1996年10月14日:リボンの騎士/バンパイヤ/アトム今昔物語/グリンゴ等、調査 1996年10月15日:迷った時には単純側に倒せ 1996年10月16日:ハンドルを切り過ぎてはいけない 1996年10月17日:どうして両方持っていくの? [;^J^] 1996年10月18日:ちょっと困った居酒屋の話 1996年10月19日:「ビギナーに薦めるSF」 1996年10月20日:投票、そして澁澤龍彦翻訳全集目次へ戻る 先週へ 次週へ
少し早いが、8時過ぎにSビジネスホテルを発ち、渋谷駅に向かう。ラッシュアワーに近いのだろうか、多少混み合っている歩道を、向こうから女子高生の一群がやってきたが、わはは、これは面白い。ひとり残らず大○足にルーズソックスである。ペンギンの群れにしか見えない。[;^J^]
国会図書館の雑誌課別室で、「リボンの騎士」(なかよし)「バンパイヤ」(少年サンデー)の順に、初出誌をチェック開始する。
ここで、国会図書館の閲覧システムについて、ざっと説明しておく。
開館時間は、一般利用者の場合、9時30分から5時までで、請求票の受け付けは4時まで。また、11時50分から12時30分までは、受け付け停止。入館時に利用者カードが渡され、閲覧やコピーの請求時にはこれが必要である。
館内はいくつものフロアとカウンターに分れており、貸し出しの冊数制限は、それぞれのカウンターで、個別にかかる。
一般図書カウンターでは、請求票は一度に2枚提出できる。1枚あたり1アイテム(請求記号が同一のもの)で、計2冊まで請求可能。すなわち一度に最大4冊借りられるわけだ。(時間帯によっては、3枚、計6冊借りだせる。)カードは、請求時と出納された本を受け取る時、及び返却する時に、見せるだけ。すなわち、一般図書を借りだしている間、カードを別の用途(別のカウンターでの借りだしや、コピーの請求など)に使うことが出来る。請求から出納まで、30分内外の時間がかかる。
雑誌カウンターでも、ほぼ同じ。違うのは、貸し出し制限が、請求票1枚あたり「製本された状態で2冊」(未製本の場合は、それに相当する分量)ということである。大体、週刊誌であれば4冊(すなわち1ヶ月)単位で製本されている。同様に、カードは見せるだけ。やはり出納まで30分ほどかかる。
雑誌課別室(マンガ雑誌は、主としてここに収められている)は、制約がきつくなっている。まず開室時間が30分ずれて10時。(ささいなことに思えるかも知れないが、これは午前中の“請求票提出可能時間帯”が、その他のカウンターは140分あるのに対して、110分しかないわけで、この差はかなり大きい。)さらに、請求時にはカードを見せるだけでいいのだが、出納されてそれを借りだしたら、返却するまでカードを預けていなくてはならない。つまり、その間、別の用途(他のカウンターでの、借りだしその他)にカードを使うことが出来ないのだ。冊数制限は、一般の雑誌カウンターと同じ。マンガ月刊誌であれば3冊単位で製本されていることが多い。(アフタヌーンなんかは借りだしたことがないので知らんよ [;^J^]。)ここでも30分ほどかかるが、統計を取っているわけではないが、一般の雑誌は2〜30分、雑誌課別室では3〜40分かかる、というのが実感である。ここが一番遅い。
図書閲覧課別室は「児童書」を取り扱う部屋で、ここでも同じく、閲覧中はカードを取り上げられる。出納にかかる時間は短く、普通は5分以内。10分かかることは、まずない。
新聞閲覧室では、出納制限はマイクロフィルム3巻。基本的に1巻1ヶ月である。(マイクロフィルムを借りたことしかないので、縮刷本や単に綴じられている分の貸し出し制限は、知らない。)ここでも閲覧中は、カードを取り上げられる。出納はここが最も早く、即刻出て来る。計った訳ではないが、一部の例外を除いて、まずは30秒以内。
これら以外のカウンターについては、利用したことがないので知らない。また、コピーカウンターの利用方法と制限については、繁雑なので説明を省略する。
これらの制約条件の元で、閉館までに極力多量の書籍を閲覧するという、ゲームである。
大雑把に言って、各カウンターでは、請求に関しては並行処理が可能であるが、例外がいくつかある。
一番制約がきついのが、図書閲覧課別室(児童書)で、ここに行くといきなり監禁 [;^J^]、もといカードを召し上げられ、“5分内外のロスタイムのあと”請求した図書が出納される。次にきついのが新聞閲覧室だが、ここでも同様にカードと引き替えになるが、ロスタイムがない。(このことは極めて重要である。)雑誌課別室は、請求自体は一般図書カウンターや雑誌カウンターとパラレルに処理できるが、いったん出納されると、やはり読み終えるまでは他のアクションを取れない。
これらに加えて、前述した出納に要する時間の条件、および、午前・午後それぞれのタイムリミットが絡んで来るわけだ。さらに、出納されてから返却するまでの(肝心要の)閲覧・調査に要する時間。これが一番効いて来ることは言うまでもない。また、馬鹿にならないのが“請求票を書いている時間”である。
例えば、雑誌カウンターと雑誌課別室でそれぞれ個別に請求し、先に別室で出納されたら、カードを提出してそれを読切り、返却してカードを取り返したら、そのカードで次の請求を(別室で)して、カードを持って雑誌カウンターに行ったら、丁度出納されていて、そこで直ちに受け取って読切り、返却すると同時に次の請求をし、別室に戻ったら先程の2回目の請求の雑誌が出納されていて..と、回せれば、ロスタイムゼロである。しかしなかなかこのように理想的には回転しない。最も難しいのが「昼休み」の処理であり、11時50分から12時30分までは請求票自体が受け付けられず、出納は13時から。この時間帯を有効利用するためには、「昼休みの直前に(午前最後の)請求票を出す(即ち、昼休み中に書庫での出納作業を進めさせる−この作業は行われない(すなわち担当者は休んでいる)はずなのだが、経験的に、昼休み直前に請求すると、昼休み後のかなり早い時刻に出納される)」か、あるいは「昼休みの直前に(午前最後の)出納がされる(すなわち、昼休み中に閲覧・調査を出来るようにする)」ように、午前中の請求・出納のインターバルの間合いを計らなくてはならない。複数のカウンターにおける並列作業の同期をうまく取りながら、である。その日の混み具合(出納に要する時間)、さらには(これも馬鹿にならないのだが)特に一般図書カウンターや雑誌カウンターにおける、待ち行列の長さ(の増減する様子)も勘案しなくてはならない。
数年間にわたって国会図書館を利用してきたが、つい先日(前回)から新聞閲覧室を利用するようになり、上記の基本ストラテジーに、大きな変更が入った。週に6回、1日1頁掲載される新聞連載マンガ(「アトム今昔物語」など)の場合、15分弱で1ヶ月分(すなわちマイクロフィルム1巻)処理できる。他の主要カウンターのある2Fからで新聞閲覧室のある4Fまで駆けあがり駆けおりする時間と出納に要する時間を含めても、20分強。すなわち、雑誌カウンターや雑誌課別室に請求票を提出したあとの待ち時間に、新聞1ヶ月のチェックを入れる、という戦略を取れるようになったのである。
というわけで、背景説明が長くなったが、雑誌課別室で「リボンの騎士」「バンパイヤ」をチェックする傍ら、図書閲覧課別室では、吾妻ひでおがイラストを描いている「バイバイスクール」の文庫版を、雑誌カウンターでは「アドルフに告ぐ」の前回借りられなかった分のチェックの他、漫画読本、週刊ポスト、マミールなどの細かいチェックをし、新聞閲覧室で「アトム今昔物語」のチェックを進めたのである。「アトム今昔物語」は、マイクロフィルム10巻(すなわち10ヶ月分)チェック完了。これは思いのほか捗った。実のところ、雑誌課別室でチェックしなければならない初出誌は、まだ膨大に残されているが、雑誌カウンターでチェックするネタが尽きて来たのだ。(残る大物は、朝日ジャーナルの「ネオ・ファウスト」位のもの。)雑誌課別室で1回請求する度に発生する、30分強の待ち時間を、従来は雑誌カウンターで並行処理することで処理して来ていたのだが、今後はそれが出来なくなる。このロスタイムを、これからは新聞閲覧室で効率良く埋められそうだ。
閉館後、現代マンガ図書館に寄って、「バンパイヤ」の、国会図書館では時間切れで閲覧しきれなかった分と、欠号で読めなかった分をチェック。両図書館合わせても、なおも3冊ほど初出誌が欠けているが、各章がどの号に掲載されたかは、前後関係から確定できた。(「リボンの騎士」も、国会図書館には初出誌が全部は揃っておらず、前後関係から初出年月を推定(確定)した部分がある。ちなみにこの時期の「なかよし」は、現代マンガ図書館には、全く無い。)それに加えて「グリンゴ」を全数閲覧完了。これでビッグコミックの連載は、全て片付けた。やれやれである。
目次へ戻るこれはほとんどどんな局面でも通用する金言である。迷っている位だから、どのような決断をくだしたとしても、それが間違っている可能性は、あるわけだ。その場合のフォローを考えると..
「誤って単純な処理をしてしまっていた場合」は、「単純な処理」の取り消しをすればいいのである。これは難しくない。さらにありがちなことだが、「処理が単純過ぎて“やり足りない”」場合は、処理を追加すればいいだけなのであって、これまでの作業は、全く無駄にならないのである。
「誤って複雑な処理をしてしまっていた場合」は、「複雑な処理」の取り消しをしなければならない。これは時として困難、あるいは事実上不可能なことがある。最悪の場合、その「複雑な処理」を施してしまった時点からさらに遡って、“全部チャラにする”必要が生ずることすら、ある。現実にはここまで思い切ったことは出来ず、「間違った戦略を取ってしまったが、今更どうしようもないので、このまま突っ切る」という、悲愴な事態に陥ることもしばしばで..
書いている本人の胸にグサグサ突き刺さる文章であったが、読んでいるあなたはどうでしたか? [;^J^]
目次へ戻る前回の話と、非常に良く似ているのだが(本質的には同じ)、10年以上前に、教習所で習った様々なテクニックや金言のうちで、これが最も印象に残っている。
初心者は、カーブでどの位ハンドルを切ったらいいのか、判らないことがある。その場合は、“多分これでは足りないだろう”位に切れ。きっとそれでは足りずに、道から飛び出す(あるいは反対車線にはみ出す)方向に、車は進むだろう。その時はまた、“多分これでは足りないだろう”位に切り足せばいいのである、と。
“良く判らないけど、少し多い目に切った”ら、どうなるか。きっとそれでは切り過ぎて、戻さなくてはならないだろう。しかし、切る量が判らないドライバーに戻す量が判るわけがないのである。きっと(最初に、多めに切ってしまったドライバーは)多めに戻し過ぎるだろう。そうしたら、また切り直さなくてはならない..つまり、何よりも危険な蛇行運転に陥ってしまうのである。
これは、ことに及んで“対策をし過ぎてはいけない”“先走って手を打ち過ぎてはいけない”ということだ。それが誤った対策であった場合には、例え“今更引っ込めようがなくても”戻さなくてはならず、そのために多大な損失が発生することがあるのだ。
この金言を守り過ぎると、ワンテンポずつ、対策が遅れるのであるが..
目次へ戻る私のリスト系のページ、「吾妻ひでお 著作リスト」「“手塚治虫漫画全集”解説総目録」「“類別トリック集成”読破リスト」「“怪談入門”読破リスト」には、一括ダウンロード用の圧縮ファイルを置いてある。UNIX ユーザー用に JISコード+gzipで圧縮したもの、PC / Mac ユーザー用に SJISコード+LHAで圧縮したもの、両方をである。
胸を張れる気配りである。(もとはと言えば、O氏の助言によるものだ。)それをパーにしてくれる、というか、わけの判らんことをしてくれるのが、読者と言うもの。[;^J^] ログファイルを見ると、これらのパッケージをダウンロードする人の、実に80%以上が、“両方”ダウンロードして行くのである。[;^J^]
内容は同じだっつうのに信用出来んのか。[;^J^] わざわざ照合チェックしてくれようというのか。[;^J^] 親の心子知らずというか、作者の心読者知らずというか。[;^J^] これでは単なる回線資源の無駄使いではないか。[;^J^]
目次へ戻るいきつけの数軒の居酒屋のうち、Tは、味相応の値段の廉さと机の広さで、気に入っている。いや実際、ほとんど書斎みたいなものである。が、ひとつ困った問題があって..
私の愛用の席は、ほとんど指定席である。つまり他の客には余り好まれない、コーナーの席なのだが、私は概してどこの店でも“背中を取られない”席を選ぶ。まぁこのことはさておき。
この机の下の荷物置きの棚に、たまに忘れ物をする。(多くの場合、それは捨てるつもりで忘れていた、書店の包装袋だったりするのだが。)それが、次に訪れた時に、必ず残っているのである。
例え2ヶ月後であっても。
つまり、少なくとも、この棚に限っては、掃除をしていないのだ、この店は。[;^J^]
目次へ戻るfj.rec.comics における“しょうもない”アンケート企画については、つい数日前にあげつらったばかり。「ならば、どういうアンケート企画ならば、しょうもなくないと言うのだ」という反論もあろうと言うもの。ここでひとつ、約3年前に fj.rec.sf で私が行なった、アンケート企画とその結果を紹介しておこう。心ゆくまで自画自賛させていただくが、これはほとんど理想的とも言える“幸福な”企画だったのだから。
それは、「初心者にSFを手ほどきする、という状況を想定するとして、どんな本を読ませたらいいでしょうか?」という設問であった。
これがいかに優れた企画あったか。もちろん、ほどよい“制約条件”であったことは、言うまでもない。しかしそれ以上に、これは“甘美な問いかけ”だったのである。
単に“数を絞る”だけの制約条件ならば「80年代以降のSF」「戦前のSF」「フェミニズムテーマのSF」「日本を舞台としたSF」など、いくらでも切り口は考えられるし、それぞれに優れた結果を導き出せよう。しかし「初心者に手ほどきをするためのSF」という条件は、これらとは全く、次元が違うのだ。
SFファンとしての最大の楽しみのひとつは、SFを知らない初心者を手込めにする、もとい [;^J^]、SFを知らない人をSFファンにして行く過程にある。それはまた、自分がSFファンとして底無し沼に転落して行く過程の、夢のような追憶とも結び付く。私の設問は、そこを突いた。
1ヶ月間に、300本以上のフォローが来た。それを1週間ごとに集計して中間発表し、まだまだ活発にフォローが続いていた1ヶ月目に、ピタッと(集計を)とめ、「(あくまでも集計を止めただけであるから)つもる話は、まだまだごゆっくりどうぞ」。このあと2週間ほどかけて、議論と会話はフェイドアウトしていった。この盛り上げかたと終(しま)いかたもまた、我ながら見事なものであった。祭りというのは、こうでなくてはならない。
最初に振った記事で、私が選んだ5冊は、
「スターシップ」(新潮文庫、絶版)であった。
都合300本以上のフォローを集計した最終記事から、結果のリストを引用しておこう。これには資料価値があると思うからだ。これは、「推薦された書籍は、+1」「推薦はされたが、多少の逡巡やためらい、あるいは付帯条件があった場合には、+0.5」「初心者には読ませるべきでない、と指摘された書籍は、−1」「読ませるべきでないという論調に、逡巡などが見られた場合には、−0.5」として、プラス側とマイナス側を個別に加算し、プラスの大きい順にソーティングしたものである。
「夏への扉」(ハインライン)11 -2いやはや全く、馬鹿にするなと言いたいほどの好天である。7時過ぎには散歩がてら、鬱蒼とした竹林の下の「七曲がりの坂」を降りて、T中学校へ投票にゆく。そしてまだまだ朝も早いので、普段歩かない畑道などで道草しつつ帰宅して、朝食。
野暮な休日出勤を半日ほどして、ひと仕事片付けてから、パソコンショップSへ向かう。「リーダーズ英和辞典」のCD−ROM版を買うためであったが、在庫無し。先に電話で確認しておけばよかったのだが。
さらにY書店に寄ってみれば、澁澤龍彦翻訳全集の刊行が始まっていた。第1巻を購入するが、う〜む、本体6800円か。澁澤龍彦全集よりも1000円上がった。これが隔月で15巻+別巻1。まぁこれもどうせ全巻買う訳で、こういう場合、金額を計算しても不幸になるだけである。要は、気にしないことだ。
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