*2012年08月13日:マウリッツハイス美術館展/特撮博物館/渋谷で飲み
*2012年08月14日:杉浦茂のとと?展/大英博物館 古代エジプト展
*2012年08月15日:またか..[;_ _][;^.^]
*2012年08月16日:ネカフェで更新
*2012年08月17日:「拡張幻想」
*2012年08月18日:「NOVA 8」
*2012年08月19日:録画はほぼ無事でした [;^J^]
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*2012年08月13日:マウリッツハイス美術館展/特撮博物館/渋谷で飲み


 実家前のバス停から7:56のバスで発つ。9:25に、上野の東京都美術館。つい最近まで改装工事をしていたこともあり、ここに来るのは、非常に久しぶりである。

 「マウリッツハイス美術館展」である。早めに着いたおかげで、入館までの行列は20分ほど。出品作品は48点。昨今の(私が観ている)展覧会の中では、小規模なほうである。

 「第2章 風景画」セクションの「ベントハイム城の眺望」(ヤーコブ・ファン・ライスダール)(画像検索結果)の、城の造形の面白さ。

 もちろん主役は、「第4章 肖像画と「トローニー」」セクションの「真珠の耳飾りの少女」(ヨハネス・フェルメール)(画像検索結果)。やはり、これは、素晴らしい..飽きずに、いつまでも観ていられる..瞳の焦点が微妙に合っていない(左右の瞳の向きが僅かに違う)のがおそらくポイントで、夢見るような雰囲気が醸し出されているのだ。

 同じ章の「笑う少年」(フランス・ハルス)(画像検索結果)が、もうひとつの目玉か。図録から引用するまでもなく、「笑顔を描いてハルスにかなう者はいない」(88頁)。そして5点並べられたレンブラント・コーナー。どれも素晴らしいのだが、特に、「自画像」(1669年)(画像検索結果)の、歳月が可視化されているとしか表現のしようがない表情。「老人の肖像」(1667年)(画像検索結果)のなんとも絶妙にリラックスした雰囲気。そしてとりわけ気に入ったのが「羽根飾りのある帽子をかぶる男のトローニー」(1635−1640年頃)(画像検索結果)の、やや奇矯な装束と表情の組み合わせ。突拍子もない連想だとは思うが、どこかダリを想わせる。

 「第5章 静物画」セクションでは、ヴァニタス系の「燃えるろうそくのある静物」(ピーテル・クラースゾーン)(画像検索結果)と、「ヴァニタスの静物」(同)(画像検索結果)。「ワイングラスと懐中時計のある静物」(ヴィレム・ヘーダ)は、構図が素晴らしい。

 「第6章 風俗画」セクションからは、まず、「ヴァイオリン弾き」(アードリアーン・ファン・オスターデ)−好きだなぁ、こういう雰囲気 [^J^]。こんな場所で、ぐだぐだしたいなぁ [^.^]。ヤン・ステーンの「恋わずらい」も好きな絵なのだが..しかし昔から気になっているのだが、この画家の絵、顔(というか頭部の形)が少し歪んでいないか? 特に、斜め前方を向いている人物。

 「ヴァイオリン弾き」(ヘリット・フォン・ホントホルスト)(画像検索結果)の、誘うような白い肌のエロティシズム。「牡蠣を食べる娘」(ヤン・ステーン)(画像検索結果)の、これまた「私をいかが?」と言わんばかりの視線がそそること、そそること [;^.^]。「レースを編む老女」(ニコラース・マース)の、光と影の荘重な雰囲気は、ほとんど宗教画に近い。

 「デルフトの中庭」(ピーテル・デ・ホーホ)(画像検索結果)もいいなぁ。こんな(隠れ家的な)場所で、飲みたいなぁ [^.^]。そして最後の「親に倣って子も歌う」(ヤン・ステーン)(画像検索結果)。大好きな絵なのだが、やはり、斜め前方を向いている人たちの顔が歪んでいるようにしか見えないんだが..[;^.^][;^.^][;^.^]

 11:45に退出し、上野駅前(というか、構内直近)の「立喰酒場buri」で昼食。初めての店であるが、覚えている暇もなく、今月いっぱいで店を閉めてしまうようである [;^J^]。「温玉豚丼」をいただいた。

 13:15、東京都現代美術館着..私はこの美術館にアプローチするのが苦手で、いつもいつも道を間違えてしまうのだが、それはともかく [;^.^]、着いてからさらに30分弱並んで、会場に入れたのは13:40。「特撮博物館」である。

 これはよいものですよ [^.^]。必ず、観なさい [^.^]。もちろん、貴重なセットや資料(復元も含む)も見応え十分だが、素晴らしいのが、この展覧会のために撮影されたミニチュア特撮作品「巨神兵東京に現わる」である! これ、必ず観なさい! \[^O^]/ 物凄い迫力とリアリティ。CGなんぞの出る幕ではない。いや、ほんとに。しかも、CGではあり得ない、独特の稚気と空気感。この作品のために作られたセットや、今回新開発されたビルの崩壊シーンの技術が展示されているのも、貴重である。(もちろん、メイキング映像も。)この技術を消滅させてはならないよなぁ..

 17:50に退出。この展覧会は10月8日まで。ひととおり観るのに、どうしても4時間(端折っても(← おすすめしないが)3時間)かかるし、美術館に着いてもすぐに入場できるわけではないので、昼いちに着くようにスケジューリングすること。(できるだけ、道に迷わないようにすること。[^.^])

 18:55、渋谷のスクランブル交差点に面している「蛍の庭」着。今夏の日本SF大会の星雲賞がらみの、某宴会(祝勝会)。23:30過ぎに散会し、0:20に水道橋のスパ ラクーア。

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*2012年08月14日:杉浦茂のとと?展/大英博物館 古代エジプト展


 8:15にラクーアを発ち、9:00に、江東区森下文化センター。「杉浦茂のとと?展」である。昨日のふたつの展覧会は、どちらも大変混んでいたのだが、ここは私ひとりぐらい? [;^.^]。小規模ながらも、杉浦茂の業績と作風の変遷が見通せるし、なかなか珍しい単行本も読めるし、トリビュート作品群(なんと171人)も見応えあるし、とてもお薦め [^.^]。9月2日までなので、お急ぎあれ。

 10:30に退出し、ぎろっぽんへ。12:15に森アーツセンターギャラリー。「大英博物館 古代エジプト展」である。これがまた、大変な混雑で。[;^.^]

 もちろん、全長37メートルの「グリーンフィールド・パピルス」が目玉である。丁寧に解説が付けられているとはいえ、これだけの長さとなると、やはりときどきは流していかないととても観きれるものではないが [;^J^]、死者の書(死後の世界のガイドブック)として、興味深く観ることができる。「動物の諷刺パピルス」も、可愛くて、よい [;^.^]。以下、図録から引用しておく。「古今東西の民族は、死後に死者たちが住む場所として「天国」や「極楽」などの存在を想定していた。ほとんどの民族の場合、「天国」とされる場所は、美しく花が咲き乱れる、現実の世界よりも遥かに美化された場所であった。しかしながら、古代エジプト人にとっては、その「楽園」に相当する「イアルの野」は、エジプト人が生きていたナイル川流域そのものであったのである。/つまり、古代エジプト人は、ナイル川のほとりで生まれ、生活し、死に、そして遺体は埋葬され、その後、ナイル川のほとりで再生・復活したのである」(19頁)。

 14:25に退出し、17:20頃、横浜・鶴ヶ峰の実家に帰宅。

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*2012年08月15日:またか..[;_ _][;^.^]


 曇天模様。昼には快晴。

 一昨日の「マウリッツハイス美術館展」でもらってきた作品リストをチェックしていたら(ちなみに私は、図録の購入とは別に、メモ記入用に作品リストを必ずもらうのだが)、案の定、こんな書き込みが [;^J^]。音声ガイドを聞いていて、空耳したらしい。実のところ、私は4回に1回ぐらいは、このように聞き間違えているのである。


ひだまり → ちだまり

 (..のどかな風景画が、一瞬にして地獄図絵に..[;_ _][;_ _][;_ _][;^.^])

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*2012年08月16日:ネカフェで更新


 快晴。暑い。

 リブ100のバックアップを保持しているSDを持って、実家前のバス停から7:40頃のバスで発ち、鶴ヶ峰駅へ。相鉄線でひと駅隣の二俣川の駅前のマンガ喫茶「AirsCafe」で、SD内のファイルをサーバーにアップロードして、廃墟通信を更新し、とんぼ返り。実家に戻ったのが(本格的に暑くなる前の)9:50。

 実家にネット環境が無く、廃墟通信を含む私のホームページ(倉田わたるのミクロコスモス)のマスターを保持/メンテしているリブ100に無線LANが装備されていないので、帰省中はこうして、バスと電車を乗り継いで、ネカフェで更新しているのである。

 実家にネット環境を導入しろよと言われるだろうが、諸事情を勘案して、それには踏み切れない。ネカフェの費用+交通費がかかるのだが、年に数回のことなので、問題とはしていない。(実家に引きこもっているよりも、出かける方が健康的だという理由もある。)

 終日、読書@エアコン無し。ネット環境などよりも、こちらのほうがよほどプライオリティが高いと思うぞ私は。[;^.^]

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*2012年08月17日:「拡張幻想」


 暑い。読書。

 いろいろ予定が割り込んできて、なかなか読めていなかった本にようやく着手。拡張幻想」(年刊日本SF傑作選)(大森望、日下三蔵編、創元SF文庫)である。

 「5400万キロメートル彼方のツグミ」(庄司卓)−極めて平易でオールドファッションな(しかし素材は新しい)甘酸っぱい、ボーイ・ミーツ・ガール。SF入門には手頃かも。「交信」(恩田陸)−これもはやぶさネタの、僅か1頁の素描。ずるいや [;^J^]。「巨星」(堀晃)−小松左京トリビュート。「虚無回廊」ベース。「新生」(瀬名秀明)−同じく、「ゴルディアスの結び目」(中篇集)ベース。

 「Mighty TOPIO」(とり・みき)−本書の白眉(のひとつ)。自然がもたらした災厄、科学(というより技術)の取り扱いミスでもたらされた大災厄、そして、人間はそれにいかに立ち向かうべきかという巨大なテーマが、僅かなページ数に、例によって驚くほど(というか全く)無駄が無い、緊密な作品空間のなかに、詩情豊かに凝縮されている。「いま集合的無意識を」(神林長平)−伊藤計劃への批評であると同時に、これから(なにを)いかに書くべきか、という決意表明(及び叱咤激励)でもある。「美亜羽へ贈る拳銃」(伴名練)−本書のもうひとつの白眉。タイトルを見ただけで(梶尾真治の「美亜へ贈る真珠」の)出落ちのパロディかと鼻で笑ってしまって、すみません [;_ _][;^J^]。良く読めば「ミアハ」だから、もちろん「ハーモニー」(伊藤計劃)なのである [;_ _]。インプラントで心を(人格も愛情も)自由に操作できる社会における、骨太のラブストーリー。

 「黒い方程式」(石持浅海)−タイトルの「黒」は、最初は「G」の黒かと思ったのだが [;^.^]「P」の黒だったのですね [;^J^]。「イン・ザ・ジェリーボール」(黒葉雅人)−文豪A氏の「Y」の本歌取り。ソラリス風味もあり。「フランケン・ふらん −OCTOPUS−」(木々津克久)−なんかもう、いろいろやばいが [;^.^]、気持ち悪くて気持ち良い [;_ _]。シャンブロウ的な?[;^.^] 「結婚前夜」(三雲岳斗)−一種の並行宇宙へ嫁ぐ娘との、今生の別れ。

 「ふるさとは時遠く」(大西科学)−時間の流れが標高によって極端に違う世界。海辺では遅く、海抜2000mの高山ではその7倍速。(市場の)競争に勝つためには、時間の流れが速い土地(高地)をめざさざるを得ない、というのは目鱗だったが、物語の枠組みとしては、理に落ちたハードSFではなく、むしろ平易な、田舎と都会の物語である。「良い夜を持っている」(円城塔)−作者としては、圧倒的なリーダビリティの高さ [;^J^]。「<すべての夢|果てる地で>」(理山貞二)−ちょっと、整理が行き届いていないように思うが、SF的な濃度の高さは、心地よい。

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*2012年08月18日:「NOVA 8」


 朝は曇天。涼しい。今日はにわか雨があるかも、らしいが..

 9:30、雷鳴。しかしまだ降る気配はない。10:25、稲光。10:30、雨。昼過ぎには降り止み、結局晴れて、暑くなる。

 NOVA 8」(大森望編、河出文庫)読了。

 「#銀の匙」「曠野にて」(飛浩隆)−Cassy の設定の妙、だな、やはり..「落としもの」(松尾由美)−うーむ..不覚にも、可愛い..[;^.^] 「激辛戦国時代」(青山智樹)−面白ければいいってもんじゃ..あるか。[;^.^]

 「00:00:00.01pm」(片瀬二郎)−これは、恐い。恐ろしい。時間が止まった(厳密に言うと極端に遅くなった)世界で、ただひとり自由に動ける男。最初に発見されたちょっとした悪戯からのエスカレートが、尋常ではない。設定は古典的だが、編者が「独創的」と評しているということは、従来、誰もこの展開を思いつかなかった(書かなかった)ということだろうか。「悪戯」までは、誰もが思いつくのだが..(AVの定番のひとつでもあるのだが(← なぜ知っている [;^.^]))..ポジティブで前向きな結末に、救われる。

 「雲のなかの悪魔」(山田正紀)−作者、暴走?[;^.^] もう、やりたい放題である [;^.^]。凄い迫力。大統一理論知性体/重力知性体/電磁力知性体。純粋クオリアとしての祈り。それにしても、最後の決め手が「愛」って..[;^.^] 愛情不変の法則−二者の愛情が公差衝突したときその愛情は二者の愛情総和に匹敵する。(「愛したぶんだけ愛される、愛されたぶんだけ愛する、愛情量は等しく同量でなければならない」……)「なに、これ? これのどこが物理法則なの?」..と、ヒロインも突っ込んでおります。[;^.^][;^.^][;^.^]

 「オールトの天使」(東浩紀)−4回連載の最終回。集約儀(ワームホール)の目的は、「波動関数を収束し、確率的諸現実を単一の現実に固定する能力を備える観測選択体」すなわち「魂」を、世界線を発散させないために狩り集めることであった。

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*2012年08月19日:録画はほぼ無事でした [;^J^]


 快晴。夏休み最終日。実家前のバス停から9:01のバスで発ち、どこにも寄らずに、新横浜まわりで11:32、浜松着。12:10、帰宅。

 何よりも心配していたのが、不在中の大量の予約録画である。読者の皆さんもご存知のとおり、全国的に天候が不安定で、浜松も結構な雷に見舞われたと聞いておりましてね..まぁ、雷で乱れるぐらいは諦めなければ仕方が無いが、まんがいち停電した場合、電気が戻ったあと、予約録画を続行(回復)できるだろうか..電源を入れ直さなければならないのではあるまいか..と、気をもんでいたのである。(帰省せずに浜松にいれば、できることであるだけに。)まぁ、毎日、横浜から iPhone で、ネット(DiMORA)でBDレコーダーの録画一覧を取得して、一連の録画が予定通りに進行していることは把握しておりましたけどね。ただ、1本だけ、WOWOWから録画した某日活ロマンポルノの録画時間が短すぎる..雷で、切れたのである。ほかは大丈夫なようだが..

 というわげで、荷ほどきもそこそこに、深夜までかかって大量の録画のチェック。もちろん、全部をきちんと観ている時間などないので、とりあえず、途中で切れていないかだけである。

 もっとも心配していたのが、WOWOWから録画した「ウルトラマン ハイビジョンリマスター版」の一括放送。毎日5話ずつ放映されたのだが、それぞれ25GBのBD−REにいい感じに収まるので、トータル39話を8枚に落とした。やれやれ。ときどき雷ノイズぐらいは飛んでいるかも知れないが、とりあえず、保護した。

 対談付きであり、まぁ大体、以前から知っている情報がほとんどなのであるが、やはり面白い。それにときどき、新鮮な視点からの発言もある。たとえば、「第11話 宇宙から来た暴れん坊」の前に、黒部進と対談したクリス・ヘプラー曰く、「怪獣番組を見ていた連中は、思春期になるとロックに行く。スポ根漫画を見ていた連中は、多分、ポップスに行った。怪獣というアヴァンギャルドな、パンクな存在にそそられた、反逆心のようなものが..」

 ついでに、(いちいち全話を観返している暇はなく、正常に録画できていそうか、ほとんど、ざっとチェックしているだけなのだが、)「第15話 恐怖の宇宙線」のラスト近くを5分ぐらい、観てみたのだが..あぁ、最後のナレーションは、こんなんだったっけ。忘れていたよ..ガヴァドンというのは、子どもたちの落書きに宇宙線が当たって実体化してしまった怪獣で、ウルトラマンが(怪獣を慕う子どもたちの抗議を振り切って)宇宙に連れ去ってしまったのだが..子どもたちは改めて、厖大な量の(恐ろしげな)怪獣の落書きを描きはじめる。「このたくさんの落書きに、いつまた特殊放射線を含む宇宙線が当たらないとも限らない。だがしかし、自分の好きなものを絵に描く自由は子どもたちのものである。ムラマツ隊長は、この絵を見ながら、心が真っ暗になったのである。」..普通は、微笑むか、苦笑いするところだろ [;^J^]。心が真っ暗って..[;^.^][;^.^][;^.^]

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Aug 25 2012
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