*2003年07月28日:修理せず
*2003年07月29日:挫折でしょうか? [;^J^]
*2003年07月30日:蜘蛛の狩り
*2003年07月31日:曲には罪は無いけれど
*2003年08月01日:鈴川絵里子の正体
*2003年08月02日:夏オフ2003シンセの仕込み
*2003年08月03日:夏オフ2003さらにシンセの仕込み
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*2003年07月28日:修理せず


 「傷追い人」(小池一夫作/池上遼一画)は、もう長いこと読み返していないが、なかなか好きな作品である。特に後半、復讐のために暗黒社会(マフィア社会)に身を投じた主人公が、ひとくせもふたくせもある個性的な子分たちを集め始めてからが。

 その「子分」のひとり。現役のレーサーであったと同時に、車オタク。主人公のもっとも頼りになる「運転手」として雇われた(そして、裏社会(マフィア)に雇われたと同時に、表社会での身分を失った)彼は、駐車場で、ボスを乗せるための車が用意されてきた時、ひとめ見て、車を換えさせる。なぜなら、それは「チューブレスタイヤ」を履いていたからである。「チューブレスタイヤは、細工をされていても感覚的にわからないから危険だ」、という理由である。

 そこで、2台目が用意された。彼は今度の車も下げさせる。なぜなら、フロントガラスに微細な傷がつけられていたからである。ちょっと目には気がつかない程度の傷だが、速度があがって強い風圧を受けると、粉々に砕け散るであろう..

 ..組織の中に確かに裏切り者がおり、車に細工しているのだが、それが誰かという詮索は後回しとして、さらに用意された3台目。タイヤOK、フロントガラスOK。しかしエンジンルームを点検した彼は、またしても破壊工作が仕掛けられていることを発見した。(正確には憶えていないのだが)エンジンと、エンジンルーム内のどこか(オイルタンク?)が針金でつながれており、高速走行をすると、その針金をオイルが伝ってきて、エンジンが爆発するはずだ..

 ..しかし実に意外なことに、彼はニヤリと笑ってボンネットを閉めると、ボスたちに、「乗ってもいいぜ」、と保証する。そしてこの車を運転をしながら、「静かに走っている分には、大丈夫だ」..

 学生時代にこの個所を読んだ時には、実に不思議な気分になったものだ。予備の車はまだ何台もあるのに、どうして、こんな危険な車に、自分がハンドルを握ってボスを乗せるのだろう..無論、物語の展開としては、このあとすぐ、この車を(敢えて)自爆させたりするので、その意味では必然性があるのだが..それは「作者の都合」である。現実社会においては、こんな不自然な判断はあり得ない。とことん、安全を追求するはずだ。マフィアならば、なおのこと..

 ..と、昔は、思っていたのである。

 今では、こういう判断は実社会ではいくらでもありうることを、良く知っている。

 治さなくても回避できる場合には、治さないことは珍しくはない。「治す」こと自体にも、コストがかかり、リスクも伴う。簡単な運用(この場合は「速度を上げない」)で「無理なく」回避でき、かつ、ユーザーに不利益を与えないのであれば、この不具合(エンジンを爆発させかねない針金の仕掛け)は、そのまま放置しておく..時速60キロで爆発するようでは困るが、時速120キロまでは「保つ」のであれば、十分、合理的な判断であろう..

 あなたが今、私の、痛くもない腹を探っていることは承知しているが [;^J^]..これはあくまで一般論。例えば、大腸や咽喉のポリープ(等)が、肉体条件的に(高齢などの理由で)成長の恐れが無く、手術することによる体への負担の方が案じられる場合などは、敢えて切除せずに「飼い馴らす」ことは、少しも珍しくはないのである。

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*2003年07月29日:挫折でしょうか? [;^J^]


 今でも、「夢判断」って、流行っているのかね? 私の色餓鬼(ローティーン)時代には、本屋でその類の本を立ち読みすると、あらゆる「夢」が「性欲」で説明づけられていたので、内心ワクワクしながらも [;^J^]「いくらなんでも、これはおかしくはないか? 人間って、ここまで単純か?」..と、大いに不信感を募らせたものであるが、ま、それはさておき。

 月に一度くらい、観る夢がある。単独の夢というよりは、他の夢の(しばしば壮大な [;^J^])ストーリーに組み込まれた、一挿話、という位置づけであるが..

 ..「坂を登りきれない」、のである。登っているうちにどんどん急坂になり、しまいにはそれ以上登れず、ずり落ちるか、または(下向きに)方向転換して、一気に駆け下りざるを得なくなる..

 徒歩の場合もあるが、自転車のこともあり..最も多いケースでは、自動車に乗って、この坂道を登ろうとしているのである。そして、ギアをシフトダウンして、ローに入れても登りきれずに..ずり落ちてしまうのだ..

 ..一体、なんなの、この夢?

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*2003年07月30日:蜘蛛の狩り


 (警告:「蜘蛛」の写真を見たり「蜘蛛」の話題を読んだりするのが嫌いな人は、明日の日記までジャンプすること。)

 私が住まうアパートの、私の向かいの部屋は、数ヶ月前から空き家である。引っ越していったのを見送ったっきり、次の住人が入らない。雨戸は閉めたっきり..だが、別に荒廃している雰囲気はない。唯一の難点(と、一般人はみなすであろう点)は..ドアに、わりと(かなり)大きな蜘蛛の巣が張っていることであろうか。いずれ、大家さんが掃除してしまうかも知れないが..無論、私はそんな野暮なことは、しない。

 そりゃもちろん、いくら私でも、(たとえ「廃墟の住人」を標榜しているとはいえ、)自宅内(あるいは自宅のドア)に大きな蜘蛛の巣が出来るのは、御免だが..自宅外であれば、何の問題もない。実害もない..どころか、害虫を捕らえてくれるのだから、益虫である。せっかく地道にここまで大きく拵えた、蜘蛛の「自宅」を破壊するとか..あまつさえ、なんの罪もない蜘蛛を「殺す」などという邪悪な行為が..人として許されるはずもない。

 ..というわけで、日に日に太って色艶が良くなる、その蜘蛛の成長を、朝な夕なに眼を細めて見ていたのであるが..今夜は珍しく、彼女の“狩り”の現場に遭遇し、良い機会なので、デジカメで何枚か撮っておいた。(さぞ、フラッシュに驚いたことであろうなぁ..すまん。[_ _])まともなズームも無い旧式のデジカメによる、迫力の無い写真ではあるが、参考までに掲載しておく。


Picture Picture Picture

 



 ..こういう掲載の仕方をすると、左から右への連続写真で、一気に捕食したかのごとくであるが..事実は、全く異なる。時系列の写真ですらない。

 蜘蛛の“狩り”というのは..とにかく、感心するほど“臆病”な“安全第一主義”のものなのである。この、エサとして捕食される生物にとっては「白い地獄」と呼ぶしかない、蜘蛛の巣..そこに捕らえられて、金輪際生きて逃れる術のない「羽蟻」は、しかし精一杯、抵抗する。蜘蛛の脚や顎が接触するたびに、ビクビクっと暴れる。すると蜘蛛は、人間である私の目には「過剰反応」としか思えないほど、はじかれたかのごとく「逃げる」のである。それも、「後じさり」などではなく、「背中を見せて、巣の奧まで逃げ込む」、のである。(極めて「擬人化」した表現であるが。)

 これが、人間の「狩猟」であれば、到底(社会的に)許されないであろう、と思えるほどの「怯懦ぶり」なのである。しかし、蜘蛛にはそんな「人間的な価値観」など、存在しない。要は、喰えればいいのである。急ぐことはないのだ。エサが死ぬのを、3日間待っていてもいいのである。人間的な「冒険」など、野生の生物界では、なんの意味も無いのである。

 それにしても..日に日に目に見えて大きく肥え太ってくる、この雌蜘蛛であるが..ほどほどのところで成長はストップして欲しい、と、さすがの私も、一応思ってはいるのである [;^J^]。(8/6現在、ここに掲載した写真よりもさらにひと回り、巨大化しているのであった。[;^J^])

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*2003年07月31日:曲には罪は無いけれど


 書き忘れていたが、今年の夏オフでは、2曲、指揮をする。「幻想交響曲」(ベルリオーズ)の第4楽章・第5楽章と、「ワルツィング・キャット」(ルロイ・アンダーソン)である。責任重大である。特に、「幻想」については、プレッシャーがきつい。他にもこの曲を振りたかった人がいるわけであって、彼をさしおいて、私が当選した。しかも私は、指揮者選考委員の一員なのである。むろん、「お手盛り」にならないよう、複数のメンバーによる投票・合議制なのであるが..しかし、「そういう目で見られても仕方がない」状況では、あるわけだ。

 なんら、やましいことはないのだが..いずれにせよ、中途半端なことはできない。きっちり、役割を果たす必要がある..のに、このふたつの楽章の指揮の仕方を研究している時間が、なかなか取れない..[;_ _] 今年は、(あまりにコミットしすぎてしまった、という昨年の反省を踏まえて、)夏オフスタッフとしての仕事はできるだけ増やさず、ま、そこそこの付き合いで夏オフ当日を迎えようとしているのであるが..しかし、さまざまな理由で、やはり時間を取られまくっているのであった。[;_ _]

 「幻想」だけではない。「ワルツィング・キャット」も、しっかり振らなくては。小曲だからといって、油断してはならない。この曲のCD(「ルロイ・アンダーソン名曲集」の類)は何枚か持っているので、カーステで通勤時間帯に聴くことにしているのだが..この曲だけリピートプレイしてもいいのだが、それでは面白くない。楽しくって楽しくって仕方がない名曲が、いずれのCDにも20曲前後も入ってるのだから、もちろん、全曲リピートである。で、それはそれでいいのだが..

 「シンコペーテッド・クロック」とか「ブルー・タンゴ」とか「トランペット吹きの休日」とか「舞踏会の美女」とかは、もちろん、なんの問題も無いのだが..「そり滑り」がかかると、やはり“逆上”しますな。[;^J^]

 ここは日本で、いまは7月31日なんだよっ! [;^.^]凸

 ..胸にも背中にも耳の後ろにも、汗がだらだら流れてるっつーのっ [;^J^]

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*2003年08月01日:鈴川絵里子の正体


 先日、報告したばかりの「鈴川絵里子(レオタードゴジラ)」だが..彼女はシロート(堅気の会社員)ではなく「アイドル」なのである、と、某氏から通報された。(これが、証拠である。→ http://www.members.goo.ne.jp/home/suzuerin)つまり、全てツクリ(仕込み)であったわけ。

 ヒーン..素人の女性だと、信じていたのにぃ..[/_;][/_;][/_;][;^.^]

 ..というか、むしろ私は、(超)一流企業の「東宝」から、ヤクザな怪獣工房ごとき [;^J^] に 転落 転職 [;^.^] した理由が、「怪獣の名前を憶えられなかったから」、では、親御さんの嘆きはいかばかりであろうか..と、本気で心を痛めていたのであった..

 憶えておいていただきたい。魂の、このようなあり方をこそ、「無垢」と呼ぶのである。

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*2003年08月02日:夏オフ2003シンセの仕込み


 午前中は、掃除だの洗濯だの買い物だの。午後から、夏オフに向けてのシンセ(Fantom−S)の仕込み。

 主たる残務は、1.カルミナ・ブラーナ(25曲からなる組曲)の仕込み、2.ツィンバロンの音作りとグリッサンドの仕込み、3.一部の音ネタのレベルアップ、といったところである。

 1.について。この曲は楽器編成が多彩なので、シンセは、チェレスタ、グロッケン、銅鑼、カリヨン、チューブラーベル、(場合によってはシロフォンも、)などなど、様々な楽器を担当しなければならない。そして、必要とされる楽器(と、その音域)が、25曲のそれぞれで、異なるのである。(例えば、1曲目では、左端の方の鍵盤に銅鑼を2種類仕込んでおいて、右側の鍵域はグロッケン。その数曲後では、グロッケンとチェレスタで鍵盤をわけあい、中央当たりの1〜2個のキーを、鐘に回す、とか。)これが、べらぼうに面倒くさい..とはいえ実は、1997年にXP−50に仕込んだ設定であり、その後数回改訂したが、要はこれをFantom−Sに移植すればよいのだから、実のところ、「頭」は使わない。「手間」だけである..で、こういう「仕事」が、一番後回しにされやすいのは、どなたも納得していただけると思う [;^J^]。結局、今日も手つかずであった。

 2.について。「ハーリ・ヤーノシュ」という曲で要求されているのは「ツィンバロン」の音だが、この楽器の音色は、Fantom−Sのライブラリには存在しない。但し、同じ系列の楽器である「ダルシマー」は、ある。ニュアンスは結構異なるのだが、発音原理も同じだし、この音を使うことが(この曲にとって)音楽的に間違っているとは思えないので、これでいくことにした。これはこれでいい。

 ただ、今回は、この音色で「グリッサンド」をする必要がある。これが厄介。以下、あまりにもFantom−S(というか、ローランドのシンセサイザー)オリエンテッドな話になってしまうし、読んで理解できる読者が二桁いるかどうか怪しいので、説明はほとんど割愛するが、要するに「パッチ」を「リズムセット」に展開するのである。そしてひとたび「リズムセット」に展開してしまうと、「全体としての音色調整」の手間が、オーダーとしては、100倍かかる。さらに、音域ごとの微調整が、猛烈に手間がかかる。(イメージとして言えば、数十本張られている「弦」を、1本1本、調整するようなものなのである。)ま、その分、きめの細かい追い込みも出来るのではあるが..

 ..で、今日から、この作業に本格的に入ったのであるが..1日では終わらなかった、という次第。

 3.については、明日に回す。

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*2003年08月03日:夏オフ2003さらにシンセの仕込み


 午前中は、掃除だの洗濯だの買い物だの。午後から(昨日に続いて)夏オフに向けてのシンセ(Fantom−S)の仕込みである。

 昨日「残された課題」として書いた、1.カルミナ対策、2.ツィンバロン対策、3.一部音色のレベルアップ、のうち、1.は、今日も手つかず。3.、2.の順番で、片付けた。

 3.について言えば、主として「サンプリング」である。どの曲でどのように使うのかは、まだ未知数であるが、LDやDVDから、音ネタを探す。(そしてまたこういう作業をしていると、言うまでもなく本来の目的を見失って、その映画なりなんなりに見入ってしまい、時間をいたずらに浪費してしまうのであるが..[:^J^])

 ツィンバロン(正確に言えば「ダルシマー」)の音については、昨日、そこそこ納得のいく水準まで到達したので、今日は、この音色で、グリッサンド奏法をするための仕込みを試みる。

 やっかいなのは、「グリッサンド」というのは、楽器の特性によって、発音の順番やタイミングや強さなどが、全く異なることなのである。例えばハープは、1オクターブの範囲内で、各弦のピッチを上下半音(正確に言うと、1半音下と2半音下)に切り替えることによって、グリッサンド時の「コード」を実現しているので、あの独特の「同じ音高の音のダブリ」が発生する..無論、ハープを一度も弾いたことが無い私が、書物のみから得た情報によって理解したところによるのだが..[;^J^] しかし、ハープはまだマシなのだ。ツィンバロン(ダルシマー)に至っては、どのように弦が並んでいて、グリッサンド時には、どのように奏するのかがわかっていないので、それを「シミュレート」することは、本当はできるわけが無いのである。まぁ、音楽辞典の記述やら、CDのライナーやらから、構造の理解は、極力すすめるが..

 どうにも自信が持てないので、この曲(「ハーリ・ヤーノシュ」)の指揮者と、「ツィンバロン奏者」に、こんな感じになるんだけど..と、聴いてもらうことにした。

 Fantom−Sには、スキップバック・サンプリングという機能があって、演奏を常時録音し続けており、いつでも(最大40秒間)遡って、サンプリングできる。何度か、グリッサンドの個所の前後を試奏して、「ま、こんなものかな」、と思えたところで、スキップバックボタンを押下。サンプリングされたウェーブ(WAV)から、前後の不要な分を切り取って、その WAV ファイルをリブ100に転送。(リブ100にはUSB端子がついていないのでスマートメディア経由になったが、普通のPCならばUSB経由でエクスプローラーで持って行けばよい。)ウェブページの「隠し(というか作業用)ディレクトリ」にアップロードして、関係者にURLをメール。

 ..ま、便利なものである。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Aug 6 2003 
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