*2014年08月18日:荒む..
*2014年08月19日:むせる..
*2014年08月20日:「チョッキン」完全版
*2014年08月21日:中華街の想い出
*2014年08月22日:原宿で浮世絵/六本木でライブ
*2014年08月23日:國立故宮博物院展/ボヘミアン・グラス展/ジャポニスム展
*2014年08月24日:モンスターを探せ!!展/幻獣神話展
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*2014年08月18日:荒む..


 (あらかじめ注意:今週の日記は後半の作業(画像検索へのリンク張りとかスキャンとか)が非常に重いので、相対的に前半が軽く(テキスト量が少なく)なっている。これは手抜きではなく作業量の最適配分に過ぎないので、誤解するなよ。[^.^][;^.^])

 自宅ではJISカナ入力しているのだが、最近はタイプミスが多くてね..指先の衰えというよりは、集中力が落ちてきているのだと思う。やれやれ..「ホテル」とタイプ/変換したはずなのに、「屠る(ほふる)」では..[;_ _] いちいち余計な想いを馳せてしまい..[;^.^]

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*2014年08月19日:むせる..


 数年前から、むせやすくなった。これは気のせいではなく、確実に..

 本来、食道に行くべき固体/液体が、気管に入ってしまうのである。コントロールを失ってしまうことがあるのだ。残念ながら、「老い」の証拠なのである..[_ _]

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*2014年08月20日:「チョッキン」完全版


 いまだに文章入力のメイン環境として使っているLIB100の「r」のキーが、微妙に入りにくくなっている。“いんぐりもんぐり”したら治ったようだが、ぼちぼち寿命かなぁ..

 「復刊ドットコム」からのインフォメール。吾妻ひでおの「チョッキン」の完全版が、10月から12月にかけて、全3巻で出るとのこと。予約しなくては。(「チョッキン」には、単行本未収録エピソードが、9編も残っている。むろん全て、図書館でのコピー、あるいはどこの図書館にも初出誌が無い場合は、古書市場で何年も(ときには10年以上も)かけて入手ずみではあるが、やはり万人に読める形(単行本)になるのが望ましい。)

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*2014年08月21日:中華街の想い出


 横浜の中華街には、特別な想いがある。私が横浜で生活していたのは、おおむね13歳から19歳までの時分だが、中華街にはほとんどの場合、家族で食事に行ったはずである。年に数回だったかな..月いちの頻度ではなかったと思うが..(友人たちと散策に行ったことが、もしかしたらあるかも知れないが。)それは恐らく中学生時代、つまり、高々15歳ぐらいまでの頃のことであったはずである。

 実は、食事(料理)のことは少ししか憶えていないのだ。(当時はピータンを食えなかったこととか、いくつか鮮明な記憶はありますけどね。[;^J^])憶えているのは、食後に寄った「土産物屋」の店内の情景である。まさに「異国」であった。今から思えば、高価なものから安物まで玉石混交だったに違いないが、主として鉱物質の飾り物を中心とするエキゾチックな文物は、当時の私の目にはいずれも煌めいて見えた。はるけき異国への憧れをかきたてられた..

 「こんなものばかり売っている街は、なんて素敵なんだろう..!」、と、本気で思った。土産物屋だけでは生活ができない、ということにまでは、思い至らなかったのである。[;^J^](少なくとも、本屋と、スーパーと、生鮮食品店と、カジュアルな服飾店ぐらいはないとね..(← 本屋が最初で服屋が最後なあたりが、もう。[;^.^]))思えば、母の実家がある三重の鳥羽が、やはりこんな街であった。最近はどうだか知らないが、幼少期に訪れた鳥羽の町は、真珠の土産物屋ばっかり。確かにそれらは夢のように美しかったが、しかしそれだけでは、生活ができないはず..

 よく、南青山とか表参道とか、東京でも指折りの「おされ」な「タウン」の人たちが、「この街の本当の良さは、観光地である以前に生活の街である(生活のインフラが完備している)ことです(それは住んでみないとわからないことです(← 暗に))」..とかゆってるが、なんか、むかつく..[;^.^]凸

 「チョッキン」完全版続報。予約が順調に集まれば、「ちびママちゃん」の完全版も出せるかも、とのこと。いますぐ、予約しなくては!(あんたのことだよ、これを読んでる。◎[^.^])(「ちびママちゃん」には、単行本未収録エピソードが、7編も残っている。むろん全て、図書館でのコピー、あるいはどこの図書館にも初出誌が無い場合は、古書市場で何年も(ときには10年以上も)かけて入手ずみではあるが、やはり万人に読める形(単行本)になるのが望ましい。(← コピペである。[;^J^]))

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*2014年08月22日:原宿で浮世絵/六本木でライブ


 午後半休。大急ぎで(でももちろん安全運転で)帰宅し、クリーニング出ししてから、12:13に出発。快晴。暑い! 駅そばのコンビニで金を下ろし、浜松駅構内の遠州濱乃屋で昼食(三色丼)。13:11のひかりで上京。大忙しの週末のスタートである。

 15:00、太田記念美術館。「特別展「江戸妖怪大図鑑」第2部【幽霊】」である。第1部は先月観ている。第3部は来月。

 第1部を観たときもこの日記に書いたと思うが、このあたりの浮世絵は大概観てるはず..などと、舐めてかかってると足元をすくわれる。たとえば入ってすぐ、特別展示というか特別扱いという位置づけで、葛飾北斎の「百物語」から5枚展示されているのだが、こんな有名作品は当然全部知ってるさ、と、鼻で笑っていたら、「お岩さん」画像検索結果)、「さらやしき」画像検索結果)、「こはだ小平二」画像検索結果、上目づかいの方)、「笑ひはんにゃ」画像検索結果、赤子の首が凄い)、までは先刻承知だったのだが、「しうねん」画像検索結果)には見覚えがなかった [;^J^]。自宅の画集を漁れば出てくる可能性はあるが、記憶に残っていなかったなぁ..不覚。[;_ _][;^.^]

 歌川国貞の「見立三十六歌撰之内 藤原敏行朝臣 累の亡魂」は、画像検索できなかったのだが、「秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる」を(その方向で [;^.^])絵解きした、べったべたな作品。大衆文化の真髄とは、こういうものである。

 これもうまく画像検索できなかったのだが、歌川国芳の「八代目市川団十郎の神谷似右衛門 四代目市川小団次のおいわ/小平ぼうこん」などの「仕掛絵」。戸板返し(など)を見せる工夫であり、絵の一部がパタパタ動く。まるで昔の雑誌の付録みたいなキッチュさが嬉しい..というか前後関係が逆で、これらの大伝統を受け継いでいたわけだ。こういうのを、地に足の着いた「クールジャパン」と言う。

 豊原国周の「歌舞伎座中満久 皿屋敷化粧姿鏡」画像検索結果)の、縦3枚続きの迫力。歌川国芳の「百人一首之内 崇徳院」画像検索結果)は、昔から好きな作品。魔界に身を堕とした天皇の凄味。歌川芳艶の「為朝誉十傑 白縫姫 崇徳院」画像検索結果)も、崇徳院(多分、日本絵画(というか文化)史上、最大のダークヒーローのひとり)を描くが、荒波、黒雲、ビームのごとき雷乱射、と、こんにちの劇画表現とまったく遜色無いレベルの華麗な画面! 歌川芳房の「清盛布引滝遊覧義平霊難波討図」画像検索結果)も、超ビーム![^.^] 歌川国芳の「大物浦平家の亡霊」画像検索結果)の亡霊群は、凄い。遥か海上をゆく、黒い影たち..歌川芳員の「大物浦難風之図」画像検索結果)は、波の表現に見応えかある..というか、あなた、どこかでこの波、観たことない?[^.^]

 最後に、月岡芳年の作品をまとめて紹介しよう。「平清盛炎焼病之図」画像検索結果)の素晴らしさ! 苦しみ悶える清盛と、背後の人々(および魔物)のむしろ静謐な表情との対比! 「新形三十六怪撰 清盛福原に数百の人頭を見る図」画像検索結果)..アヒルかよ [;^.^]。「つきの百姿 大物海上月 弁慶」画像検索結果)も、いい。「和漢百物語 清姫」画像検索結果)も昔から好きな、有名な作品。この姿勢が恐いのだ。まさに大蛇に変身する直前の..「芳年戯画 応挙の画霊 雪舟活画」は、残念ながら画像検索できなかったのだが、(幽霊画で有名な)応挙が亡霊図を描いていたら、そのあまりのリアルさに絵の中から亡霊が飛び出してきてしまって応挙、驚愕、という..漫画かよ [;^.^]。「月百姿 源氏夕顔巻」画像検索結果)は、ひたすら、美しい..

 この美術館(で開催される展覧会のホームページ)の問題点は、出品作リスト(PDF)を掲載してくれるのはいいのだが、印刷物をスキャンしたものを貼り付けているだけなので、そこからコピペできないのである。私がいつも(今回も)やってるような、各作品の画像を検索して紹介したりコメントをつけたりするとき、いちいち手打ちしなくてはならないので、もんの凄く、手間なのである。[;_ _](まったく、手打ちしたいぐらいのものである..← すみません、読まなかったことにしてください。[;_ _][;_ _][;_ _][;^.^])そうでなくとも浮世絵は、作者名、作品名とも面倒な漢字を使っていることが多いばかりでなく、めったやたらとタイトルが長いことが珍しくなく(あまりの長さに心が折れて、今回、言及しなかった作品もいくつかある始末で)..[;_ _][;^.^]凸

 16:20退出。六本木へ。Super Deluxe の会場を確認してから(地下鉄日比谷線の出口から徒歩5分、六本木ヒルズの足元である)、時間調整のために六本木ヒルズへ。ここでは展覧会をふたつ開催中で、寄る時間はあるっちゃーあるのだが、そのうちひとつは先日観た「特別展 ガウディ×井上雄彦 - シンクロする創造の源泉 -」だし、もうひとつにもさほど興味は惹かれなかったので、ここは当然、パスして飲み食いだ。

 17:20、「Domi Kosugi」という店に腰を落ち着け、まずは自家製サングリアで渇きを癒す。美味い! ゴルゴンゾーラチーズ、自家製ドミグラスソースのハンバーグステーキが、特に美味。19:00近くまで読書しつつビールをおかわりしつつゴロゴロと。これで私も、どこに出しても恥ずかしくないヒルズ族というわけだ(← 違うよ。[;^.^])

 19:00に改めて Super Deluxe に出向き、19:30の開場を待つ。モルゴーア・クァルテットの「原子心母の危機 Atom Heart Mother is on the edge −モルゴーア・クァルテット スペシャル・プログレLIVE in Super Deluxe−」である。もちろん、クラシックの弦楽四重奏団であるから、普段はコンサートホールでの定演の中に、こっそりと [;^.^] プログレを混ぜたりするらしいが、年に数回、こういうライブハウスでプログレのみのライブもするらしい。

 19:30から入場を始めるが、とにかく手際が悪い(というか時間がかかっている)。20:00開演予定を15分押しでスタート。(それでも、この時点で、15人ほど入場出来ていなかったらしい。見切り発車かよ。> スタッフ [;-_-]凸)ワンドリンクはジンライム。(なお、このライブの情報を教えて下さったKさんも来ていたらしいのだが、結局、会場では落ち合えなかった。まぁ、明日会うからいいや。[;^J^])

 前奏(BGM)は、吉松版「タルカス」。「レッド」、「ピース〜堕落天使」、「マネー」、「トリロジー」で、前半終了。休憩時間にジンライムおかわり。MCはなかなか面白かった。たとえば、ピンク・フロイドは難しい。テンポが遅い曲が多く、しかもシンセがロングトーンを引っ張っていたりするので、弦楽四重奏では間を持たせるのが大変。また、クラシックの変拍子とプログレの変拍子は違う。クラシックをやっているんだから変拍子などお手の物だと思われるだろうが、そういうものではなく、まったく別種の難しさがある、などなど。ちなみに、「トリロジー」はアルバムには収録されているがライブ初演だったらしくて、「まだ、何が起こるかわからない段階だから..」、などとさんざん防衛線を張っていたが [;^J^]、確かに事故が散見された [;^.^]。そこはプロで、なにごとも無かったかのようにフォローしていたが、オーディエンス(プログレオタク共)にはバレバレだっつーの。[^.^]

 後半は、まず「シネマ・ショー」。これもライブ初演とのことで以下同文 [;^.^]。後半7分間続く7拍子は、やはりきついらしい。そして、「クロース・トゥ・ディ・エッジ」。アンコールは、前述したように最初の「レッド」を聴きそびれた人たちがいるので、再度「レッド」。

 なかなかよござんした。22:15に出てメトロで水道橋へ。23:10、スパ ラクーア着。なんと、入館待ちに長蛇の列 [;_ _]。そうか、東京ドームで巨人戦があったのか..こりゃ、リクライニングシートを確保できる可能性は皆無だな..(別に床にマットレスでごろ寝、でも全然構わないのだが、出来れば今夜は、リクライニングシートなら使えるコンセントで、USBバッテリーを充電したかったのだが..)まぁ、しゃあない、と、ひと風呂浴びてからリクライニングシートエリアに行ってみたら..あら、なんと、ガラすき [?.?]。よくよくみたら、退館(精算)待ちも、長蛇の列なのだ。なるほど、巨人戦のあとにひと風呂浴びるだけで、泊まる人はそんなに多くはないわけだ。やれやれ、助かった、と、リクライニングシートを確保して、充電しつつ横になる。今夜はテワランもなしである。(それにしても、24:00前なのだが、みんな、終電に間に合うのかな。)

 寝る前に、モルゴーアのMC、思い出したぶんを追記しておく。キース・エマーソンのピアノ協奏曲。リーダーの(MCの)荒井氏、サインはもらったらしいが、内心「しょーもな!」、と、思っていることは間違いない [;^.^]。いやもちろん、そんなことは口が裂けても言いませんでしたけどね。言外のニュアンスという奴でね [;^.^]。もうひとつ、吉松隆編曲の「タルカス《オーケストラ版》」(先述したように、開場前のBGMに使われていた)については、「反則である!」、と、これは言外もなにも、断言されていた [;^J^]。それは、ドラム・セットを使っているからである。クラシックのオーケストラの標準編成にない楽器を使うのは禁じ手でしょう、ということだ。もう1枚ぐらいプログレのCDを出したいとのことだが、ほぼ確実に「タルカス」メインとなると思う。「吉松さん、すみません(ダシにさせていただきます)」、と、言ってたし。[^.^]

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*2014年08月23日:國立故宮博物院展/ボヘミアン・グラス展/ジャポニスム展


 例によって早起きしたら、あらまぁ、結局、床にゴロゴロ寝てるでないの。あのあと(24時以降に)客が増えたというわけか..うまい具合にすいているタイムスロットに潜り込めたというわけだ。ラッキーであった。

 朝風呂を堪能してから7:25に発って、すぐ近くの上野へ..東京文化会館が改修中とは知らなかった。8:00に東京国立博物館着。9:30開場だというのに [;^.^]。「特別展「台北 國立故宮博物院−神品至宝−」」である。混み具合が読めないので、こんなに早く来たわけだが、結局、列の長さはほどほど(普通より多少長い程度)であり、まぁ、9:00に来ても十分であった。普通の混みかたになっているのは、「翠玉白菜」画像検索結果)の公開が終わっているからであろう。(これは、6月24日〜7月7日まで、しかも東京展でのみの限定公開だったのだ。)つまり、私もこれは見逃したことになるが、まぁ、仕方がない。

 ちなみに、昨日の太田記念美術館での展覧会のレポートつながりで書いておくと、この「台北 國立故宮博物院−神品至宝−」展のホームページに掲載されている作品リストは、紙モノをスキャンして貼り付けてすませているのではなく、丁寧にHTMLで書かれているので、コピペできて、非常に助かる [;^J^]。なにしろ、一筋縄では変換できない難しい漢字が多くってさ [;^.^]。しかしJIS第2水準外の字も多く、廃墟通信のメンテ環境では入力できない [;_ _]。無理やり入力しても、今度は読者の環境次第では文字化けするか、その文字だけ読めないのならともかく、文章全体が化けて読めなくなる可能性もあるので、そういう危険な字は「●」でつぶし、ひらがなでフォローしておく。

 例によって、気になった作品の画像検索結果を(気力が続く範囲で [;^.^])リンクするが、絵葉書を何枚か買ってきたので、それからのスキャンも併用する。(迷ったのだが、図録は買わなかったのだ。)絵葉書からのスキャンは(多くの場合)図録からのスキャンよりは画質が落ちるのだが、悪しからず。[_ _]

 10部構成である。「1 中国皇帝コレクションの淵源―礼のはじまり」、「2 徽宗コレクション―東洋のルネサンス」、「3 北宋士大夫の書―形を超えた魅力」と続き、「4 南宋宮廷文化のかがやき―永遠の古典」からは、まず、馬麟の「静聴松風図軸」画像検索結果)。南宋時代・12世紀の「江帆山市図巻」。馬遠の「杏花図頁」画像検索結果)、李嵩の「市擔嬰戯図頁」、馮大有の「太液荷風図頁」画像検索結果)..こまか!

 以下、作者不詳だが、「荷葉玉杯」画像検索結果)、「松蔭図玉山子」「鳳柄玉洗」画像検索結果)、「屈輪文玉円盒」など。

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 「5 元代文人の書画―理想の文人」からは、まず、武元直の「赤壁図巻」(右図)をご紹介しよう。どうです、素晴らしいでしょう。ほか、倪●(げいさん)の「紫芝山房図軸」画像検索結果)、王蒙の「具区林屋図軸」画像検索結果)、陳汝言の「荊渓図軸」など。



 「6 中国工芸の精華―天と人との競合」セクションでは、景徳鎮窯の「豆彩葡萄文瓢形壺」、元時代・13〜14世紀の「●(こく)絲吉祥喜金剛像軸」。そしてなんといっても驚くべきは、南宋時代・12〜13世紀の「刺●(しゅう)咸池浴日図軸」である。まともに検索できないのが残念であるが、仮に検索できたところで、この(刺繍による、刺繍ならではの)波の輝きを、PCの画面で再現できるとも思えないが。それに岩のグラデーションがまた、凄い!

 「7 帝王と祭祀―古代の玉器と青銅器」では、新石器時代(良渚文化)・前3200〜前2200年 の「玉j」。「8 清朝皇帝の素顔―知られざる日常」セクションでは、「朱批奏摺(●(びん)浙総督覚羅満保)」「朱批奏摺(河南巡撫田文鏡)」が興味深い。いずれも、皇帝が、各地からの「密奏」にコメントを書き入れているのだが、前者では、ペルシア語の密奏にペルシア語でコメントしているように見えるのだが..この程度の教養がなければ勤まらない商売というわけだ。

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 そして、「9 乾隆帝コレクション―中国伝統文化の再編」セクションである。とにかく、「紫檀多宝格」(左図)を観て欲しい。中国全土(いや、皇帝の威光の及ぶ全世界)の過去から現在にわたる(小さな)宝物を、宇宙の構造を象徴しているこの小さな箱に、コンパクトに収めているのだ。まさに小宇宙。支配者の夢でもあろうし、ある種のコレクターの夢でもあろう..というか、いっぱしの(コレクター系)オタクなら、みんなこんなものを作って、持っているはずである。「わが手の宇宙」を..



 そして、乾隆帝とくれば、四庫全書である。「貞観政要」「朱子語類」「白氏長慶集」が展示されていたが、別に美麗な(あるいは特殊な)造本でもないので、画像検索は省略(..いや、ここは正直に書こう。もう、疲れ果てているので..[;_ _] 今週末の日記は、まだ先が長いというのに..[;_ _][;_ _][;_ _][;^.^])全ての書物を収録しようという、壮大極まりない(そしてやはり、宇宙志向、コレクター志向の発想の)壮大なプロジェクトである。日本の書籍も含まれているというから、驚く。7万9千巻。7億字。10年がかりというが、逆に、よくもまぁ、たった10年で、ここまでまとめられたものである。なにしろ、単に集めて来ているだけではない。「後世に残すには不適切な表現(典型的には、外国や外国人に対する「差別的表現」)を、いちいち書き改めている」からである。そのことの是非はさておくとして(おそろしくこんにち的な問題にいきなり引き戻されてしまって驚愕したが [;^.^])、つまりは、7万9千巻、7億字を、検閲したのである..!

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 そして最後の「10 清朝宮廷工房の名品―多文化の交流」セクション。景徳鎮窯の「粉彩透彫雲龍文冠架」(左図)。同じく景徳鎮窯の「臙脂紅碗」画像検索結果)の、なんと純粋な臙脂色! これも景徳鎮窯の「藍地描金粉彩游魚文回転瓶」画像検索結果)。製作元不詳の「琺瑯彩墨彩寒江独釣図瓶」。そして最後はやはり、「人と熊」(右図)で閉めましょうかね。これは本当に小さい。そして、ひとつの石から掘り出したものなのである。いい歳こいたおっさんとして、口が裂けても「カワイー!」とは言えないが(社会的に。[;^.^])



 11:50に出たら、おや、雨である。まぁ、長持ちするようには見えないが。例によって、JR上野駅の上のぶんか亭で昼食(とろろ蕎麦)。ここも、入るときは待ち行列ゼロですぐに席に着けたのだが、出る頃には10人以上並んでいた。わずかな時間差で時間節約できて、どうも昨日から幸運が続いているようである。

 13:10、サントリー美術館着。「プラハ国立美術工芸博物館所蔵 耀きの静と動 ボヘミアン・グラス」である。とりあえず面倒なので、ボヘミアン・グラスとはどのようなものなのか、ざっと、画像検索結果を観ていただこう..ま、これで済ませるわけにもいかないか [;^J^]。しかし、多くは工房で作られた職人仕事なので、個別の作品の検索は面倒でね..というわけで、この展覧会でも図録を買わずに絵葉書ですませたので、それをスキャンしておこう。

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 左から、ダニエル&イグナッツ・プライスラーの工房(ボヘミア)の「狩猟文瓶」(1710〜1715年頃)、ハラフ・ガラス工場(北ボヘミア)の「最後の晩餐文蓋付ゴブレット」(1840年頃)、カール・フォールの「善きサマリア人文蓋付ゴブレット」(1858年以前)、アロイス・メテラーク/ガラス工芸学校 ジェレズニー・ブロドの「花器」(1927年)。



 14:30に退出して、用賀に向かう。用賀から直行バスで、15:55、世田谷美術館。「ボストン美術館−華麗なるジャポニスム展」である。(雨はあがっていた。)

 5部構成である。「1.日本趣味」では、まず、歌川広重の「名所江戸百景 浅草田浦酉の町詣」画像検索結果)。先刻承知の作品ではあるが、やはりこれは可愛い。風景を眺めやっている猫♪ ブシュロン社の「インクスタンド」画像検索結果)は、これはもうやりすぎというか [;^J^] 日本趣味を詰め込みすぎてグロテスクな領域に突入してしまっているが [;^.^]、これはこれで(今となっては)キッチュな見せ物として面白い。(製作者の意図とは違うだろうが。)

 「2.女性」では、もう言うまでもなく、この展覧会の顔、クロード・モネの「ラ・ジャポネーズ(着物をまとうカミーユ・モネ)」画像検索結果)である! 着こなし方とか、突っ込み所は多いのだが、この迫力! とにかくでかいのだ。ちなみにどうやらこの作品、モネにとっては「黒歴史」らしく [;^.^]、のちに本作に対して否定的な発言をしているのだが、描いちまったもんは(しかも市場に売っちまったもんは)取り返しつかね〜よな〜 [^.^]。後年、日本趣味を遙かに高い次元で昇華した傑作群、「睡蓮」を山ほど描いたとしても、「ラ・ジャポネーズ」も、残る。残ってしまうのである。[^.^]

 喜多川歌麿の「母子図 たらい遊」画像検索結果)にインスパイアされたという、メアリー・スティーヴンソン・カサットの「湯浴み」画像検索結果)。こういう、親子の何気ない生活習慣は、西洋美術では題材として取りあげられて来なかったのだが、日本美術の影響で描かれるようになったのだという。言われてみれば、そうかなぁ..家族の食事風景とか、居酒屋での乱痴気騒ぎとかを描いた(より古い時代の)西洋絵画はいくらでも思いつくだけに、正直、意外である。(ちなみにどちらの検索結果も一緒だが、和風か洋風かで読みとってくれぃ。[;^.^])

 「3.シティ・ライフ」では、エドガー・ドガの「カフェ・アンバサドゥールのベカ嬢」画像検索結果)の、主役を中心におかないアシンメトリーも、浮世絵起源。オーブリー・ビアズリーの「雑誌『ザ・サヴォイ』のためのポスター」画像検索結果)の、大胆なデフォルメと強い色彩対比も、日本の影響。

 「4.自然」と来て、「5.風景」。アンリ・ゲラールの「日没、オンフルール」は、画像検索できなかったのだが、強い黒で描かれた船影のみで、夕日自体を描かずに夕景を表現しているのも、浮世絵的。エドゥアルド・ムンクの「夏の夜の夢(声)」画像検索結果)の「グリッド構造」が、やはり広重の影響。歌川広重の「東海道五十三次 四日市 三重川」画像検索結果)にインスパイアされた、クロード・モネの「トルーヴィルの海岸」画像検索結果、かしいだ風に吹かれた木が真ん中にある図)は、遠近法の基本である消失点を消しているのがポイント。同じく広重の「東海道五十三次 鞠子 名物茶店」画像検索結果)にインスパイアされた、同じくモネの「積みわら(日没)」画像検索結果)は、やはりアシンメトリーな構図と色彩遠近法。

 17:20に退出。19:00頃、中野駅のホームでKさんと落ち合い、高円寺へ。盆踊り祭りということで、大にぎわいである。さほど広くもない(というか、どちらかというと狭い)商店街の道を、盆踊りの団体が次々と練り歩いてきて、その両側に見物客が山をなしているのだから、ぶっちゃけ、歩ける状況ではない [;^J^]。Kさんと裏道を迂回しつつ、いくつかのポイントで短時間見物。祭りのこういう喧噪は、好きである。

 ざっくり見物してから、飲み屋をハシゴ。19:15から21:00まで、葡庵。21:15から22:55まで、Rock Ya! 23:05から0:10まで、奈津子。話題は(昨夜モルゴーアを聴いたことでもあり)もっぱらプログレ。プログレ10撰として(いろいろな条件をつけて)何を選ぶか、という..まぁ、マニアというかオタクの鉄板ネタである [;^J^]。すんなり決まりそうなものなのに、「ライブを外す」という条件をつけただけで、意外に難航してしまったり。[;^J^]

 今夜もラクーア泊。1:10着。今夜はテワラン(60分コース)付きである。痛気持ちいい..[;^.^]

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*2014年08月24日:モンスターを探せ!!展/幻獣神話展


 朝風呂を堪能してから、7:20にラクーアを発つ。8:40に町田着。ちょっと早すぎるので、適当に(まだ起動していない [;^J^])町を見物してから、8:55頃にジョナサン。待ち合わせ時刻の9:00頃に、地元のRさんが自転車で来られた。9:55頃まで、朝食とかアイスクリームとかドリンクバーとかでまったりしながら、四方山話。

 散会してから、徒歩10分程度の町田市立国際版画美術館へ。「モンスターを探せ!! ピラネージからゴヤ、そしてエルンストへ」である。悪いが、ここでは画像検索はピンポイントではなく、作品シリーズごとにざっくりとやらせてもらう。(もう、疲労困憊で..[;_ _])

 4部構成である。「1.装飾デザインの中の怪物」では、古代建築とか時祷書とかバロックの書物の扉絵とかに描きこまれている怪物に焦点を当てる。古代建築では、ギリシア神話由来のキマイラとかグリフォンとか、由緒正しいものが多いのだが、書物の扉絵となると、時代を問わず、奇々怪々なものが数多くある。こういうものは、ガーゴイルや鬼瓦と同じで、日常見慣れてしまっているだけに、かえって気がつかない。あなたも自宅の書架をひっくり返せば(あるいは自宅のあちこちを見回せば)、そこは怪物だらけのはずである。(ちなみに、展覧会のタイトルに「ピラネージ」とあるので、当然「牢獄」シリーズが展示されているのだろうと思っていたのだが、「ローマの遺物の修復版画(ただし想像力暴走気味)」の作者としてのピラネージなのであった。)

 「2.モンスター大集合!」となると、なじみ深い面々のビッグネームが現れてくる。ピーテル・ブリューゲル(父)の版画作品(「七つの大罪より『傲慢』」画像検索結果))や、ジャック・カロの「聖アントニウスの誘惑」画像検索結果)、ドレの「神曲 地獄篇」画像検索結果)からの抜粋など。

 「3.人か怪物か? −ゴヤのグロテスクな版画たち」では、もちろん、「ロス・カプリチョス」画像検索結果)、「戦争の惨禍」画像検索結果)、「妄」画像検索結果)からの抜粋。

 「4.怪物は死なず」では、20世紀の怪物たち。まずはマックス・エルンストの諸作品。「百頭女」画像検索結果)や、「慈善週間または七大元素」画像検索結果)からの抜粋など。その他、浜田知明、深沢幸雄、池田龍雄ら、現代日本の作家たち。

 明らかに夏休み企画なのだが..子どもたちには、恐すぎると思うぞ [;^J^]。特に現代作家の作品は [;^.^]。11:25に退出。町田駅前の「中国ラーメン 揚州商人」で、塩ラーメン。渋谷に転進し、13:20、Bunkamuraザ・ミュージアム着。「幻獣神話展 寓意夢想の召喚」である。

 これは、今年の5月17日スパンアートギャラリーに観に行った「クトゥルー神話展」の続編のようなもので、同じ作品の展示もある。また、「クトゥルー神話展」の時は図録が間に合っていなかったのだが、今回、同展の図録が販売されていたので、購入した。もちろん、この「幻獣神話展」の図録も購入したので、以下、基本的には、これらからのスキャン画像をご紹介するが..あらかじめお断りしておくが、画風/作風は極めて多彩であり、ここに紹介できたものは、ごくごく一部のサンプルに過ぎない。(漫画界からは、諸星大二郎、高橋葉介、伊藤潤二、丸尾末広、麻宮騎亜..までは想像が付くだろうが、森園みるく、永野のりこ、夢路キリコから、いしいひさいちまで出展しているありさまなのである。[;^J^](書き落としているマンガ家の方、いらっしゃると思いますが、すみません。[;_ _]))

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 左は、この展覧会のアイコンともいうべき、開田裕治の「火竜ヒルデガルド」。かっこいいねぇ [^.^]。右は、杉本一文の「邪神たちの2.26」



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 左は、添田一平の「ウルタールの猫」。原作はあまりにも有名だが、この絵、ちょっと格好良すぎる気も [;^J^]。右は、丸山浩の「邪神ガトノトーア」。私、これ、大好き [^.^]。素晴らしいでしょ。[^.^]



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 左から、西川伸司の「クトゥルフファイト」と、「クトゥルフファイト延長戦」。これについては、もう面倒なので解説しない [;^J^]。わかる人だけウケればよろしい。[;^.^]



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 立体作品も、紹介しておこう。繰り返すが、立体作品も非常に多彩で、これら以外にも、素敵な作品がたくさん出展されていた。左は、江本創の「Goblin」。まるで本物のミイラであるかのごとくであるが、もちろん、完全な人工物。右は、マンタムの「Priscilla」。これは逆に、本物の豚の皮(死体)を使っている。実際の骨や死体を使うことの難しさについて作者の方ともお話できたのだが、大変、面白かった。端的に言って、リアルすぎてコントロールが難しいのである。



 14:10、退出。頑張ればもう1軒、展覧会に回れる時刻だが、ちょっと疲れすぎ。ここは無理せず、品川へ。15:04に発つひかりで、16:59、浜松着。17:30、帰宅。クリーニングを受け取り、あとは金土日の録画をBGVに、ほとんどバタンキュー。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Aug 31 2014
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