2018年06月11日:幻想美術選「夏の四時に、希望…」イヴ・タンギー 2018年06月12日:7月の展覧会観覧予定 2018年06月13日:人間ドック 2018 初日 2018年06月14日:人間ドック 2018 二日目 2018年06月15日:「複製技術時代の芸術」 2018年06月16日:浮世絵モダーン/江戸の悪/夢二繚乱 2018年06月17日:みなとみらいのホテルで会食目次へ戻る 先週へ 次週へ
「幻想美術選」、第119回。この、私が溺愛してやまないシュルレアリストは、2回目の登場。
「第40回:岩の窓のある宮殿」で説明したように、タンギーの作風は、1920年代の「浮遊期」、1930年代の「着底期」、1940年代の「建築期」、1950年代の「増殖期」と、整然と「進化」していくのだが、この「夏の四時に、希望…」は、「浮遊期」の代表作である。
大地か、海か。空か、砂漠か、海底か。そもそもここは地球か、異星か。あるいは宇宙のどこにも存在せぬ、異空間なのか。浮遊しているのは、生物か、無機物か。何かの思念の断片か..
シュルレアリスムだの幻想美術だのと分類(研究)することすら的はずれと痛感せざるを得ない、まったく純粋な、絵筆の夢..
目次へ戻る余裕綽々(しゃくしゃく)のスケジュールに見えるかもしれないが、7月(と8月)の週末の日程は、すでに相当埋まっているので、実はあまり余裕がない。何か飛び込んでくると危ない。
山種美術館
「琳派 ―俵屋宗達から田中一光へ―」
後期:〜7月8日(日)まで
東京都美術館
「プーシキン美術館展―旅するフランス風景画」
〜7月8日(日)まで
上野の森美術館
「ミラクル エッシャー展」
〜7月29日(日)まで
太田記念美術館
「江戸の悪 PARTU」
後期:6月30日(土)〜7月29日(日)まで
大田区立龍子記念館
「名作展 ベストセレクション 龍子記念館の逸品」
〜8月26日(日)まで
国立新美術館
「ルーヴル美術館展 肖像芸術――人は人をどう表現してきたか」
〜9月3日(月)まで
弥生美術館
「文豪・泉鏡花×球体関節人形」
7月1日(日)〜9月24日(月・祝)まで
ポーラ美術館
「ルドン ひらかれた夢ー幻想の世紀末から現代へ」
7月22日(日)〜12月2日(日)まで
大田区立龍子記念館が、一番クリティカル..主要作は、昨年、「没後50年記念 川端龍子」(山種美術館)で観ているので、最悪、スキップするかもしれない..
目次へ戻る今年の人間ドックは、お泊りである。(大腸カメラを追加すると、自動的にこうなる。)三方原の聖隷予防検診センター。受け付けは8:30からだが、例によって、必要以上に早くついて、読書..
..「定本 夢野久作全集 4」。「ドグラ・マグラ」である。これを通読するのは(「日本探偵小説全集」(創元推理文庫)と、「夢野久作全集」(ちくま文庫)で読んでいるので)3回目になるかな。もう1回ぐらい、どこかで読んでいるかもしれないな。なんにせよ、3(または4)回目であるから、内容はわかっている。ポイントの確認をするのみで、ちゃっちゃかちゃっちゃっちゃー、と、片付けるつもりだったのだが..オチを先に言ってしまうが [;^J^]「ドグラ・マグラ」をちゃっちゃかちゃっちゃっちゃー、と、片付けることなどできようはずがなく [;_ _][;^.^]、結局、翌早朝までかかって精読する羽目になってしまったのだった。[;^J^]
胃カメラ。私は経口主義者なのだが、医者によると、こういう人は珍しい、ほとんどの人は、経鼻挿入だとのこと [;^J^]。ま、理由はわかりますけどね。私は昔は(40年ほど以前の、学生時代のことだが)鼻の粘膜が弱く、すぐに鼻血を出していた。少しつよく鼻をかむと、たちまち流血の大惨事と相成るので、外出先では鼻を(そっと)かむのもためらっていた..いつから体質が変わったのか、もう数十年来、そんなこともさっぱりなくなってしまっているのだが、トラウマというのは、たやすく消えるものではない。鼻から管を挿し込むなど、想像するだに恐怖なのである..[;_ _][;_ _][;_ _]
結果、胃は、羨ましいほど若々しくて綺麗、とのこと。(「表層性胃炎」がわずかにみられるとの所見だが、この「胃炎」というのは昔の命名であって、要は「充血」。胃炎というほどのものではないらしい。)胃がんになる確率は、極めて低いとのお墨付きをいただいた [^J^]。ただ、綺麗というのは、胃酸が健全に働いているから。逆流性食道炎になりやすい傾向は、あるとのこと。了解。(自慢のために、綺麗な内臓写真を6枚ほど、1200×1200ピクセルで貼り付けてやろうかと思ったけど、勘弁しといたるわ。[^.^])
一日目の検査は大過なく終わり、あとは就寝時刻まで、ひたすら「ドグラ・マグラ」..[;^J^]
目次へ戻る早朝、「ドグラ・マグラ」の3(4?)回目の通読を完了。やはり良いな、これ。以前とはまた少し印象が異なり、縁起物の部分が、特に面白かった。(毎回なにかしら印象が違うというのも、名作である所以(ゆえん)のひとつ。)
二日目は、大腸カメラ(およびその準備段階の腸内洗浄)がメインだが、ほかの検査も多少さしはさまれる。結果は、問題なし。ただし、ごく小さな(ほぼ確実に良性の)ポリープが複数みつかったので、生検された。これによって、「2〜3日は飲酒禁止」[;_ _]。これが、大腸カメラ検査の、最大のリスクなのである..[;_ _][;_ _][;_ _]
それをのぞけば [;^.^]、今年も、無事に終了である。[^J^]
目次へ戻る帰途、不足気味の衣料を若干購入。帰宅する頃には大雨となった。この週末、上京するのだが、明日明後日は、さほどの降りにはならないという予報である。外すなよ..[;^.^][;^.^][;^.^]凸
「複製技術時代の芸術」(ベンヤミン、佐々木 基一・他訳、晶文社クラシックス)読了。感想をまとめている時間が無いので、抜き書きでお茶を濁しておく。[_ _]
「絵画はつねに、ひとりないし少人数による鑑賞を要求してきた。多くの観客による絵画の同時的鑑賞も19世紀になっておこなわれるようになったが、これは、絵画の危機の先ぶれにすぎなかった。絵画の危機は、単に写真によってのみひきおこされたものではない。写真とは比較的無関係に、芸術作品が大衆を求めはじめたことからひきおこされたのである」(「複製技術の時代における芸術作品」37頁)。
「1830年の流派の指導者のほとんどすべてが同じような体質、同じような生産性、および大規模なものへむかう同じような傾向をもっていた。ドラクロワはカンヴァスに叙事詩を描いた。バルザックはある社会全体を描写した。デュマはその小説の中で四千人の人間を取り扱った。彼らはすべて、どんなに重い荷物も重すぎるということのない肩をもっている」(ドゥリュモン)(「エードゥアルト・フックス――収集家と歴史家」118頁)..「大規模」というキーワードと「時代」「国」「ロマン派」の一致から、これはベルリオーズもだな、と、早とちりしそうになるが、まぁ待て [;^J^]。ベルリオーズの「大規模さ」は、ドラクロワはともかく、バルザックやデュマの(ここでいう)「大規模さ」とは、少し異なる..しかしよく考えてみると、その意味では、音楽界には、「バルザック」「デュマ」に相当する作曲家はいないな..ヴァーグナー? 違うちがう。まだしもヴェルディの方が近いか..ここでベートーヴェンを引っぱり出してくるのは反則。それは、マンガのこのような話題で、常に手塚治虫を召喚するのと同じ。(いささか脱線いたしました。[;_ _][;^J^])
「芸術史を大家の名前という物神から解放する道をきり開いたことこそ、歴史的にいって、フックスの最大の功績と見なされるだろう」(「同」133頁)。「大衆芸術の研究は必然的に芸術の複製技術の問題に通ずる」(「同」134頁)。「カリカチュアは大衆芸術であり、また風俗画でもあった。この性格は従来の美術史にとっては、面目をつぶすような、それだけでもういかがわしい性格を意味するものだった」(「同」135頁)..などなど。
目次へ戻る早朝、僅かにポツリと来るには来るが、降っていない。長傘は荷物になるので、折り畳み傘にする。ひかりで新横浜へ。さらに横浜線で町田へ。どうやらこの町では、雨が上がったばかりのようである。寒い。
9:35、町田市立国際版画美術館についたが、開館は10:00。しばらく、DCレンズで遊ぶ。
「浮世絵モダーン 深水の美人! 巴水の風景! そして ・・・」(後期:〜6月17日(日)まで)である。前期との差分の確認が中心である。[_ _]
山川秀峰の「婦女四題 秋」(画像検索結果)の表情。石川寅治の「裸女十種 朝」(画像検索結果)の美しさ。チャールズ・バートレットの「横浜磯子」(画像検索結果)。伊東深水の「近江八景 石山寺」(画像検索結果)も、味わい深い。
川瀬巴水からは、いずれも馴染みの3点、「旅みやげ第二集 小千谷旭橋」(画像検索結果)、「東京二十景 神田明神境内」(画像検索結果)、「日本風景集 東日本篇 平泉中尊寺金色堂」(画像検索結果)を挙げておく。土屋光逸の「東京風景 四ツ谷荒木横町」(画像検索結果)と、「東京風景 品川沖」(画像検索結果)。上村松園の「大近松全集 第12巻 「雪女五枚羽子板」の雪女」(画像検索結果)も、素敵である。
10:45に発つ。少し早めの昼食時刻だが、どうせなら昼飲み [^.^] というわけで、町田駅近くの「いち五郎」という店に入ってみる。餃子をフィーチャーしている店。(くどいようだが、フューチャーじゃないよ、フィーチャーだよ。みんな、たまには辞書を引こうね。「ディスクトップパソコン」も同断。)
極み餃子(5個)、もつ煮込み、ホタルイカ。ハイボール、ワインなみなみ(試しに注文してみたら、本当に、表面張力の限界まで入れてくれた [;^.^])。これで1900円なのだから、廉い。12:00過ぎに発つ。
12:55、太田記念美術館。「江戸の悪 PARTU」(前期:〜6月27日(水)まで)である。
月岡芳年の「英名二十八衆句 妲妃の於百」(画像検索結果)と「和漢百物語 清姫」(画像検索結果)、歌川国芳の「浅茅原一ツ家之図」(画像検索結果)と「清盛入道布引滝遊覧悪源太義平霊討難波次郎」(画像検索結果)は、いずれも名高い傑作。「妲妃の於百」を見て水木しげるの引用作品がわからないようでは、修行が足りんぞ [^.^]。「清盛入道布引滝遊覧悪源太義平霊討難波次郎」(長すぎる)のド迫力たるや、半端ない!
歌川芳艶の「破奇術頼光袴垂為搦」(画像検索結果)も、改めて、凄いものである。落合芳幾の「英名二十八衆句 佐野治郎左エ門」(画像検索結果)は、この展覧会のメインビジュアルのひとつ。他、うまく画像検索できなかったが、歌川芳虎の「安達元右衛門 三代目 大谷友右衛門 楽猿」、豊原国周の「入鹿大臣 大谷友右衛門」、豊原国周の「明治座新狂言 摂州布引瀧之場」など。全点展示替えになる後期も楽しみだ。[^J^]
14:10に発つ。14:50、東京ステーションギャラリー。「千代田区×東京ステーションギャラリー「夢二繚乱」」(〜7月1日(日)まで)である。
「竹久夢二美術館」にもちょいちょい足を運んでいるし、大体どのような展覧会であるかは、想像ついているつもりだったのだが..とてもよい意味で裏切られた [^J^]。これは、ある程度すれた(とくに挿画寄りの)夢二ファンにこそ、お薦め。
多くの初期作品(習作)。極めて多数の、絵葉書/千代紙/半襟のデザイン。(その、モダンなセンス!)書籍の装丁。極めて多数の、セノオ楽譜の「ジャケット」。そして何より圧巻なのが、自伝小説「出帆」の挿画原画全134点!(「年表」に差し挟まれて、時系列に展示されているのだ!)会期は残り僅か! お見逃し無く!
16:30に発つ。17:30、横浜・鶴ヶ峰に着いた時点で、ついに雨。ここまで、ぎりぎり降られずにきたんだけどな..まぁいい。バスで実家へ。荷物をおいて、徒歩3分の「わたりどり」で夕食(というか早めの晩酌)。20:00に出て、実家に戻る。たいした雨ではないのは助かった。
目次へ戻る実家の中の片づけや修理を多少してから、みなとみらいへ。ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテルに着いたのは、11:00少し前。予定は12:00なのだが、例によって早め早めにね。[;^J^]
親戚の慶事。会食である。30Fのレストランはなかなかよい貸切部屋が取られていて、陸側も海側も一望できる。夜景は綺麗なんだろうな。
食事もたいそう美味しかったのだが、一応、突っ込むだけ突っ込んでおくと [^.^]、「目の前で仕上げる国産牛ロース肉のパピヨット 熟成卵黄ソース添え」は、要するに「すきやきの具」であった。[^.^]
新横浜からひかりで浜松へ。時刻は忘れた。[;^J^]
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