*1999年08月09日:中井英夫を読む
*1999年08月10日:「新耳袋」を読む
*1999年08月11日:ハイヒールの方が好き
*1999年08月12日:伊勢丹大古本市/ピカビア展/アンナミラーズ
*1999年08月13日:運動会について
*1999年08月14日:「三国志演義」を読む
*1999年08月15日:盆休みの終わり
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*1999年08月09日:中井英夫を読む


 午前中に、墓参り。草取りなどで大汗。

 帰宅してから、読書。創元ライブラリの「中井英夫全集」である。この全集、刊行ペースが遅いのはともかく、インターバルが不規則なので、調子が狂う。続巻がなかなか出ないので(数ヶ月ほど)忘れていたら、とっくに出ていた、とか。それやこれやで、遙か以前に購入していた第2巻を、今ごろ読んでいたりするのである。(これ以外の既刊は読了済み。)

 「炎色反応」という短編の中に、いい文章。「自分たちだけのためにせっせと食物を蓄えるより、ひとのために美しい唄をうたい続けるほうがずっと大事なことではないか」。そーだそーだ。

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*1999年08月10日:「新耳袋」を読む


 昨夜からの雨で、過ごしよい。夏も終わりつつあるか。

 「新耳袋」シリーズ(木原浩勝、中山市朗、メディアファクトリー)は、ひととおり読んでいる。最新刊は「第四夜」。

 この巻の白眉は、やはり第12章全体を成す「山の牧場にまつわる十の話」であろう。これは凄い。著者らによる真相?の推測は、それほどスリリングなものではないが、とにかく、この謎の牧場を発見した(迷い込んだ)日の、探検行のシーン。「階段が存在しない建物の二階に見いだしたもの」など、まさしく鳥肌ものである。

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*1999年08月11日:ハイヒールの方が好き


 底厚靴と言うんでしょうか。10数センチのオフセットを、身長にかます奴。これを履いている女性が、どうしてこんなに不格好に見えるのか、その理由を考えてみた。

 まず、姿勢が悪いのである。

 底厚靴のライバルは、無論、伝統的な「ハイヒール」である。これを履いている女性は、(相対的には)概して姿勢が良い。(悪い人も、勿論いる。)背筋と膝が伸びている。

 また、ハイヒールを履くと、脚が長く見える。つま先立ち(背伸び)をしているのだから、当然と言えば当然だが、つま先は地面に接地しているので、なんとなく、ここまでが「正味」の身長に見えてしまうのである。(実際は、かかとまでが「正味」なのだが。)これに対して、底厚靴だと、こういう詐術が効かない。誰の目にも「引き算すべき“オフセット”」が、明確に見えてしまうのである。

 そしてこれは以前にも書いたことだが、底厚靴を履いている女性で「脚が長すぎるように見える人」は、滅多にいない。大概、底厚靴を履いている状態で、プロポーションが「丁度いい」のである。「では、正味は?」という目で観たとき、底厚靴だと、簡単に「引き算」できてしまう。ハイヒールだと、この「引き算」が、やりにくい場合が多いのである。

 ま、それはそれとして。

 どちらが、より動きやすいかと言えば、(どっちもどっちではあるが)底厚靴であろう。私に言わせれば、ハイヒールを履いて歩けること自体が、信じられない。慣れれば走ることすらできる、というのは、驚異としか言いようがないし、急な下り坂をハイヒールで下りるなど、物理的に不可能なこととしか思えない。

 かつてミニスカートが大流行したのは、それが非常に動きやすい、機能的な衣服だったからだ。底厚靴は、決して機能的でも動きやすくもないが、ハイヒールよりはマシだ。いずれ、ハイヒールを凌駕する日が来るのかも知れない。(不格好に見える、という、致命的な欠陥を解決できれば、だが。)

 勢い余って思いついたが、下り坂と上り坂の両方に最適適応する、コンバーティブル・ハイヒール&ハイトゥーというのは、どうか。オフセット材の装着箇所を、かかととつま先の両方から選べる、という方式でも良いし、靴の底全体が、180度回転する、という方式でも良い。(心配しなくても、この程度の発明は、とっくの昔に、誰かが出願している。)

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*1999年08月12日:伊勢丹大古本市/ピカビア展/アンナミラーズ


 新宿・伊勢丹の、大古本市。予めカタログでK書店に注文していた1966年度の「少年」誌が、3冊とも当選。うち2冊は同じ人と競り合って、2冊とも私が籤引きで勝っていた。う〜ん、ちょっと罪悪感..など、感じる訳がない [^.^]。そんなヤワな神経では、古書極道道楽は、やってられんぞ。

 他の獲物は、(まだまだ買い残しが多い)銀背(ハヤカワ・SF・シリーズの俗称)を中心に、20冊弱。

 昨年に引き続き、なぜか吾妻ひでおが目立つ。(「吾妻ひでお」という文字列に反応しやすい視神経を持っていることは事実だが、それを差し引いても、確かに多かった。)丹念にピックアップしていけば、十分な質・量を持つベーシックコレクションを作れるほどである。但し、同程度の状態の同じ本の価格差が、最大10倍程度はあるので、気ぃ入れてスキャンすること。

 それなりの重さになったので、全部まとめて浜松に発送。同じく伊勢丹で開催中のピカビア展を覗く。ピカビアをまとめて観るのは、初めてである。

 帰路、横浜を通過して、桜木町はランドマークタワーのアンナミラーズへ。バナナパイとワインで1時間ほど間を持たせてから、横浜に戻る。わざわざランドマークタワーまで行って、これだけで帰ってくるあたり、目的が明快で爽やかである。(備忘:正面図よりも側面図の方が風情がある。)

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*1999年08月13日:運動会について


 そろそろ運動会の季節である。私は数年前から、勤務先の運動会をパスしている。基本的に「祭り」は好きなのだが、巡り合わせ的に仕事に重なったり、または、どうしてもその日のうちに読んでおきたい書籍があったり。何年前になるのかな、運動会の応援席で(屋根のない炎天下で)澁澤龍彦を読んでいたこともあるのだが、この時は、酷い頭痛と眩暈に悩まされたものである。熱射病でもビールのせいでもなく、書籍の内容と環境がミスマッチ過ぎたのであろう。

 競技種目もマンネリなんだよなぁ。いっそ、みんなで、たれぱんだのコスプレをしてゴロゴロしている、というのは、どうか。

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*1999年08月14日:「三国志演義」を読む


 昨夜からの雨で、涼しく心地よい。(ゆうべの雷は、凄かった。)

 「三国志演義」再読終了。(この盆休みのメインイベントであった。)ずいぶん昔に読んだきりだったのだが、文庫本で出ている横山光輝版を読んでいるうちに、活字版も懐かしくなった、というわけ。

 鮮明に憶えていたことも、すっかり忘れていたこともあるが..

 (ほぼ)全ての武将の全編を通じての基本的な戦術。偽って逃げ、深追いしてきたところを退路を断って挟み撃ち..の、ワンパターンだと思うんですが..[;^J^]

 第106回に、司馬懿の興味深いセリフあり。「いくさには五つのやりようがある。戦うことができるなら討って出て戦い、戦うことができぬなら守り、守ることもできねば逃げ、逃げることもできねば降り、降ることもできねば死ぬるものじゃ」

 戦いの諸相を、実に要領よく5種類に分類し、まとめている。特に感心したのは、「死ぬ」ことも「いくさのやりよう」に含めていることである。普通に考えると、「死ぬ」ことは「いくさのやりよう」の「定義外」とするのではなかろうか? 「死ぬ」ことを含めることによって、もう一段広い視座で「戦いの様相」の全体を見渡せることとなった。中国の知恵というべきか。(「ゼロの発見」に似ている知れない ← これは中国ではないが。)

 ついでに連想。オールディスの「暗い光年」というSFに出てくる異星種族は、自分たちのライフサイクルを、「植物期」「動物期」「腐肉期」として把握している。「腐肉期」というのは、地球人的な生命観から言うと「死」んでから以降のことであるが、彼らはその「変化」(動かなくなり、会話もしなくなり、徐々に体が変形して行く)を「死」としては捉えず、「人生(ライフサイクル)の(静かなる)最終段階」として、「腐肉期」をすごす(生きる)「賢者」に、敬意を払うのである。(以上、例によって、記憶だけで書いております。[;^J^])

 話を三国志に戻して..「戦う」「守る」「逃げる」「降る」「死ぬ」という5様相は、実に良くできているので、朝礼ネタに手頃である。しかし、この5様相をダイレクトに「仕事」にアナロジると、少々恐い考えになるので、ほどほどにすること。

 NHK「思い出のメロディー」。やはり太田裕美はいいなぁ。

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*1999年08月15日:盆休みの終わり


 今年の盆休み中には、珍しくも国会図書館を訪れなかった。連日、なんとなく雨もよいだったこともある。エアコンの無い実家でも、ほとんど不快感を感じなかったのだから、やはり涼しかったのだろう。雨の降る日にゴロゴロ読書、というのも、なかなか快感。

 新横浜9:27発のこだまで浜松へ。

 昼過ぎには浜松の自宅に着き、ただちに休日出勤。休み明けの16日の前に、片づけておきたい仕事(サーバーの変更)があるのである。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Aug 18 1999 
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