2000年08月14日:「OS」雑感 2000年08月15日:藁の山から針を探す 2000年08月16日:K君帰国歓迎会 2000年08月17日:「todo」vs「もう諦めよう」 2000年08月18日:幸福な人々、再論 2000年08月19日:大宅壮一文庫/中野ブロードウェイ/「超SF映画」 2000年08月20日:「ビッグゴールド」など目次へ戻る 先週へ 次週へ
亡父の墓参りに、金沢八景の横浜霊園へ。混んではおらず、昼過ぎには横浜駅に戻る。東口のルミネの天ぷら屋で昼食。1200円で満腹。5Fの書店で何冊か見繕う。
以前から気になっていることなのだが..電子楽器の(一部の?)ユーザーの間では、電子楽器の「ファームウェア」全体を、「OS」と呼ぶ習慣があるようなのである。
「A社のサンプラーのOSの信頼性は..」「E社のシンセのOSなら、ホームページからダウンロード出来るらしい..」「K社のTのOSの最新バージョンは、1.xxですよ、アップデートしておく方がいいですよ..」等など..
私は、これにどうにも違和感を感じて仕方が無いのだ。「OS」というのは、階層構造をなしているソフトウェア全体の、一番「核」になる部分を、それのみを指す言葉のはずだ。(さらにその内側(というかハードウェア密着部分)に、「BIOS」とか「ドライバ」とか、まぁ、計算機文化の違いによって、さまざまな用語で呼ばれる領域があるのだが、それはさておき。)どうして、最下層から最上層までの、ソフトウェア全体を、「OS」と呼ぶのだろう?
これは私の推測だが..恐らく、Macが持ち込んだ文化(用語)なのだ。つまり、「MacOS」。もちろん、ユーザーが使っているのは、OfficeやClarisImpactやVisionなどの、「MacOS」の「外側」にある「アプリ」なのだが、どうもMacの場合、“それはそれとして”「MacOS」を使っている、という雰囲気が漂っている(ような気がする。ちなみに私は、プライベートではMacユーザーではない)。
ま、「言葉が乱れておる!」、などと主張するつもりは無い。今の若い人たちは知らないだろうが、昔は、「UCSD−pSYSTEM」というのがあったのだ。詳細は略すが、この「OS」パッケージには、「PASCAL」や「FORTRAN」などの、コンパイラも含まれていたのである。「じゃぁ、OSとは言えないね」、と、純粋な大学生だった私は、目と歯をキラキラ光らせながら批評したものであるが..「言語処理系も含んでいてこそ、OSと言える」、という思想だったらしい。そして、(安価で強力な)市販アプリ(ワープロやデータベース等)がほとんど無かった当時においては、言語処理系(コンパイラ)は、まさにアプリの代表格だったのである。
目次へ戻る7:32のバスで国会図書館へ。
「未発掘作品の発見」を目的としていない、「従来リストのデータの裏を取る」確認作業を、ひたすら続ける。暗い作業だと思われるかも知れないが、これが基本なのである。(科学の世界における「追試」と、同じようなものである。)
4年以上の調査の過程で、「特に怪しいデータ」「曖昧なデータ」は、相当数片づいているが..しかし、「従来リストに記載されているので、私のリストにも引き継いで載せているが、実は、未だに現物を発見出来ていない」、という作品は、まだまだ多いのである。新聞に掲載された記事や広告を、しばしば発見しがたいことは、従来から何度か述べているが..例えば、
10周年おめでとう!!(カット)::?:少年サンデー:69/08/18?:0
まんが家の初夢(イラスト)::?:少年ジャンプ:79/01/01?:0
「陽だまりの樹」を終えて(エッセイ)::?:ビッグコミック:86/12/25:0
..こんなのが、まだ見つかっていないのだ。これほどメジャーな雑誌なのに。該当号を隅から隅までスキャンしても、無い。あるいは、リストに記載されている該当号が、そもそも無い(日付がずれている).. 従来リストにおいて、雑誌名か掲載号、あるいはその両方を間違えているのである。これをどうやって探し出すか..
同様に、従来リストに、「1953年の毎日新聞」、と、まことに曖昧に記載されている「たみちゃん兄妹(兄弟?)」を、数ヶ月前から捜索しており、今日もトライしたのだが..失敗。見つからない。大阪版にも東京版にも無い。他の地方版に載っている可能性がゼロでは無いが..しかしこの時期の同紙の連載4コマ漫画は、横山隆一と横山泰三が押さえているのである。手塚治虫が割り込む余地は、無いと思う。もしやどちらかが(病気療養などで)落とした穴埋めか?と、調査を続けてきたのだが、その形跡が無い..
新宿、渋谷と回って、帰宅。
目次へ戻るバングラデシュの日本人学校に赴任中のK君が一時帰国しているので、今日は、帰国歓迎会である。(単身赴任ではない。一家でダッカなのである。)
15時に港南台駅で、K君、T君と待ち合わせて、まず、同級生だったW君の墓参りをすませる。享年19歳。我々は、今年42歳になる..
バングラデシュの土産話(というか、一時帰国なのだから、中間報告というべきか?)を、いろいろ聞く。郵便事情は劣悪で、出すにせよ受け取るにせよ、届くのは10通中6通だとのこと。(小包が盗まれるのは、まぁ理解できるが、ハガキが紛失する理由が判らない。)あんまり届かないので、郵便局に抗議に行って..現場を見て、すぐに諦めたとか。(いつから放置されているのか判らない荷物の山とか、全くやる気の無い職員とか..)彼は、「日本の公務員が、いかに優秀で仕事熱心か、つくづく思い知った!」、と、力説していた [;^J^]。また、南海の魚は、癖がきつくて不味い。帰国してからは、毎日、刺身を食べている。鶏は美味い。日本の鶏と違って、十分、運動しているから..等など。
桜木町に移動して、4人(プラス家族4人)加えて、中華料理店。K君の家族は、来ていない。実際、帰国してから、(日本の味が恋しくて)連日連夜、飲み歩いているそうで、既に家族からは見放されているようだ。[;^J^]
目次へ戻る今日も国会図書館へ。
要調査案件、すなわち「todoリスト」は、既に1000件を割っているが、「もう諦めようリスト」も、数百件ある。(例えば、終戦直後の赤本出版社から出ていた雑誌など。)また、「todoリスト」の中にも、「ほとんど見込みは無いが、諦めきれない(ので、「もう諦めよう」ではなく「todo」にリストアップしている)」作品が、百件以上ある。(例えば、ある時期の「少年画報」や「少年キング」や「プレイコミック」や「高一コース」など。これらは、国会図書館や現代マンガ図書館や大宅壮一文庫には無いのだが、きっと、どこかで読めると思うのだ..)そして、“前後の事情”やら“気分”やら“気迫”やらで、この両リストの間で、しばしば案件が移動しているし、新ネタ(未発見作品の情報)が入るたびに、リストに追加されるので、残り何件調査すれば「終わり」になるのかは、私にもさっぱり、判らないのである。
さすがに、「未発見作品の情報」は、もうほとんど無いが、それでも先日の、
あけまして火星::1:日本経済新聞:66/01/01:0
..のような例があるから、油断は出来ない。また、これも既に述べたことだが、特に新聞や週刊誌のエッセイ等の場合、単発だと思っていたら、実は連載だった、ということが、しばしばある。
この夏休みの調査では、これまで後回しにしていた、他の著者の「単行本」の「あとがき」等のチェックにも、力を入れている。しかし全集や選集などの「月報」の類(に掲載された文章)は見込み薄であるし、実はかなり多数あるのが、「映画のパンフレット(プログラム)に寄せた文章」なのである。これは、国会図書館では、どうにもならない(と思う)。アニメ映画のパンフならば、現代マンガ図書館にそこそこあるが..(アニメ映画のパンフに寄せた文章、というのは、案外、少ない。多くは(アニメ以外の)一般の映画である。)買い集めてもいいのだが、昔の映画のパンフというのは、非常に高価なのである..(さらにやっかいなのが、レコードやLDに載せられた、ライナーノーツの類。)
神保町。中野書店と三省堂。
目次へ戻る別に、Webの掲示板に限った話ではなく、ネットニュースのニュースグループや、パソコン通信の会議室や、メーリングリストでも、しばしば見られることなのであるが..何故か、最近は、Webの掲示板でみかけることが多い現象について。
何かのきっかけで、ちょっと荒れる。でも、丸く収まる。そこまではいいのだが..そのあとのフォロー。
「ここに来ているのは、皆、いい人なんですよ!」「紳士だし!」「みな、同じ趣味をもつ仲間なんだから!」
..あぁぁ、気色悪い! こういうのが、いっとう、嫌!
クールにいこうぜ、クールに! ドライに! ベタベタするんじゃなくて! その方が、よっぽど“カッコ良く”、(結果的には)居心地が良い、てことが、判らないのかな、このタコどもには。(この現象については、以前、「幸福な人々」という一文で、述べたことがある。)
私がしばしば出入りしている、ニフのとあるフォーラムの深夜RT(いわゆる「チャット」)は、まぁ大体、参加者も固定しているし、一見、和気あいあいとやっているし、客観的に観れば「趣味も一致している」のだが..「紳士だ」「仲間だ」などと、称え合ったことなど、ただの一度もないぞ。なぜなら、言うまでもなく、我々は「紳士」でも「仲間」でも(以下略 [;^.^])
目次へ戻る8:11のバスで、今日は国会図書館ではなく、大宅壮一文庫へ。計40冊閲覧する。
ここには漫画雑誌は、ほとんど無い。国会図書館に収蔵されていない(欠本している)雑誌を、ここで可能な限り拾っているのである。本日の主たる成果は、1969年の「話の特集」誌。これに(手塚治虫を含めて)4人の漫画家が「フォアカード」という1コマ漫画を連載しているのだが、国会図書館では、切り抜きの被害が酷いのであった。
以前から問題になっていた、PHP誌の調査も進めるが..結論が出ない。手塚治虫はこの雑誌に(私が把握している限り)12本のエッセイ(等)を寄稿しているのだが、うち4本が、いまだに初出誌で発見できていないのである。そもそもそういう号(増刊号)が存在しない、あるいは、その号は確かに存在するのだが、掲載されていない、等など..従来からのデータが誤っていることは間違いないのだが、国会図書館も大宅壮一文庫も、PHPの揃え方がいまいち中途半端なので(欠号がある)、絨毯爆撃し難い、という悩みもある。
14時に、中野まんだらけへ。(昼食は、例によって、中野サンモールの立ち食いそばやである。)手塚治虫MLのメンバーと待ち合わせていたのだ。「まんだらけ当選品受け取りオフ」である。全員(10人弱)の購入金額を合計すると、税込みで50万超。[;^J^](ほとんど、店員にウケていた。[;^.^])外道である。オタクである。
うち、私の責任払いは、僅か(税込み)2万1千円。「少年」誌1966年12月号と、「超SF映画」(中子真治、奇想天外社)。前者によって、1966年1月号から、1968年3月号(廃刊号)まで揃った。付録(「少年パンチ」)をあと1冊入手すれば、この最後の27ヶ月の連載漫画が、全て連続して読めることになる。
「超SF映画」は、以前から欲しかったもの。1897年から1980年に至る全ての外国SF映画のデータを(日本未公開作品も含めて)まとめ上げた力作で、資料価値は絶大。「資料派オタク」が築き上げた金字塔のひとつ。私も、負けてはいられない。
お茶してから解散。中野ブロードウェイの4Fに戻り、まんだらけマニア館(という名称だったっけ?)で2冊。同じく4Fの某古書店(「大予言」では無い方..どうしても店の名前を覚えられない [;^J^])で、銀背とサンリオ、各1冊。計4冊買い足した。
まんだらけで買った2冊のうち1冊は、「官能劇画誌」コーナーで見つけた物。そう、表紙に「聖レイ」の名前があったからである。(聖レイの初出誌調査を始めたわけではないぞ。[;^.^])これまでに買い集めた16冊には収録されていない短編であった。海岸で誘拐した女を、海中の沈没船に監禁してアレする、という..
4Fの某古書店だが..この店、ネタはいいんだが..商売する気はあるのか? [;^.^]
客同士がすれ違うことが不可能な狭い店内に、うずたかく積まれた本..それはいい。多くの古書店で見られる風景だ。書架の前に積まれた本の山が、書架の本を隠している(その本の山をどけないと、書架の本にアクセスできない)のも、いいだろう。
理解できないのは..それら、積み上げられている本の山が、「背表紙を、壁側(書架側)に向けている」ことなのである。つまり、客の目に見えないのだ。(崩れる危険を冒して)本の山の向きを変えない限り。
わざわざ隠しているとしか、思えない。露出させなければ、商売になるまいに。(ビルの中の店なので、背表紙が日光で焼けるのを避けている、という可能性も無いのだ。)また、書架にハードカバーが並んでいるのだが、そのハードカバーの“奥”に、(ハードカバー群が引っ込み過ぎないように)“スペーサー”として文庫本が並べられていたりするのだが、これ自体(ハードカバーが文庫本を隠していること自体)は、やはり良くあることである。しかしやはり理解できないのは、それらの文庫本が、ハードカバーの奥で、背表紙を「壁」に向けていることなのである。「何かありそうだ」、と、勘が働いて、それらの文庫本の品定めをしようにも、まず、手前のハードカバーをどけて、次に、奥の方にびっしり並べられている文庫本をひっつかんで、裏返して背表紙を確認しなければならないのだ。これはもう、売る気が無いとしか思えない。
..しかし、ネタはいいので、困ってしまう。ぶつぶついいながらわし掴みした本を裏返して背表紙を見て、「おぉ、こんな本もあるのか!」..が、たびたびなのである。
目次へ戻る10:34のバスで、実家を発つ。
今日は現代マンガ図書館である。合計、85冊チェック。
本日の最大の成果は、
火の山::99:ビッグゴールド No.2:79/04/20:265
..である。従来の全てのリストが、「79/03/30」と記載しているのである。元ネタである(と思われる)手塚プロダクションのリストのミスを、全員が引き継いだと思しい。(79/03/30 というのは、「発売日」だろうか?)これほどのメジャー作品、これほどのメジャー誌であっても、現物を自分の目で見るまでは、確かなことは言えないのである。
(それにしても、まさかこの作品(雑誌)のデータにミスがあるとは思わなかった。逆に、どこか間違っている可能性が高い、と狙っていた、「七色いんこ」のデータには、誤りは無かった。勘に頼っていては、いかんな。)
夏休みは今日まで。浜松へ直帰。
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