*2010年05月03日:わからなければこざとへん
*2010年05月04日:島田荘司/狂王ルートヴィヒ
*2010年05月05日:お屋敷カフェ初体験
*2010年05月06日:「エデンの黒い牙」
*2010年05月07日:焼け石に水
*2010年05月08日:O内科など
*2010年05月09日:「伊藤若冲 アナザーワールド」
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*2010年05月03日:わからなければこざとへん


 今夜の「Qさま!!」は、漢字バトルである。(ほとんどの場合、漢字バトルであるような気もする。[;^J^])最近、お気に入りなのは、「三つの漢字に共通する部首をかけ」というクイズである。実のところ、この設問は省略のしすぎで日本語としておかしいのであるが [;^J^]、正確にいえば、「次に挙げる3つの漢字に、同じ部首をつけても、それぞれ別の漢字として成立する。その部首を書け」である。たとえば3つの漢字が「未」「市」「良」であれば、それにつける(同じ)部首は「おんなへん」であり、それぞれ、「妹」「姉」「娘」となる。

 これはなかなか良くできたクイズであり、漢字の知識量はあまり関係ない。ひらめき一発なのである。

 ひとつ、気が付いたことがある。制限時間(10秒)以内に解答しなくてはならないのだが、何も思いつかない場合は(どの解答者も)まぐれあたりを期待して適当な部首を書く。このとき、「こざとへん(「防」「隊」などの偏)」を書くケースが、かなり多いのである。これはなんとなくわかるような気がする。「こざとへん」を付けると、「なんだかそんな漢字が(自分は知らないけど)存在するのではないか」と思えてしまうのである [;^J^]。たとえば、「さんずい」+「才」や、「にんべん」+「日」は、それは明らかにそんな漢字は存在しないだろうと見当がつくが、「こざとへん」+「才」や、「こざとへん」+「日」だと、なんだかありそうな気がするのである。(あなたは、そうは思いませんか? [;^.^])

 以下、蛇足だが、「Qさま!!」も、そろそろ「クイズプレゼンバラエティー」というタイトルを変更すべきではなかろうか。古くからの視聴者はともかく、ここ数年以内に見はじめた人は、どこが「プレゼン」なのか、意味がわからないと思うのだが。[;^J^]

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*2010年05月04日:島田荘司/狂王ルートヴィヒ


 寄生虫の無聊を慰めるために(← 面白いので誤変換を残しておくが、もちろん、帰省中の無聊を慰めるために [;^J^])浜松の自宅の積読の山から適当にひと掴み持ってきた文庫本の中に、島田荘司があった。私は島田荘司を20冊ぐらいしか読んでおらず、久しぶりである。

 「出雲伝説7/8の殺人」(島田荘司、光文社文庫)- 初期のトラベルミステリー。登場人物が「こんな精緻な(分単位で列車から列車に荷物(人体の一部)を移し変える)犯罪など、日本でしか成立しないだろう」、と、メタがかったことを仰っております [^.^]。西へ向かう出雲1号から、8つに切り刻まれた胴体のパーツが、あたかも八岐大蛇の形状のごとく、ばらばらにローカル線に流れ出して行く、という、犯罪風景の幻想美。犯人(容疑者)はかなり早い時点から明らかで、あとは、いかにして胴体を列車から列車へ移したのかという、ハウダニットものとなる。(八つ裂きにされた)被害者がヤな女なので、読後感が爽やかである。[;^.^]

 もう1冊。

 「狂王ルートヴィヒ 夢の王国の黄昏」(Jean des Cars、三保元訳、中公文庫)- 国政を投げ出してヴァーグナーの音楽と築城に没頭した、幼児的で無責任極まりない引き篭もりのオタク..というルートヴィヒ二世のステレオタイプなイメージが(覆されるとまでは言わないにしても)揺らぐ本。

 彼は確かに、国王としての決断をくだすべきときに何度も何度も逃避を繰り返したが、同時に、誠実に政務に取り組んでもいた。(人間は、複雑な存在なのである。)強大なプロイセンの野望に脅かされて、バイエルンは何度も戦争の危機に見舞われたが、ルートヴィヒはどの場合も一見煮え切らない態度をとり、結果的にそれがバイエルンを救った。馬鹿げた築城で財政危機を招いたが、国民には愛された。彼は決して、狂人ではなかったのである。

「ルートヴィヒ二世のもとで、バイエルンは不運ではなかった。王の優れた外交感覚によって、戦争の痛手はさしたるものではなかった。王の王権についての感覚によって、王は誇り高く、ときにはユーモアさえまじえ、そして常に明晰な判断にもとづいて、プロイセンのまえに立ってきた。ビスマルクに譲歩はしたが、卑屈になることも、身をまかせることもなかった。あらゆる意味で現実から遠く離れていたルートヴィヒ二世ではあったが、バイエルン王国はいつも王のそば近くにあった」(415頁)
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*2010年05月05日:お屋敷カフェ初体験


 今日も晴天。実家前のバス停から9:31のバスで発つ。11時に神保町着。中野書店をざっと舐める。暑いあつい。[;_ _]

 11:30、書泉ブックマート前でNさんと待ち合わせて、まずは昼食。iPhone の「食べログ」で(この界隈で、休日も開いている洋食レストラン、という条件で)探しておいた、白山通り沿いの「レストラン ラタン」で、14時頃までゆっくりとランチ。この店は初めて..というより、神保町に来て、白山通りを(水道橋駅方面ではなく)南下すること自体、初めてである。学士会館という非常に風格のある建物の中の店であった。

 このあと(浜松に帰る以外は)なんの予定も無かったので、Nさんのお誘いで、大手町経由で池袋へ。サンシャインロード方面のRという店で、15時から15:50まで。いわゆる「お屋敷カフェ」であり、もちろん初体験である [;^J^]。勉強になりました。[_ _][;^J^]

 16:13池袋発。東京17:03のひかりで、18:33浜松着。

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*2010年05月06日:「エデンの黒い牙」


 「エデンの黒い牙」(Jack Williamson、野村芳夫訳、創元推理文庫)を、読了。

人狼伝説の権威モンドリック博士はゴビ砂漠で何を発見したか? だが帰国会見の席上、新聞記者ウィルの目の前で、彼は怪死を遂げる。居合わせた赤毛の美女エープリルの不審な行動。疑惑を抱きながらも彼女に心惹かれてゆくウィル。やがて彼は、救い主“夜の子”の降臨を待ち望む人狼族の存在を知る…。カルト教団の聖典にもなった幻想文学史上最も危険な傑作。

 ..と惹句で煽られれば、期待しないほうが無理というものであるが..う〜む、う〜む、う〜む..これを、ノンフィクションとは言わずとも、少なくとも人狼種族については真実の話だと信じる人々が続出した(挙句にカルト教団の聖典になった)というのだが..いったい、どこをどう読めば、真実だと? 人狼の遺伝子について、フロイト心理学やら量子力学やらでもっともらしく理屈付けしてはいるが、そんなの、SFの常套手段だぞ。この程度のリアリティで事実だと信じるのだから..ビリーバー気質というのは、まったく、度し難いものである。[;_ _][;_ _][;_ _](ちなみに私見では、本書で述べられている変身のメカニズムのリアリティの無さたるや、息を呑むほどのものである。[;^.^])

 人狼ものの(SF風味の)ファンタジーとしては、まぁ普通に面白いほうだとは思うが、とはいえしかし、「バンパイヤ」(手塚治虫)の方が、圧倒的に面白いのである [;^J^]。先にあとがきを読んだら「どんでん返しがある」と書かれていたので、それを期待して最後まで読み通したのだが、私にはこれを「どんでん返し」と認識することはできなかった。そりゃ当然そうなるだろう、というか、あまりにも予想を裏切られなかったので、逆に驚いてしまった始末である。その意味では、メタどんでん返しといっていえなくは(← やめなさいよ。[;^.^])

 1948年の作品なので、変身メカニズムへの量子力学の適用などは先駆的だったのかも知れず、そういう意味では歴史的傑作なのかも知れないが、しかしたとえば、冒頭のモンドリック博士の怪死の場面(のダルさ)など、あまりにオールドファッションで、1948年どころか、19世紀の「サイエンス・ロマンス」のパロディにしか見えず..(パロディだったりして。[;^.^])

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*2010年05月07日:焼け石に水


 富塚町のブックオフに、「だめんずうぉ〜か〜」などの漫画本を2〜30冊、引き取ってもらった。1冊平均50円といったところか。とにかく、少しでも書架を空けたいのだが、焼け石に水どころのさわぎではない..[;_ _]

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*2010年05月08日:O内科など


 月いちで診てもらっているO内科へ。喘息の吸入はまだ続けているのだが、咳はまだ出ることがある。しかし聴診ではほぼ常態に戻っているらしいので、あまり心配しないことにする。

 散髪。クリーニング出し。りそなで現金を下ろし、谷島屋書店。11時に青空きっどで、初めてラーメンを食べてみる。10種類ほどの中から「焦がし中華」を選んだのだが、う〜ん、いまいち..とはいえ、私があまり好まない細麺だからこういう印象になるのであって、細麺が好きな人がどう評価するかはわからない。やはり、この店ではつけ麺がいいな。

 11:20から14:20まで湯風景しおり。真夏並みとはいわないが、初夏程度には汗が流れ、初夏程度には日焼けする。

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*2010年05月09日:「伊藤若冲 アナザーワールド」


 浜松駅8:38発のJRで東上。10:00に(静岡駅から2〜3駅通りすぎた)草薙着。ふむふむ。なかなかいい感じの小さな町である。駅前のバス停から10:17のバスに乗り、10:27静岡県立美術館。ここに来るのは初めてであるが、駅からずっと、緑が多く、ちょいと洒落た店も点在する住宅街であった。なかなかいい。

 「伊藤若冲 アナザーワールド」である。いまやもう、猫も杓子も(→ [;_ _][;^.^])伊藤若冲であるが、人気が沸騰しているのは「動植綵絵」に代表される極彩色の作品群であり、それよりも遥かに点数の多い水墨画が正当に評価されていない、として、水墨の作品を中心に、関連する着色の作品も含めて展示する、という、筋の通った企画である。

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 素晴らしい作品が多く、興味深く鑑賞したが、もっとも大きな唸り声をあげてしまったのが、(水墨画でなくて申し訳ないが)やはり、「仙人掌群鶏図」である。この程度の解像度の(色もよくない)画像では伝わらないと思うが、まさに、名優たちが見得をきっているがごとき存在感が、見事である。

 また、数多くの鶏図の中には、雛(ひよこ)が描かれているものも少なくなく、そしてそのひよこたちが、実にラブリー [*^.^*] なのであるが、私はうっかり、西原理恵子のトレードマーク「オラオラひよこ」を思い出してしまいました [;_ _]。いや全く、申し訳ない。[;_ _][;_ _][;_ _][;^.^]

Picture Picture Picture

 昼食は、せっかくなので、館内のレストランエスタで「開催中の特別展をイメージした特別料理」を注文してみた。



 左から順に、

*動植綵絵 群魚図(海の幸サラダ オードブル)
群魚図の海流に乗る魚達の様子を、プレートの上に表現しました。
*果蔬涅槃図と群鶏図(鶏肉の香味焼、温野菜飾り盛り)
野菜を描いた珍しい涅槃図と、有名な群鶏図を題材に選び、中央には鶏のトサカのイメージで、トマトを盛り付けました。
*水墨画の世界(チョコレートケーキ & アイスクリーム)
水墨画で感じる、黒と白の表現をデザートにしました。

 ..企画倒れもいいところであるが [;^J^]、全ての企画モノは企画倒れである、とは、コンマ5秒で思いついた箴言 [^.^]。そうと承知のうえで「のる」のが、客の礼儀ではないかと。[;^.^]

 美術館前のバス停から13:14のバスで、早めに帰宅。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: May 13 2010
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