*2005年08月08日:無念の帰還
*2005年08月09日:衆院解散
*2005年08月10日:芸術家と政治家
*2005年08月11日:愛・地球博3回目
*2005年08月12日:愛・地球博4回目
*2005年08月13日:見果てぬ夢
*2005年08月14日:「奇想の図譜」
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*2005年08月08日:無念の帰還


 ホテルで洋食の朝食。午後から仕事なので、シンセを担いで8時過ぎにはチェックアウトしてメトロ赤坂駅へ。ぼちぼちラッシュアワーのはずなので嫌だなぁと思っていたのだが、千代田線は存外空いている。お盆だからかな? 何時のこだまに乗ったのかは忘れたが、とにかく午前中に浜松に着いてタクシーで帰宅。午後から出社。

 何が無念かといって..(午後から仕事なので)こだま車中でビールを飲めなかったのが、ほんっとーに! 口惜しゅうございました。[;_ _](← まだ午前中ですが。[;^.^])

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*2005年08月09日:衆院解散


 ついにやったか。郵政法案が参院で否決され、衆院解散。9/11投票。

 どうも反対派勢力は、首相が衆院を(本当に)解散するとは思っていなかったらしいのだが..しかしそれはちょっと読みが甘すぎたのでは。(「やりかねん」、とは思わなかったのかね。)まぁ確かに、「参院で否決されたからといって、衆院を解散してどうするんだよ」、というのは、筋である [;^J^]。新たな衆院で再度法案を可決して参院に送っても、参院の構成メンバーは同じなのだから、また否決されるだけじゃん、とね。まぁ、お手並み拝見だ。

 ちなみに私がどういう投票行動を取るかは、この日記には書かないことにする。

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*2005年08月10日:芸術家と政治家


 おゃおゃ、と思ってしまいました。「レコード芸術」誌7月号に掲載されている、カツァリス(ピアニスト)のインタビューの一節(187頁)。


 さて、演奏旅行中はどのように過ごしていらっしゃいますか?
 ホテルの自室に置いてもらうクラヴィノーヴアで、昼も夜もさらっています。しかし私は、演奏会当日はまったくピアノにさわりません。演奏会にすべてのエネルギーを放出するからです。また、私は休暇もほとんどといっていいほどとりません。というのも、私は音楽によって疲れることは全くないからです。実は疲れを無くしてしまう方法があるのです。人が疲れるというときにはたいていの場合、からだが疲れているのではなく神経が疲れる、ということを指します。若い時から私はこれら精神的な諸問題に興味があり、精神医学やヨガなどいろいろなことを調べました。しかし満足しなかった。ところが27年前頃の1976年に、すばらしい本『ダイアネスティクス』に出会ったのです。アメリカの偉大な哲学者ロン・ハバート氏による精神面と意識の探求について書かれた、あのトム・クルーズと小泉純一郎も読んでいるという本です。この本は、対人関係や音楽について私にとって非常に大きな助けになりました。
 ハバート氏は、もっとも高い質のコミュニケーション(意志伝達)が芸術である、と言い、彼の本によって、音楽的感情の意志伝達がとても容易になったのです。録音をする時はライヴ演奏のように意志伝達をしなくてはならないのですが、それはとても難しい。そのメカニズムと現象を理解することで、意志伝達がより容易になるのです。もし問題が起きた時に、その源がわからなければ対処できません。この生涯か、前世のことが要因かもしれません。この思考は仏教に似ているところがありますね。次のステップは、サイエントロジーです。

 ..[;^.^] いや私は、芸術家がそういうものに頼ることには、全く反対しないのです。芸術は科学ではない。だから例えば(話が飛躍するが)アンドレ・ブルトンの名著「魔術的芸術」が「魔術(魔法)」の存在を前提として美術史を読み替え・組み替えているからといって、これを「トンデモ芸術史観」として退けるつもりは全く無い。

 でも..政治家の読み物としては、どうかな。[;^J^]

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*2005年08月11日:愛・地球博3回目


 浜松駅前7:50の往復バスで出発。(この往復便は、7:30〜8:00の間に、何本も出ている。今日は8台ほども出るらしい。)東ゲートの駐車場に、9:30着。会場内に入れたのが、9:50。まずは、グローバル・ハウスの整理券の列に並び、12時からの回の整理券をもらう。全体に僅かに雨っぽく、屋外での読書には不向き。(本に時折水滴が落ちる。)つまり、長時間行列には不向きな日である。朝食抜きだったので、愛・地球広場に面しているワールド・レストランで、ブランチとして冷やしタンタン麺を食べる。まずまずの味。

 午前中はグローバル・コモン2(北・中・南アメリカ)。まずはカナダ館から。外周空間と内側空間で、それぞれ映像を見せてくれる。趣味は良いが..という程度の印象。引き続きキューバ館。これといって見るべき物もないが、休憩所としては悪くない。バーでフローズン・ダイキリを飲む。

 時間が来たので、グローバル・ハウスへ。この時初めて気がついたのだが、私がもらった整理券は「ブルー」の整理券なのである。グローバル・ハウスはブルーのエリアとオレンジのエリアに分かれていて、ブルーの整理券の人は、ブルーのエリア(とマンモスラボ)しか見られないのである。(オレンジの人は、オレンジのエリアとマンモスラボ。)そんな話は、私聞いておりませんでしたけどね [-_-]凸。まぁ、ブツブツ言っても仕方がないので、唯々諾々とガイドに従う。

 ブルーのエリアでは、10メートル×50メートルの、世界最大級の超ワイドシームレススクリーン「レーザードリームシアター」が観られる。なるほど、確かにこれはちょっと感動的である。SONYのGXLとかいう技術である。10メートル×16メートルのハイビジョン映像を横に3つ並べたものらしいが..実際には完璧なシームレスではなく、画面が暗くなった時に、「つなぎ目」が「明るさの不均衡」として判別できる。映画の内容は憶えていない。どうせ「地球環境を大切にしよう」に決まってる。[;^J^]

 さて映画が終わって、シアターの外に出されたら..あらら、もうマンモスラボですか? てことは、ブルーのエリアはこれだけ? ..ここで暴れても仕方がないので唯々諾々と..[;_ _] 大体、マンモスは前回に観てるっつーの。

 午後は、グローバル・コモン3(ヨーロッパ)である。まずは前回諦めたドイツ館であるが..160分待ち [;^J^]。話にならんのでパス。イタリア館へ。ここも30分待ちだという話だったが、10分で入れた。さすがはイタリア人ならではの大雑把さである(← 偏見 [;^.^])。ここはなかなか良いですよ。例の「踊るサテュロス」像だが、思っていたよりも大きく、また演出(ライトニング)がうまく、観ていて飽きない。この他の展示物もいずれも楽しい。お薦め。

 すぐ隣りのリビア館。悪いがさっぱり記憶無し。トルコ館。他のパビリオンと記憶が混同していたら申し訳ないのだが、確か「幾何学」にフォーカスしていて、トルコの自然と建築(美術)に於ける幾何学、みたいな展示であり、なかなか面白い。土産物にも手頃なものが多く、魔除け系のグッズを入手した。

 ギリシャ館..ごめん、ここも印象薄い。「地水火風」でまとめているのだが..クロアチア館。どうしてこんなに列が長いんだ? 小国のパビリオンなのに..(← 我ながら失礼かつ偏見に満ちている決めつけで恥ずかしい限りであるが [;_ _])と疑問に思っていたら..なるほど、いわゆる「一発芸」系のパビリオン。塩田に見立てた白一色の部屋を通り過ぎると、(実際に塩が敷き詰められていました、塩辛かったし(← 舐めたのかよ [;^.^])、)エレベータシステムで、この白い空間を周囲から見下ろす形になる。そしてこの「塩田」に空撮映像が映される。映されている人々は、カメラに気がつくと、こちら(上空のヘリコプター)を見上げて、手を振っている..実に魅力的なコンテンツ。この(どう見ても貧しげではあるが、豊かな自然に満ちている)国に行ってみたくなる。

 モロッコ館。美しい! とにかく外装も内装も美しい。ほとんどそれだけではあるが、ここも訪れてみる価値はある。土産物も充実している。ヨルダン館。死海体験が出来るということで話題なのだが、わたしゃ、自分が浮いているところを見世物にされたくはないなぁ [;^J^]。チュニジア館。民族/民俗系パビリオンの標準的な構成。ミントティーは、あまり美味しくない。ボスニア・ヘルツェゴビナ館。全くの単なる休憩所 [;^J^]。パネルと椅子しかなく、パネルにもキャプションがついていない。ブルガリア館。んーと、ここもアイスクリーム屋以上の印象は。[;^J^]

 ここらで、グローバル・ハウスのオレンジ・エリアも観ておくか、という気分になってきたので、改めて整理券の列に並びに行ったら..なんと、列に並んだ時点では、「ブルーの整理券がもらえるかオレンジの整理券がもらえるかは判らない」というのである! 私は既にブルーのエリアは観ているので、今度はオレンジの整理券が欲しいのだが、またブルーのを貰ってしまう可能性も、50%あるのである! ギャンブルなんである! 一体、どこの誰が、こんなシステムを考えたんだ!? ..と怒っても、今の時点では、全く何も得るところはない。運を天に任せて唯々諾々と列に並び..見事オレンジ券をゲット! 勝った!(..← というのは錯覚で、一歩下がって「系全体」を観察すると、ここでは私は負けている。[;^J^])

 時間調整として、グローバル・コモン1(アジア)の残りを片付けにかかる。ブータン館。記憶無し。モンゴル館。天然岩塩入りトマトジュースが美味!

 時間が来たので、グローバル・ハウスへ。オレンジ・エリアは、まず、「スーパーハイビジョンシアター」。サイズは600インチで、解像度は..忘れた [;^J^]。公式ガイドブックによると、ハイビジョンの16倍の情報量。確かに、ふつーに映画クオリティだと思いましたね。グローバルショーケースの展示物も、まぁまぁ面白い。そして最後はマンモスラボへ..もう3回目だから、いいっちゅーに。[;^.^]

 もう19時に近い。そろそろドイツ館も空いている頃合いだろう..と、重たい足を引きずってグローバル・コモン3に行ってみたら..表示板によるとほとんどのパビリオンの待ち時間は0分、イタリア館は30分(これは全く信用できない [;^J^])、という状況で、ドイツ館の待ち時間は“−−−”。つまり、本日分はもう満員で締め切り、というわけである [;_ _]。仕方が無いので、フランス館へ。

 うーん..普通の基準でいえばたいして面白くないんだが、別の意味で面白い。だだっぴろい部屋に入れられて、全面(全壁面と天井)映画、という手垢のついた手法。コンテンツは地球環境破壊の現状のレポートと、これを立て直さなければならない、というメッセージであり、こう言ってはなんだが、変わりばえはしない。映像のまとめ方は、なんというか、いかにもフランス人が作りそうな、少しアートがかったものである。そして..日本人に相談しなかったんだろうか? 日本語字幕がおかしい。例えば、「未来に将来はあるのでしょうか?」..言わんとすることはわかるのだが、日本語として変である。パンフレットでは「地球に未来はあるのだろうか?」となっており、これなら(意訳かも知れないが)問題ない。もしかしたら字幕の方が誤訳なのかも知れない。そして..日本語は「縦書き」で表記されているのだが、「縦書きと横書きではフォントが異なる」ということが、理解できていない [;^J^]。カギカッコとか句読点が、横書き用のフォント(と配置)で縦書きされているのだから、読みにくいったらありゃしなくてさ〜 [;^.^]。まぁ昔の日本語ワープロソフトにも、「横書きフォントのまま縦書きで印刷」とかやらかす奴があったので、フランス人にぶつぶつ言う筋合いはないんだが。とにかくこういう基本的なところで(日本で開催する博覧会への出展だというのに)明らかに日本人に相談していないあたりが、フランス人らしいところである。面白かった。[;^J^]

 重たい足を引きずってグローバル・ループ(遊歩道)を北上する。どこか並ばずに入れる(まだ観ていない)パビリオンがあれば寄っていくつもりが(最初は)あったが、この疲れ方では、論外である [;^J^]。こいの池のショーの終わり際だけ観られた。これは夜間しか観られないものであり、今夜のチャンスを逃がすともう観られないかも知れない、ということで、ドイツ館やフランス館よりも優先すべきか..と少し悩んでいたのだが..終わり際のクオリティから察するに、パスして正解だったようである。[;^J^]

 はいはい、これでもう今日は終わり! 疲労困憊! \[^O^]/

 東ゲートから出て、名古屋駅行きのシャトルバス乗り場へ。片道1000円、約35分。予約していた「ビジネスホテル 第3スターナゴヤ」に電話して、道順を聞く。食事無しの予約なので、途中のコンビニで夜食と朝食を買っていく。

 ナゴヤ駅から徒歩5分という話だったが、四捨五入すれば徒歩10分である [;^J^]。印象は..あまり良くない。全体に内装が古くさいのはどうでもいいとしても、1.冷蔵庫が無い。2.シャワーの出が悪い。

 まぁ、一番廉い部屋なんだし(食事無しで5000円)、冷蔵庫が無いのは、そんなものかと思えば納得できる。(夜食はともかく朝食用のサンドイッチが傷まないかどうかが心配であるが。)シャワーの出が悪いのは、部屋代の問題ではないので、情状酌量の余地無し。汗だくで会場をあとにした私は、シャワーだけを楽しみにしていたんだぜー。お湯の勢いが無いので、ボディソープを洗い流すのに手間がかかってイライライライラ..(ちなみに冷蔵庫問題は、部屋全体を冷蔵庫化する..すなわち、エアコンの効きを最大にして、布団をしっかりかぶって寝ることで、解決した。良い子は真似をしないこと。[;^J^])

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*2005年08月12日:愛・地球博4回目


 6時前に起床。名古屋駅前からのシャトルバスは、始発が7:30。会場まで35分。開場が8:30で、各パビリオンの開館が9:00。そして7:30始発とはいえ、実際には(行列ができたら)7:00頃から出始めるであろう、とのこと。丁度いいじゃん。駅まで徒歩10分弱だから、6:40頃に出ればいいかな、と、朝食したり身支度整えたりしながらプランニング。6:00頃からテレビニュースもつけておく。特に大事件もなし。地元だからか、愛・地球博関係のニュース(人気パビリオンランキング)も、いろいろと。

 そろそろ出ようかという6:30。ニュースによると、北ゲートの待ち行列が、5000人..[;^.^] ゲートオープンは8:30だっつーによぅ..こちらの到着予定は、東ゲートに8:00頃だっつーによぅ..こりゃ、日立館はダメかもな..

 とにかく、6:40に出発。名古屋駅のバスセンターでは、既にそれなりの行列。私が乗り込んだバスは7:10発で、東ゲートの駐車場に7:55着。東ゲートは予定通り8:30開門だが、ここで注意すべきことは、朝いちの時点では、会場の東ゲート側から企業パビリオンゾーンB(トヨタグループ館、日立グループ館、三井・東芝館などがある)に降りていける階段が封鎖されているのである。東ゲートから入場した人は、いったん、北ゲート側まで大回りし、北ゲートからの入場者たちと合流しなければならない。これは恐らく、企業パビリオンゾーンBの人気パビリオン群に、朝いちで(東ゲート側と北ゲート側の)両側から群衆が殺到すると、危険だからだ。それはわかるが、各地からのシャトルバスを使う限りは東ゲートから入場せざるを得ず、すなわち、朝いちで人気企業パビリオン群にアクセスすることは不可能なのである..

 ..案の定だ。日立グループ館の前に到達できたのは8:45だが、この時点で、今日の分の整理券は、全て捌けていた [;_ _][;^J^]。(トヨタグループ館の方は、まだ余裕があったようである。)実のところ、整理券無しでも見ることは可能である。17時からは「自由入館」であり、これはその時点で並んでいた人が、先着順で入館することができる。そして..係のおにーさんの予想では、まぁ15:00に並んでいれば見られるでしょう、とのこと。それではダメだ。15:00に並べば見られるというのは、おそらく「15:00に並べば、閉館までには入れる」、という意味だ。こちらは今日は18:00には退場して東ゲートのバス停に向かわなければならない。つまり、17:00に入館できる必要がある。ということは、恐らく14:00、いや13:00には並び始めなければならないということだ。午後を潰せ、ということだ..

 ..というわけで、日立はステである。この様子では、閉会までに観るチャンスがあるかどうか、極めて疑わしい..とにもかくにも、隣りの「三井・東芝館」に転進。こちらは首尾良く整理券をゲットできた。11:10からの回である。

 さて、恒例の時間調整だ。あまり遠くに行くと、往復の時間が勿体ない..ということで、まずはお隣のグローバル・コモン1(アジア)へ。韓国館。ここも人気パビリオンであり、昼頃に来ると大層な行列が出来ているのだが、さすがに朝いちだとガラ空きである。今がチャンスだ..

 ..おぉ、これはなかなか。五色文化を展示の基本に据え、水としての青、火としての赤、土・生命としての黄、炭・自然としての黒、光としての白を軸に、伝統文化からハイテクまでを紹介している。うまい。私がこれまで観てきた中では、最も高品質なパビリオンのひとつである。3Dアニメの評価も高いのだが、それが始まるのを待っていると時間がかかるし、噂によると「泣ける」話だというし、私は基本的には泣く趣味は無いので [;^.^]、パス。

 お隣の中国館も展示の品位は高いのだが、ちょっと伝統文化よりに傾きすぎていて物足りない。ここでも待っていれば楽団の演奏が聴けるのだが、歌舞音曲の類は基本的にパスパス [;^J^]。これにて、グローバル・コモン1(アジア)はオール・クリア。

 続いて、グローバル・コモン2(北・中・南アメリカ)へ。まずはアメリカ館。朝のニュースによると、外国パビリオンでは一番人気とのことなので、(ドイツ館同様)ほとんど観るのは不可能かと諦めていたのだが、まだ時刻が早いからか、ほんの10分ほどの行列で入れそうである。このタイミングを逃がすわけにはいかない。

 な〜るほど..一番人気というだけのことはある。「ベンジャミン・フランクリン」が(前半の)基本テーマというか狂言回しで、彼が案内役となって、まずは映画。これが実に..昨夜観たフランス館の映画の対極というか [;^J^]..フランス館のが「いかにもフランス人が作りそうな映画」であるのに対して、こちらのは「いかにもアメリカ人が作りそうな映画」なのである。あまりに鮮やかな対比に、ほとんど大笑いである。[;^J^]

 とにかく、「私(フランクリン)の時代に比べて、あなた方の時代(世界)は、なんという驚くべき時代(世界)だ! なんということをあなたたちは成し遂げたのだ! なんという技術だ!」、という調子で、我々が抱え囲んでいる(発生させてしまった)諸問題についても「それは(科学技術で)解決できるし、解決しなければならない!」..このオプティミズム。良くも悪しくも好きも嫌いも、これがアメリカ人なのである。

 展示の方は、宇宙開発メイン。火星探査ロボット(「オポチュニティ」と「スピリット」だったかな)の模型や、それをコントロールしてみるデモ。この2台、確か去年の1月に火星で活動を開始したはずで、寿命は「90日」と想定されていたと記憶するが..驚くべきことに、まだ動いている。説明員に訊いたところ「火星の風で太陽電池の表面が掃除されており、そのために寿命が想定を越えて延びている」のだという。なるほどね〜。ここで私は、「まだ動いていたのか!」、と、「安曇重工の研究所を襲撃するバードを見いだしたドクター・メレケス@ブルー・ソネット」のセリフを呟いてみたのだが..アメリカ人の説明員のおねーさんを含めて、誰ひとり反応してくれませんでした。[;^.^](ちなみに、説明員のおねーさんはセグウェイに乗っておりまして、私はこれを初めて見たんですが..これほど不格好なものだとは思いませんでした [;^J^]。これ、たとえ日本で解禁されたとしても、みんな買わないと思うなぁ..カッコ悪いから。[;^J^])

 引き続き、中米共同館。自然/古代文明/特産品の展示バランスが良い。アンデス共同館も、同様。イチゴジュースが美味。ドミニカ館は、記憶無し。

 時間が来たので、三井・東芝館へ。ここでは「フューチャーキャストシステム」といって、参加者の顔情報を3Dスキャナーで取り込んでCG化し、アニメ映画の中に登場人物として登場させるのである。1回180人。それが9グループに分かれるので、1グループ20人。つまりこの映画には(艦長役の加山雄三など、若干の例外を別として)、20人のキャラクタが登場する、というわけだ。

 物語は、まぁ紹介するほどのことはない..というか、筋がとおらないところがあるので要約できない [;^.^]。大雑把にいって、巨大宇宙船で地球を目指す話である。私もCG化して映画のキャラクターになったのだが..正直言って、どのキャラクターが私の顔なのか、今ひとつはっきり認識できなかった。多分、ガーディアン(戦闘要員)のひとりが、そうではないかと思うのだが..公平を期して補足しておくと、かなり個性的ではっきり認識しわけられるキャラクターが何人もおり、彼らの表情は、なかなか良く動いていた。優れた技術だと思いますよ。

 むしろ、全体の演出の方に感心した。上述のとおり、1チーム20人で、わりと狭い試写室のような部屋で(わりと長い)映画を鑑賞しているわけなのであるが、大団円に到り、各チームをわけ距てていた「壁」が「二段構え」で解放され、180人がアリーナを見下ろしている空間が出現し..これはなかなか感動的であった。

 曇ってきた。昼食は連日ジャンクフード系なので、たまにはまともなものを食べましょう、と、ドイツレストランへ。中では生演奏をやっていた。エレクトーン(YAMAHA STAGEA)と、フルート、クラリネット、ホルン。はっきり言って、下手 [;^J^]。まぁいいさ、食事時の伴奏なんだから。それにしても、STAGEAの使われ方が..「単なるリズムボックス付きのピアノ」なのである。これほどの高性能マシンが、不憫である [/_;]。その「リズム」もねぇ..30年くらい昔のチャカポコマシンと言えば、ニュアンスは通じるでしょうか? もちろん、これがSTAGEAの実力(限界)であるわけがなく、わざわざこんな(生楽器の演奏の邪魔にならない)チープなパターンを使っているのであろう。[/_;](せめて、フィルイン・パターンぐらい使ってやれよ..)

 空が暗くなってきた..というか、時々ピカピカ光るようになってきた。いつの間にか、ロープウェイが止まっている。構内放送。「会場付近で落雷が観測されました。引き続き、ご注意ください」..何をどう、ご注意しろっつーんだよっ! [;^.^]凸

 それはともかく、昼食をゆっくりとすませてから、南に向けて発つ。今日の午後は、これまで一度も足を向けていなかったグローバル・コモン4(ヨーロッパ)を、集中的に攻めるのである..というわけで、グローバル・ループの下の(つまり、屋根の下の)道を歩いていたら..

 ..天の底が抜けましたな [;^J^]。いや全く、凄まじい降り方である [;^J^]。いくら大屋根の下だとはいえ、風もあるし、水しぶきが真横から叩きつけてくる。雨も、ここまでヒドいと、「エンタテインメント」とまでは言わずとも「イベント」と化す。その証拠に、グローバル・ループの下で雨宿りしている連中は、皆、濡れ鼠になりながらも笑っている..まぁ、それでも一応屋根の下にいるから笑っていられるのであって、今現在、屋根のない屋外で1時間も2時間も並んでいた人々を襲った運命の苛酷さを慮るに忍びない..が、所詮は人ごとである。[;^.^]

 もちろん、こんな雨は10分ともたないのだ。ほどなく上がって、皆、移動を再開する。(但し、普通はこれで「カラッ」と晴れ上がるのだが、今日はこのあと、まだ5〜6回近く、ショボショボと降り直した。)

 まずはコーカサス共同館へ。これといった印象無し..というか、ここもまたアイスクリームの印象が [;^J^]。北欧共同館。展示の趣味は、わりと良い。オランダ館。デルフト焼きのタイルによるパノラマ壁画が美しい。館内の池に映像を映す。コンテンツは、水の国・オランダの紹介だが..キティーが何度かアップになっていたのが謎。キティーってオランダと関係あったっけ? ..(と、この日は頭の上に“?”マークを浮かべたままであったのだが、この日記を書いている現在、やはり納得いかないので軽くググってみたところ..あれは「キティー」(猫)ではなく「ミッフィー」(兎)だったのだ、と(今さらながら)気がついた。そういえば、どことなくとらじゃに似ていたし。← わかる人だけウケてください。[;^J^])

 ベルギー館は、美術系。この美術の国の栄光を彩る画家達の名作を、巨大なスクリーンに映してパノラマ化している。ブリューゲル、リューベンス、ロップス、クノップフ、マグリット、デルヴォー、等など。ポルトガル館は、歴史とコルクにフォーカスしていて、わかりやすい。既にかなり疲れてきていたので、バーでタウニー・ポルトを飲んで、人心地つく。コンパル・ネクターというジュース(リンゴ味)も試してみる。これも美味い。

 イギリス館は、庭園とサイエンス遊戯。自然から着想した科学技術、という切り口。面白さはまぁまぁだが、いかにもお国柄なので、印象は良い。ロシア館。宇宙開発系の展示がメインだが、映画上映スペースでは、しばしうたた寝してしまった [;^J^]。

 ウクライナ館は、これといって見る物が無い。ポーランド館は二部構成。「ショパン」展示部では、ピアノが置かれてはいるが別にショパンの音楽のコンサートをするわけでもなく、例によってマルチスクリーンで現代ポーランドの紹介。後半の「ヴィエリチカ」展示部が面白く、私は全く知らなかったのだが、世界で最も美しく世界遺産にも登録されているという岩塩抗の模型。「ショパン」展示部は映画自体は退屈なのだが、斜面を上がっていく座席の構造が浜松アクトシティの「ショパンの坂」と同じであることが気になった。何か共通のモデルが、ポーランドにあるのだろうか? 土産物屋では、琥珀製品が目に付いた。

 次のリトアニア館は、小さなパビリオンなのだがとても歩きにくい [;^J^]。内部一杯に、DNAの二重螺旋の3次元モデルが詰め込まれていて、それをかいくぐって歩くのである。土産物屋にはやはり琥珀が目に付いた。リトアニアの名産品だとのこと。

 チェコ館は、ワンダーランド。創作楽器や巨大な万華鏡などで遊ぶ。パイプが水に浸かっているオルガンや、弦がやはり水に浸かっているピアノや、各種の木琴の類が点在しているのだが..どれもこれも調律がデタラメ [;^J^]。アイルランド館は、ケルトにフォーカス。こぢんまりとしてはいるが、要点を見事に押さえた展示で、好印象。

 ここでほぼ、時間切れ。ここはほぼ会場南端なのだが、会場北端の東ゲートの駐車場まで、2キロ近く歩かなくてはならない。その時間をさっぴいても、あと30分以上は余裕があるのだが..このグローバル・コモン4(ヨーロッパ)で見残しているのは、スイス館、オーストリア館、ルーマニア館。前二者は人気パビリオンで、列も長い。30分以内に入れるかも知れないが、ゆっくり見ている時間は無い。ルーマニア館の列は短かいし、館の規模から考えても、30分で片づきそうだが..がつがつする必要はない。ゆっくり歩いて帰ろう、帰ろう..

 ..という判断は、大正解 [;^J^]。なにしろ、グローバル・ループのこちら側は、北に向けて緩やかな上り坂になっているということもあるのだが..実測したわけではないが、推測するに時速3キロ出ていない [;^J^]。時速2.5キロくらいか [;^J^]。これ以上の速度で歩けないのである [;^.^]。ルーマニア館を見ていたら、最終18:30の浜松便に、乗り遅れるところでした。[;^.^]

 ..というわけで、今日も、疲労困憊! \[^O^]/

 浜松行きのバスに乗って、浜松駅前から自宅までバスで直帰して、酒飲んで寝た。


P.S.

 2日間連続で行く場合、それぞれ往復バスで2回いくか、最寄りの地(名古屋駅前)でお泊まりするか、損得勘定をまとめてみると..

 浜松駅前から会場までの往復バスが、往復で3500円。会場から名古屋駅までのシャトルバスが片道1000円。名古屋駅前のビジネスホテルが(今回私が泊まったところは)5000円。つまり..2日間とも往復バスで浜松から出動すると、3500円+3500円=7000円。名古屋駅前で一泊する場合は、初日の浜松駅→会場と、二日目の会場→浜松駅で、合わせて(一往復で)3500円なので、3500円+1000円+5000円+1000円=10500円。つまり、名古屋泊だと3500円、高い。この3500円で何が買えるかというと..初日は閉場まで居られるし、二日目は開場前に着くことができる、すなわち、初日の夜の時間3時間と、二日目の朝の時間1時間である。これは、元が取れていると思う。(名古屋駅シャトルバスは、往復だと1500円で買えるはずだった、ということに、今これを書いていて気がついた。[;^.^])


P.S.2

 私は、これで都合4回、当日券で入場した。当日券は4600円。これに対して全期間入場券(何度でも入れる)は、確か、18000円弱だったと記憶する。つまり、当日券で5回入ったら、負けなのである [;^J^]。但し私の場合、当日券2枚は、プラズマテレビを買った時のキャンペーンでただで貰ったものなのであるから、自腹を切って入ったのは、まだ2回。つまり、あと2回までは、セーフである。[;^.^]

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*2005年08月13日:見果てぬ夢


 数年前にも書いた記憶があるのだが..今一度、学生時代のような、不健康極まりない「昼夜逆転生活」を送ってみたい。(勉強だか徹夜麻雀だかで)空がしらじら明けて来た頃に、ムニャムニャと布団にもぐり込み、目を覚ましたらもう夕焼けで辺りは薄暗く、「あぁ今日も一日を無駄にしてしまったか..」という、かすかな悔やみと寂寥感をかみしめつつ、夜の生活に漂いこんでゆく..

 試してみたことは、あるんですよ。でもね。例えば休日の早朝までビデオやら読書やら(更新やら [;^.^])で徹夜状態だったとき、これは良い機会とばかりに、6時頃に布団にもぐり込む..起きたら8時半である。まだ朝だっつーの! [;^.^] すんごく健康な時刻だっつーの! [;^.^]

 とにかく、(連続)睡眠時間が短い男だから..夕方の18時頃に目を覚まそうと思ったら、15時頃に眠り始めなければならない..それは「昼寝」だっつーの! [;^O^]

 もう一生、あの甘やかで不健全な「昼夜逆転生活」には戻れないのかなぁ..[/_;]

 ..ただね。現在の生活環境で、仮に起きている時間帯と就眠時間帯を首尾良く逆転させて「昼夜逆転生活」に入れたとしても..あまり面白くないことは確かである。どうせやることは、読書かビデオの消化である。昼間とたいして(全く)変わらん [;^J^]。それは確かに窓の外は「夜」なのだが、どうせ昼間っから窓はほとんど閉まっているし、昼も夜も同じである。(既に十分、不健全な生活を送れているではないか。[;^.^])

 夜ならではの魅力が無ければ、「昼夜逆転生活」など無意味である。学生時代のそれの最たるもののひとつは、「夜の散歩」であった。(ジャン=ジャック・ルソーの「孤独な散歩者の夢想」を気取っていた、などという恥ずかしい告白も、今ならできる。[;^J^])私の下宿近辺から、徒歩ですぐの大学の(ひとけの無い)構内、そして(街灯の全くない)運河の土手、という、うら寂しい散歩道は、いかにも魅力的であったのだ。残念ながら、今の私の住まいの近辺の夜の散歩には、それほどの風情を感じられないのだ。

 「夜の生活」は「孤独な散歩」だけではない。重要なのは「街」だ。特に「深夜喫茶」。これがまた、浜松には乏しい。深夜営業の「ファミレス」とか「カラオケスナック」とか「白木屋」とかでは、ダメなのだ。あくまでも「深夜喫茶」。それも、裏道の..

 ..結局、「昼夜逆転」しがいの無い街に、棲んでいるということか..

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*2005年08月14日:「奇想の図譜」


 少し前に読んだ本だが、面白かったので紹介しておく。「奇想の図譜」(辻惟雄、1989、ちくま学芸文庫)である。

 「日本人の創造には、ヨーロッパ文化に於ける創造性とはかなりちがうものがある。それが「見立て」である。本物それ自体では、意味も趣向もない。(中略)神は、本ものは悦ばない。趣向という精神の働きに喜びがないからである。神を迎える祭の日には、人々は精一ぱいに趣向を「見立て」て、造り物をして、あっと云わせる。神は、これを「風流」として受納するのである。(中略)
 「遊び」の真実もここにあろう。その神遊びの造形が造り物である。すなわち「造り物」には見立てという趣向の働きだけが肝要だから、形は偽せ物である。残してはならない。消えねばならない。こわさねばならない。……」(郡司正勝氏)(268頁)

 「しかしながら、そのようにつくってはこわし、またつくってはこわすといういさぎよさが、日本美術の新陳代謝をうながし、それを形式化から救うことに貢献してきたのだ。それは、万博の「太陽の塔」を残せと主張するような現代の「芸術家」意識とは、対極の発想が育んだ創造性である。残すことにこだわると、つくるものは逆に死んでしまう」(276頁)

 「美術の真の価値は画家や彫刻家の天才による人間観・世界観の表現だ、装飾はその下位にあるという考えは、デザイン全盛の今日もなお健在だろう。それをとやかくいうつもりはないが、私はむしろ宗達や光琳、そしてかれらの才能の苗床になった無数の「かざり」の職人たちの仕事にこそ、<純粋美術>の呼び名を与えたくなる。小鳥の歌声のように澄んで明るく、幼児のように無邪気で気まぐれで、観念や思想に煩わされない、美そのものの世界がそこにあるからだ」(291頁)。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Aug 24 2005
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