2019年12月02日:デカ目加工を.. 2019年12月03日:幻想美術選「嵐」ジョルジョーネ 2019年12月04日:12月〜1月の展覧会観覧予定 2019年12月05日:ホルンリサイタル 2019年12月06日:大量流出事件 2019年12月07日:コートールド美術館展/ミイラ展/電子楽器100年展/ハプスブルク展/他 2019年12月08日:フランス絵画の精華展/小松左京展目次へ戻る 先週へ 次週へ
..脳内で 怪物化 と、無意識のうちに翻訳してしまっている件については、申し訳ありません [;_ _]。直接指摘したりはしない程度の配慮はしていますので、ご寛恕ください。[;_ _][;^J^]
ちなみに、ベム(BEM)(「初期のサイエンス・フィクションに登場する宇宙人あるいは宇宙怪物の総称」(Wikipedia))は、言うまでもなく「bug-eyed monster」の略なのだが、半可通な人が「BIG-EYED MONSTER」の略だと思い込んでいるケースがあり、これはもちろん誤りであるとしても、「デカ目加工」に適用することはあながち(略)
目次へ戻る「幻想美術選」の第175回は、西洋美術史上、もっとも名高い作品のひとつ。最初の風景画と呼ばれることもある。
幻想美術選では、同時代のヨアヒム・パティニールを「風景画の父」としてご紹介しているが、しいて言えば、パティニールは北方ルネサンス、ジョルジョーネはヴェネツィア..まぁ、どちらが嚆矢でも構わないようなものであるが [;^J^]、期せずして、いずれも「幻想美術」であるという点が、私には嬉しい。[^J^]
この作品は、Giorgione(1477頃〜1510、Wikipedia)の代表作であるとともに、ルネサンス絵画史上、最も解釈の難しい作品ともいわれ、その意味では、デューラーの「メレンコリアI」と双璧と言えようか。
なによりも目を奪うのは、美しい色彩と、謎めいた構図(事物の配置)である。そう、「謎めいた」..実際、何が描かれているのか、何が主題なのか、何かの隠喩なのか、判然としない。数百年にわたって多くの論者を悩ませており、20以上もの仮説がたてられているというが、決定打は、ない。誰もが、両側に居る人物たちに気を取られると思うが、X線調査によると人物は描き直されているらしく、つまり、最終段階で追加か変更された、ある意味では置換可能な、二義的な記号らしい..これもまた、仮説だが。
より本質的なのは、「風景」であろうか。L.ヴェントーリ曰く、「《嵐》においてわれわれは初めて、人物に付随する風景ではなく、風景に添えられた人物を持つことになった」..つまり、彼らは風景の一部なのだ。
ところで、「嵐」は、幻想美術なのであろうか? 幻想美術の定義は論者により様々であり、私はそのときどきで適当に採用している(か、でっち上げている)わけであるが(そしてこの「いい加減」な態度こそが、まさにとらえどころのない「幻想美術」に相応しいと信じているのだが)、意味の迷宮(あるいは袋小路)に誘い込まんとし、観るものの視覚と観念に眩暈を引き起こす、この美しいタブローは、紛うかたなき「幻想美術」なのであると、主張する。
目次へ戻る以下のリストからは、今週末の土日で片付ける予定の6件は、省いてある。
名古屋市美術館
「カラヴァッジョ展」
〜12月15日(日)まで
上野の森美術館
「ゴッホ展」
〜1月13日(月・祝)まで
松濤美術館
「サラ・ベルナールの世界展」
〜1月31日(金)まで
国立新美術館
「ブダペスト―ヨーロッパとハンガリーの美術400年」
〜3月16日(月)まで
東京都美術館
「ハマスホイとデンマーク絵画」
1月21日((火)〜3月26日(木)まで
森美術館
「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか」
〜3月29日(日)まで
ポーラ美術館
「シュルレアリスムと絵画 ―ダリ、エルンストと日本の「シュール」」
12月15日(日)〜4月5日(日)まで
カラヴァッジョ展は、来週末しかチャンスがない。行けるかどうかは、かなり微妙である。また、常設展としては、下記も気になっている。
森ビルデジタルアートミュージアム - teamLab Borderless
いつでも行けるので優先順位を上げられず、先送りし続けているのだが [_ _]、年内に行けるかなぁ..
目次へ戻る午後半休取得済み。昼食は三方原のはやたろうで、ラーメン。浜松北郵便局で、用件3件。いったん帰宅してから、大坂内科医院で月いちの健診。
浜松駅前へ。ビックカメラに寄って5mのHDMIケーブルを購入してから、アクトシティの中ホールへ。四季のコンサートである。
ラデク・バボラーク ホルンリサイタル
ピアノ:菊池洋子
ベートーヴェン/ホルンソナタ ヘ長調 Op.17
ブラームス/ロマンス Op.118-5 (ピアノソロ)
シューマン/幻想小曲集 Op.73
グリエール/小品集 Op.35より 間奏曲、悲しいワルツ、夜想曲、ロマンス
ヒンデミット/アルトホルンソナタ 変ホ長調
..ものの見事に馴染みのない曲たち [;^J^]。CDを持っているのは、ブラームスのロマンスぐらいのものではあるまいか。
演奏は達者で、ホルンの美しい響きを楽しめた。ベートーヴェンの曲調の伸びやかさ。シューマンも、悪くない。グリエールの小品では、間奏曲、夜想曲が印象に残った。ヒンデミットは..演奏は見事だと思ったが、そもそも曲が腑に落ちない。[;^.^]
アンコールは、
カントゥループ/ダンス
アムレル/ガヴォット
マルテッリ/ワルツ
..やはり、知らない曲ばかり [;^J^]。ガヴォットが一番、楽しかったかな。バスで帰宅した時刻は忘れた。
目次へ戻る神奈川県にて、合計54テラバイトのHDD流出事件。サーバーのHDD18個が、廃棄(リユース)業者の社員によって盗まれ、転売されたのだという。
サイズの大きさが衝撃を与えているようだが(例によって、「3Mバイトの添付ファイルがついたメールN通分」、とか、わかりやすいんだかわかりにくいんだかわからない説明付きで報道されているが..[;^J^](昔は、新聞紙面何面分、と翻訳していたものだが))、そこはあまり本質的ではない。
(ついでに書いておくと、「どういう組み合わせで転売されたのか」が問題。サーバーのHDDなら普通は RAID を組んでいるはずで、例えば RAID5 だと、バラで入手しても解読のしようが無いのだが..一括で落札されたとすると、話は別である。)
問題は、流出経路なのだ。いったいこれを、どうやって防ぐ?
目次へ戻る5:15に徒歩で発つ。まだ、夜である [;^.^]。浜松駅前のすき家で朝食。出た頃には曇天。
6:54のひかりで上京。8:27に上野に着いた頃には、僅かなポツ雨 [;^J^]。今日は夜まで、上野から一歩も出ないのだ。5分後、東京都美術館。開門1時間前。行列ゼロ [;^J^]。僅かな雨とはいえども、読書するためには傘が必須。常識的に考えれば、すぐ近くのスタバで30分程度、時間調整するところだが、ご存知のとおり、私は非常識でしてね [;^J^]。傘をさして読書開始。(ほどなく、私のあとに列は伸びました。)
10分程度早めに開門していただけた。開場時刻も多少前倒しして、9:25。「コートールド美術館展 魅惑の印象派」(〜12月15日(日)まで)である。何度も書いているとおり、印象派/ポスト印象派に対してあまりシンパシーを感じていない私ではあるが [;^J^]、好きな作品も、もちろんいろいろある。それが、かなりまとまって来ているのだ。
クロード・モネの「アンティーブ」(画像検索結果)は、日本美術だと騙されても納得してしまいそうである。ポール・セザンヌを積極的に好きだと思ったことはないが、「大きな松のあるサント=ヴィクトワール山」(画像検索結果)、「カード遊びをする人々」(画像検索結果)、「パイプをくわえた男」(画像検索結果)などに対しては、一定の感心はする(← ちょ〜上から。[;^.^])こうしてみると、リンゴをはじめとする「静物画」が嫌いである(というか良さがわからん)のかな、とも思えてきたが、そんなタイミングで、「キューピッドの石膏像のある静物」(画像検索結果)[;^.^][;^.^][;^.^]。何これ? デ・キリコじゃん。[;^.^][;^.^][;^.^]
ウジェーヌ・ブーダンの「ドーヴィル」(画像検索結果)、クロード・モネの「秋の効果、アルジャントゥイユ」(画像検索結果)は、まったく文句なしに素晴らしい風景画である! アンリ・ルソーもまた、比較的苦手な部類に属する人なのだが、「税関」(画像検索結果)は、いいと思う。もちろん、変だが。[^J^]
ピエール=オーギュスト・ルノワールの「春、シャトー」(画像検索結果)は、本展での収穫のひとつ。私が一番好きなタイプの風景画(というか「植生画」)のひとつ。同じくルノワールの「桟敷席」(画像検索結果)とエドガー・ドガの「舞台上の二人の踊り子」(画像検索結果)、アメディオ・モディリアーニの「裸婦」(画像検索結果)は、半世紀来の付き合いになる。少年時代の追憶の中で、壁にかかっている絵たちである。オノレ・ドーミエの「ドン・キホーテとサンチョ・パンサ」(画像検索結果)は、未完成品だと思うのだが、却って不気味な迫力が醸し出されている。
そして、エドゥアール・マネだ! 「草上の昼食」(画像検索結果)は、オルセー美術の有名な作品の習作なのかな? 筆致は粗いが、こちらの方がマネらしくも思えてしまう。そしてなんといっても、「フォリー=ベルジェールのバー」(画像検索結果)!! 私は、これを観に来たのだ! 贅言不要であるが..意志力を感じさせながらも、どこか虚ろな瞳..シャンパンの金紙とオレンジのテカリの質感が、ヤバい..ヤバ過ぎる..
11:05に展覧会場を退出。館内のレストランでカレーを食し、11:50、国立科学博物館へ。「特別展 ミイラ 「永遠の命」を求めて」(〜2月24日(月・休)まで)である。
これは、好きずきがあるからな..[;^J^] 一概に「お薦め」とは言えないが、一見の価値はあると思いますよ。とにかく43体も来ており、「南北アメリカ」「古代エジプト」「ヨーロッパ」「オセアニアと東アジア」、と、さまざまなパターンを包括的にカバーしているのである。知識の整理と勉強になった。
13:50に会場を出たところで、Y君と出くわし、ちょっと立ち話。特に同行することもなく [;^J^]、別行動。13:55、同じく科博内の(別の棟の会場の)「電子楽器100年展」(〜12月15日(日)まで)へ。
あなたがこれを読んでいる頃には終わっているわけだが..今回私が観たのは「電子楽器テーマ展示“セネステシア”」と「企画展示“電子楽器の偉人たち”」のみであり、これだけではこの展覧会の全貌がわからない。正直言って、この2つだけではかなり小規模で、さっくりと見終えてしまうのであるが、ほかに、「電子楽器プレシャス・コンサート」「電子楽器の体験セミナー」「「オサムとムサシ」上映会&スペシャル・トークセッション」「電子楽器セミナー」から構成されているのだ。これらはタイミングがあわなかった。[_ _]
時間が余り気味なので、東京国立博物館へ。「人、神、自然−ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界−」(〜2月9日(日)まで)である。
ワンフロア(厳密には2部屋)の展示であり、特に順路もなく、ほどほどの人混みなので、ある意味「理想的な」観覧方法を取った。つまり、周囲を見渡してすいている展示を、適当に(アトランダムに)拾い見していくのである。「女性像「スターゲイザー」」(画像検索結果)、「精霊像「スカーフェイス」」(画像検索結果)が、とりわけ感興深かった。
14:50に退出。本日最後のターゲット、国立西洋美術館へ。「ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史」(〜1月26日(日)まで)である。これがもう、大変な展覧会でさぁ..[;_ _] 内容もりもり。[;^J^]
「1.ハプスブルク家のコレクションの始まり」では、なんといっても美しい甲冑類。360度全方向から観られるのがいい。その構造とデザインは、合理的でもあり、非合理な部分もあり..
「2.ルドルフ2世とプラハの宮廷」では、バルトロメウス・スプランゲルの「オデュッセウスとキルケ」が画像検索できなかったが、アルブレヒト・デューラーの有名すぎる銅版画、「アダムとエヴァ」(画像検索結果)と、「騎士と死と悪魔」(画像検索結果)。これらはもう、何回観たことか、推測することも難しいが..作者不詳のフォークとスプーン(水晶製)も、面白い。
「3.コレクションの黄金時代:17世紀における偉大な収集」こそが、この浩瀚(こうかん)な(← 用法、ちょっとおかしいかも)な展覧会の、根幹である。とにもかくにも、まずは、ディエゴ・ベラスケス。「宿屋のふたりの男と少女」(画像検索結果)もいいが、メイン・ビジュアルの、「青いドレスの王女マルガリータ・テレサ」(画像検索結果)!! 弟子にあたるファン・バウティスタ・マルティネス・デル・マーソによるレプリカ、「緑のドレスの王女マルガリータ・テレサ」(画像検索結果)と比較すると、その凄さがよくわかる。後者もそう悪くはないのだが、スカートの質感がまったく違うのだ。ベラスケスのスカートは、ビロードの手触りすら伝わってくる驚異の描写なのだが、現物に近づいてみると、唖然とする。何が描かれているのかすらわからないほどの「粗くて、雑な(としか思えない)」筆遣いなのだ。なのに、数メートル離れると、見事なビロードと化す..まさに魔法である。
フランス・ライクスの「オーストリア大公フェルディナント・カールの肖像」(画像検索結果)は、色彩(オレンジ色)が印象的。チェザーレ・ダンディーニの「クレオパトラ」(画像検索結果)。ティツィアーノ・ヴェチェッリオの「ベネデット・ヴァルキの肖像」(画像検索結果)は、表情がいい。ヴェロネーゼの「ホロフェルネスの首を持つユディト」(画像検索結果)は、ほかの「ユディト」作品が検索されてるかも知れないなぁ。
バルトロメオ・マンフレーディの「キリスト捕縛」(画像検索結果)の、カラヴァッジョ風の劇的な光線。ゲオルク・ペンツの「バレットをかぶり髭を生やした男性の肖像」(画像検索結果)も、味がある。ヤン・ブリューゲル(父)の「堕罪の場面のある楽園の風景」(画像検索結果)、ルーラント・サーフェリーの「樵のいる山岳風景」(画像検索結果)は、別の展覧会で観ているような気がする。(後者は、別の作品が検索されてるかも。)
ペーテル・パウル・ルーベンス工房の「ユピテルとメルクリウスを歓待するフィレモンとバウキス」(画像検索結果)。ダーフィット・テニールス(子)の「村の縁日」、フランス・ハルスの「男性の肖像画」、レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レインの「使途パウロ」、ヤーコブ・ファン・ロイスダールの「滝のある山岳風景」あたりも素晴らしいのだが、検索で絞り込めない。ヤン・ステーンの「騙された花婿」(画像検索結果)は、やはりいい。[^.^]
「4.18世紀におけるハプスブルク家と帝室ギャラリー」からは、どなたもご存知の肖像画を2点、ご紹介。マルティン・ファン・メイテンス(子)の「皇妃マリア・テレジアの肖像」(画像検索結果)と、マリー・ルイーズ・エリザベト・ヴィジェ=ルブランの「フランス王妃マリー・アントワネットの肖像」(画像検索結果)。カルロ・ドルチの「聖母子」(画像検索結果)も、定型っちゃー定型なのだが、印象的。
そして最終章、「5.フランツ・ヨーゼフ1世の長き治世とオーストリア=ハンガリー二重帝国の終焉」を、このお二方でしめましょう。ヴィクトール・シュタウファーの「オーストリア=ハンガリー二重帝国皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の肖像」(画像検索結果)、ヨーゼフ・ホラチェクの「薄い青のドレスの皇妃エリザベト」(画像検索結果)。お薦めですよ、この展覧会。[^J^]
17:00に出たが..今日1日で、4つの美術館で5つの展覧会をハシゴしたわけだ。上野でなかりせば、ほとんど不可能な荒行ではあった。[;^.^]
横浜へ。18:35、鶴ヶ峰の家の直近の「わたりどり」。ウィスキーを飲みつつ読書しつつ、晩飯。21:00に出て、5分後に鶴ヶ峰の家。
目次へ戻る快晴。寒い。7:01のバスで鶴ヶ峰の家を発つ。鶴ヶ峰駅前の松屋で朝食。八王子へ。駅前からバスで15分..
東京富士美術館に、8:55に着いてしまった [;_ _]。開館時刻は10:00である [;^.^]。周辺には、ひと休みできる喫茶店もない [;^.^]。どうして私には、八王子駅前で時間調整するという知恵がないのだ。[;_ _][;^.^]
20人程度集まってきたからか(行列にはならず、扉の前の広場でたむろしているのだが [;^J^])、9:35には開場していただけた。ありがたいが..よく言えばフレキシブル、わるく言えばいい加減である。[;^.^]
「フランス絵画の精華 ー大様式の形成と変容」(〜1月19日(日)まで)である。まず、「第1章 大様式の形成、17 世紀: プッサン、ル・ブラン、王立美術アカデミー」。
左から、ニコラ・プッサンの「コリオラヌスに哀訴する妻と母」、クロード・ロランの「笛を吹く男のいる風景」、おなじく「ペルセウスと珊瑚の起源」。最初にお断りしておくが、図録の造本がごつくて、スキャン時に十分に押さえつけられず、画像の左からしばしば光が入ってしまっているのだが、ご勘弁。[_ _]
それはさておき、やはり、クロード・ロランは、素晴らしい。問答無用の素晴らしさである。
左は、ローラン・ド・ラ・イールの「笛を吹く男のいる風景」。右の、ウスタシュ・ル・シュウールの「病人たちをいやす聖ルイ」は、落ち着いた色彩が、いい。
「第2章 ヴァトーとロココ美術 ─ 新しい様式の創出と感情の表現」。
左は、イアサント・リゴーの「自画像」。素晴らしい表情だが..しかし、画家の、こんなドヤ顔の自画像をわざわざ金を払って買ってきて、自宅に備え付けようというのは、どういう神経の持ち主なのか(そこまで言うか。[;^.^])
右の、アントワーヌ・コワペルの「イダ山のユピテルとユノ」では、孔雀が宙を舞っているのが、やや珍しい。測ったような三角構図に、なぜかうろたえてしまう。[;^J^]
左は、ジャン=アントワーヌ・ヴァトーの「ヴェネチアの宴」。彼の雅宴画の代表作とされている、この展覧会のメインビジュアルなのだが..確かに悪くはないと思うが、この構図、少し落ち着かなくない? 先ほどの「イダ山のユピテルとユノ」にもその気があるのだが、正中線が目立ちすぎると思う。(← なんと、ヴァトーにダメだしをしております。[;^.^])右の、フランソワ・ブーシェの「田園の気晴らし」は、いっけん、なんということもない作品のようだが、色彩の配置のバランスが完璧。いつまでも観ていられる。
ここから風景画を何点か。まずは、海。左は、クロード=ジョゼフ・ヴェルネの「海、日没」。右は、ジャン=バチスト・ピルマンの「岩の多い海岸の難破船」。
そして、「廃墟のロベール」登場! いずれもユベール・ロベール作品で、左は「カンピドリオの丘の空想的景観」、右は「洗濯屋」。彼の廃墟図の多くには、卑近な人々の日常生活が描き込まれている。
エリザベト=ルイーズ・ヴィジェ・ルブランの絶品を、2点。左は、「ポリニャック公爵夫人、ガブリエル・ヨランド・クロード・マルチーヌ・ド・ポラストロン」。右は、「クリュソル・フロランサック男爵夫人、アンヌ=マリ・ジョゼフィーヌ・ガブリエル・ベルナール・ド・ブーランヴィリエ」。
マリー・アントワネットのお気に入りだったこの女流画家の人気の理由は、この2点からも、はっきりとわかる。とにかく、女性を「盛って」描くのが、抜群に上手いのである。この2人の写真を見たわけではないが、「実物よりも美しく描かれているのだろう」、と、想像できてしまうし、「しかし、実物から遊離せず、本人の個性を完璧に再現しつつ美しさを増量しているのだろう」、とも、確信できてしまう。同時代の女性たちは、ヴィジェ・ルブランに肖像画を描いて欲しかったに決まってる。
「第3章 ナポレオンの遺産 ─ 伝統への挑戦と近代美術の創出」からは、まず、アンヌ=ルイ・ジロデ=トリオゾンの「シャトーブリアンの肖像」。ロマン派の小説家の見事な肖像。右の、ジョゼフ=デジレ・クールの「ジェルマンがいないあいだ気を紛らわすリゴレット」も、あまりの美しさに溜息がでる。
ちょっと納得が行かなかった [;^J^] のが、左、ウジェーヌ・ドラクロワの「書斎のドン・キホーテ」である。ここまで展覧会を観てきて、「ドラクロワは、何が来てるんだろう?」、と、ウキウキドキドキしていたのだが..ほぼ最後の部屋のこの作品には、やや拍子抜け [;_ _]。若き日の小品である。まぁ、悪くはありませんけどね [;^J^]。右は、アレクサンドル・カバネルの「失楽園」。
ヌード絵画の逸品も来ているので、最後に、目の保養をお届けする [^J^]。左から、ウィリアム・ブグローの「バッカント」、同じく「青春とアモル」、ポール・ボドリーの「ウェヌスの化粧」である。いーでしょ、いーでしょ。[^J^](「バッカントは、まるで山羊と獣●におよぶ直前であるかのごとくである」とか、そういうことは、いちいち口にしなくていいから。[^.^])
11:25に退出。暖かい。芦花公園に向かい、着いたのが12:51。この街は、食事できる場所が少ない。エスニック系のレストランで、カレー。13:25、世田谷文学館。「小松左京展―D計画―」(〜12月22日(日)まで)である。
タイトルから明らかであるように、「日本沈没」(及び、デビューから「日本沈没」までの道程)にフォーカスした内容。あとは、万博が少々。この割り切りは、見事である。実際、彼の仕事(業績)を幅広く概観しようとしたが最後、主要作ごとに内容紹介のパネル1枚、それを、ズラーーっと並べるだけで手一杯になってしまう。
メリハリのきいた内容でお薦めできるが、あなたがこれを読んでからかけつける時間があるかどうか..[_ _]
15:15に退館。芦花公園を15:29に発ち、品川を16:34に出るこだまで、浜松に18:20。ビックカメラで髭剃りを買って、19:05、帰宅。
ツイッターで、星敬が亡くなっていたことを知った。享年63歳。若すぎる..合掌..
目次へ戻る 先週へ 次週へLast Updated: Dec 14 2019
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