*2014年07月14日:シンセ修理出し
*2014年07月15日:異形のゴジラ
*2014年07月16日:“G”
*2014年07月17日:なんと今ごろ気がついた [;^.^]
*2014年07月18日:久々の工場見学
*2014年07月19日:なつこん 一日目
*2014年07月20日:なつこん 二日目
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*2014年07月14日:シンセ修理出し


 R社の修理部門の担当者に確認したところ、すぐに着手できるということだったので、Fantom−Sをさっそく預けた。やれやれ。夏オフにはなんとか余裕で間に合いそうだ。[;^J^]

 昼から暑くなった。残業せず、大急ぎで月いちで通っているO内科医院へ。先日の人間ドックの結果をお見せして、問題ないでしょう(γGTPは上限オーバーだけど、まぁこのくらいは..(あなたなんだし..というニュアンスが無くも無かったが [;^.^]))とのお墨付きをいただいた。ただ、尿のPHがやや酸性側に振れていることを指摘された。結石の遠因になりうる。(今まで受診したお医者様方の全員について例外なく言えることなのだが、結石ができる可能性を指摘するとき、どうしてああも「喜色満面」になるのだろう。[;^.^]凸)

 今回は、先月末に三井記念美術館で観てきた「超絶技巧! 明治工芸の粋 −村田コレクション一挙公開−」がいかに凄かったかをプレゼンする..いったいなにしに病院に行ってんだか [;^J^]..まぁ、先生が毎回楽しみにされてるからねぇ..[;^J^]

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*2014年07月15日:異形のゴジラ


 今日も朝から暑いが、昨日よりはマシか。

 CSの日本映画専門チャンネルで、ゴジラ全28作品(ハイビジョンリマスター版)を公開順に放映しているのを、キャッチアップしているところである。全作品を観ていたわけではない。昭和ゴジラは案外観ていた(ことを、今回のキャッチアッププロジェクトで思い出した)のだが、平成ゴジラは半分も観ていなかったことが判明した。

 今夜、レコーダーのHDD内でスタンバっていたのを再生したのは、「ゴジラ2000 -ミレニアム-」である。これは(タイトルはなんとなく知っていたのだが)確かに観ていなかった。観ていたら忘れるわけがない。こんな変な異色のゴジラ。[;^J^]

 そもそもゴジラの敵が怪獣ではなく「UFO」だし [;^J^]。まぁ最後の方に、申し訳程度に怪獣が出てきはするが、まさか、その直前に出てきた「CG」のクリーチャーと闘うのかと、一瞬茫然としたし..(幸い、闘いませんでした。このしょぼいCGとは。[;_ _][;^J^])ゴジラは毎回のパターンと異なり海に去ることはせず、地上を焼き尽くし続けるシーンで終わり、「ゴジラは、我々の中にいる」..[;^J^] まぁ、こんなのもラインナップに加わっているあたりが、ゴジラシリーズの多様性というか、バリエーションの大きさ..とは言えるかな。

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*2014年07月16日:“G”


 シンセの修理完了の連絡を受け、早速修理代を振り込み、帰路、修理窓口で受け取って、車に乗せる..ただし、帰宅してからそれを車から降ろす元気はなかった [;^J^]。だって今日は仕事でもう、へとへとだったんだもん! 自宅への搬入と動作再チェックは、明日以降の課題だ。[;^.^]

 深夜、Gが、ユニットバスの壁に出現。

 ただちにドアを閉め、対G兵器(← 多少、平成ゴジラ入ってます [;^.^])(コロリアース)を装備して引き返し、ドアを開けるやいなや、至近距離まで腕を伸ばして直撃噴霧! その瞬間、テレポートしたかのごとく姿を消したが、すぐ近くにぶら下がっているポリエステル製のタオルの裏に、回り込んだに違いない。無論、それをどける(外す)勇気などあるわけがなく、そのタオルの表から横から上から下から、対G兵器(コロリアース)を、理性を吹き飛ばしたまま、呼吸困難になるまで撃ちまくり続ける..

 ..ユニットバスを閉鎖。2時間後、ありったけの勇気を振り絞って改めてドアを開けてみたら..バスの真ん中に、Gの死骸が落ちていた。生きていたときよりも、ずっと、小さく見える..ティッシュペーパーを大量に重ね、感触が指に伝わらないように細心の注意を払って取り除き、ゴミ箱へ..

 ..まったく、なんと罪深いことだろう [_ _]。このGが、いったい、何をしたというのだ [_ _]。ただ、そこにいただけなのだ。しかも、窓は開いていた。窓を開けておいたのは、私なのである。彼の死の原因を作ったのも、理不尽に残虐極まりない殺し方をしたのも、私なのである。

 Gたちには、正当な権利がある。いつの日か人類を、なんの理由もなく無慈悲に殲滅する、正当な権利が..

 ..人類に未来は、ない..

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*2014年07月17日:なんと今ごろ気がついた [;^.^]


 中古のキューブに買い換えて以来、車庫入れというか、駐車場入れが得意になった。シティやカルタスやマーチに乗っていた頃は比較的苦手としていたのだが、今ではぴったりと、自分のスペースの中央に入れられる。駐車場の路上ペイント(隣りの車のスペースとの境界線)を、サイドミラーで良く見るようになった..というか、良く見えるようになった..あれ? 逆に、遠くが見えないような..?

 ..なんと、キューブは、ギアをバックに入れると、サイドミラーが少し下を向くのであった [;^.^]。便利である。すごく便利である。唯一の問題は..2012年の12月にキューブに買い換えて以来、実に1年半以上も、そのことに気がついていなかったことである。[;^.^][;^.^][;^.^][;_ _][;^J^]

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*2014年07月18日:久々の工場見学


 早朝から快晴だが、すぐに曇天..でも、降るほどではない。毎年毎年、カラ梅雨ではないかい?

 午後、3〜40名がいったん本社に集合し、バスで、H社(自動車会社)の工場見学へ。(約30分の途上、半分以上は寝落ちしていたことは、申し上げておきましょう。[;_ _][;^J^])

 安全衛生委員会の行事なので、その視点がメインにはなるが、一般的な見学コースのメニューに沿っていただいたので、非常に面白かった。私の勤務先とは、あらゆる意味で規模が違うのだが、しかし、案外、共通する問題やすぐにでも応用できるアイデアもある..というレポートを、7月31日までに書かなくてはならない [;_ _]。月末だというのに、正気か? >総務 [;_ _][;_ _][;_ _]凸

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*2014年07月19日:なつこん 一日目


 曇天。降りそう..つか、ポツポツ雨。8:11浜松発のひかりで東上し、10:45につくば。つくばエクスプレスのおかげで、めっちゃ近い..とか偉そうに書いているが、つくばエクスプレスに乗ったのも、つくばに来たのも、今日が初めてだと早めにカミングアウトしておきましょう。[;_ _][;^J^]

 「第53回日本SF大会 なつこん」である。(ゲスト・オブ・オナーは、瀬名秀明(SF作家)と、佐藤竜雄(アニメーション監督)。)駅から徒歩10分ほどの会場でいったん受け付けをすませ、外に出て近所のラーメン屋でつけ麺。10:50に会場に戻る(..と、手帳には書いてあるのだが、よく考えてみたら、物理的に不可能ではないか [;^J^]。11:50の間違いかなぁ..)

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 12:00から開会式。ゲスト・オブ・オナーの開会挨拶に、ご当地ヒーロー(とご当地悪役)が乱入する、という、恒例の茶番を楽しむ。[;^.^]



 どんなプログラムがあったのかについては、前記リンク先を参照していただくとして、私が観たやつだけ、備忘を残しておく。(プログラムによって備忘の情報量がめっちゃ違うのは、ご愛敬ということで。[;^J^])

 13:00から、「人工知能はSFの夢を見るか?」

 出演者:三宅陽一郎
 人工知能は科学的な対象でありながら文化的土壌によって捉えられ方が全く異なる。SFで描かれる人工知能はそんな人々の知能感の違いや知能に託す夢が反映されている。日本と海外のSFで描かれる人工知能を科学的に分析し知能とは何かという本質的な問いに迫る。

 ..正直、ときどき寝落ちしたので、以下の備忘はキーワードの羅列に近い。アジモフ、ファウンデーションシリーズ、ロボットシリーズ。PKD(フィリップ・K・ディック)。「ディアスポラ」「エンダーのゲーム」「サイコパス」。

 (「人工知能」と「人工知性」の違いについて。)人工知能とは、能力、機能性、ファンクション。グーグルみたいなもの。ファンクションの集まり。フィードバック不要というか、フィードバック先がない。魂には結びつかない。

 人工知性とは、総合的な生命性。

 「魂」の要件は、「自分自身の肉体」に対する意識。自分自身の肉体に対する全能感(それは錯覚だが)、自分の身体を自在に動かせるという生物学的・原始的な感覚が、魂には必要。自分の身体を、どう捉えるか。日本人と西洋人では、全く違う。当然、人工知能に対する感覚も。

 14:30から、「日本語版『アメージング・ストーリーズ』の世界」

 出演者:山本弘、北原尚彦
 終戦直後の昭和25年、誠文堂新光社から刊行された『怪奇小説叢書 アメージング・ストーリーズ』全7巻をご存知ですか? 日本初の海外SF短編の本格的アンソロジー。そこに掲載された佳作・珍作・怪作の数々を歴史の闇から掘り起こし、楽しく紹介いたします。

 「アメージング・ストーリーズ」誌は1926年にアメリカで創刊された、世界初のSF専門誌。堂々たる名門である。発行が中止されたのは2000年らしいが、言うまでもなく、終わり頃(あるいはラスト数十年?)には、輝きは失われていた。『怪奇小説叢書 アメージング・ストーリーズ』は、その雑誌からセレクトされた作品を、1950年に7巻、アンソロジーとして刊行されたもの。おおむね、1940年代の作品(たまに1920年代の作品)が訳載されたらしいのだが..

 これはほとんど「伝説の叢書」であり、私も実物を読んだ(拝んだ)ことは無い。山本弘氏は最近入手したらしいのだが、彼の紹介によると..

 ..読んでも読んでも、駄作ばかりとのこと [;^.^][;^.^][;^.^]。無論、興味深い作品も、中にはある。鉄腕アトムの「火星探検(原題:空とぶ摩天楼、火星隊長)」の元ネタ作品(タイトル失念)とか。(これは、手塚治虫自身が(「アメージング・ストーリーズ」に訳載された作品を参考にしたと)明言している。)ここで、当時のマンガ家は、海外作品をよくパクっていたという余談が少々。桑田次郎の短編「暗闇の瞳」は凄い傑作だけど、実はブラウンの長編「73光年の妖怪」が元ネタとか。水木しげるの「地底の足音」(原作は、ラヴクラフトの「ダンウィッチの怪」)とか..誤解しないで欲しいのだが、当時のマンガ家たちをディスっているのではない。現在とは著作権の感覚(常識)がまったく異っていた時代であり、海外作品を「下敷きにして」自作として発表することは、別に恥ずかしいことでも(隠すことでも)なんでもなかったのである。(そもそも、日本には「粉本」という文化がある。なんなら、芥川龍之介の短編を調べてごらんなさい。)ましてや、「原作」よりも面白ければ、さらなり。私は今でも本気で、「73光年の妖怪」よりは「暗闇の瞳」、「ダンウィッチの怪」よりは「地底の足音」の方が面白いと思っている。(「火星探検」の元ネタは未読だが..)これが、「超一流マンガ家の底力」というやつだ。(H・B・ヒッキーという作家の、リス人間の話があるらしいが、まさか、手塚治虫の「0マン」の元ネタではあるまいが..[;^.^])

 閑話休題。『怪奇小説叢書 アメージング・ストーリーズ』に訳載された作品のストーリーがいくつか山本氏から紹介されたが、本当に、ダメ [;^.^]。ロジックがおかしい、展開がぐだぐだ、活劇がしょぼい、女性キャラに魅力がない..

 全滅というわけではなく、例えば、アフリカ?の秘境の探検隊に、謎めいた現地人が同行し、それが実は木星から来た植物人間..今では箸にも棒にもかからないが、実は1920年代の作品。当時の秘境ものでは、謎の現地人というのはお約束のパターンで、正体は大概、古代高度文明の生き残り。それが、木星の植物人間というのは、当時としては非常に新鮮で先鋭的だったのではあるまいか..今の目では、読むほどのものではないにしても。[;^.^]

 この叢書のセレクトがダメというよりは、当時の(アメリカの)「アメージング・ストーリーズ」誌自体が、ダメ。(つまり、母集団が。)参考までに、当時の「アスタウンディング」誌の掲載作のラインナップが紹介されたが..凄い。ハインライン、クラーク、アジモフ、ヴァン・ヴォート..まさに、黄金時代のコアもコア。「アメージング・ストーリーズ」誌も、数年後には、まともなSF雑誌として立ち直っている。これより前の時代も、まともだった..つまり、たまたまピンポイントで、名門雑誌がスカになった時代を掴んでしまったという..[;^.^]

 (ついでの余談。ヴェルヌ、ウェルズ、ドイルには、未訳(の傑作)が数多く残っているとのこと。作品数が多い作家は、どうしてもこうなる。ラヴクラフトなんか、断簡零墨に至るまで、訳し尽くされているというのに..[;^.^])

 山本氏は、この叢書全7巻を「10万円」で買ったそうな。状態と(揃いであるという)珍しさを勘案すると、妥当な価格であると、北原氏が慰める [;^.^]。ただ、山本氏は、コレクターではない。読みたいから買ったのに..読んでも読んでも屑ばかり。[;^.^][;^.^][;^.^](いくらかでも取り返すために、「『怪奇小説叢書 アメージング・ストーリーズ』本」を作って、夏コミに出すそうです。[;^.^])

 16:00から、「星雲賞授与式」。面倒だから、結果は「2014年 第45回星雲賞」をリンクしておこう。目玉(というかなんというか [;^J^])のひとつは、「自由部門」を「『NOVA 書き下ろし日本SFコレクション』全10巻刊行」の責任編集で受賞した、大森望氏の「受賞挨拶」である [;^J^]。事情がわからなくて暇な人は、「大森望 NOVA 日本SF大賞」あたりで、ぐぐってくれ。[;^J^](説明するのが面倒でさ。[;^.^])なんにせよ、「日本SF大賞(特別賞)」と「星雲賞(自由部門)」のダブルクラウンとは、目出度いことである。[^J^]

 「海外長編部門(小説)」を受賞した「ブラインドサイト」(著者/訳者:ピーター・ワッツ/嶋田洋一)の著者のビデオメッセージの上映も、受けた [;^J^]。とにかくこの作品(残念ながら、まだ枕元で積読状態 [;_ _])は、英語圏ではなんの賞も受賞できないのに、非英語圏では、さまざまな賞を受賞しまくっている。そして今回、日本SF大会でも..ワッツによると、これは各国の翻訳者たちが、作品を適切に「改良」してくれるからだという [;^J^]。日本で星雲賞を受賞できたのも、翻訳者のミスター嶋田の功績だという。だから、次の作品が日本でこけたら、ミスター嶋田のせいだ、という [;^.^][;^.^][;^.^]。論理的には正しいので、反論のしようがない。[;^J^]

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 18:00から、「なつこん公式パーティー」。全体を写すと、目線を入れたりモザイクかけたり面倒なので、ピンポイントの写真だけ [;^J^]。左は、開会挨拶で某アニソンを熱唱する [;^J^] 瀬名秀明氏。右は、ピアニスト嬢。(後方のガラスに、パーティー風景が(個人を特定できない程度に)いい感じで写り込んでいます。なんと巧みなテクニックであろうか → 自分 [;^.^])

 大森望氏、瀬名秀明氏、東浩紀氏、門倉純一夫妻らと、お話を。私の名前を認識しているのは大森氏ぐらいだろうが [;^J^]、瀬名氏には、あのアニソンはけっして滑っていなかったと力説し [;^J^]、東氏には「クリュセの魚」が面白かったことを熱弁する。



 お開きは20:00頃。20:25に会場を発ったんだったかな。つくばエクスプレスで都内に戻り、水道橋のスパ ラクーアには、22:10頃着。例によって、深夜のテワラン(90分コース)。お姉さんには「大丈夫ですか?(痛くありませんか?)」、と、ときどき確認されたが、「いや、もっと痛くしてください..」、とは、なかなか社会的に言えるものではなく..[;^.^][;^.^][;^.^]

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*2014年07月20日:なつこん 二日目


 7:00にラクーアを発ち、9:00よりだいぶ前に、なつこん会場へ。

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 夏オフでも同じなのだが、二日目の企画開始前の、このまったりとした空気感が、最高に好きなのである。(昨夜の公式パーティは、このエントランスで開催された。)



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 毎年描き続けられている、加藤直之のライブペインティング。(昨日も。)頭部が、まるでいしいひさいちの地底人だと思われただろうが [;^J^]、これが実は、ライフログ。加藤氏は最近はライフログにはまっていて、自分の生活や活動を、全て記録し続けているのだという。昨日の星雲賞授与式のときも、ずっとこのビデオカメラを装着し、撮影し続けていた。もちろん今、ライブペインティング中に映り込む自分の腕も。



 9:30から、「翻訳家パネル 星雲賞の獲り方教えます」

 出演者:大森望、嶋田洋一、古沢嘉通
 例年おこなわれている翻訳家パネル。今年もベテラン翻訳者の方々をお招きし、星雲賞を狙う翻訳、翻訳作品の最新事情についてお訊きします。

 まず、パネラー3人の企画だったのだが、(序盤だけ)飛び入りした4人目のパネラー、デイナ・ルイスの紹介から。アメリカ(だっけ?)で日本SFを英訳している人である。「佇む人」(筒井康隆)、「そばかすのフィギュア」(菅浩江)、その他、マンガをいろいろ。最初に訳したのは「子連れ狼」。当時は大変だった。言うまでもなく日本語と英語では、右から読むか左から読むかの違いがある。今でこそ、「日本マンガは右から読む」という習慣が根付いているが、数十年前には、日本マンガには彼の国の習慣を変えさせるほどの力も知名度もなく、当然のごとく、左から読んでもらわなければならなかった。一番簡単な方法は裏焼きすることであって、従って、登場人物は基本的に左利きになる..

 ..「子連れ狼」は(当たり前だが)それですますわけにはいかないのである。そこで、各コマは裏焼きしない正しい向きのまま、書籍としては左から読んでもらうために、ヒトコマごとにバラバラにして、切り貼りし直したのだという [;^.^]。大変な労力である。それでもそれなりに(コマのつながりが崩れるはずであって)暴挙には違いないのだが、まず、読んでもらわなければ何も始まらないわけだ..

 今では、SFに限らず日本の小説もずいぶん英訳されるようになった。しかし問題はあるとのこと。これはSFに限ったことではないのだが、特にSF小説の場合、まず(尖兵として)日本からアメリカに入り込んだ「マンガ/ゲーム」の訳者が翻訳(英訳)を手掛けていることが多く、リアレンジメントを平気でしているとのこと。

 例えば、マンガではフキダシに収めなくてはならないので、英訳したら長くなりすぎて入りきらないセリフは(当然のように)「削る」。ゲームでは口パクとリップシンクをしなくてはならないので、(当然のように)「口の形に合う英語をもってくる(つまり、意味が全然違うセリフになる)」..まぁ、これらは、メディアの制約故のことであり、それなりに必要な措置かもしれないが、小説ではそんな制約はないのに、習慣として..それが問題。

 また、翻訳の質のレベルのばらつきはピンからキリまである。優秀な人もいる。

 引き続き、(これは昨日の星雲賞授賞式での著者のビデオメッセージとかぶる内容だが)「ブラインドサイト」のワッツが、英語圏では受賞できないのに、日本をはじめ、非英語圏の各国では受賞できる件についての考察。翻訳者の嶋田氏曰く、「英語として、やや特殊。最後まできちんと書かずに、途中でやめて、あとは察しろ、みたいな傾向。察しようがないところもあるのだが、そこは、各国の訳者/編集者が必死にフォローし、埋めているのでは?(笑)」

 女性作家作品の星雲賞受賞率は、僅か4.5%。同一期間の(アメリカの)ヒューゴー賞では、30%にのぼる。日本の女性低位社会(残念ながら、まだそれが現実 [_ _])の縮図か?

 イーガンとチャンの圧倒的占有率は、低下傾向気味。

 最近の傾向として、SFマガジンに載っただけの作品よりも、短編集やアンソロジーに再録されたものの方が有利。実際、雑誌に掲載されただけだと、SF大会の頃には忘れてるし..(これは、海外作品に限らず、日本作品でも。)また、短編集の「表題作」が受賞しやすい。(記憶に残りやすいからだろう..)

 古沢氏曰く、「最近は、海外作家も(日本語の)ツイッターを(日本語で)読んでたりするので、うかつにディスれない(笑)」

 10:26、地震発生。震度3ぐらいだったらしい。

 「SFマガジン読者が選ぶ「ベストSF(海外編)」で、短編集を除く上位の文庫が受賞する」(内田の法則)..文庫が有利ということ。

 投票率の低さの問題(SF大会参加者の約30%)。知名度。たまたま知ってる(読んでいる)作品に投票している。(倉田注:遺憾ながら、私も、そう。[_ _])投票率を上げる小手先の工夫は、無意味というか筋違い。そもそも「読んで」投票する人を増やさないと..(しかし、候補作全てを「読ませる」のも現実的でない。)候補作(参考作)を電子書籍で読めるようにする、という工夫はありうる。(アメリカでは、やっている。)

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 エントランスでは、SF大会名物の「ピアニート公爵のSFクラシックコンサート」をやっていた。残念ながら、企画から企画へ(部屋から部屋へ)の移動時間に、チラ観というかチラ聴きできただけ。



 11:00から、「ニコニコ学会βプレゼンツ:『解く』メカデザイン〜アニメ・家電・ロボットデザインの裏側」

 出演者:福地仁、なかせよしみ、梶田秀司、園山隆輔、福地健太郎
 メカデザインはどのように導かれるのか? メカが持つ機能や期待される役割から生じる様々な制約をデザインによって「解く」という観点から、デザイナーと研究者が、フィクションから実際の製品まで、自らが手がけてきたデザインの裏側を語る。

 (ここは、本当にメモのみ。補間も難しいと思うので、雰囲気だけ読みとって下さい。[_ _])

 「問題を解決するためのデザイン性」「わかりやすさの暴力性」。梶田氏「単純でも、まず「動くもの」を作る。それを少しずつ進化させる」。なかせ氏「シンプルの利点。1.ストーリーを背負わない。2.機能が前面に出る。3.量産しやすい」。福地氏は、「ファイアーボール」と「ヤマト2199のアナライザー」について語った。

 関係性:自分に関係(利益(りやく))があると思わせなければ、財布があかない。でも、ユーザーとの「物語」を(あらかじめ)押し付けない。形によって、不必要な誤解を与えない。(「できないこと」を明示する。)アニメでは「機能限定」デザインは、通りにくいが..

 「現実」のロボットでは、「可動範囲」の制限は、非常に重要(用途から決める)!! 「人間の関節の可動範囲」が、まず出発点になる。(ヒューマノイドでは。)

 プロトタイプよりも、一般に量産型の方が、性能が良い。(だから「ジム」を、大切にしよう!(笑))

 12:30から、「ここがスゴいよ、柴野さん!」

 出演者:横田順彌、小浜徹也、牧眞司、日下三蔵
 『柴野拓美SF評論集 理性と自走性――黎明より』(東京創元社)の刊行によって、壮大でしなやかな(かつ頑固な)SF思想が広く知られることになりました。柴野さんがSFに託したものは? それをどう継承するか? 大先輩の胸を借りるつもりでガチで話しあいます。

 (例によって、本書も枕頭に鎮座ましましているのみで、開いてもいないのだが..[;_ _] なお、この企画のメモは(あまりにも面白かったので)結構な量になっているが、もちろん、90分の内容が全て記録されているわけもなく、抜粋に過ぎない。発言と発言は必ずしも連続していない。)

  「柴野拓美SF評論集 理性と自走性――黎明より」(牧眞司編)は、来年度の星雲賞狙いです!(笑)
ブレない思想家であった、という事実を、まず、残そう。
駄洒落が通じない。駄洒落を言うと、真顔で説明を求められる(笑)。
ある日、「横田君はSF作家では食えないと思うから、この小間物屋さんの婿養子に入りなさい」、と、縁談を持ってこられ(笑)、それ以来、距離を置くようになった。(笑)

(SF観について)科学というより「本格SF」にとらわれているので、私のムチャクチャSFでは(受け入れられなかったのでは)(笑)
ブラッドベリすら「(面白いが)SFの面白さではない」、とおっしゃる..(ブレない)
  ゴリゴリのハードSFの鬼ではない。整合性が取れていれば(思考実験のルールが守られていれば)よい。アニメのSF考証とか引き受けているけど、ああいうムチャクチャなのを考えるのが大好きだし..論理の遊びは認める(好きな)人。
許容度は広い。情緒モノ(「美亜へ送る真珠」(梶尾真治))とか、冒険SF(ラインスターとか)でも受け入れる。
福島さんに対する(対抗)意識は(表には出さないけど)確かにあった。
また、自分が「日本のSFの一番(手)」だという意識も、あった。

空気が読めないのではない。押さえられない。裏表がない。(だから)敬遠される。
それって、SFファンの特質ではないの?(笑)オタク的というか..
  「嫉妬」や「ねたみ」という感情がない。だから、他人が抱いている「嫉妬」や「ねたみ」にも気づけない。

(倉田注:以下、かつてのSF大会(「ヒンコン」だっけ?)で柴野氏が(突然)行った、作家の「人気投票事件」でのエピソード。なんと(無記名)投票ではなく「挙手」でやったらしいのだが(この時点でそうとうアレだと思うが [;^.^])..)

横田さんに5〜6人、手があがると、「けっこういるんですね」([;^.^])。高齋正氏に挙手したのが0人で、慌てて豊田有常氏(だっけ?)が手を挙げて(1人にして)フォローしたのだが、「あぁ、高齋さんもSF作家でしたね」..これで、高齋氏が怒った(当たり前だ [;^.^])という..(氏に限らず、他の作家もみんな怒った。)
Oに似てるね(爆笑)(倉田注:伏字にする意味があるのか疑問だが、ここはおとなの対応ということで「O氏」とさせていただきたく。[;_ _][;^.^])
  Oさんは面白がっている(確信犯である)ところがある。柴野さんは、天然..
石川喬司さんも、そういうところがある。(倉田注:石川氏は穏やかな紳士だと(勝手に)想像していたので、これはかなり意外な情報でした。)僕の本(「SF事典」(広済堂ブックス)のことかな?)の巻末の参考文献一覧に石川さんの本を挙げなかったので、怒って電話してきた。こちらもカチンと来て「参考にしていない(大意)」というような返答をしたら、1時間後に謝罪の電話をしてきた。

当時(1960年代〜70年代)のSF作家/関係者は、みんな、どこかで、自分が一番だと思っていた。一番だと思わなかったら、やってられない。僕の「日本SFこてん古典」も、石川さんに横槍を入れられた(批判的だった)。
柴野さんとは(歩いて15分ほどの)近所に住んでいたけど、SFの話をしなかった。古本の話をしていた。(SFの話は、合わない(笑))

自分がきっちり(しっかり)している人だから、他人にも(当然のように)それを求めるところがある。
  サイバーパンクには興味を示していた。でも、文体に着いていけない(読めない)と、残念そうだった。スターリングは好きだった。ギブスンは全然ダメ。

ポストヒューマンに(倉田注:このあと1行、自分のメモが読めない [;_ _])
そもそもポストヒューマンって、SFの正当(本筋)じゃない?
ヴェルヌかウェルズかというと、圧倒的にウェルズが好きだった。(倉田注:ウェルズはヴェルヌと異なり、ポストヒューマンを描いた。)
  ヒューマニズム(人間性)は、実は「無い」(あるいは「枯れていく」)のではないかと、思考実験として考えている..が、今の自分の立場としては、ヒューマニズムを、とりあえずは担保しておこう、という考え方をしていた。

 14:00から、「SF落語会」

 出演者:春風亭吉好、トミウラタカユ機、神田真紅(7/19のみ)、立川三四楼(7/20のみ)
 演目は当日のお楽しみです。

 ..すみません、ここ、メモ皆無です [;_ _]。先ほどの企画で記録疲れしたということもあるけれど..そもそも、メモ取りながら落語聴くやつ、いねーよ![;^.^]凸(← いい歳こいて逆ギレはやめなさい。[;^J^])ガンダム、マジンガー系だったかな。一週間たった今となっては、正直、内容はおぼろげにしか憶えていないんだけど、その場では文句なく面白く、幸せでしたよ。[^J^]

 このあと、クロージング会場の大ホールへの移動中、産総研のMさんとお会いする。私の目印(黒い「のた魚」Tシャツ [;^J^])をお伝えしてあったので、見つけてくださったのだ。旧知の人である。氏によると、ネットで私の記事を目にしてから25年、メールのやり取りをしてから20年ぐらいとのことであるが..実は、お会いするのは、今日が初めてなのであった [;^.^]。実にネット社会な人間関係である。これで私も、ようやく 一人前というわけだ(← いろいろ違う [;^.^])。

 時間があればしばらくご一緒したかったのだが、閉会後は、横浜の(老母が待つ)実家へ最速で直行する予定なので、また次の機会によろしくお願いします [_ _]。つくばの近さは、今回、再認識しましたので。[^J^]

 15:30から、大ホールでクロージング。第24回暗黒星雲賞、センスオブジェンダー賞贈賞式、空想科學小説コンテスト発表、レトロ星雲賞発表、閉会式。さすがに疲れてきたので、記録は略。[;_ _][;^J^]

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 来年は、鳥取である。舞台上で挨拶と勧誘。ついうっかり、申し込んでしまった [;^J^]。来年の8月29日と30日に、仕事が入りませんように..また、初鳥取なので、大会だけのとんぼ返りは惜しい。前泊と後泊の両方は無理でも、できればどちらかは実現したいところであるが..休めるだろうか?



 16:50に名残を惜しみつつ会場を発ち、19:35に横浜・鶴ヶ峰の実家着。途中、空模様は実に怪しく、なんどもポツリかけたし、京急線に乗っているあいだは瞬間的に土砂降りになったり、すぐにやんだりしていたのだが、最終的には傘を開かずに、実家の玄関に飛び込めた。(← この「雨」の記憶は、翌日の「雷雨」と混同している可能性がある。この夜はさほど降らなかったかも知れない。)

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Jul 26 2014
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