*2011年05月16日:「NOVA 4」
*2011年05月17日:また、こけた [;_ _]
*2011年05月18日:BS「極上美の饗宴“いのち映す超絶工芸”」
*2011年05月19日:展覧会の予定追加:「五百羅漢」など
*2011年05月20日:BSネタ、二題
*2011年05月21日:国会図書館/川本耕次(&竹熊健太郎)トークイベント
*2011年05月22日:「百花繚乱」「ルオーと風景」
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*2011年05月16日:「NOVA 4」


 「NOVA 4」(大森望編、河出文庫)読了。

 類例の無い古墳の絵の謎をめぐる、どこか暢気な筆致が楽しい「赤い森」(森田季節)、いわゆる「●●宇宙」もの(ネタバレ回避の伏字御容赦)だが、寓話的な語り口が独特のムードを醸し出している「宇宙以前」(最果タヒ)、手堅いSFミステリである「マッドサイエンティストへの手紙」(森深紅)と「警視庁吸血犯罪捜査班」(林譲治)が、いずれも特選・佳作級。「最後の祖父」(京極夏彦)は、スレた私には極めて早い時点でオチがわかってしまったのが残念であるが、これは作品自体の問題ではない。「社員食堂の恐怖」(北野勇作)は、オチが無いところが逆に値打ちなのだろうし [;^J^]、「ドリフター」(斉藤直子)、「瑠璃と紅玉の女王」(竹本健治)も、悪くない。

 しかしなんといっても、巻末を飾る雄編、「バットランド」(山田正紀)が、超特選である! 認知症の老詐欺師、二進数コードを発しながら洞窟の中を群れ飛ぶコウモリたち、蒸発するブラックホール、量子のもつれ、インド神話の神々、などなどの、絢爛たるモチーフ群がさんざめく、古き良き気宇壮大なSF! 素晴らしいのは、細かい辻褄合わせや理屈付けに囚われていないところで、とにかく、なんらかの「説明」をすべき個所で、「解明のしようがない」「わからない」のオンパレードなのである [;^J^]。私とて、ハードSFのファンであり、小難しい理屈やロジックの飛躍についていくのは大好きなのだが、本作のように、細かいことはさておいて、ひたすら壮大なヴィジョンの面白さで押し通すSFもまた、大好きなのである。宇宙の彼方で消滅しかかっているブラックホールと、「情報保存の法則」の破綻による宇宙の消滅の危機にたちむかうコウモリの群れ!(細かい突っ込みどころも、指摘しておこう [^.^]。p317の「オーヴァーダブー」と「ピッチ音高」は、「オーヴァーダブ」と「ピッチ」(または「音高」)が、望ましい。)

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*2011年05月17日:また、こけた [;_ _]


 自分(自転車)の右前方を走る自動車には要注意である..ということは重々承知しているはずなのに、やってしまった [;_ _]。朝の出勤時、右前方を走っていた車が、ウィンカーも出さずに、いきなり左折してコンビニの駐車場へ [;_ _]凸。幸い、急ブレーキが間に合い、ぶつかりはしなかったが、バランスを逸して駐車場内でこけてしまった [;_ _][;_ _][;_ _] ..ま、自爆である。[;^J^]

 被害は、右ハンドルに取り付けてあるバックミラーが折れたことと、チェーンが外れたこと [;^J^]。おかげで、チェーンをはめる練習ができました [;^.^]。さらに言うと、サドル下に取り付けてあるバッグに常備している軍手とウェス(ハンカチ)が、初めて役に立ったのでありました。[;^.^]

 夕刻、会社からの帰途、ナカノサイクルセンターに寄って、バックミラーを交換した。

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*2011年05月18日:BS「極上美の饗宴“いのち映す超絶工芸”」


 BSプレミアムには、NHKの底力を見せつける、素晴らしい番組が多い。「極上美の饗宴 シリーズ“いのち映す超絶工芸”」も、録画している。どうやら、幕末から明治(あるいは戦前頃まで)にかけて、特に海外で高く評価されながらも、現在、日本では忘れ去られている工芸家たちを取りあげる短期シリーズらしい。

 5月2日に放映された「生き物が踊る器 陶芸家・宮川香山」、5月16日に放映された「色彩めぐる小宇宙 七宝家・並河靖之」、ともども、永久保存に値する内容。とにかく、あまりの超絶技巧に、言葉を失う。誇張ではなく、この世のものとは思えないのである!

 このシリーズを支えているのは、言うまでもなく、ハイビジョン技術である。こればっかりは、「番組のコンセプトさえ素晴らしければ、標準画質でも十分」、とは、言えないのだ。思い切って言うと、ハイビジョンで無ければ(この解像度を確保できなければ)、視聴する意味も保存する意味も、無いのである。

 次回は、5月23日の、「金属に刻んだ一瞬 彫金家・正阿弥勝義」である。番組情報によると、

こちらに飛びかからんばかりのカマキリ。鳴き声が聞こえてきそうなセミ。金属とは思えないほどリアルな生き物を作ったのは、明治の彫金家・正阿弥勝義。タガネと呼ばれる道具を駆使した超細密描写は、世界を驚かせた。勝義は、幕末、刀の金属に装飾を施す仕事で生きてきたが、40代半ばのとき、明治の廃刀令で職を失う。逆境からの再出発。前代未聞の表現を求めた果てに、たどりついた技の秘密を探りながら、その人生を追う。

 ..とのことである。楽しみだ。

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*2011年05月19日:展覧会の予定追加:「五百羅漢」など


 見落としていた!

*江戸東京博物館
 「五百羅漢
 7月3日(日)まで

 ..観に行けるのは、早くて6月11日(土)。6月いっぱいなので、案外、油断がならない。見逃さないようにしないと..てゆーか、ほとんど毎週末の東奔(東京)西走(京都・大阪)では、交通費が洒落にならんのですが..[/_;][/_;][/_;][;^.^]

 ..あ、これも追加だ。

*山種美術館
 「美しき日本の原風景 −川合玉堂・奥田元宋・東山魁夷−
 6月11日〜7月24日(日)まで

 ..うーむ、(当たり前だが)きりがない。[;^J^]

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*2011年05月20日:BSネタ、二題


 現在、追跡中のBSプレミアムの番組、「コズミックフロント 〜発見!驚異の大宇宙〜」シリーズ。4月5日から、「ハッブル宇宙望遠鏡」「地球外生命を探せ 〜ついに発見!?生命の星」「ダークマターの謎に挑む」「月への翼を手に入れろ! 〜史上最大のエンジンはこうして作られた〜」、と来て、5月17に放映されたのが、「火星探査車 7年の冒険」。いうまでもなく、2003年に打ち上げられ、2004年に火星に着陸した、2台のマーズ・エクスプロレーション・ローバー(火星探査車)、「スピリット」と「オポチュニティ」が主人公である。当初の設計品質では、90日の寿命しかないはずだったが、実に7年間にわたって、動き続け、観測し続けてきたのである。この番組で初めて知ったのだが、2011年4月、ついに、スピリットからの連絡が途絶えたらしい..(オポチュニティは、まだ、生きている。あと何年、動き続けられるだろうか..)

 もうひとつ。これはBSプレミアムではなく、WOWOWの「ノンフィクションW」シリーズのひとつ。5月16日に放映された「ルーベンス・幻の絵画 〜世界最古のオークションハウスの裏側を追え〜」の録画も、片付けた。

“歴史と伝統のオークションハウス”ドロテウムにおいて年に2回開催されるという大型オークション。今年4月に開催されたそのオークションの目玉商品として出品が決定したルーベンスの幻の絵画に焦点を当て、世界最古のオークションハウスの裏側に迫る!

 ..要するに、ルーベンス作品としては類例が(ほとんど)無い珍しい図像の作品が出品され(持ち込まれ)、それの真贋鑑定から値付け、オークションのカタログの(入札意欲を高める)編集方法、内覧会での配慮、秒単位で進行するオークションの現場、それをコントロールする競売人の役割と業務の実際、などなどのドキュメンタリーである。全く新たな知見は、余りなかった(要するに、知っていることが多かった)のだが、このように45分番組としてまとめてもらえると(知識の整理やサーベイの用途に)非常に便利である。「開始価格を低くすると、盛り上げることができる」など、本質的にはヤフオクでも同様に通用するノウハウも多々あり、興味深かった。

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*2011年05月21日:国会図書館/川本耕次(&竹熊健太郎)トークイベント


 今週末はまたしても、東京で遊蕩三昧である [;^.^]。6:30に自宅を発ち、ひかりで上京。9:15に国会図書館着。

 主として、「鉄腕アトム《オリジナル版》復刻大全集 ユニット7」所収の「アトム今昔物語(原題:鉄腕アトム)」の、初出紙(サンケイ新聞)との照合の続きである。約5時間作業して、あと14ヶ月分。残りの工数、推定9時間といったところか。あと2日かかるかな..また、これと並行して、「洋酒天国」(サントリー刊)の、所蔵されている全てのマイクロフィルムに目を通した。(私の苦手な横スクロールであり、疲れた..[;_ _])手塚治虫のイラストが、どこかに掲載されているはずなのだが、発見できなかった。なにしろ、半数近く欠号で、所蔵されている分についても、欠頁が多いのだ。国会図書館ではここまでとして、この雑誌は、あと少なくとも、大宅壮一文庫と日本近代文学館に(同様に、ボロボロに歯抜けの状態で)所蔵されているはず。夏までに調べられるかなぁ。

 14:50に退出し、15:35に米澤嘉博記念図書館。16時からの川本耕次氏のトークイベント「SFと美少女の季節 ──Pekeから少女アリスまで」を聴くためであるが、おやびっくり。旧FCLAの知人、R氏(本名、K氏)とばったりと再会。音楽系以外のイベントで会うとは思わなかった。[;^J^]

 予定どおり、16時に開始。おお、なんということだ、今日はマイクがハウってない [;^.^]。聴きやすくてまことに結構 [^.^](← それがフツー。[;^.^])後半、質疑応答に入ってから、客席に来ていた竹熊健太郎氏が壇上に呼び出されて盛り上がり、終了予定を30分押して、18時まで。非常に情報量の多いトークイベントで、ノートを取る手が追いつかなかった。せっかくメモしたので、テキスト起こししたまま(未整理のまま)以下に貼り付けておく。読みにくいとか筋が追えないとかの苦情は、受け付けない。[;^J^]

「A5版の夢 −貸本漫画小論−」(川本の個人誌)について。水木しげる、白土三平ら、メジャーどころは除く。貸本を集めだした頃には、既に有名どころはマニアたちに漁られつくしていて、日の丸文庫とかのスカ(笑)しか残っていなかった(ので、それらしか買えなかった)ということも、ある。

大学4年生の、就職協定解禁日(10月1日)、みのり書房の社員に(騙されたとは言わないが)なりゆきでさせられていた(笑)。「月刊OUT」が、ヤマト特集以降、売れ始めていた頃。でも、入っても、やることはない。官能劇画の編集は、そもそも編集長ひとりで十分なのであり、なぜ雇われたのか、意味がわからない(笑)。

仕事は、「写植貼り」と「タイトル決め」のみ。大学4年の10月1日以降は、大学にも行かずに、毎日こんなことばかり(笑)。写植の貼り方は憶えたかな(笑)。

月刊Peke創刊へ。関あきら(スターシマック)、桑田次郎、日野日出志、いしかわじゅん、野口正之(この雑誌でデビュー)、さべあのま、古河益三(現まんだらけ社長、元々は漫画家)。

もともとみのりは、漫画界にルートが無かったので、編集者(川本)が好きなように引っ張って来れた、ということはある。

吾妻ひでおに「SFのパロディを描いてください」と依頼した。(「どーでもいんなーすぺーす」)これをきっかけに、SFファンの間に、吾妻ひでおの名が浸透した..と思う。

OUTの吾妻ひでお特集号(1978年8月号)、よく見たら、イラストはさべあのまだし、文章は阿島俊(米澤嘉博)なので、多分、私(川本)が(記憶はないが)手掛けた特集なのではないか、と..(笑)

大体、こういう特集(水木しげる、とか)は、米澤に投げる..と、なんとかなる(笑)。

Peke、最終号の編集後記で、やめます、と書いたら、「やめないでくれ」というハガキが、5千通、来たらしい。この人数が普段から買ってくれていたら、やめずにすんだろうに(笑)。

Comic Again の仕事も(みのりはやめていたけど)引き続きやってました。

その後、アリス出版へ。なぜアリスが編集者を探していたかというと、亀和田武が、(相対的には売れない、漫画雑誌である)劇画アリスの仕事(宣伝)ばかりしてて(当時から、やたらとテレビに出る男であった)、会社の本業(稼ぎ頭)である写真誌の仕事をしないから(笑)。

..というわけで、アリス出版の社長の思惑どおり、私(川本)が入るのと入れ替わりに、亀和田が馘(笑)。但し、これで劇画アリス(漫画雑誌)の編集ができると喜びいさんでいたら、それは米澤に回された(笑)。なぜならアリス出版にしてみたら、漫画雑誌は儲からない副業であって、そういうのは外注(米澤)で十分、社員は本業(写真誌)で儲けろ、ということ。それで、少女アリスへ回された。(この頃、吾妻ひでおは、既にシベールを出していた。)

7号には、とりあえず、ゴタゴタマンションの再録。(間に合わなかったから?)

増刊少女アリスに、「午後の淫荒」からスタート。

Pekeの頃から、次はロリコンが来る、と、編集者の勘として掴んでいた。

では、写真誌の枠の中で、どうすればいいか。抒情的な写真。疑似ロリコン(セーラー服は着ているが18歳以上)。

10号は、吾妻ひでおが落とした(2色だから?)。代原(穴埋め)は、村祖俊一

少女アリスの(川本が手掛けた)最終号に載った吾妻作品「夕顔」は、ギリギリだったので写植じゃない。(単行本では、もちろん写植。)この号で、川本はアリス出版を離れた。

「ロリコン大全集」へ。今見ると、たいして過激な内容ではない。文章、漫画、イラストが中心で、写真は少ない。

この頃、既に世はロリコン大ブーム。吾妻ひでおは、ブームになるとそこから逃げ出すというひねくれた性癖の持ち主なので、「ロリコン大全集」に載せた「仁義なき黒い太陽」は、女の子がひとりも出てこない、おっさんばかり出てくる、嫌がらせのような(笑)作品。

吾妻ひでおは、COM的な要素とガロ的な要素を両方とも兼ね備えている、希有の存在。

常に、自己否定から入ってくる。少女漫画や少年漫画で地歩を築いていたという枠を、自ら壊す。SFで評価され、神様扱いされるようになると、居心地悪くなるのか、またそれを破壊して、そこから出ていこうとする。

自分が編集者をしていたのは、78年9月から82年までの、短期間。但し、(小出版社の)編集者の裁量範囲は、非常に大きい。

少女アリスの、1冊の制作費は、35万円ぐらい。カメラマンは、自分なのでただ。モデルが3.5〜4万。(ほとんど、川本の四畳半ふた間のアパートで撮影。機材はあるし金かからんし。)吾妻ひでおの原稿料が、1万円/頁、漫画は大体2本で、もうひとりの漫画家が、もう少し廉くて、3.5〜4千円/頁。最大、月に10冊ぐらい作っていた。

(サン出版に行った)佐川俊彦も、同期。

コミケを立ち上げた原田氏、亜庭氏らは、米澤/川本/佐川よりも、2〜3年、年上で、最初から社会人であった。米澤/川本/佐川は、学生からスタート。米澤は最後まで社会人にならなかった(笑)。

原田氏は公務員で、公務員は少しは時間があるのでコミケを立ち上げることができたが、コミケが巨大化し、公務員(社会人)の手に余るようになったので、手を引き、米澤が引き継いだ、という経緯がある。

Q.Pekeもひとりで編集したのですか?
もうひとりいた。(大徳氏。)ただ、雑誌の編集は、本来、ひとりでやる(責任をとる)べきもの。

Q.ロリコン雑誌やロリコン本をたくさん作っていますが、ロリコンなんですか?(笑)
そもそも、未成年のヌードは商品化できない、という環境があった。
嚆矢は、「12歳の神話」
京都の華族出身の清岡純子
こういう可能性が、あるのではないか?
当時、漫画のエロは、無かった。(三流)エロ劇画(の暑苦しい絵柄)しか、なかった。エロは普遍的なもののはずなのに、これはおかしいのではないか、と思っていた。手塚調の絵柄のエロがあってもいいのではないか。ロリコンが売れる下地はあるのではないか、という思いはあった。

自販機本の最盛期は、80年8月まで。
この月の少女アリスが、5万1千部。
これだけ多数売れるのは、ある意味当然で、全国に8千台の自販機があるから。
しかし、PTAがうるさくなってきて、自販機は減り始める。
購入(設置)した自販機の元を取るまでは、置き続け(売り続け)てもよい、という、PTAとの密約的なものはあったが、そのあとは撤去されることになる。

エロ業界の宿命のようなものがあって、参入障壁が非常に低いように(すぐに楽して儲かるように)、外からは見える。で、軽い気持ちでバンバン参入してくる。パクられて(痛い目にあって)目が覚め、尻尾を巻いて逃げる。

1974〜5年に、自販機ポルノがスタートした。
そもそも、静岡県の焼津で、ツナピコという(マグロが原料の)酒のツマミが、B5サイズの容器(袋)に入れられ、ワンカップ大関といっしょに、自販機で売られ始めていた。これが、1973〜4年。
この機械が、自販機ポルノ(これもまた、オカズっちゃーオカズ(笑))の販売にも流用された。これが、1974〜5年。
だから、自販機ポルノは、B5版。
ちなみに、自販機本は500円、ビニ本は1000円。

ロリコン漫画の歴史的には、1976年がエポックではないか。

ロリコン漫画をビジネス面から見ると、吾妻ひでおよりも、野口正之(内山亜紀)が売れたことが大きかったと思う。

(ここで、竹熊健太郎が、客席から呼び出され、以降は、話が飛ぶ飛ぶ。[;^.^] というか、流れがない。以下、ついてこれないと思うが、悪しからず。)

竹熊のキャリアのスタートは、アリス出版
川本氏が1953年生まれ。
竹熊氏が1960年生まれ。
竹熊氏はアリスに、1980年に川本氏と入れ替わりに入社した。

エロ本の絵柄のコードが、劇的に変わったねぇ..

さべあのま/高野文子/柴門ふみは、スタート時から「少女漫画」ではなかった。「女流漫画家」だった。
山田双葉(山田詠美)もエロ漫画出身。

そして、「レモンピープル」。商業ルートで成立したロリコン誌は、これが最初だろう。
「漫画ブリッコ」小形克宏、大塚英志
「ふゅーじょんぷろだくと」
このあたりの時期は、サブカルの歴史的には極めて重要なのだが、ほとんど記録が無いねぇ..

70年アンポで暴れて、まともな就職ができなくなった運動家が、エロ本屋に流れてきたんじゃないか。(竹熊)

全共闘か、寺山修司か(笑)(川本)

女性器の写真が掲載されたのは、「少女アリス」(沢渡朔)が最初ではないか? さもなくば、家庭の医学とかの図鑑の類(笑)(竹熊)

当時、陰毛さえ写っていなければ、そのものが写っていても、とおしだったよね。そもそも、取り締まる法律が無かったし。

「レモンピープル」が先んじていたのではあるが、「漫画ブリッコ」(大塚英志編集)が、83年5月号で編集モード(絵柄)を(暑っ苦しいエロ劇画から、ロリコン系へ)切り替えて、それまで売れていなかったのに完売した。
作家性をもった作家(ニューウェーブ系とか)を、編集者が好き勝手に起用しだした。

自販機本の表紙の決まりごと(定石)
片面は、下着が写っている(← 銀紙でガードされている自販機で見せる面)
片面は、下着が写ってない(← 学校近くに設置されてる自販機で見せる面)

当局(取次)は、表紙しかチェックしない(そもそも、中は見れないわけだし)。下着が写っていないソフトな表紙は、数を売るために、必要。

劇画が主流だったのが、1978年頃に流れが変わった。

吾妻ひでおの革命は、手塚系の絵でエロを描いたところ。
絵柄は手塚、中味はつげ(的)。
吾妻が偉いのは、採算を度外視して挑戦し続けるところ。(確立したルーチンを守っていれば、安泰なのに..)

マスセールスで漫画を考える時代は、もう終わるだろう。(震災がそれを加速するだろう。)少なくとも紙の雑誌は、大きな影響を被る。電子出版に移行する?できる?(竹熊)

日本の漫画は(紙の世界では)黒と白による表現、という縛りがあった。ネットでは、前提条件が全く異なる。カラーの方が馴染みがいいし、そもそも捲(めく)らない。「ページ」という単位が無い。
但し、いまのところ、電子出版はペイしていない。

漫画本体で採算をとることを考えず、漫画はプロモーションと割り切り、グッズ販売(等)で食っていく、という考え方もある。(川本)

いずれにせよ、漫画家のビジネスの内容が、変わるだろう。(竹熊)

社員編集者は、社員なのだから失敗が恐いし、枠組みを作りたがる。枠組みの中では優秀な人も多いが..

「消えた漫画家」の企画は、最初は私(竹熊)に来たのだが、あの時点で俺がこれをやるとヤバイだろう、と判断して断ったところ、いつのまにか大泉実成にいった。(竹熊)

 トークイベント後、R氏も含めて計5人で、世界の山ちゃんでオフ。タッチパネル式の端末から注文できるのだが、なぜか電源が落ちていたので起動したところ、Debian GNU/Linux の起動画面を見ることができた [;^J^]。てっきり、Windows XP あたりだと思ってました。

 散会後、R氏と今夜の宿(水道橋の スパ ラクーア)へ。21:30着。

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*2011年05月22日:「百花繚乱」「ルオーと風景」


 スパ ラクーアを8:50に発つ。山種美術館に9:40(開館20分前 [;^J^])着。「百花繚乱」である。

 惹かれた作品をピックアップすると..「紅梅・白梅」(速水御舟)、「桃花源図」(山本梅逸)。「朝陽桜」(橋本明治)は、同じパターンの花びらによるタイリングの妙が印象的だし、「初夏の花」(奥村土牛)は、すっきりとした画面構成の魅力的である。小品「朝顔」(安田靫彦)は、蔓の鮮やかなカーブと色彩のバランスが素晴らしく、是非とも欲しい!と思ったが、もちろん、買えません。[;^J^]

 「紅蜀葵」(杉山寧)は、鉢の中に、バランスを逸した大きさの赤い花が置かれている、洒落た作品。圧巻が「華鬘」(西田俊英)で、モローの絢爛たる幻想絵画を想起させる大作。目を近づけてみないと視認できない、繊細極まりない肌触りは、残念ながら図録では再現不可能である。(十分なコストをかければ可能かもしれないが、冊子としては現実的ではないだろう。)ほか、見事な構図の「寒椿」(横山大観)、幻想的大作「牡丹」(福田平八郎)、「牡丹花(墨牡丹)」(速水御舟)など。

 11:30に発ち、12:30汐留ミュージアム。「ルオーと風景」である。

 沼とニンフを幻想的な空気感の「理想的風景」として描き出す、初期の「人物のいる風景」のほか、「郊外のキリスト」「たそがれ あるいは イル・ド・フランス」「夜景 または 秋の風景」「キリストと漁夫たち」などが印象的。規模の小さい展覧会であり、図録もそれにみあってまとまりが良く(収録作品群の魅力もあってめくっていて気持ちが良く)、これは大変、お買い得である。

 13:50に発ち、14:30御茶ノ水。小雨になった。徒歩5分の明治大学アカデミーコモンB1Fの「吾妻ひでお美少女実験室」。会期は明日までであり、もちろん私は今日が見納めである。

 心残りなく見終え、15:35に地上に戻ったら、なんと、はんぱない、ちょ〜土砂降り [;^.^]。雨量もさることながら風が強く、傘は持っているのだが、そんなものでは上半身しかガードできそうもないので、1Fのホワイエの隅のベンチで読書しつつ、小止みになるのを待つ。

 ..十分な小降りにはならないものの、いつまでもこうしているわけにもいかないので諦めて、16:00過ぎに(それでもいくらかマシになった雨の中に)飛び出し、コミック高岡にだけ寄ってメトロ(半蔵門線)に逃げ込む。東京発17:03のひかりで浜松へ。メイワン谷島屋と遠鉄デパ地下に寄って、19:30に帰宅。

 これで、今週末の上京遊蕩は終わりである。来週末は浜松から出ない予定だが、再来週末は、またしても上京するのである。まったく、なんとかならんものか。[;^J^]

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*解説


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Last Updated: May 26 2011
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