1998年01月05日:星新一、死す。 1998年01月06日:記事のキャンセルについて 1998年01月07日:前置き定型句について 1998年01月08日:「薮の中」の元ネタ 1998年01月09日:ネット回りとPD回り 1998年01月10日:「月明かりの道」「サルダナパルの最後の夜」 1998年01月11日:URLの変更通知について目次へ戻る 先週へ 次週へ
文字どおり、血の気が引いた。
端末の前で、凍り付いた..
..ありがとう。
おやすみなさい..
目次へ戻るネットニュースで言うところの、「記事の“キャンセル”」。ニフティで言うところの「シスオペ(あるいはボードリーダー等)による“削除”」。これらによって、その発言が“無かった”ことになる、と、誤解している人たちがいる。こういう人たちは、不用意な記事や書き込みを乱発しては、安易なキャンセルや削除(の依頼)を乱発している。
これは、大きな考え違いである。「キャンセル」も「削除」も、できやしないのである。古い格言の再利用で恐縮だが、特にネットワークにおいては、ひとたび発した言葉は、取り返しがつかないのである。
なぜなら読者は、非同期にやってきて、発言を非同期に読み、非同期に去ってゆくからである。「今の発言、無し!」という“待った”は、場所はともかく、全員の時間(時刻)の一致があってこそ、まだしも意味を持つ。インターネットもパソコン通信も、一般に、ある発言が「キャンセル」されたことを報せるメカニズムを持っていない。シスオペが報告することもあるが、その報告自体、読まれる保証は無い。
そもそも、読者が手元のハードディスク等にキャッシュした記事を、リモート削除することは出来ないのだ。それらは、印象的なものであればあるほど、長く読まれ続けるだろう。引用すらされるかも知れない。元発言者であるあなたには、それを食い止める術はないし、引用した記事を追跡して対処(削除)を依頼することも、全く現実的でない。また、善意の引用者たちにしてみれば、元記事が削除されたことなど、多くの場合、知りようも無いのである。(上述した「削除報告」を読む度に、手元のハードディスクから該当記事のコピーを消すほど暇な人は、滅多にいない。むしろ、サーバーから削除された記事だと判れば、逆に、消さずに保存しておこうと考える方が、自然な発想であろう。)
キャンセルも削除も出来ない、という前提で、記事を書くことが必要なのだ。その覚悟の無い人は、ネットワークで発言する資格を持たない。
私は、インターネットに記事を書き始めて9年め、ニフに書き込み始めて8年めになるが、削除またはキャンセルをしたことは、合計で5回に満たないと思う。それも、内容に問題があったケースは一度もなく、あまりに恥ずかしい誤字脱字、単純な事実誤認(数字の誤記)、会議室またはニュースグループの間違い、等の場合に限られる。
もちろん、自分に非のある問題発言は、何度もしているのだ。しかしこれをキャンセルしてはならないし、上述のごとく、キャンセルしても無意味(というより、逆効果)なのだ。当然の報いとして降りかかってくる非難や指弾の嵐を正面から受け止め、落とし前をつける。これ以外の解決策は、無い。
それでもなお、キャンセルという手段、削除という制度は残っている。それが必要とされる局面があるからだ。著作権侵害。誹謗中傷。これらを引き起こしている発言は、削除されねばならない。それは違法行為(あるいは犯罪)であり、放置することは、発言者のみならず、その“場”(フォーラム、会議室、等)に、重大な被害をもたらすことがあるからだ。
しかし..良く考えてみると、これらの発言は、発言した時点で、違法行為(あるいは犯罪)を形成しているのだから、これをキャンセル(あるいは、シスオペ削除)することは、証拠隠滅に他ならないのでは..?
目次へ戻る好みの問題だが..うざったい(長すぎる、あるいは、無意味に派手で目に引っかかる)シグネチャは、読み飛ばせるので許容できるが、うざったい定型句の文頭の挨拶は、必ず眼に入ってしまうので、邪魔で仕方が無い。
「こんにちは〜!! おじさんだよ〜!! 元気か〜い!!?」
..の類である。数行にわたっている場合すら、ある。
しかも、こういう無意味な前置きを書く(ペーストする)奴に限って、10発言も20発言も連続して書き込むのである。こんなのを連続して読まされる方の身になって欲しい。
そういうこともあって、私は、文頭の「**さん、こんにちは」の類の挨拶を、ほとんど書かない。これはこれで無愛想だという自覚はあるし、こういうそっけない書き込みを不快に思う人もいるだろうとは思うのだが、長すぎても誰かが不快、短すぎても誰かが不快。ならば短い方が、全体としては(トラフィックが少なく、記事全体を読み飛ばしやすい分)被害が少なかろう、と、考えている。
大体、いちいち「**さん、こんにちは」と書くのは、変だと思う。これがインターネットのネットニュースの記事であれば、記事の到着順序を保証できない、というインターネットの特性から、個々の記事の独立性が重んじられるので、ある程度意味はあるかとも思うが、到着順序が保証され、それ故“必要以上に”「引用」が嫌われているパソコン通信では、いちいち挨拶する方がおかしい。ネットの外の世界で、普通に議論している時に、発言する度に相手に挨拶するか?
その昔の、ロッキード事件か何かの、国会での「証人喚問」のTV中継で、発言に先立って、いちいち議長が「**くん!」、と呼び出していた、あの間抜けさを思い出す。米国のウォーターゲート事件か何かの、議会での証人喚問の中継では、議長は介在せずに、議員による質問と証人による回答が、サシで、きびきびとテンポ良く進行しており、実にスマートで格好良かった。
まぁ、仰々しい定型句の前置きは、パターン認識しやすいので、読み飛ばしのキーの役には立つ。実際、この類の挨拶付きの記事は、経験的に、くだらないものが多いのだ。
目次へ戻る関東は大雪らしいが、浜松には例によって一粒も降らず、多少肌寒い雨が降っただけである。雪が懐かしい、などと、苦労の無いところで気楽なことを言っているが [;^J^]。
H氏からメール。「薮の中」の件である。先日の日記で、
「殺された夫の霊魂を巫女に憑依させ、彼の証言を取る、という、不気味なユーモアを湛えた奇想。これは芥川の原作(「薮の中」)にもあったシーンだと思うが、今昔物語にあるモチーフであろうか」
と書いたのだが、これはビアスの「月明かりの道」が元ネタであるとのこと。知らなかった [;^J^]。しかし、H氏に限らず、私が何かこういう間違い(思い込み)を書く度に、正してくださる人が大勢いらっしゃるのは、本当に有り難いことである [_ _]。私は、この公開日記を書き始めてから、随分賢くなった。(それでも、この程度 [;^J^]。)
早速検索。http://www.books.or.jp/ で、「世界こわい話ふしぎな話傑作集6」(金の星社)に収録されているらしい、と、当たりをつけて、H氏に礼状を書く。今週末に、地元の図書館で探して読む予定。なければ、来週末に国会図書館に出向くので、その機会に。
目次へ戻るほとんどぼかぼかと暖かい陽気である。新聞を読むと、関東地方と同じ国だとは思えない。[;^J^]
H氏から再度メール。金の星社の本は、子ども向けの翻訳になっているであろうから、と、収録書籍のリストを作って送って下さったのである。いや全く有り難い。[;_ _] これを持って、週末に図書館へ行くことにする。
ドメイン名が変更されたことを受けて、外部プロバイダからメールを出す実験を行う。具体的には、アサヒネットのアクセスポイントにダイヤルアップしておいて、メールはインターネットクラブのSMTPサーバーから発信する、ということが出来なくなっているので(これは、以前は出来ていたのだが、SPAMの悪戯の大馬鹿者が、うちを足がかりに発信したという事件が昨秋あり、それ以来、この口が封じられていたのだ)、素直にアサヒネットのSMTPサーバーから送信する実験。成功。
この実験中、偶然、アサヒネットのPOPサーバーに接続したら(POPサーバーは、今後とも、インターネットクラブのものを使うので、これは実は余計な実験であったのだが)、なんと、アサヒネットのスプールに、メールが溜まっていた [;^J^]。返事を出した方がいいものもある。(数ヶ月経っているけど。)参ったなぁ。
PDによるフルダンプ&ワンタッチリストアは、やはりVFATBAKが適当という結論に達した。ただしこれはDOSツール。しかもリブのPCカードスロットはひとつで、FDDもこれを使う。FDDからDOSを立ち上げたあと、FDDカードを抜いてSCSIカードを挿し直して、SCSIを認識するか? 駄目なような気がする。するとやはり、パラレルSCSIかな?
目次へ戻るH氏による「月明かりの道」リストを見直してみたら、なにやら見覚えのある書名が。「死の診断」(角川文庫)。書棚を引っ掻き回したら、出てきた [;^J^]。調べてみたら、13年前に読んでいる [;^J^]。全然憶えていなかった [;^J^]。
というわけで、「月明かりの道」を、新鮮な気持ちで再読する。
とある殺人事件を、被害者の霊魂を含む3者の視点から描いた、短編である。悪くない。ムードも満点だし、これは怪談としては佳作と言える。しかし..
..当事者の証言がことごとく食い違うだけにとどまらず、何故食い違うのか、という、人間心理の恐ろしさに深く切り込んだ芥川作品には、遠く及ばない。狙いが違うと言えばそれまでだが、これは黒澤の「羅生門」も含めて、日本側の圧勝である。御慶。
素晴らしい快晴である。
デイリーバックアップメディアとして、PDを便利に使っているが、本当にやりたいことは、PDからの「楽々再インストール」である。今までに3回ほど、Win95を再インストールする羽目に追い込まれたが、システムの再インストール自体はともかく、アプリ環境を作り直させられるのが我慢ならなかった。これはWin3.1(あるいはDOS)時代から、大幅に退化している部分である。
環境まるごとバックアップ/リストアは、出来て当たり前。リブレットFAQ(ニフの FTOSHIBA で作られたもの)を調べ、やり方を大体把握する。シリアルポートに接続するMiniSCSIを入手するのが、もっとも素直である由。市内のめぼしい店に電話してみるが、在庫無し。ここら辺が、一部の店は秋葉よりも廉いとはいえ、秋葉には到底かなわないところだ。まぁいい。来週末の上京のついでに買おう。
DOSを起動して、シリアルポートに接続したPD(MOでも良い)に、VFATBAKでフルダンプするのだが、VFATBAK自体は、DOS窓からでも一応は動くらしいので、使ってみる。なかなか便利である。処理速度も問題ないし、筋が良い。インクリメンタルダンプはとれないようだが、そこまでは期待していない。それはzcopyによるデイリーバックアップで行う。
4日の秋葉オフで購入したCDを、少しずつ消化しているが、「ベルリオーズ ローマ大賞のカンタータ」というCD(HMF HMC 901542)が、ヒットであった。
実は、店頭(石丸3号店)で、思いっきり受けたのだ。何しろ赤ボールペンで「ローマ賞 受賞」と書かれている [;^J^]。レコード大賞じゃないっつーの [;^J^]。これはもちろん、1828年から1830年にかけて、ベルリオーズがローマ大賞の課題曲として作曲しつづけた4曲のカンタータ、「オルフェウスの死」「エルミニー」「クレオパトラの死」「サルダナパルの最後の夜」を全て収録したものであり、実はこういう企画のCDは、今までになかったのだ。なぜなら、肝心要の受賞作「サルダナパルの最後の夜」が、断片しか残されていないからである。このCDでは、残存している最終部分だけ演奏している。もちろん、ベルリオーズマニアの私としても、初めて聴く作品である..そして..ぶっ飛んでしまった。
ベルリオーズの初期作品の面白さのひとつは、のちの作品の萌芽(断片)が聴かれることである。
序曲「ロブ・ロイ」は、「イタリアのハロルド」に吸収された。序曲「宗教裁判官」の主要主題は「幻想交響曲」の“固定観念”の原型であり、カンタータ「エルミニー」では、その“固定観念”が、ほとんど幻想交響曲での最終形となっている。「幻想交響曲」と言えば、有名な第4楽章「断頭台への行進」は、この破棄されたオペラ「宗教裁判官」からそっくり転用されたものであるし、「クレオパトラの死」からは、いくつものメロディが「レリオ」や「ベンヴェヌート・チェリーニ」に流用された。もっとも大規模な転用元は「荘厳ミサ曲」であり、これからの生成物は、「レクイエム」の「オッフェルトリウム」「トゥーバ・ミルム」、「ファウストの劫罰」の「妖精の踊り」、「ローマの謝肉祭」、「幻想交響曲」の「野の風景」、「テ・デウム」の「クリステ、レクス・グローリエ」「テ・エルゴ・クェセムス」、「ベンヴェヌート・チェリーニ」の「第1幕フィナーレ」、とまぁ、なんと壮麗なラインナップ! これほど多くの名作群の元ネタなのである。
そして「サルダナパルの最後の夜」。この僅か6分少々の断片の、どこにぶっ飛んだかと言うと..なんと、「ロメオとジュリエット」の「キャピュレット家の宴会」だったのである!
むろん、オーケストレーションは全く異なり、遥かに稚拙である。しかし、ベルリオーズの最高傑作のひとつとも言える、この饗宴の音楽の主要旋律は、はっきりと聴こえてくる。それも、サルダナパルの破局に至る最後の饗宴を表す、混沌たる音響の中から、浮かび上がってくるのである。まさに..まさに、のちの名作が生まれいずる、その現場に立ち会っているかのごとくである。これは大発見だった。私は本当に興奮してしまった。
なぜなら、「ロメオ」(シェイクスピア)の原型が「サルダナパル」(ドラクロワ)にあったからである。ベルリオーズは、ドラクロワの1828年の、この超傑作を観ていただろうか? 観ていたと思う。ドラクロワからシェイクスピアへ。正しく、ベルリオーズは、ロマン派音楽の戦闘指揮官であったのだ。
目次へ戻るいくつかのML(メーリングリスト)に入っているのだが、メールアドレスが変更になったので、登録アドレスを変更コマンドで変更しようと思ったら、失敗してしまった。そりゃそうだ。既に変わっているんだもの [;^J^]。同一人物だとは同定出来ないのだ。盲点だったなー [;^J^]。仕方が無いので、各MLの管理者に個別にメールして、直してもらう。手順前後で、余計な手間をかけさせてしまった [_ _]。
それにしても、各種サーチエンジンをはじめとして、相当多数のリンクリストに登録されているのだが、どうやってURLが変更されたことの通知をしようかなぁ。手作業でプチプチとメールしていると、何日徹夜しても終わらんぞぃ [;^J^]。
実は、URLが変わったといってもドメイン名が変わっただけで、物理的には同じ場所にあるので、旧URLでも当分はアクセス出来るのだが、うちの管理者は、当然のことながら、できるだけ早い段階で旧URLを廃止して一本化したいと考えているのだ。
一応、各ページの先頭には、URLが変わったことを書いておいたが..やはり、メールが必要だ。少なくとも、主要サーチエンジンにだけは、明日にでもメールを出しておくとして..
goo等で、うちをリンクしているページのリストは出せる。そこからURLを切り出してデータベース化することも、半自動で出来る。それらをオート巡回することも出来るはずだ。(今はその類のソフトをインストールしていないが、多分、インターネットマガジンのCD−ROMに収録されていると思う。)問題は、各ページの担当者のメールアドレスのリストを取得することなのだが..そうか、mailto: をソースから切り出せばいいか..誤配が多くなりそうだなぁ、いやだなぁ..
..などと悩んでいるうちに、PDの調子がおかしくなった。エラーが多発する。既にフォーマットして、SCANDISKもかけてあるメディアでだ。PDメディアは比較的壊れやすい、という“噂”を聞いたことは、ある。しかしその情報(噂)の発信源はひとりであり、裏を取っていない。仮に壊れやすいとしても、一度に複数枚というのは、おかしい。何かが間違っている..
..ターミネイターか。どうも、接続したリブの電源を入れたままの状態で、SCSIアドレスとターミネイターの設定をやらかしていたらしい。全ての電源を落としてやり直してみたら、一応安定したように見える。しばらく様子を観察する。
全く初歩的なトラブルで、お恥ずかしい限りだが、言い訳をさせていただくと、Win95のプラグアンドプレイの雑なオペレーションに、慣れ過ぎていたのである。
目次へ戻る 先週へ 次週へLast Updated: Jan 15 1998
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