2006年05月08日:冤罪予防 2006年05月09日:野生の地獄 2006年05月10日:ブリジストン美術館/手塚治虫文化賞 2006年05月11日:「ダーティペアの大征服」「シャグパットの毛剃」 2006年05月12日:明治探偵冒険小説集 2006年05月13日:プチGWの終わり 2006年05月14日:「世界SF映画全史」目次へ戻る 先週へ 次週へ
このご時世、男性専用車両が必要ではないかと、切実に感じる。私は幸いにも(すし詰めの)列車に乗る必要はないのだが、毎日その必要に迫られている男性諸氏は、いつ何時、痴漢呼ばわりされるかわからないのである。仕事も家庭も失ってしまうリスクと隣り合わせなのである。保護手段が必要だと思う。
もちろん、実際に痴漢の被害に遭われている女性には、同情するしかないが..中には、面白半分に無実の男性を痴漢として突き出す女共がいるらしい。この話を聞いた時には、一瞬体感体温が下がったほど逆上したものである。こんな奴ら、レイプされてしまえ!とね。犯罪行為(誣告(ぶこく)罪)であるという自覚は、ないのかね。
目次へ戻るテレビの大自然系の番組が好きで、しばしば録画しているのだが、割とワンパターンなナレーションのひとつに「野生の楽園」というものがある。いかにも一面的なものの見方である。
CSの NATIONAL GEOGRAPHIC CHANNEL の「ビルト・フォー・ザ・キル」などを観ていると、「自然」は「天国」より「地獄」に近いのではないかと思う。「野生の地獄」である。喰う方にとっては天国かも知れないが、喰われる方にとっては地獄なのである。
昔、駐車場のコンクリートの上で死にかけていた蝶を、「せめて土の上で死ぬ方が幸せだろう」、と、草むらの中に移してやったことがあるが..コンクリートの上で死ぬ方が、その蝶にとっては幸せだったかも知れない。土の上に移されたことにより、生きたまま蟻たちに「徐々に」喰い殺されるという、恐ろしい死に方を迎えたのかも知れない。
人間に捕えられ飼い馴らされた家畜たち。彼らは「牢獄」という名の「地獄」にいるのか、捕食者たちから保護された「天国」にいるのか。
少年時代に昆虫採集などを通じて大自然に親しんだ手塚治虫は、エッセイの中で、何度か「草むらの下の小さな地獄」と書いている。この優れた感性が、あの偉大な作品群を生みだしたのである。
目次へ戻る私は今日から4連休。土曜日までプチGWである。帰省である。
いつもよりさらに早起きして、シャワーなどしてからコンビニへ。今日発売の「ザ・テレビジョン」誌を買うためである。水曜日に発売される週刊のテレビ情報誌には、その週の土曜日から翌週の金曜日までの情報が載っている。つまり、今週土曜日の情報は、今日発売のテレビ情報誌に載っているのだ。浜松に帰ってくるのは土曜日の午後なので、土曜日に録画すべき番組がある場合、今日のうちに入力しておく必要があるのだが..ざっと見たところ、特になし。
日記の更新日は明日だが、この帰省には端末を持っていかないつもりなので(エライだろう..って、何故いばる [;^J^])、一日前倒しである。大急ぎで更新する。
浜松駅発8:45のひかりで上京。まずは東京駅前のブリジストン美術館。ここに来るのは何年ぶりだろう。石橋財団50周年記念ということで「雪舟からポロックまで」という展示を行っている。すべてこの美術館の所蔵品であるが、そのレベルの高さに今さらながら驚嘆する。あぁ、この絵もこの絵もここにあったんだ..という作品が山盛りである。
神保町へ。取りあえず昼食ということで「スヰートポーヅ」で水餃子。ざっと回って荷物を増やしてから「さぼうる」で一休み。渋谷のタワーレコードでCDを4枚買ってから、横浜の実家へ。
吾妻ひでおの「失踪日記」が、「手塚治虫文化賞 マンガ大賞」を受賞した。めでたいことである。これで「日本漫画家協会賞 大賞」「文化庁メディア芸術祭 マンガ部門大賞」と合わせて、初の三冠!という報道が一部で見られるが、実は「四冠」がほとんど確定している。今夏の日本SF大会の「星雲賞」の「ノンフィクション部門」にノミネートされているのである。「監督不行届」(安野モヨコ)や「現代SF1500冊」<乱闘篇><回天篇>(大森望)もノミネートされているとはいえ、どう考えてもガチガチのテッパンレースである。
目次へ戻る帰省中、読書以外の予定がない。[;^J^]
「ダーティペアの大征服」(高千穂遙、早川書房)- これは昨日買ったのだが、今回は 驚天動地の新趣向。何しろ、ひとりも死なない!どころか、怪我人すら出ていない! 大量殺戮のないダーティペアなんて、クリープを(略)いやいや、素晴らしく面白いですよ [;^J^]。それにしても、本当にこの結末でいいのか? [;^J^]
「ゴシック名訳集成 暴夜(アラビア)幻想譚」(東雅夫、学研M文庫 伝奇ノ匣 8)- これは1年以上寝かせていた本。東雅夫の解説から引用すると、「西欧伝奇の一源流であるゴシック文学の粋を、歴史的名訳の数々によって全三巻に集大成する<ゴシック名訳集成>の第二弾となる本書は、18世紀西欧を席巻したアラビアンナイト幻想の申し子たる東方伝奇ファンタジーの精華を一巻に結集する、おそらくは史上初の試みである」ということになる。
劈頭に収録されているのは「ヴァテック」(ベックフォード、矢野目源一訳)。生田耕作が補筆した牧神社版を10年くらい前に読んでいるが、やはり特選級の名作・名訳である。以下、「黒島王の伝」(永峰秀樹訳)と「黄銅の都城の譚」(日夏耿之介訳)は、千夜一夜物語の歴史的邦訳。問題は、「シャグパットの毛剃」(ジョージ・メレディス、皆川正禧訳)である。
「400頁もあるのかよ〜」、と、いささかげんなりしながら読み始めたのである。なにしろ「毛剃」、つまりたかが床屋の話である。床屋が一体どうしたのだと思いながら読み始めたら..いやいや子細はこのさい省く。千夜一夜物語の顰みに倣って?挿入される長大な挿話「美人バナウァー」の凄み(渦巻く蛇の大群のイメージ!)に、ちょっと居住まいを正したところ、そのあと話がどんどん暴走していく。要は「悪者の魔力を消滅させるために、その源泉である(一本の)毛を剃る」話なのであるが、それを剃るために必要な魔法の剣を手に入れるための試練の数々。この剣は、念ずれば数千マイルの長さとなる。クライマックスにおいて、ほとんど無敵のスーパーヒーローと化した床屋は魔界の軍勢を率いてハルマゲドン級の大活劇を繰り広げる。たかが1本の毛を剃るために [;^.^]。少年ジャンプも真っ青である。彼はまた敵方の魔女の能力を封ずるために、「この剣の霊力で頭脳と思考力とを斬り断つ」ために、「刀身を魔女の頭へ入れて第一の考(かんがへ)と第二の考(かんがへ)との綴目を断(き)った」のだが..そんな器用なことしてないで、頭を一刀両断すれば? [;^.^]
とにかく、これは凄い。お薦め。
目次へ戻る「黒岩涙香集 明治探偵冒険小説集1」(ちくま文庫)- 「幽霊塔」と「生命保険」を収録。前者はさらに乱歩に翻案されており、それは既読。やはり素晴らしい。乱歩版にはもう少しどぎつい場面が追加されていたような記憶もあるが..いつかそのうち、読み比べてみよう。「生命保険」は、読了直後は佳作と思ったのだが..これを書いている時点では、ほとんど内容を思い出せない。[_ _]
「快楽亭ブラック集 明治探偵冒険小説集2」(ちくま文庫)- 講談の筆記。「流の暁」「かる業武太郎」「車中の毒針」「幻燈」を収録。涙香もそうだが、舞台がロンドンやパリだというのに、登場人物は(全て)日本人というのは、なんとも味のある世界である。
ほか、1〜2冊読了。
目次へ戻る実家を昼前に発って、新横浜から浜松へ直帰。雨も降っているし、都内に出る気もしなかったので。べんがら横丁の「竈」でラーメンを食べてから帰宅。4日間分の録画を、大車輪で片付け始める。
目次へ戻るアマゾンに発注していた「世界SF映画全史」(北島明弘、愛育社)が届いた。うわは、分厚い。これはアマゾンで正解。神保町で買って帰ろうかとも思っていたのだが、こんなに重たかったとは。
何しろ本文1000頁、目次100頁である。従来はSF映画のデータブックとしては「超SF映画」(中子真治、奇想天外社)を座右の書としていたのだが、それと並べて置かなくては。(データの「性格」が異なるので、リプレースすることはない。)大森望の日記には「通読するっていうより、事典がわりに使う本かも」と書かれているが..内容をざっと見たところ、これはやはり通読することが値打ちの書物である。トホホ..[;^.^](← 嬉し泣き)
目次へ戻る 先週へ 次週へLast Updated: May 18 2006
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