2000年05月08日:ラブレター、追補 2000年05月09日:聖レイの本、届く 2000年05月10日:聖レイの本、発注 2000年05月11日:夢の記録について 2000年05月12日:「少年マガジン大図解」 2000年05月13日:「蜘蛛」、ふたたび 2000年05月14日:ある世代目次へ戻る 先週へ 次週へ
ラブレターについて、昨日書き忘れていたこと。「見知らぬ人からのラブレター」、と、うっかり書いてしまったが、メリッサ型のワームは“アドレスブック”から次の標的を取得するのだから、むしろ「知人(の名を騙ったワーム)」から送られてくるのである。だから強力なのだ。「見知らぬ人」からのメールを用心して開封しない人でも、「知人」からのメールに対してはガードが甘くなるのは、ある程度は、仕方がない。
今日の時点では、日本国内における(報告された)感染件数は、諸外国の被害に比べて桁外れに少ないが、(たまたまゴールデンウィーク中で、メールを開封する前にウィルス情報が出回った、という僥倖よりも、)理由は恐らく、これだ。例えそれが「知人」からのメールであっても、Subject が(日本語ではなく)「ILOVEYOU」だったら、そりゃ普通は、警戒するわな。(相手が同性ならば、さらなり。)
さて、今のところ、私はこのラブレターを一通も受け取っていないが..ま、まさか、ぼ、ぼくのメールアドレスをアドレスブックに入れてくれるような、親しい友人がいない、なんてことは..
目次へ戻る聖レイの「花芯コレクター」、届く。
まだ(判明している27冊中)11冊目なので、確たることは言えないのだが..彼の初期(1980年代初頭)の単行本には、2〜3割程度、極めて陰惨な“暗黒エロ劇画”が含まれている。生きたまま臓物をかっさばく。首や四肢を切り落として、人形のそれに付け替える。男女の死体をそれぞれ左右にまっぷたつに切り分けて、“アシュラ男爵”状のオブジェを作る。等など..そして「花芯コレクター」は、初期の単行本に属するものなのである。
後期(1980年代中盤以降)の単行本には、この傾向の作品(残虐もの)が、ほとんど収録されなくなるのだが..この作風の変化が、作家の資質の変化によるものなのか、あるいは社会的な要請によるものなのかは、ちょっと興味が無いことも無い。
目次へ戻る聖レイの「犯され天使」を「EasySeek」で発見し、即、発注する。
「古書集めの基本は、やはり足だ」、と、数週間前に書いたような記憶があるが、こと聖レイに関する限り、足で発見した数よりもインターネットで発見した数の方が、遙かに多い。店頭で発見したのは、神保町の某古書店での3冊だけである。
聖レイが、特別に見つけにくい訳ではない。この時期(1980年代前半)のエロ劇画が店頭ではなかなか見当たらないのは、どの作家でも同じことなのであるが..しかし、これほどレアだとは思わなかった。もしや最近になって、需要が増えたとか?
まさかとは思うが..どこかの馬鹿が自分のページで「聖レイが欲しいよ買いたいよ!」、と、騒いでるせいじゃ、あるまいなぁ。[;^.^]
目次へ戻る明け方(といっても、3時半頃だが)、ちょっと面白い夢の記憶を保持したまま目が覚めたので、メモしようかと思ったのだ。
もう長いこと、夢日記を書いていない。10年以上前には、数週間に一度くらいは、枕元のメモ用紙に書き付けていたと思うのだが..
これは非常に、疲れるのである。しかも、苦労して書き付けた夢の記録も、白昼の太陽光のもとで読むと、(そもそも(字が乱れていて)読めない、とか、意味不明で内容も情景も思い出せない、という類を除外しても、)95%は、色褪せてしまっている。要するに、面白くないのだ。それで、いつしかやめてしまっていたのだが..
今日の夢は、記録しておくだけの価値があるように思えたのだ。それで、(枕元には筆記用具が無かったので)フトンの脇の座机(実はコタツ)の上に右手を伸ばし、左腕で上体を支えて半ば頭をもたげて、中途半端な姿勢で、今みた夢の情景を書き記し始めた..(フトンから起き出て、ちゃんとした姿勢で座らないのは、目が覚めきらないようにするためである。体を起こしてしまうと本格的に目が覚めて、あっという間に夢の記憶が消えていってしまう。半覚醒状態を保ちつつ記録しなければならない、という点に、“夢日記”の難しさがあるのである..)
..と、気が付いたら、ここまでが“夢”[;^J^]。私は右手を座机の上になど出しておらず、相変わらずフトンの中で丸くなっていた。
いかんいかん、と、改めて右手を伸ばし、上体を半分だけ起こして書き始め..
..と、気が付いたら、ここまでが“夢”[;^.^]。
これをさらにもう一回繰り返した時点で根気が尽き、枕に頭を埋め直した。まだ4時前である..
結局、(いつもどおり)6時半過ぎに起床した時点でも、こういう(しつこい)経緯があったせいか、いくらかは夢の内容を覚えていたので、ざっとメモしてから出社したのだが..帰宅してからそれを読んでみたら..
「八王子への家族旅行。それはダミーで、デスティネーションは実は八丈島。“八”つながりか。海へ向かう道路は(満潮ではなく)大雨で冠水し急流と化す。パトカーが流れて行く」..なんなんだよ、これは [;^J^]。どこが面白いんだ。だから夢日記は、やめておけと言ったのに。
目次へ戻るネタが無いので「少年マガジン大図解」のことを書こう、と、読書記録を調べてみたら..なんと、8年も前に読んだ本なのである。愕然。せいぜい3年前かと思っていた。この調子では、私の余命が、仮に、実時間で40年あるとしても、“追憶時間”(たった今発明した言葉である)は、10年も残っていないのであろう..[/_;][/_;][/_;][/_;][/_;]
..ま、気を取り直して..
若いSFファン(39歳以前のことである ← 開き直りっ)の大多数が「福島正実」の名前を知らないであろうように、若い怪獣ファンの大多数は「大伴昌司」の名前を知らないのであろう。
しかし、これだけは覚えておいて欲しい。大伴昌司がいなければ、日本に怪獣文化が根付くことは、なかったのである。無論、彼が怪獣を作ったわけではない。しかし、「円谷」怪獣を誰よりも「面白がって」、「本気で解説して」、「図解した」のである。これがどれほど、当時の子どもたちの(つまり、こんにちの大人たちの)心をとらえたことか。
無論、大伴昌司の功績は、怪獣文化を定着させたことだけでは無い。「少年マガジン大図解」(の、特に第1巻)は、少年マガジン誌上で大伴昌司が展開した、主としてSF系の図解や解説を中心とした業績をまとめたものである。(大体、1970年頃まで。)
驚くほどレベルの高い解説記事(と図解)である。大伴昌司自身による「SFの大衆化」「時計じかけのオレンジ」「遊園地は未来の企業」などのエッセイも刺激的だが、とにかく執筆陣が超一流なのだ。光瀬龍、石原藤夫、南山宏..到底、子ども相手とは思えない程の、力の入り方。手抜きがない。完全なデストピア物もいくつかあり、著者と雑誌の懐の深さをうかがわせる。
ひとつ、傑作な「図解」を紹介しておこう。「21世紀大冒険」という、星新一、小松左京、平井和正、大伴昌司による、ハチャハチャ座談会を絵解きしたものなのだが..“未来のプロレスでは、サイボーグレスラーが、対戦相手をちぎっては投げ、ちぎっては投げ”..[;^J^]
目次へ戻る聖レイの「犯され天使」、届く。
「日本の古本屋」の探求書のコーナーに、聖レイの未入手単行本15冊を、登録する。既に「EasySeek」等にも登録しているのだが、網は広げておくべきだ..が..
どうもここの探求書登録システムは、頼りない。システムというか、ただの掲示板なのである。自分が何を登録したのか、自己管理しておかないと判らなくなる。(つまり、探求書情報は、古書店側からしか読めない。)いつまで有効なのかもはっきりしないし、そもそもこの探求書情報が“配信”される加盟古書店の名前も数も、不明なのである。やはり「EasySeek」に一日の長がある..というより、大人と子供の貫禄差。
今月号のSFマガジンがP.K.ディック特集なので、未読(というか未購入)リストを作ってみる。実はいまいち苦手な作家なのであるが..特に長編は、ワンパターンもええ加減にせぇよ、と言いたくなる。「アンドロ羊」と「ブレードランナー」と、どちらが面白いか、と問われれば、迷わず後者である。そもそも「アンドロ羊」がどんな話だったか、ほとんど思い出せない。
しかし、極めて印象的な作品もあるのだ。何よりも、「ユービック」! こればっかりは、忘れられない。「火星のタイム・スリップ」も、ガブル、ガブル、ガブル..
いきつけの小さな書店で、「乱歩の選んだベスト・ホラー」(ちくま文庫)を発見。同文庫の乱歩シリーズの存在は、勿論知っていたのだが、なにしろ私は乱歩のほぼ全ての文章を、江戸川乱歩推理文庫(講談社)で既読なので、(一部の幼年物を除く、)完全に見送りモードだったのである。こういうアンソロジーが組まれていたとは。
エーヴェルスの「蜘蛛」と乱歩の「目羅博士」が、嬉しそうに [;^J^] 並べられている。アンソロジストの特権だよな。私は、2000年04月03日の日記で「蜘蛛」に言及した際、これにインスパイアされた乱歩作品のタイトルを伏せていたのだが、考えを改めた。これはネタバレとは言えない。「蜘蛛」の知識を持って「目羅博士」を読んでも、あるいはその逆でも、全く感興を削ぐことは無い。これは私が保証する。(謎解き小説では、無いのである。)
さて、本書では、「蜘蛛」の元ネタが「見えない眼」(エルクマン=シャトリアン)である、と指摘されている。これはうっかりしていた。これを収録している「恐怖の愉しみ (上)」(平井呈一編、創元推理文庫)を読んだ際、私も読書記録に、その疑念(「どちらが先か?」)を書き付けていたのだ。本書で、「蜘蛛」が後、ということが判った。
しかし本書でも、私が2000年04月03日の日記で指摘した、「蜘蛛」と「ロウモン街の自殺ホテル」(「世界怪奇実話」(牧逸馬、現代教養文庫、社会思想社)所収)との関係については触れられていない。つまり、私は公知のことを騒いでいるわけでは無かったのだが..しかし、これは独自の新発見なのか? そんなはずは無いと思うがねぇ..(ある年代のある種の人々に取っては、牧逸馬の「世界怪奇実話」は、基礎教養だったはずなのだから..)
目次へ戻るコミックビームに連載中の「夜は千の眼を持つ」(上野顕太郎)。今月号のネタは、いい。
ウルトラセブンの話をしながら道を行く、小学生の二人連れ。彼らの会話に、通りすがりの見知らぬ大人たちが、すれ違いざま次々に、「エレキングだよ」、「クラタ隊長だな」、「ドロシー・アンダーソンとマービン・ウェップのことね」..と、突っ込みを入れて行き、その小学生たちは徐々に不安に苛まれ、怯え、そして追いつめられて行く..という、恐怖の掌編である。
ま、この作者の(大多数の)作品の例にもれず、詰めが甘くて、全体としては凡作なのだが..このシチュエーションの“スーパーリアリズム”は、高く買える。むろん、私も彼らに対する“迫害者”になるであろう。あなたもでしょ、ほらほら。
目次へ戻る 先週へ 次週へLast Updated: May 17 2000
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