*2008年10月20日:「ゴーレム100」
*2008年10月21日:「ダーティペアの大帝国」
*2008年10月22日:黒い安堵感
*2008年10月23日:座布団の謎
*2008年10月24日:福島旅行を画策する
*2008年10月25日:バカリズム:科学の進歩
*2008年10月26日:魔術の時代
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*2008年10月20日:「ゴーレム100」


 昨年から積みっぱなしだった、「ゴーレム100」(Alfred Bester、渡辺佐智江訳、国書刊行会、未来の文学)を、ようやく読んだのだが..わはははは! これは、期待にたがわぬ傑作!(なのか?)[;^O^][;^O^][;^O^] これがどんな作品なのか知りたければ、「ゴーレム100」でぐぐって見なさい。「すげぇっ!」以外のレビューは無いから。[;^.^]

 ブレードランナーとメトロポリス(手塚治虫の漫画ではなく、フリッツ・ラングの1927年の映画)をごちゃ混ぜにしたような未来の巨大都市で、謎めいた残虐な連続殺人事件が発生していた。それは、8人の有閑マダムが暇つぶしに悪魔召喚の儀式を執り行ってからのことであり、実は彼女らも気が付いていなかったのだが、不可視の悪魔ゴーレム100を出現させていたのだった..という序盤から、集合的無意識の世界へのダイビングや、それのグラフィック表現も含めて、「普通に面白いSF(しかも結構整理が行き届いている)」じゃん、と思いながら読み進めたのであるが、さすがに終盤のドライブ感は素晴らしい。最終章では、作品まるごとどこかの世界にかっ飛んで、お星様になってしまいました。[-人-][-人-][-人-][^.^]/~~ 超お薦め!

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*2008年10月21日:「ダーティペアの大帝国」


 これも去年から積んであった「ダーティペアの大帝国」(高千穂遙、早川書房)を、一気に読了。

 前作「ダーティペアの大征服」に続く、「バーバリアン・エイジ」シリーズ2部作の完結編。「バーバリアン・エイジ」とは、最新テクノロジーで、大陸まるごとひとつをゲーム世界に仕立てあげた超人気テーマパークであり、これが犯罪組織にハックされたという情報を受けて、主人公たちは潜入操作を行ったのだが..という趣向。どうやら、セカンドライフ+ポケモンらしいのだが、どちらもやったことないので、よーわからん [;_ _][;^J^]。いずれにせよ、損はさせない読み捨て作品、といったところか。

 「ダーティペア」とくれば「大量死」なのだが [;^J^]、前作では(この設定故の必然とはいえ)ひとりも死なないどころか、怪我人すら出ないという驚天動地の展開に腰を抜かしたのだが、完結編たる本編のラストでは、きっちりとアレしたので、一安心 [^.^][;^.^]。やはり、「型」というものがございますのでね。[^J^]

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*2008年10月22日:黒い安堵感


 昨年来の、某幻想マンガ関係プロジェクトの校正紙が届いた。執筆者全員に送られており、他の人が書いた原稿を読めるのは非常に勉強になるが、もちろん、今更それらを読んで自分の原稿を書き直せる段階ではない。私が担当した漫画家は25人(25項目)なのだが..あらら、24人分しか入ってない。最後に提出した手塚治虫の稿が入ってない! 1ヶ月も前に提出したのだから、マージが間に合わなかったとは考えられず、編集者のケアレスミスだろうが..これではまるで、事情を知らない他の執筆者たちには、倉田が落とした(遅れている)ように見えてしまうではないか![/_;][;^.^]。編集者にメールで指摘するとともに、全員が読んでいる連絡用掲示板に、この件を(わ、私は提出したんだからね!、と)アピールしておく。[;^J^]

 それはそれとして、手塚治虫の項の提出がかなり遅れたのは事実であり、それ故、私が全体の進行の足を引っ張ったのではないか、と、やきもきくよくよしていたのであるが..なんだ、今の時点で、まだ上がっていない項がたくさんあるではないか。遅れている執筆者が大勢いるではないか。私ひとりが悪者というわけではなかったのだ..と、(編集者の苦労など一顧だにせずに)胸をなでおろしたことは、言うまでも無い。[;^.^](← これはもちろん普遍的な人間心理なのであって、私個人の人格を云々するような矮小な次元の問題ではないことは、指摘するまでもないだろう。[^.^])

 それはともかく [;^J^]、私が担当した24項目の校正に、早速、とりかかる。

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*2008年10月23日:座布団の謎


 自分の担当分の項目の校正を(手塚治虫の項を除いて)完了。

 以前から不思議に思っていたこと。それは、大相撲で番狂わせが起きたときに(?)投げられる座布団である。アレは一体、なんなのさ。[?_ _]

 一体、どういう「気持ち」で投げているのだろうか。目出度いことが起きたことに対する「祝福」なのだろうか。起きるべきではないことが起きたことに対する「怒り」なのだろうか。それとも単に、珍しいことが起きたが故の「お祭り騒ぎ」なのだろうか。

 もともとは、江戸時代、贔屓の力士に羽織を投げたていた名残らしい。で、力士本人がお客さんに羽織を返すときに、それと引き換えに祝儀をもらっていた..とすると、やはり「贔屓力士」の「目出度いこと」に対して、座布団を投げているわけか。つまり、「下位の贔屓力士が上位の力士を倒すという番狂わせ」を祝福しているということなのかな? ..と、ここまで考えてからぐぐってみたら..あらら、予想が当たってしまった。[;^J^](「これといった理由はない」というのも含めて)いくつかの説があるようだが、大体において私が推測したとおりの理由。困った。「..と推理してから、さてそれでは、と調べてみたら、全然ちがーう! なんてこった、どうして間違えた!? ..」、と、話をふくらませる予定だったのにーー。[/_;][/_;][/_;](← こういうのを「番狂わせ」という。(← いろいろ、違う。[;^.^][;^.^][;^.^]))

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*2008年10月24日:福島旅行を画策する


 福島県の「諸橋近代美術館」に行きたいが、11月一杯で(来年の4月19日まで)閉館になっちゃうよう、困った、困った..と、先週書いたのだが、11月下旬の3連休に(多分、休日出勤ネタもないだろうから)二泊三日で行ってみようか、と、考えているところである。(流石に、浜松から福島県の美術館まで、日帰りで行く気はしないので。[;^J^])

 さて、そうなると、宿泊場所を決めなくては..と、ふと気が付いたら、楽天トラベルで「1番廉いビジネスホテル」を探していたりするし [;^J^]。多分、違うんじゃないかなぁ。[;^J^]

 大体、記憶に間違いがなければ、福島県に足を踏み入れたことなど無いぞ。(つまり私主観の世界観では、人跡未踏の地ということになる。)二泊三日するとしても、どこで遊べばいいのか、見当もつかん。そうでなくとも、観光的にはえらく美味しい日程なので、今から(ビジネス的ではなく観光的な)ホテルの予約なんか、取れないんじゃないだろうか? そうなるとやはり、山奥の鄙びた(立ち腐れかけている)商人宿だろうか?

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*2008年10月25日:バカリズム:科学の進歩


 午前中、クリーニング出ししてから、谷島屋本店で「大道芸ワールドカップin静岡」の公式パンフレットを購入し、その足で湯風景しおりへ。午前中は曇っているが、天気予報によれば、午後から晴れそうだったのだが..結局、陽は射さず。まぁしゃあない。日光浴ならぬ微風浴というのも、なかなか乙なものであるからね。

 帰宅したら、手塚治虫の項の校正紙が届いていたので、早速校正する。

 夜も更けてから、「バカリズム ライブ 科学の進歩」の録画を見る。バカリズムというピン芸人は、つい最近になって、レッドカーペットで「発見」したのであるが、偶然、CSでソロライブステージ(の録画)が放映されるのを見つけて、録っておいた次第であった。(このライブは、DVD化されているようだ。)ふむふむ。なかなか面白い。レッドカーペットで見た「贈るほどでもない言葉」は、このライブではやや感情がこもりすぎていて、レッドカーペットでの比較的淡々とした語りの方が私は好きであるなど、多少の出来不出来は、もちろんあるが。

 個人的にもっともウケたのは、「にゅーす」である。精神年齢が小学生並みのニュースキャスターが、チーフADの白石君に意地悪されたり、プロデューサーに叱られりして、泣きベソかいたり号泣したりしながらニュースを読むというネタ。小学生の泣きじゃくり方や開き直り方やはしゃぎ方が、実にリアルでねぇ [;^J^]。オーディエンスの反応も、これが一番良かったのだが、最後の挨拶でバカリズムが言うには、これが一番いい加減な台本で [;^J^] 1時間で出来てしまったネタなのに(何しろ泣きゃいいだけなのだから [;^.^])、他の時間をかけて作り込んだネタが負けるのは、複雑な気持ちであるとのこと..世の中、そんなもんだよ。[;_ _][;^J^]

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*2008年10月26日:魔術の時代


 ..といっても、オカルトの流行とか、そういう話ではない。右記のページを読んで思い付いたのである。→ http://d.hatena.ne.jp/piedra/20081021


内田樹の本を読んでいたら、たいへんにおもしろいことが書かれていた。

 ネット上の匿名の貶下の言葉はしばしば呪詛であって、それによって実際に自殺に追い込まれる者がいることを考えれば、効力も確かである。平安時代よりも呪詛の実効力は確かだ。呪詛に対抗するには、匿名性を暴くこと(術を施した人間がわかると、そこへ呪いが跳ね返っていく=呪詛返しが効くから)、祝福によって中和することだ。――

 匿名性を暴くのは一般人には無理なので、祝福するというのが確かな手段だと思う。

 貶下の言葉の毒気を抜くためには、対抗的祝福だというのは、貶下の言葉を書いている(匿名ではないが)ので、よくわかる。それを上回る祝福を与えられれば、それは解消できる。敵対的言辞では不可能なのは、何かが起きたとしても不毛な論争(というか怒鳴りあい)にしかならないからである。

 祝福の言葉の効力が、それを発する人間にも返っていくというのは、これも別に匿名ではないが、内田の言う利得性を抜きにした仕事を長年やってきているので、よくわかる。実感的に感じられる。(後略)

 現代のネット社会で古代さながらの呪殺が横行しており、それに対抗するためには、true name の暴露と、祝福による中和という、まさに古代の叡智が有効であるという、ブラックマジックな実相の指摘に、まさに目から鱗が落ちた。

 言われてみれば、私自身、ネット内で「true name の暴露による呪詛返し」「祝福による呪詛の中和」のいずれも、実行/成功した経験がある。これからのネット社会においては、魔術の有効活用は避けて通れないということだろうか..(その場合、できれば、黒魔術ではなく白魔術であるに越したことはない。[^.^])

 幻想マンガ関係プロジェクトの原稿、(他の人の分も含めて)校正、了。まだ全部揃っていないので、また追加が来るはずであるし、再校もあるのだが、これでひとまず一段落。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Oct 29 2008
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