*2014年08月11日:夏オフアフターオフ/だまし絵展/ガウディ×井上展
*2014年08月12日:停電対応休日出勤
*2014年08月13日:エヴァンゲリオン展/帰省
*2014年08月14日:「夏色の想像力」
*2014年08月15日:「さよならの儀式」「ヨハネスブルクの天使たち」
*2014年08月16日:夏コミ/「量子怪盗」
*2014年08月17日:夏コミ/浜松へ
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*2014年08月11日:夏オフアフターオフ/だまし絵展/ガウディ×井上展


 昨日(日曜日)の日記に書きそびれていたので、忘れないうちにメモメモ。

 「ブラームス/交響曲第2番」では、2人が2台の電子鍵盤楽器でコントラバスパートを弾いたのだが、実は、コントラバスのパート譜が1部しかないことに、演奏の直前になって気が付いたのであった。普通なら、駅前のコンビニに走るところだが、コピー機が空いていたとしても、少なくとも5分。下手すると10分程度、ロスタイムが発生する。

 私がとっさに思いつたのは、IMSLPからコントラバスのパート譜をダウンロードして、ひとりは iPad でPDFを見ながら演奏する、という手段であったが、これはこれでリスクがある。他の奏者たちに配布されているパート譜と、IMSLPにアップロードされているパート譜が同じ版である保証はない。練習番号の打ち方が違っていても不思議ではない..

 ..などと考えているあいだに、なんと、奏者のNさんは、全12ページを iPad で撮影し、左手に iPad を持って「カメラロール」を「譜めくり」しながら、演奏したのであった。なるほど、タブレットには、こういう使い方もあったのか..実際、ダウンロードするのとどちらが早かったかは微妙だが、少なくとも写真に撮ってしまえば、完全デュプリケートなので、同一性は完璧である。また、PDFの「譜めくり」が、「カメラロール」の「譜めくり」ほど簡単かどうかは、わからない。

 8:15、大荷物(シンセ)を担いで新宿ワシントンホテルを発つ。東京駅の銀の鈴に着いたのは9:00頃。待ち合わせの1時間も前に行ったのは、銀の鈴待合所の近くの大型コインロッカーが空いているかどうか、まったく読めなかったからである。(一応平日。しかし夏休み/盆休みで、都内観光も大いにあり。)結果的に、まだこの時間帯にはいくらでも空いていたし、そもそもまんがいち満杯でも、手荷物預かり所があるんだけどね。

 Hさん、Bさんと3人で、10:15頃に出発。今日いちにちは、夏オフアフターオフである。(ちなみに、このオフには同行されないものの、10時過ぎまで、Nさんが通りすがっていた。その後、Nさんは警察に..いや、この書き方だと誤解を招くな [;^.^]、警視庁に見学に行きました。[;^J^])

 まずは秋葉。BさんのノートPCの修理のため、10:40に、末広町駅直近の東芝PC工房。その後、Computer Plaza で、2TのHDD(アイ・オー・データ製)を2台買う。ネットでこれといってディスられていないシリーズであることと、あと、パッケージに「Made in Japan」と明記されていましたのでね [;^J^]。ま、中のドライブは知らないけどね [;^J^]。別に台湾製や中国製をどうこう言うつもりはないんだけれど、やはり貴重なデータを長期保存するとなるとね..

 銀座線で渋谷へ。マークシティ4FのBiKiNi TAPAというスパニッシュの店で昼食。12:00過ぎから13:20頃までいたのかな。うっかりビールを飲んでしまったので、本日はここで終了となるところだった。危ないあぶない。[;^.^]

 13:30、Bunkamuraザ・ミュージアムへ。「Bunkamura25周年特別企画 だまし絵II」である。多分、数年前に「I」も観ていたと思う..記憶が曖昧だけど。

 「プロローグ」では、ご存知、ジュゼッペ・アルチンボルドの「司書」画像検索結果)など。「1:トロンプルイユ」では(「トロンプルイユ」の意味がわからない人は、ぐぐってくれ)、福田美蘭の「婦人像」。これは、「目が動く」という「仕掛け」がある時点で、トロンプルイユとしては邪道なのだが [;^J^]、面白いことは面白い。

 「2:シャドウ、シルエット&ミラー・イメージ」では、福田繁雄の「アンダーグランド・ピアノ」画像検索結果)が、やはり面白い。無茶苦茶なフォルムのガラクタなのだが、ある一方向から見たときにのみ、グランド・ピアノに見える。ダニエル・ローズィンの「木の鏡」画像検索結果)にはカメラがついていて、観客の動きに合わせて、木片群が動く。「3:オプ・イリュージョン」では、まず、パトリック・ヒューズの「生き写し」。凹んだ自画像である。同じ作者の「広重とヒューズ」画像検索結果)は、検索結果の中の「屏風みたいな」作品であるが、これこそ、現物を観ないと意味無いんだよな [;^J^]。この絵の前を歩くと、絵がパタパタと動く(ように見える)のである。トリックは実に簡単。実際に屏風のような形状の立体的な作品なのであるが、凹凸というか遠近法を逆にして、物理的に近いところに遠くの絵を、遠いところに近くの絵を描くと、こういう効果が得られるのである。錯視の傑作であるが、類例を観たことはある。この展覧会シリーズの「I」でだったかなぁ..

 「4:アナモルフォーズ・メタモルフォーズ」となると、少なくともこの日記の読者には紹介するのも恥ずかしくなるような [*_ _][;^J^]、どメジャー作品が山盛りである。まずは、エッシャー。「反射球体と手」画像検索結果)、「昼と夜」画像検索結果)、「爬虫類」画像検索結果)、「物見の塔」画像検索結果)などは、もちろん、ご存知のはず。(まさかとは思うが、まんがいち、見たことがなかったと言う人は、あとでこそこそとエッシャーの画集を見ておきなさい。[^.^])ルネ・マグリットの「真実の井戸」画像検索結果)は、ずばり、この作品に見覚えがあると確言できる人は、案外少ないかも。何しろ、類似例が多いからね [;^J^]。しかし、「白紙委任状」画像検索結果)を知らない人は、いまい。マグリットやエッシャーは、かつて(1968〜69年に)「少年マガジン」の表紙絵を飾ったのだよ。信じようと信じまいと。

 サルバドール・ダリの、「姿の見えない眠る人、馬、獅子」画像検索結果)や、「海辺に出現した顔と果実鉢の幻影」画像検索結果..ちょっと紛れてるな。中央に白い鉢が「見える」絵)となると、さすがに、ダリのファンでないと、知らないかも知れないな。私は、自宅の画集で、100万回ぐらい視てるけどね。[;^J^](この場合は、「観てる」よりも「見てる」よりも、「視てる」の方が正しいだろう。)トニー・アウスラーの「ピンク」画像検索結果)も、まぁワンアイデアだが、面白い作品。3Dマッピングなんだけどね。気色悪いけどね。[;^J^]

 15:20ぐらいに出る。(図録の購入は見送った。)ぎろっぽんへ。16:00、森アーツセンターギャラリーへ。「特別展 ガウディ×井上雄彦 - シンクロする創造の源泉 -」である。

 ..正直に書こう。ガウディだけで良かった。井上雄彦のパート(作品)は(私には)蛇足に見えた。図録をパラ見したところ、結構昔からガウディ作品(の関係者)とは縁があったようで、だからこそ実現した展覧会なのだろう、とは、理解しているのだが..(誤解のないよう申し添えておくが、ガウディの人生を描く井上の劇画や、巨大な和紙に描かれた井上の作品は、いずれも素晴らしいものである。)

 もっとも感銘深かったのは、カサ・ミラの模型である。全体像はもちろん、1フロアだけ水平に輪切りにされた形で上から覗ける模型も展示されているのだが、なんなんだ、この構造は [;^J^]。どう考えても、密室殺人トリックを妄想させることを目的としているとしか思えない [;^.^]。「斜め屋敷の犯罪」(島田荘司)ならぬ、「グネグネ屋敷の犯罪」である。(もう、誰か、書いてるんだろなぁ..[;^J^])

 1時間ほどで出て、あとは流れ解散。日比谷線六本木駅から、有楽町経由で東京へ。18:26のこだまで、20:23、浜松。20:40、帰宅。

 留守中の録画をざっとチェック。BSで8/10(日)1:50〜に放映された「ももクロChan #66」に、台風被害(ノイズビシバシ)。地上波(あさひテレビ)で数週間後に同じ内容で放映されるはずなので、そちらでフォローしよう。

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*2014年08月12日:停電対応休日出勤


 雨。盆休み中だが、7:30に勤務先の事業所に出勤。全社のIT機能の中枢とも言うべきこの事業所がエアコン入れ替えのため全館停電するので、サーバー群やネットワーク機器群を事前に安全にシャットダウンし、復電後に、完全に立ち上げるのが使命である。といっても、私は、サーバーやネットワーク機器のシャットダウン/回復担当ではなく、停電中のUPSの交換や配線の整理を受け持った。

 大部分のサーバーは、事前に自動シャットダウンのジョブ(タスク)が仕込まれているが、なんらかの理由で、予定通りにシャットダウンしなかったサーバーたちもいる。また、手動で(コンソールから)一定の段取りを踏んでからシャットダウンしなければならないサーバーもある。(何しろ、実機、仮想機、合わせて数百のサーバーがあるのだ。)それやこれやで予定を少々押して、10:10に全て落とし終わり、停電。エアコン業者の方々にとっては、これからが本番である。夕方までかかるので、工事が済んだら電話で呼び出してもらう段取りをつけて、いったん撤収。

 10:30にO内科医院で月いちの検診を受け、クリーニング出ししてから、昼前に帰宅。略式の昼食、洗濯。昼の空き時間を目一杯、有効活用する。昨日、秋葉で購入してきたHDDの動作確認(といっても、数ギガのファイルを4つほどR/Wしただけだが)。まんいち不良なら、明日からの帰省時に交換してもらわなければ間に合わないからであるが..少なくとも、正常動作はしているようだ。今のところは。

 午後、雨上がる。少し居眠り。16:20頃、工事終了&復電の電話連絡..本当は、もう少し早いタイミングで呼び出してもらいたかったのだが、まぁいい。16:40に会社に着き、復旧作業。いろいろあって手間取って、21:20に完了、撤収。

 帰宅してから、廃墟通信の執筆にとりかかるが、疲れもあって、終わらず、断念。あまり夜更かしせずに就寝。

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*2014年08月13日:エヴァンゲリオン展/帰省


 早朝から、大車輪で廃墟通信の執筆。今日は水曜日。普段は木曜日早朝(または水曜日深夜)に更新しているのだが、今日の昼には帰省するので、その前に(1日前倒しで)アップしてしまいたいのだ。

 途中、9:50に中抜けして、昨日出したクリーニングを受け取り、スーパーで牛乳だけ買ってすぐ帰宅。廃墟通信、なんとか更新。

 今日は東京に寄らずに、横浜直行である。11:22に発ち、12:11のひかり。13:22に新横浜着。横浜ルミネで遅い昼食。14:20、そごう美術館。「エヴァンゲリオン展」である。

 良い意味でも悪い意味でも、期待を裏切ってくれた感じ。原画や絵コンテ、設定資料が好きな人は、楽しめると思う。かなり厖大な数、展示されている。また、展覧会が「いかにしてアニメを作るか」という視点で構成されているのも特徴。だから、フィギュアの展示も(ほぼ)無いし、映像展示すら(あるシーンの)「完成イメージのデモ」としてしか、存在しない。ましてや、物語への踏み込みも、たとえば「死海文書」とか「リリス」とか、いくらでも膨らませて材料を集めてきて展示できるはずなのだが、そういうのは、いっさい、ない。まぁ、それを始めたら収拾付かなくなって中途半端な展覧会になってしまうのは自明なので、こういうストイックなまとめ方は、正解だろう。正直、私には少々物足りなかったが。[;^J^](9月7日(日)まで。)

 15:25に退出。1時間ほどで、鶴ヶ峰の実家へ。

 眠くて、5冊持ち帰った本も、ほとんど1行も読めない。休みの終わり(日曜日)までにせめて半分以上は読みあげないと、単なる荷重だったことに。[;_ _]

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*2014年08月14日:「夏色の想像力」


 曇天。読書。午後、ときどき小雨、ときに本降り。夕方には上がったか..

 第53回日本SF大会なつこん記念アンソロジー 夏色の想像力」(今岡正治編、夏色草原社)読了。これがなんと、今年の日本SF大会(なつこん)に向けて作られた、ファン出版なのだから、驚いてしまう。大森望の序文から引用すると、「第一線のSF作家十七人が書いたオリジナルの新作短編が二十二編。日本SFに関する限り、こんな豪華なアンソロジーがファン出版で出るのは前代未聞だろう。(中略)しかも、ファンジン用に一時間で書き飛ばしたおつきあい原稿というレベルではまったくない。本気も本気、年間ベストを獲りにきたかと思うような作品がずらりと並ぶ。(後略)」..という次第であり、まぁ、全てが傑作だとは思わないが、22編も入っていれば、自分の琴線に響かない作品が5〜6編程度含まれるのは、当たり前のことである。

 特選級が、「お悔やみなされますな晴姫様、と竹拓衆は云った」(山田正紀)−「大いなる正午」(荒巻義雄)を想起させるところもある、壮麗な時空SF。輝夜姫つき [^.^]。「常夏の夜」(藤井太洋)−量子コンピュータものだが、「大自然災害における、援助物資を配布して回るための巡回セールスマン問題(NP困難)」に結びつけた着眼点が見事。「キャラメル」(瀬奈秀明)−情感豊かな、地に足のついたロボットもの。どこででもいいから、この作者にはSFを書き続けてほしい。

 佳作級が、「弥生の鯨」(宮内悠介)−土俗性と近未来科学の幸福な出会い。「宇宙の果てまで届いた初めての道具」(高山羽根子)−オチに思わず吹いた [;^.^]。「金星の蟲」(酉島伝法)−まぁ、気色悪いが良しとしよう [;^J^]。「夢のロボット」(オキシタケヒコ)−まさに日本ならではのロボットSF。気持ちがよい。「イージー・エスケープ」(オキシタケヒコ)−光瀬龍の遠いエコーが聞こえる、これも気持ちよく幸福なSF。「百年塚騒動」(理山貞二)−原子炉事故(の事後処理)ものだが、読後感は悪くない。ほか、「つじつま」(円城塔)(リーダビリティがよくなる一方というのはいいことなのか悪いことなのか [;^J^])、「一九八五年のチャムチャム」(高山羽根子)、「ウリミ系男子とロイコガール」(高山羽根子)、「筑波の聖ゲオルギウス」(忍澤勉)、「アオイトリ」(下永聖高)、「焼きつける夏を」(三島浩司)など。

 ブリュッヘン、逝去。享年79歳。どの記事を読んでも「世界的大指揮者」と紹介されているが、最近の若いクラシックファンは、かつての彼が長髪・イケメン、リコーダー界のプリンスかマイケル・ジャクソンか(時代が合わないか [;^J^])..という存在だったことを、知っているのであろうか..合掌。

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*2014年08月15日:「さよならの儀式」「ヨハネスブルクの天使たち」


 朝から快晴。朝のうちは風が涼しく(日陰では)快適。読書。夜、風が涼しい。

 さよならの儀式(年刊日本SF傑作選)」(大森望、日下三蔵編、創元SF文庫)読了。2013年の日本SF短編の精華集。

 「さよならの儀式」(宮部みゆき)−近未来の「ロボット廃棄もの」。トリッキーなところはないが、最後に鮮やかな観点の逆転を入れる。「コラボレーション」(藤井太洋)−なかなか本格的な、超近未来のIT→超知性の誕生モノ。IT技術者の夢? 悪夢?[;^J^]。「ウンディ」(草上仁)−絶妙の音楽(&優しい異生物)モノ。この筆致で書かせたら、草上仁の右に出るものはいない。音楽描写だけなら、さらに達者な作品も想起できるが。「エコーの中でもう一度」(オキシタケヒコ)−超技術というわけではない。音響エンジニアにとっては、近しい世界。いい話ではある。「今日の心霊」(藤野可織)−設定は面白いが、あまり乗れない。「食書」(小田雅久仁)−設定自体が古いと思う。これといって大きな飛躍もないし。「科学探偵帆村」(筒井康隆)−この作者の、似たような話を、中学生時代に読んだはず [;^J^]。伝統芸能か [;^.^]。「死人妻」(式喜士)−うーむ、まだ物語が始まってすらいない冒頭だけの遺稿だし、評価の対象外としか..「平賀源内無頼控」(荒巻義雄)−ゆるい。ゆるすぎる。新人作家ならともかく、荒巻義雄なのだから、いい点はあげられない。

 「地下迷宮の帰宅部」(石川博品)−あまりのしょーもなさに呆れかえりながら読み飛ばしていたら、衝撃的な結末が。技としてはシンプルな背負い投げにすぎないだけに、やられた感がいっそう。「箱庭の巨獣」(田中雄一)−骨太のコミック。大傑作。この世界の主役はもはや「巨獣」たちであり、人間は、その「巣」に寄生しているだけ。「電話中につき、ベス」(酉島伝法)−残念ながら、心に残らない。「ムイシュキンの脳髄」(宮内悠介)−「人格改造手術」を題材とするディスカッション小説の趣あり。傑作。「イグノラムス・イグノラビムス」(円城塔)−例によって例のごとしだが、近作は本当にリーダビリティが高い。大人になったのか日和っているのか [;^J^]。「著者のことば」が面白い。「過去の有名作家であっても、こうして店頭に残っているのはほとんど食べ物の話か旅行記ばかりではないか。あるいは売れている本というのも、食べ物か旅行についてばかりではないか。/で、あるならば、書かない理由はないわけだ」..[;^.^]。「神星伝」(冲方丁)−もうムタクタなやりたい放題 [;^.^]。傑作。「風牙」(門田充宏)−サイコダイバーもの(「市民ケーン」的な? [;^.^])。確かに、SFとしての新規性はないのだが、会話もアクションも、実にうまい。

 ヨハネスブルクの天使たち」(宮内悠介、早川書房、ハヤカワSFシリーズJコレクション)読了。

 基本的には、日本製の「歌姫」ロボット(DX9)が、時にアーマー属性を帯びつつ、集団落下するイメージをライトモチーフとしているが、中には落下しない話もある。後半では、隆一(ルイ)が狂言回しとして連続出演。紛争地域めぐりかと思ったら、書下ろしの最終話は日本の団地を舞台として、不思議な静謐感とともに終わる。「ヨハネスブルクの天使たち」−イメージは鮮烈だが、最初に不思議に思ったのは、これら膨大な量のプロトタイプの落下試験が管理者なしで何十年間も自律的に続けられているのはともかく、どうやって屋上に戻っているのかという点。落下試験である以上、壊れて戻れない機体も(それこそ何十年のうちには)大量に発生しただろうに。「ロワーサイドの幽霊たち」−ツインタワーの崩壊と大勢の転落死を、再現する理由がわからない。「ジャララバードの兵士たち」−これに続く2話では、DX9は(人格を転写された)兵士である。ミステリとしても成立している。DX9は、パラシュートで降下してくる。「ハドラマウトの道化たち」−この作品でのみ、DX9は落下しない。(窓からは転落するか。[;^J^])「北東京の子供たち」−再び、第一作の「屋上からの大量落下」イメージが再現するが、ここでは団地の屋上からなので、壊れもせずに自律的に繰り返すという設定に、さほど無理は感じられない。ハッピーエンドとは言わないが、まさかの前向きなエンディングに驚いた。[;^J^]

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*2014年08月16日:夏コミ/「量子怪盗」


 快晴。実家前のバス停から9:56のバスで発ち、11:30、ビッグサイト着。探偵小説本を何冊か買って(というか、コミケでこのジャンルを漁るのは初めてなのだが“いささか”底が深いことを察知して早々に尻尾を巻き [;^.^])、1時間少々で離脱。(体力的にね。[;^J^])14:20頃に実家に戻ったんだったかな。17:15頃、待望の雨。

 量子怪盗」(Hannu Rajaniemi、酒井昭伸訳、早川書房、新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)読了。

 山盛りの派手な設定と造語群/ガジェット群と、感情移入しやすい「立っている」キャラたちと、むしろ古典的でオーソドックスなストーリー。電脳的要素は目立たず(といっても、意識のアップロード/ダウンロードとかは当然のように行われているのだが、かつての「CG」のごとく、今(のSF)ではその程度は当たり前、ということか?)、それが好みに合うのかもしれない [;^J^]。神のごとき存在たちが登場したり「時」を盗んだり、死からの再生を繰り返したり、という遠未来の(辺境の地)火星における「移動都市 ウブリエット」(「恐怖」なる怪物たちに付け狙われているという豪華な設定付き [;^.^])が舞台なのだが、物語をドライブするのは「人間」の「情念」である、というのも、いい。再読に値する。

 主要登場人物は、ジャン・ル・フランブール(大怪盗(今さら言うまでもないが、モデルはアルセーヌ・ルパン))、ミエリ(オールトの雲の戦士であり、強烈な戦闘力(格闘力)をもつツンデレ)、<ペルホネン>(その宇宙船、女性属性)、イジドール・ボートルレ(探偵)、<紳士>(仮面を被った<義人>の一員)、ピクシル(外惑星から高度な技術をもって火星にやってきた「族(ゾク)」の一員で、イジドールの恋人、ツンデレ)、レイモンド(音楽家)、ポール・セルニーヌ(建築家、レイモンドとわけあり)、クリスチャン・ウンルー(千年紀長者(ミリニエア)、彼から「あるもの」を盗むのだが..また、彼の蔵書群から、火星の過去の歴史(共有デバイスに保管されていてウブリエット市民に事実として参照されている)が何者かに捏造されていることが明らかになる)、オデット(その秘書)。(以下、「神のごとき」存在(「開祖」)ではあるが、「神」ではない。)集合的ペレグリーニ(ミエリの上司だが、最終的にはジャンにハメられ(ダブルミーニング [;^.^])復讐を誓う。次作に引いてるけど [;^J^])、<魂のエンジニア>、マチェク・チェン。

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*2014年08月17日:夏コミ/浜松へ


 朝、曇天。実家前のバス停から10:01のバスで発ち、11:50、懲りずにまたも [;^J^] ビッグサイト。コミケ最終日は評論・情報系と決めている。そこそこ面白そうな本がいろいろ見つかり、えーと、昨日とあわせて20冊は行かなかったか。よしよし [;^J^]。このあたりが体力の限界だ。[;^J^](宅配便の列に並ぶ体力はありませんでね。[;^.^] ← システムの本質的な欠陥(矛盾)を指摘せよ。制限時間2秒。)

 13:30に離脱し、14:34、品川からこだま。16:23、浜松。17:15、帰宅。

 夏休み、終了。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Aug 21 2014
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