*2002年07月22日:超読書家たち
*2002年07月23日:夏オフ業務:指揮者選考投票
*2002年07月24日:夏オフ業務:さらなる欠損リカバー
*2002年07月25日:夏オフ業務:こうもり歌手決定
*2002年07月26日:夏オフの朝の夢を観る
*2002年07月27日:夏オフ業務:こうもりの追い込み
*2002年07月28日:夏オフ業務:リハ時間配分
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*2002年07月22日:超読書家たち


 「なるほど、真の(大量)読書家というのは、ここまで言えるものなのか..!」、と、感嘆した例を二例、紹介しよう。いずれも20年以上?前の記憶なので、例によってディテールは出鱈目である可能性が高いが。{;^J^]

 まず、荒巻義雄である。今では(というか、10年以上も前から)架空戦記の第一人者だが、私は彼のこの系統の作品には、全く興味がない。食わず嫌いなので論評のしようもないのだが、どうにも読む気になれない。かつては、「神聖代」「エッシャー宇宙の殺人」「時の葦船」等など、身震いするほど素晴らしいSF作品の創造者だったのだが..

 その(SF作家だった頃の)彼が、SF大会だかなんだかのイベントで、(恐らくは大学生なのであろう)SFファンと議論した時のことである。そのSFファンは、おそらくは理論武装派の(膨大な読書量を誇るタイプの)論客だったのであろうが..その彼に対して、荒巻義雄はこう言ったというのである。

 「なんでもいいから、君が読んだ本の書名を挙げてごらん。君が読んでいるくらいの本は、僕は全部読んでいるよ」..

 「すっげーっ!!」、である。まさに万巻の書を(それも、古典から現代通俗本までのワイドレンジで)読んでいなければ、こんなことを言えるものではない。確かにこいつは、怪物的な読書家なのである、と、降参したものだ。

 しかしそののち、さらに飛んでもない読書家の存在を知ったのである。

 小松左京である。

 いやもちろん、小松左京の凄さは、遙か以前から知っていたのではあるが..確か、荒俣宏が「本朝幻想文學縁起」か「理科系の文学誌」を出した時の記念座談会で、荒俣宏を誉めて、こう言ったのである。

 「いやぁ、良く勉強しているねぇ..僕が読んでいない本も、随分あったよ」..

 ..これには、文字どおり、腰を抜かした。これに比べれば、荒巻義雄の「君が読んでいるくらいの本は、僕は全部読んでいるよ」ですら、いささか子どもっぽい見栄っ張りに見えてしまう。格が違う。

 上には上がある..ということだ。

 夏オフの「こうもり枠」の歌手候補たちに向けて、引き続き火の玉メールを飛ばし続ける。

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*2002年07月23日:夏オフ業務:指揮者選考投票


 指揮者選考投票。選曲担当者は、指揮者選考委員も兼ねているのである。仕事は理不尽に増え続ける一方である。話が違うぞ、こらっ! [;^.^]凸

 私自身も(他の選曲担当者も)指揮者に立候補しているので、本来、とてもやりにくいのであるが..そこは、計4名による投票制なので気にしなくて良い、というスタッフからの助言もあり、あまり気にせず投票する。とはいえやはり、同じ曲に、私と他の参加者が立候補している場合、(持ち点制なのだが)自分の方に高い点をつけるのは、なかなか難しい。どうしても「譲る」方向の投票行動を取ってしまうあたり..「世界標準」とは相容れない美意識に染め抜かれている、というわけだ。(実のところ、「世界標準」なんぞは存在しないんだが、その話はいずれまた。)

 夏オフの「こうもり枠」の歌手候補たちに向けて、引き続き火の玉メールを飛ばし続ける。

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*2002年07月24日:夏オフ業務:さらなる欠損リカバー


 深夜というか早朝に、一部の曲のパート譜の、さらなる欠損が判明。これも他の担当者が改めて調達し直してカバーできそうなのだが..う〜む。もう少し早くチェックしていただけると、助かるのだが。(調達したパート譜を即日チェックしていただけていれば、もう数日早く判明していた筈であり、リカバー方法にもいくらか余裕が持てたであろうに、という意味。)

 夏オフ準備のスケジュールが、全体として遅すぎるというのは、先週書いたとおり。しかし現にその(タイトすぎる)スケジュールで動かざるを得ない以上、なんらかの仕事(役割)を請け負ったり、あるいはなんらかの反応が期待されている人は、最速で反応していただかないと困る。早い話が、メールチェックは最低でも1日に4回、朝・昼・晩・深夜くらいはやっていただきたいものである。

 夏オフの「こうもり枠」の歌手候補たちに向けて、引き続き火の玉メールを飛ばし続ける。

 今夜(というか明日の早朝)が「廃墟通信」の更新日なのだが、完全に無理である。諦めて、更新を1日シフトすることにする。

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*2002年07月25日:夏オフ業務:こうもり歌手決定


 こうもり歌手陣、決定・発表! 火の玉が実った。やれやれ。あとはみんな当日まで、事故るな、風邪引くな! 当日は寝坊するな!

 他のオケ枠の曲の指揮者が決定した。私は投票には参加したが、最終的な調整はT氏が担当してくださった。(投票結果をそのまま機械的に採用すると、えらく偏ったり不公平だったり、不自然だったりするので、どうしても人為的な調整が必要になるのである。)

 結果として、私は2曲の指揮者に当選。「魔法使いの弟子」(デュカス)と、「交響曲第5番 第4楽章」(チャイコフスキー)である。さてもさても、えらいこっちゃ。振り方の研究をしている時間はあるのか、本当に!?

 今夜も更新は、無理。タイプしている時間はあるのだが、頭が「日記」向きに切り替わらないのだ。あきらめて「もう1日スライドする」旨、掲示しておく。(それにしても、2日連続スライドというのは、「廃墟通信」始まって以来の痛恨事である。風邪か何かで1回(1週間)抜いたことは、あったかも知れないが。)

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*2002年07月26日:夏オフの朝の夢を観る


 今年の会場(アスピア)は、お気楽オフなどではしばしば使っているし気心も知れているのだが、夏オフで使うのは初めてのこと。夏オフならではの特殊条件(要求仕様)とは折り合わない点も多く、それもあって、午前中の設営作業には予想以上の時間を取られ、そのため、私のシンセのセッティング(及び会場に合わせた音の作り込み)の時間が完全に不足し、まともな状態に仕上げられないうちに夏オフ開始のファンファーレが鳴り響いてしまった..

 ..という、夢を観た [;^J^]。

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*2002年07月27日:夏オフ業務:こうもりの追い込み


 今日の午後2時頃から、都内某所で夏オフの譜読み会(要は、予習会)が行われる。「一発合わせ」を夏オフの神髄とするのならば、あるいは邪道かも知れないが、ことはそれほど単純でもなく、夏オフといえども、一発合わせでは不可能な(あるいは一発合わせで行うべきではない)ジャンルがあり、それが、「オペラ枠」「協奏曲枠」「初心者枠」であって、従来から、多くの場合、二日目の午前中にリハの時間が取られていた。今年もその予定であるが、それとは別に、夏オフの一週間前のこの時期に、首都圏で集まれる20名強が、予習の合わせをするのである。上記の3ジャンルの他、特に難しい曲「魔法使いの弟子」などの予習もする。

 それに間に合うように、朝から、「こうもり」の変更箇所と削除個所の情報を必死にまとめて、なんとか正午過ぎに会議室にアップする。(途中、10時過ぎに、クリーニング出しで作業を中断したが。)

 「変更」「削除」というのは、基本的には、「慣習的なカット」のことである。作曲者が書いた譜面を、全ては演奏しないのである。こういうオペレッタでは珍しいことではなく..また、オペレッタに限ったことでもない。何故カットするのか、という話をしだすと長くなるので、本日は割愛(カット)する。

 そして特にこのカットに関して、用意されている譜面が「同期していない(バラバラである)」のだ。これらの足並みを揃えないと、まともに演奏できないことは、おわかりいただけると思う。

 指揮者のC氏が使う、オイレンブルク社の総譜(Sarowsky版)。オーケストラの奏者たちが使う、私が調達したパート譜。歌手たちが使う、音楽之友社版ボーカルスコア(世界歌劇全集 14)。この三者が、微妙に食い違っているわけなのだ。

 また、カット以外にも、(あまりにも登場回数が少ないので)今回募集しなかった配役のパートを、別の配役(歌手)にアサインしなければならない。その指示なども。

 ..ということで、3種類の楽譜と、私がリファレンスとしているクライバーのLDを、慎重に照合し、食い違っている個所ごとに、どのように演奏するかの一覧表をアップする。(この作業は、1999年の夏オフでもやっているのだが、当時とは演奏するピースが異なっているなど、微妙な違いがあるので、改めて全面的にチェックし直した次第。)

 午後から、(この私としたことが [;^J^])買い物巡り。

 「紳士服 はるやま」で、スラックス2本とベルトを買う。別にお洒落でもなんでも無い、ただの普段着水準の買い物である。(つまり、普段着水準のスラックスとベルトに不自由していたわけなのであった。[;^J^])

 さらに某大型スーパーにて、枕と枕カバー敷き布団カバーを買う。今日の午前中、これまで枕がわりに(丸めて)使っていた毛布と、シーツをクリーニングに出したところ、今日の夕方に上がってくるかと思いきや、いずれも数日かかるとのことなので、このままではあと数日間、私はシーツも枕も無しで眠らなければならない、という逆境に追い込まれていたからである。

 ..で、枕(と枕カバー)は良いとして、シーツを売っていないのに驚いた。最近は、シーツではなく、袋式の(敷き布団を完全にくるむ)布団カバーが主流なのであるという。全然、知りませんでした [;^J^]。ま、確かに、布団を干すときに(シーツが風に飛ばされる危険が無くなる分)いくらか楽ではあるわな。

 晩には、久々に赤ちゃんへ。多分丑三つ時前後だったと思われる退去間際の記憶が、いくらか不自由である。[;^J^]

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*2002年07月28日:夏オフ業務:リハ時間配分


 選曲担当者の仕事は、まだあった。まだまだあったのである。午前中のリハーサル時間の配分である。どう考えても、「立ってるものは親でも使え」状態である。しかし切れない。私は大人なのである。(いくらかは。)

 午後から、ようやくシンセの仕込みを始める。

 新ネタは、無い。が、問題はやはり、「魔法使いの弟子」である。この曲のハープは1台だけなので、シンセも1台だけアサインすればいいはずだが、ひとりで弾くのは難しい、という(予定されている)奏者からの泣きが入っており、ふたりで分担する可能性がある。ここまではいい。

 以上に加えて、1個所、グリッサンド奏法で(つまり、鍵盤をひとつひとつ弾くのではなく、鍵盤の上を(ハープのごとく)指を滑らせて)弾きたい場所がある。この1個所のために、恐らくもう1台、シンセを用意しなければならない。なぜなら、グリッサンドのために特殊な調律(実は、単に半音低いだけの変ハ長調のスケールなのだが)にするのだが、それを元に戻す、という操作を、シンセに慣れていない奏者にまかせるのが、恐いからである。(普段ならば、私がサポート要員として隣りについていて、私が操作するのだが、今回、この「魔法使いの弟子」を演奏しているあいだ、私は、指揮台の上にいるのである。[;^J^])戻しそこなったら、延々と半音ずれた演奏になる(ことに気が付いて、恐らくパニックに陥り、曲が終わるまで一音も弾けなくなる)という事態に陥る可能性がある。

 そこで、このグリッサンドのためだけに、1台、シンセを確保したいのであった。合計、3台。今回、私のシンセとMさんが用意して下さる2台の、都合3台体制で臨むつもりなので、これでぴったり、辻褄は合う..

 ..はずだったのだが、グロッケン奏者が、(生グロッケンを用意できない可能性がある、という理由と、グロッケンで弾くよりも鍵盤で弾く方が楽だ、という理由と半々で、)グロッケンパートも(一部だけ)シンセで弾きたい、と申し入れてきた。これで話が壊れた [;^J^]。さて、どうしたものか..

 実のところ、グロッケン(及びシロフォン)は毎年毎年、グレーゾーンなのである。これらは打楽器なのか鍵盤楽器なのか。どちらのセクションで用意するのか。打楽器奏者が弾くのか鍵盤楽器奏者が弾くのか。今後も毎年、頭を痛めて行くのだろうなぁ..

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Jul 31 2002 
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