*2003年05月19日:「震えない男」/「エレヴェーター殺人事件」
*2003年05月20日:「引き潮の魔女」/「毒のたわむれ」
*2003年05月21日:「バトラー弁護に立つ」/「豹マン」
*2003年05月22日:「赤い鎧戸のかげで」/他
*2003年05月23日:退院
*2003年05月24日:社会復帰準備
*2003年05月25日:カーステ交換
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*2003年05月19日:「震えない男」/「エレヴェーター殺人事件」


 今週のテーマは、ディクスン・カー(及びカーター・ディクスン)の未読消化である。といっても、未読を全部持ってきたわけではない。(ポケミスのみ。)

 「震えない男」(John Dickson Carr、村崎敏郎訳、ポケミス)読了。

 ●●●ですかー。まぁ、幽霊屋敷のトリックとしては枯れ尾花的で風情があるし、実はこれが本質ではない。この兇器のトリガーを引いてしまったのが、真犯人からは二段階遠い人物である、というのがキモ。フェルによる証拠隠滅方法が、いつも以上に爽快に吹っ切れていて、気持ちがよい。(どう贔屓目に見ても、重大な犯罪である。[;^J^])

 「エレヴェーター殺人事件」(John Rhode & Carter Dickson、中桐雅夫訳、ポケミス)読了。

 犯人は(トリックはともかくとして)中盤で判った。(彼の“経歴”から、自明であったので。)直球勝負の●●●●●トリック。あまりにストレートなので、かえってシラけない。ちなみに、この犯行動機ならば、被害者は殺されてしかるべきなので、実に爽やかな気持ちで読み終えられた。[^J^]

 「引き潮の魔女」(John Dickson Carr)を読み始める。

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*2003年05月20日:「引き潮の魔女」/「毒のたわむれ」


 それにしても、入院生活は極楽である。食事は(病院とは思えないほど)美味いし、“食っちゃ寝”状態で、朝から晩まで(疲れたら居眠りしたりCD聴いたりしつつ)ベッドやサロンで本を読んでいる以外に、することが無い。実に快適。あと2〜3週間、入院していたい。[;^J^]

 「引き潮の魔女」(John Dickson Carr、小倉多加志訳、ポケミス)読了。

 ガストン・ルルーの「黄色い部屋の謎」が、思いっきりネタバラシされているので注意。まぁ、「黄色い部屋」の前に本書を手に取る人は珍しいだろうが。「不可能トリック」については(軽い叙述トリックもコミだが)やや肩すかし。むしろ、犯人の心理の謎に主眼が置かれた“ホワイダニット”物として評価すべき。

 毎週火曜日の夜は、自由参加の講習会(セミナー)がある。先週はスライドとビデオだったが、今週はパワーポイント。(最近のお医者さんは、パワーポイントぐらい操れて当然なのであるなぁ。)テーマは似たようなもので、要するに大腸と肛門の病気についての解説であるが、この先生は、なかなか洒落た芸風の持ち主である。

 どうしたって、患部とか臓器とかのグロ系の映像が多くなるので、「口直しに」ということで、数年前のアフリカ旅行の(かなり本格的に見事な)写真を時々さしはさんで下さるのであるが、その説明が、前後の病気の説明と、リズムも口調も全くシームレスなのである。[;^J^]


「はい、これが、直腸内のポリープです。内側が陥没していて..」
「はい、これが、内視鏡から“輪投げ”の要領でポリープを切除するところですが..」
「はい、これが、バオバブの木です。サン=テグジュベリの“星の王子様”では..」
「はい、これが、日本における癌の死亡率の推移のグラフ..」
「はい、これが、増加する一方であるクローン病の特徴で..」
「はい、これが、マダガスカル島の猿の写真。この島の生態系は..」
「はい、これが、..」

 ..[;^J^]

 「毒のたわむれ」(John Dickson Carr、村崎敏郎訳、ポケミス)読了。

 これはいい! ムード良し、舞台良し、キャラ良し、動機良し! 犯人の意外さは、サイコ系。探偵役の青年の飛んでもないキャラクターが良い [;^J^]。

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*2003年05月21日:「バトラー弁護に立つ」/「豹マン」


 「バトラー弁護に立つ」(John Dickson Carr、橋本福夫訳、ポケミス)読了。

 痛快なドタバタ逃走劇。傍若無人&行くところ可ならざるは無し、というバトラーのキャラが立っている。密室殺人のトリックは、さほどのものではない。

 晩になって、隣りの(女子の)大部屋に入院されているTさんと、サロンで色々話をしているところに、勤務先のYさんとKさんが、見舞いに来て下さった。手土産は、会社宛に届いた郵便物2件など。

 早速開封。ひとつは、「まんだらけ」で落札した「少年ブック」誌。もうひとつは、S堂に発注していた「豹マン」(桑田次郎、「ぼくら」誌付録、全7冊)。全くやむを得ないことではあるが、これらを手にして熱弁がオタクモードで暴走してしまう。[;^.^]

 桑田次郎ファンでも、「豹マン」を知っている人は珍しかろう。これは桑田次郎のオリジナルではなく、元々はテレビ用の企画であり、マンガとしては、他に南波健二バージョンと久松文雄バージョンがあるらしい。ちなみに、テレビ番組としては企画がポシャッて、制作も放映もされなかったもののようである。

 「ひょうまん」という語感の「情けなさ」が、ポイントであろうか [;^J^]。企画時点の(実写版の)スチール写真の情けなさもまた、相当なものである。マンガ版についても、「南波版」は知らないが、「久松版」は、表紙だけは(どこかの古書店の)目録で見た記憶があり、これもまたかなりの脱力もの [;^J^]。そんな中で、この桑田版だけは、「カッコイイ!」のである。そりゃまぁ「エイトマン」等とは比較にならないとはいえ、小学生時分にリアルタイムで読んでいた私は、かなり魅了されたし、その記憶を確かめるために、今回、発注したのであった。

 期待は、裏切られなかった。今回入手したのは、「ぼくら」誌の1968年の1月号から7月号までの付録のみなのだが、本誌には掲載されていない「付録だけの連載」なので、これでコンプリートである。

 最初の2回が、いわば「豹マン 誕生編」。次の2回が「第2話 怪獣屋敷」。続く3回が「ふくしゅう」で、この3エピソードで連載は終了。不人気故の打ち切りというよりは、TV化の話がたち消えになったので、連載する意味が無くなった..ということなのではないかな。

 白眉は、「第2話 怪獣屋敷」である。窓から「翼のついた蛇」が飛び込んでくるシーンを、35年間も鮮明に憶えていたのだが..この「改造怪獣」の、記憶を裏切らぬ禍々しさ! しかし「翼のある蛇」だからといって、例えば「ケツァルコアトル」(アステカの“羽毛の蛇”の姿で表される神)に由来する名前がつけられていたりするわけではない。このマンガには、そんな衒学趣味は無い。この“蛇”には、結局名前はつけられていないのだが、続いて登場する、「水牛+ゴリラ+マンドリル」の改造怪獣には「ツノゴラリル」(この重厚な造形が素晴らしい!)、「サイ+象+蛇」の改造怪獣には「サイゾスネク」、「鰐+ライオン」の改造怪獣には「ワニライ」..といった、直球ど真ん中のネーミングが心地良い [^.^]。誰がなんと言おうと、「改造怪獣」は、少年の夢である、浪漫である!

 ..というわけで、夕刻から「赤い鎧戸のかげで」(Carter Dickson)を読み始めていたものの、今夜は時間切れで読了できず。

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*2003年05月22日:「赤い鎧戸のかげで」/他


 「赤い鎧戸のかげで」(Carter Dickson、恩地三保子訳、ポケミス)読了。

 傑作。H.M.物ならではのドタバタと饒舌もさることながら、(錯覚を利用した)犯人消失トリックがスマートで良い。反共思想(?)が気にならないでもないが、まぁ、時代が時代だし。

 入院用に持ち込んだディクスン・カーとカーター・ディクスンは、ここまで。引き続き、「ここまでわかった宇宙の謎」(二間瀬敏史、講談社+α文庫)と、「こんなに面白い大宇宙のカラクリ」(二間瀬敏史、山田亨、講談社+α文庫)、読了。口絵写真が素晴らしい。本文解説も平易でよろしい。

 ..以上をもって、持ち込み分の書籍を読み尽くしたので、病棟の「ふれあいサロン」に備え付けの蔵書を漁り、「む」(横田順彌、徳間書店)を読了。

 この短編集、読書記録には無いが、既読かも知れない。少なくとも収録作の多くに見覚えがある。別の作品集や初出誌で読んでいるのかも知れないが。佳作が「予期せぬ出来事」。他、「コズミック・フード・オペレーション」「助産婦さん物語」「柳生一族の願望」など。

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*2003年05月23日:退院


 5/8に入院したのだから、2週間強。ようやく退院であるが、(くどいようだが)もっと入院していたいよぅ(ジタバタ)..[;^.^]

 まぁ、退院すると決まった以上、グズグズしていても仕方ないので、さっさとタクシーで午前中に帰宅。ポストは別に、エライことになってはいなかった。15日ぶりにPCを起動して、15日ぶりにネットにアクセスして、受信したメールが733通。ま、ほとんどスパムだとはいえ、確認しつつ棄てるだけでもエライ手間じゃ。

 野暮用が(言うまでもなく)溜まっていたので、色々片付ける。その途上、(車で走り回っていたのだが、)入院していた松田病院の周囲を(一周したわけではないが)散歩する。廊下やサロンの窓から、一見して無人の団地や、なかなか姿の良い(草深い)公園が見えていて、入院している間じゅう気になっていたので、確かめに行った、というわけ。(入院中は、外出禁止です。)

 公園は期待はずれだったが、案の定廃墟化が進んでいた団地は、なかなか良い風情でした。

 ジョーシンでDVDを4枚ほど購入してから、コンプマートに出向いて、VAIO PCG−U101を触る..ダメかな、これ。キーボードが小さすぎる。文章を大量に書く、というアプリケーションは、対象外みたい..ま、あと1〜2度は触ってみるつもりだが、またしてもリブ100をリプレースし損なったようである。リブと心中する気は毛頭ないし、いずれ必ずダメになる液晶とかバッテリーとかがいつまで入手可能か、とか考えると、あと3年が限界だろうな..と覚悟しているのだが..もはや東芝には期待していない私としては、SONYが頼みの綱なのだが..

 それと、まことに迂闊なことではあるが、WinXPにはDOS窓が無いことを、今日になって知った。困った困った。DOS窓が無いWinは、私にとってはほとんど無意味なのである [;^J^]。Win2000まではDOS窓があるらしいので、まぁ、これで粘るだかね..(数年ともたずに、Win2000もMSに棄てられるとは思いますが..)

 晩、早くも22時に眠くなってしまい、焦る。入院中、22時消灯(実際の就寝は23時頃)、5時起床(正式な起床時間は6時だが)..という生活をずっと送っていたからだ。時差ボケだ。早く直さないと..(別に直さなくてもよろしい。[;^J^])

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*2003年05月24日:社会復帰準備


 早朝から休日出勤。2週間の留守の間、プライベートに溜まったメールは733通だったが、会社のアカウント宛には、1000通強。ま、大部分はスパムなのだが、この週末中に片付けておかないと、月曜日からの業務の支障をきたす..

 それにしても、PCを触りだしてから(多分)25年位、インターネットを使い初めてから15年弱。この間、「2週間ものあいだ、PCにも触らずネットにもアクセスしない」、などという経験は、無かったのであり、事前に、禁断症状を心配しなかったと言えば、嘘になるが..全然、どってことなかった。私はまだまだ、健康体だ。[^J^]

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*2003年05月25日:カーステ交換


 午前中に、まず散髪。10時に「モンテカルロ」(「オートバックス」的な自動車用品店)でカーステを見繕う。現在マーチに装着しているカーステレオが、かなり以前から調子が悪い(CDが「針飛び(光飛び)」しやすく、また、時間が経つにつれて出音が歪んでくる)のを、ずっと放置していたのを、いい加減、なんとかしないと..というわけで。

 要するにまともに使えればそれでいいのである、として、一番廉い本体と一番廉いスピーカーの組み合わせで3万少々を、ドックで装着してもらう。2時間ほど時間がかかるので、近場を散歩がてら、書店と喫茶店。

 午後には街中に出て、ヤマハでシベリウスの交響曲第1番のスコアを購入。(来月半ばに、久々にFCLAオフ(「シベリウスオフ」)に参加するので、その準備である。)郵便局に寄ってから、ジョーシンでDVD(「仮面の忍者赤影 第1部『金目教篇』」)購入。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: May 30 2003 
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