1〜2週間前からはかなり気になってきた、「左眼」の「滲み」「霞み」を診てもらうためである。

 ..後発白内障でした [;^J^]。後発白内障というのは、ざっくり言えば、白内障の手術のあとに発生しがちな、水晶体の混濁である。後嚢(水晶体の裏側)をレーザーで切開して混濁を逃がすことによって、簡単に回復する。

 やれやれ、良かった。2019年に白内障手術、2020年の網膜光凝固(網膜剥離の予防)手術をはさんで、2021年に後発白内障手術を行っているのだが、2021年の手術は「右眼」だけだったということを、忘れてた [;^J^]。さっそく予約。今月26日(土)に手術する。

 ちなみに、徐々に目立ちつつある「飛蚊症」については、異常ではない(仕様の範囲内の経年劣化である)ので、慣れて下さい、との、予想の範囲内の回答であった。トホホ..[;^.^]

 昼頃、晴天にも関わらずそこそこの雪が降るが、すぐに快晴。これほど寒くなければ、狐の嫁入りだったか。

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*2022年02月18日:倉田わたるの定休日の法則


 昨日の日記に書き忘れていたが、昼食は久しぶりに某ラーメン店にしよう、と、車を走らせたところ、まんまと定休日だったのである [;^J^]。これを、「倉田わたるの定休日の法則」という。

 私は、飲食店に行く前に、営業しているかどうかをいちいちウェブで確認することを(面倒なので)しない。そして、各店舗の定休日(曜日)を憶えておく、という習慣も、持ち合わせていない。「確率的に、普通は開いてるでしょ」、という、明解かつ数学的に間違っていない行動基準である。

 ..で、結果的に、極めて高い確率で、その店は定休日なのである [;^J^]。何故だ。[;^.^]凸

 3回目の接種券が、やっと届いたのはいいのだが、「3月16日以降で予約できます」と書かれている [;^J^]。まだ先になるなぁ..

 とりいかずよし、膵臓癌のため逝去。享年75。合掌..

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*2022年02月19日:3回目接種予約


 曇天。高丘のアマノ書店、三方原のアマノ書店と回り、志都呂イオンで敷き布団のシーツを買う。昨夜、破れていることが判明したからである。本当のことを言えば、シーツだけではなく、かなりくたびれているフトンごと買い直すべきなのであるが、浜松にいるのは来秋まで。横浜に戻るタイミングでベッドを新調する予定であり、フトンはそれに合わせて購入する方がいい。あと1年半、なんとかこのよれよれフトンで逃げ切りたい。[;^J^]

 昼食は、めん虎。湯風景しおりに寄って帰宅。

 接種可能日が、どうもはっきりしない。接種券には「3月16日以降で予約できます」と書かれている。私が2回目の接種をしたのは「8月16日」であるから、つまり、7ヶ月インターバルを置け、ということである。浜松市のサイトから抜粋すると、「接種券一体型予診票に記載されている「3回目接種可能日」に関わらず、65歳以上の方は2回目接種を完了した日から6か月経過後に接種可能です。/…/一般の方(65歳未満)の接種間隔は、2月28日まで8か月、3月1日から7か月」..私は63歳なので後半の記載が適用されるのだが、極めてわかりにくい。まぁ、7か月ということか..

 ところが、浜松市のラインアプリの画面には、年齢についての但し書きなしに「6ヶ月」と書かれているのである。実際、ラインアプリでは(6ヶ月経過している)明日から予約可能である..

 政府のころころ変わる方針に、現場の事務処理が追いついていないということなのだろう。深追いせずに、明日のザザシティ会場を予約した。(モデルナである。)

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*2022年02月20日:3回目接種


 好天。11:00を回ってから車で発ち、ザザシティの接種会場についたのは、11:40頃だったかな。予約は12:00なのだが、すいているので、すぐに接種してもらえた。15分の様子見時間をおいて、12:05頃には会場を発った。沼津魚がし鮨で昼食。

 さほど寒くもない好天だというのに、自転車で来なかったことの罪悪感はあったのだが [;_ _]、結果的には、かなりの強風なのであった。これでは迂闊に自転車で来た日には、転倒する可能性があったであろうよ、と、後付けの正当化完了。[;^.^]

 

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Feb 24 2022
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