*2004年10月25日:見えないゴミ
*2004年10月26日:軸足は顧客
*2004年10月27日:「デビルマンの悪魔学 悪魔聖誕」
*2004年10月28日:「裸のランチ」DVD
*2004年10月29日:常識はずれ
*2004年10月30日:「エレガントな宇宙」
*2004年10月31日:「笑の大学」
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*2004年10月25日:見えないゴミ


 ヤフオクで落札すると、こちらの住所/氏名/電話番号を尋ねるメールが、出品者から送られてくる。多くの場合は、フリー・フォーマットで返信すればよく、これだと、こちらで用意している定型文をコピペするだけで良いので楽なのだが、特に出品者が「業者」である場合、定型フォームに書き込んで返信するよう、求められることも多い。ちょっと面倒なのだが、業務の(定型化による)効率向上を目指していることは理解できるし、この程度の協力はさほど煩わしくもない。

 ただ、しばしば非常に気になるのだが..その「フォーム」が「雑」であることが珍しくない。例えば、


お名前:
ご住所:     
電話番号:

 ..だったりするのである。あなたの端末環境でわかるかな? この例では、「お名前:」の右には半角スペースが7つ、「ご住所:」の右には全角スペースが5つ、「電話番号:」の右には、何もない(改行コードのみである)のだ。これに記入する際には、当然ながら、半角スペースや全角スペースを削除しなければならない。さもなくば、記入後の字面がガタガタになってしまって見苦しいからである。

 なんたる配慮不足かと驚くし、なんたるだらしなさかと呆れるが..しかし、気がついていないんだろうなぁ。ブラウザ等では、こういう「空白文字」は表示しないことが多いからである。

 これに類することだが、数字の全角/半角がグチャグチャな文章も、しばしば目にする。「123」とか「123」とか。(あなたの環境で区別つく? 最初のは「1」だけが全角で、二番目のは「1」だけが半角なのである。)わざわざこんな「文字遣い」をするはずがなく、たまたまタイプ時に(誤操作で)こうなってしまったのが、画面上で判別できていないのであろう。

 まぁ確かに、「人間(にとっての使い勝手)に軸足を置けば」、全角/半角(というか、2バイト/1バイト)などは、本質的な問題ではない。読み書きしやすければそれでよいのだ。その意味で、ある種のブラウザ(あるいはある種のフォント)で、それらの差がほとんど判らなくなっている、というのは、それなりの卓見ではある。しかしそのような「シュガー」を被せることにより、結果的に文書の物理的実体がグチャグチャになる方向性に誘導されているのだが..なんだかなぁ..

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*2004年10月26日:軸足は顧客


 昨日の続き。

 ヤフオクで落札したとき、出品者から振込先の口座番号などがメールされてくるのだが、その「口座番号」を、「半角」で書く人と「全角」で書く人がいる。いうまでもなく、前者の方が遙かにありがたい。銀行やぱるるのウェブの振込画面のフォームに、そのままコピペできるからである。全角の場合は手入力しなおさなければならず、入力間違いしないよう、余計な気を使わなければならない。(なかには、全角で入力されても受け付ける(銀行の)ページもあるのかも知れないが、私が利用している「ぱるる」と「りそな」は、口座番号は半角入力なのである。)

 利用者(この場合は落札者)の立場に身を置いてみれば、こういう「配慮」は少しも難しいことではないんですけどねぇ。まぁ、ついでに言えば、「フォームにコピペ」という時代もすみやかに去り行くとは思いますけどね。もっと便利なプロトコルが流行して欲しいものである。

 「SFマガジン」12月号の253頁の、執筆者の近況報告欄中、風野春樹のコメントに着目。


デビルマンを観た。この映画の記憶だけサイコジェニーに消してもらいたいと思った。

 うむ。簡にして要をえている。[;^J^]

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*2004年10月27日:「デビルマンの悪魔学 悪魔聖誕」


 というわけで、さりげに「デビルマン」つながりである [;^J^]。上記SFマガジン(12月号)のブックレビューで、「デビルマンの悪魔学 悪魔聖誕」(南條竹則とデーモン一族編、ジャイブ)が推薦されていたので、早速購入してみた。

 うむ、これはなかなか良い。実に手頃で便利なガイドブックである。世界各国(各文化圏)における悪魔の起源から、その概念の変遷を辿り、諸宗教の悪魔の紹介、主要な悪魔文学の紹介、「ソロモンの遺訓」の要約、そして、レジナルド・スコットの「魔女の暴露」より「悪魔名鑑」、というコンテンツ。これまで知らなかった情報も随分たくさんあるし、なにより評価できるのは、内容の濃さのわりに大部の著作では“ない”ことである。つまり、簡単に通読(サーベイ)できるのだ。レファランスとして手元に置いておこう。

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*2004年10月28日:「裸のランチ」DVD


 会社で定期健康診断。さて、どういう数字が出てくるか..[;^.^]

 「裸のランチ」のDVD(ASMIK、AEBF-10123)を、(結局、仕方がないので [;^J^])観ることにした。クローネンバーグ監督である。

 ..ふーむ、なるほど..原作よりは受容しやすい。なにしろ一応、ストーリーがあるし [;^J^]。もっともこれは、厳密に言うと「裸のランチ」ではなく、「メイキング・オブ・(小説版)裸のランチ」と「裸のランチ」のアマルガム(というよりは「メイキング」に「裸のランチ」のエキスを注入したもの)である。もちろん、それとは別に、映像特典「メイキング・オブ・(映画版)裸のランチ」も付いている。(ややこしいな。[;^J^])

 原作小説の細部を憶えているわけではないが、原作にはなかった(と思う)イメージというか登場人物というか登場怪物というか登場妄想というか [;^J^] が、いろいろ出てくる。タイプライターと虫(ゴキブリ)が合体した「バグライター」が、重要なサブキャラクター。とにかく、タイプライター(すなわち“書くこと”)へのオブセッションが強烈である。主人公(ウィリアム・リー)が使っているタイプライターは、クラーク・ノヴァという名前なのだが、こいつには“話す肛門”が付いていて、これで主人公と会話するのだ。(“話す肛門”自体は、原作にも出てきたと思う。)

 “マグワンブ”の造形も、なかなか良い。“インターゾーン”も、イメージ豊かである。映画としては、それなりの佳作であると思う。

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*2004年10月29日:常識はずれ


 それにしても、余震が震度6とは..

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*2004年10月30日:「エレガントな宇宙」


 「エレガントな宇宙」(Brian Greene、林一、林大訳、草思社)を読む。数年前に購入したまま、例によって熟成させていたのだが、イーガンの「万物理論」(創元SF文庫)を読む前に、これで「超ひも理論」の勉強(おさらい)をしておいた方が良いらしいので、自然と順序関係が決まったという次第。

 ふむふむ..非常に良くできた入門書(解説書)であるが、恥ずかしながら多少とばし読みした個所も、数ヶ所あり [;^.^]。でも、「その種のSFを楽しむために必要十分な程度の知識」は、身につけられたのではないかな。(いまさら物理学の専門家を目指しているわけではないので、この程度のゴールで良いと思う。[;^J^])

 つまり、こういう理解でいいのかな。宇宙を、もんの凄く小さな距離単位で把握できるものとばかりと思い込んでいたら、超超微小な距離(プランク・スケール以下)では、量子力学と一般相対性理論が両立しなくなってドツボにはまってしまったので、考え方を変えて、「そんなに小さな距離はそもそも測定限界以下」、と定義しなおすことによって、八方丸く収めた、ということなのかな。(違うかも。[;^.^])

 超対称性をひも理論に組み込むやり方が、一通りではなく五通りもあることについて、「根本的な説明は、その種類が多ければ多いほど価値がさがるのだ」(252頁)と述べているくだりを読んで、「毒入りチョコレート事件」とか「虚無への供物」とかを、あとからあとから想い出したり。[;^.^]

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*2004年10月31日:「笑の大学」


 イラクにて、香田さんとされていた死体は別人だったとのこと。さもありなん。大体、身長、体重、後頭部の特徴だけで同定していたのだが、指紋が採れる状況ではなかったとしても、も少しまともな尺度はないのかよ、と、驚き呆れていたのである。その程度の信憑性の情報を流して寄越した米軍も米軍だが、それをまた右から左へパスするだけの日本政府も日本政府である。

 午後は久々に、街中のそぞろ歩き。といっても、ほとんど(古書と新刊の)書店巡りなのであるが [;^J^]。時代舎、谷島屋、メイワン丸善(ここでは文具)などなど。いろいろしこたま買い込む。いったんザザシティによってから、夕食は、徒歩15分くらい先の「きよ」で餃子。勤務先のSさんに推薦いただいていた店。昔ながらの餃子であり、特に珍しい味がするわけではないのだが、なかなか美味しい。常連さんたちがあとからあとからやってくる、小さな店。

 ザザシティに戻り、トーホーシネマで「笑の大学」。昭和15年の東京を舞台に、軽演劇の座付作家(稲垣吾郎)と検閲官(役所広司)の葛藤を描く。検閲官はイジメ目的でダメ出しを繰り返すが、そのため図らずも脚本は磨きに磨き上げられ、結果的にふたりの“協力”で、いつしか完璧なコメディが出来上がって行くが..

 感動的な密室対話劇である。(映画にしては)ストイックな構成だと思っていたら、もともとは1994年に発表されたラジオドラマ(三谷幸喜)であり、その後、舞台化されていたらしい。知りませんでした。お薦め。

 今年はこのあとも、「ハウルの動く城」とか、楽しみにしている映画がいろいろあるのだが、12月には、ついに「ゴジラ」最終作がやって来る。期待不安不安不安 で一杯である。[;^J^]

 ま、今年は既に「デビルマン」を観ているからね [;^J^]。あれより“下”は(ちっとやそっとのことでは)あり得ないので、その意味では安心して待っていられるのだけれどね。[;^.^]

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Nov 5 2004 
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