*1997年03月24日:私の名前の発音について
*1997年03月25日:サイバーモールとジョウント
*1997年03月26日:洋風居酒屋R
*1997年03月27日:サイバー書店など
*1997年03月28日:「あー」「えー」
*1997年03月29日:「淫獣の幻影」
*1997年03月30日:暗い予感
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*1997年03月24日:私の名前の発音について


 私には、訛りなどない(味もそっけもない、標準語を喋っている)と思っていたのだが..

 そのことに気が付いたのは、つい最近である。これは遥かな昔からであるが、私が電話で名乗る時、どうも名前が伝わりにくいのだ。「はい、倉田ですが」「え?」「(ゆっくり)く・ら・た、です」。

 別に不思議とも思っていなかった。そもそも私は早口で、しかも発音がしばしば不明瞭になる。不明瞭というよりは、口の動きが気持ちに(頭の回転の速さに?)追いつかず、母音が落ちて子音だけになるのだ。上記の例だと「KULATA」ではなく「KLTA」と発音してしまう。ほとんど破裂音だけだ。これでは聞き返されるのも当然である..

 という訳では“なかった”のだ。イントネーションが逆なのであった。

 人は、私の名前(倉田わたる)を、

RATATARU
KUWA

と発音するケースが、圧倒的に多い。しかしこれは誤りである。正しくは、

KUTARU
RATAWA

なのである。「く↓らたですが」「あぁ、く↑らたさんですね」という齟齬が、常につきまとっていたことに、実に半生もの間、気が付かなかったという訳か。やれやれ。[;^J^]

 これが私の出生地である北九州地方のイントネーションなのかどうかは、今となっては解らない。なぜなら私は、9歳でその地を離れて東京地方に移ったからであり、北九州については僅かな記憶が断片的に残っているだけで、その言葉も文化も、きれいさっぱり忘れてしまったからだ。

 しかし、この“下降音型”で始まるイントネーションが、少なくとも私の名前に限っては正統的な発音であることは、間違いない。これは亡父が明言していた。「“わたる”は“わたつみ”に通じ、それは、この大らかに下がって上がる、スケールの大きい“波”のような響きともども、“海”の象徴なのである」と。

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*1997年03月25日:サイバーモールとジョウント


 数ヶ月前のインターネットマガジンの記事からの受け売りで恐縮だが、広告代理店のWebへの取り組みかたが、難しいのだと言う。そもそも広告代理店というのは、有限の「土地や時間」の価値を調整して、これを配分することによって、利益を得ていたのであり、無限に広いサイバースペース(死語?)の中では、出番が無いのである、と。確かに、その手の業者に依頼しなくても、誰でもホームページ(新たな土地)を作れるのであり、そこで広告を打つ(あるいは商売をする)ことも出来る訳だ。

 これの延長線上の議論として、各商社が企画している「サイバーモール」にも、全く意味がない、と。そのサイバーモールを一度は訪れるかも知れないが、その中で気に入った店に、次からは(サイバーモールをバイパスして)直接ジャンプしてしまうであろう。(さらに笑い話を追加すると、サイバーモールだか仮想都市だかの一等地を、買い占めようとした企業がある由。)

 そうは言っても、サイバースペースで商売の種を見つけなければならない人たちは、必死である。サイバーモールにしても、(例え金を払ってでも)そこに行くこと自体が楽しくなるような工夫を、色々していることであろう。

 そこで、私からも、アイデア(ヒント)をひとつ啓上しよう。

 アルフレッド・ベスターというSF作家の稀代の傑作、「虎よ、虎よ!」。物語の紹介は省くが、背景として描き出された25世紀の社会。そこでは、「ジョウント」と呼ばれる、一種のテレポートが、社会の成り立ちの根幹を、20世紀のそれから根本的に変えていた。誰もがジョウント出来るのだ。ありとあらゆる交通機関が消滅したのは当然だが..問題は、いかにして“財産”と“女”を、どこにでも侵入(ジョウント)してくる略奪者から守るか、ということだった。ジョウントは、飛び先の情景を“正確にイメージする”ことで、可能になる。では、ジョウントを妨害するためには..そう、イメージ出来なくしてしまえばいいのだ。

 かくして資産家たちは、その財産と女たちを穴蔵の奥へ、迷宮の奥深くへと、しまい込んだのだ。一切の交通機関が無く、無数の迷宮の果てしない集積によって都市が構成された、黄金の25世紀!

 ジョウントを妨害しようとする“意志”は、それを制御してそこから利益を生み出そうとする“意志”に、容易に転換される。ジョウントをネットサーフィンと読み替えられるのは、自明であろう。

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*1997年03月26日:洋風居酒屋R


 先日、国会図書館で手配してきた、「オズマ隊長」の、全集未収録の第15話の前半のコピーが届く。50枚分のコピー代金と包装料と送料、計6724円を振り込まなければ。来月中旬の調査で、後半を手配する予定である。

 ついでに(うっかり)しなくてもいい計算までしてしまう。「“手塚治虫漫画全集”解説総目録」の総解説の執筆、しばらく滞っていたのだが、なんとか1週間に1冊ペースに戻って来たので、やれやれと一息ついていたのだが..このペースだと、書き終えるのに、あと7年かかる..週に2冊で3年半、週に3冊という狂乱ペースで、2年である。(一体全体、どうして、こんなことを始めてしまったのだろう..[/_;])

 自宅から結構近い、洋風居酒屋Rを開拓。別に廉いわけではないが、料理が美味い。BGMは、主としてムーディなジャズであるし、雰囲気も落ち着いていて、深夜1時まで開いている。こりゃいいや。週に一度位、通うことにしよう。

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*1997年03月27日:サイバー書店など


 IBMGNDを、会社から電話で解約する。(先日から、Web上で解約しようとジタバタしていたのだが、どうしてもやり方が判らなかったのである。[;^J^])海外でのアクセス用に確保した入口であり、当分海外旅行の予定が無いので、不要になったのであった。

 リブの修理の見積もり連絡が遅れている。(実はこの月曜日から、連日、電話で催促していたのだ。)今日の電話でようやくつかまり、あと10日だという。日程はともかく料金は?ときいたら、保証期間中なので大丈夫です、とのことだが..

 ネットで書籍を購入する場合、昔はニフで八重洲ブックセンターの宅配便を使っていたが、今ではインターネット上の紀伊國屋のBookWebの方が便利なので、こちらを利用している。(実は、ここは、つい最近使い始めたのである。)年会費がかかるのだが、キャンペーン期間中で、3千円のところを半額で入れたし。

 検索→発注のインターフェースが便利なのだ。特に、その書籍が文庫落ちしているかどうか、いちいち憶えていないので、何年も前のメモに残っている書名から発注する際に、重宝する。便利すぎて買い過ぎるのは、お約束。ただ、何故か、書店で買いそびれていた「澁澤龍彦翻訳全集4」が検索できないのだが。[?_ _]

 逆引きが出来るサーチエンジンで、私のホームページをリンクしてくれているページをサーフィンしていたら「代表的なリンク集ホームページ」として、J.O.Y.や SearchDesk と並べて紹介されているところがあった。なんかの間違いじゃないかなー。[;^J^] 私の外宇宙への扉なんて、貧相なものなのだが。

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*1997年03月28日:「あー」「えー」


 誰にでも口癖はある。無意識のうちに「あー」とか「えー」とか「うー」とかで間を取るのは、滑稽でもなんでもない。

 しかし、例えば朝礼とか訓示とかを神妙に聞いている時に、これが耳に付いてしまうと..それしか聞こえなくなってしまう。[;^J^]

「…………、あー、……………………、あー、………………、あー、……」

 丁度、エッシャーのだまし絵のように、ネガとポジ、背景と前景が逆転し、“その他の言葉たち”は「あー」の間合いを取る、バックグラウンドノイズと化す..

 ..以上のネタを考えながら朝礼を聞いているという、二重にメタな状況。何か大事な連絡事項があったような気がするが、さっぱり憶えていないぞ。[;^J^]

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*1997年03月29日:「淫獣の幻影」


 げげ、紀伊國屋BookWebの注文状況確認のページを見てみたら、フィリップ・ホセ・ファーマーの「淫獣の幻影」(及び、ストルガツキーの「収容所惑星」)のかわりに「全スーパーロボット大戦大百科」(勁文社)を注文したことになっている!? 注文が化けた!? 先日、深夜に検索→注文したのだが、見間違えたか、操作をミスったか? いやいや、そんな筈は無い。

 思い当たる節は、ある。そもそも「淫獣の幻影」(と「収容所惑星」)は、とっくの昔に絶版だったはずだ。絶版書籍も検索出来るのが、このBookWebの優れているところであり(古本屋で探す時の手がかりになる)、無論、絶版であれば注文できない仕掛けになっているのだが、この2冊を駄目モトで検索してみたら絶版ではなかったので、おお、復刊されていたのか、と、サクサク注文したわけなのである。

 再度検索しても、「淫獣の幻影」は、もはやヒットしない。(絶版書籍としての検索すら、出来ない。ちなみに「収容所惑星」は、検索は出来る。)つまりこれはデータベースにバグがあり、その隙間を突いてしまったということだろうか? あるいは、私の発注を受けたものの、絶版であることが判明し、そこで事後処理(例外処理?)をミスったのだろうか?(あ、“絶版”ではなく“版元品切れ”かも知れない。少なくとも「収容所惑星」の発行元である早川書房は、絶版にはせず、(しばしば長期間)品切れ状態にしておくだけらしい。)

 もう一度、注文状況を確認してみたら、今度は「全スーパーロボット大戦大百科」ではなく、「ことばのくずかご」(筑摩書房)になっている。(さらに繰り返すと、大原まり子の「電視される都市」と「地球物語」になったが、3回もやると、さすがに飽きる。[;^J^])単なる表示のバグのような気もするが、まかり間違って、これらの書籍が納品されたらたまらん。とにかくメールでストップをかけないと。発注直後に「注文状況確認」のページのコピーを証拠として取っておく、という段取りを踏む必要があるようだ。ま、これはサイバーショップでなくても同じこと。少なくとも今回は、同じ注文番号で異なる書名が表示されたので(それぞれのコピーを確保したので)、向うのミスという証拠は、押さえられたわけだ。

 気を取り直して、改めて「澁澤龍彦翻訳全集4」を検索する。要するに“澁澤龍彦”で検索するからいかんのだ。“しぶさわ”で検索すると、案の定、“渋沢竜彦”で登録された書籍が、ぽろぽろ出てきた。ま、当然のノウハウだわな。それでも、「澁澤龍彦翻訳全集」は、1巻と2巻しかヒットしない。ここ1〜2ヶ月に出版されたものは、登録されていないようだ。しゃぁない。

 ちなみに、今回のトラブル元であった「淫獣の幻影」とは何かというと、タイトルから自明なポルノSFである。但し、昨日今日書き飛ばされた駄作群とは格が違う、年季の入った、筋がね入りの駄作なのである(らしい)。[;^J^]

 原題は“The Image of the Beast”。古いSFファンには「獣のイメージ」というタイトルで知られている。SFマガジン1969年11月号のSFスキャナー(未訳の海外SFを紹介するコラム)で、伊藤典夫が、米国の評論家による「紙屑同然の駄作」という批評を引用しつつ「抄訳ならばともかく、全訳は(その性表現の過激さ故に)到底不可能」と(時代を思わせる)紹介をした、札付きの作品なのである。

 汚れを知らぬ美少年だった私は、読みたくて読みたくて仕方が無かったのだが、翻訳不可能ならしょうがないね、と、忘れていたら、遥か後年になって、いつの間にかこっそりと、光文社文庫のポルノシリーズ(CR文庫)に翻訳されていた。ちょうど5年前、それに気が付いて慌てて注文したのだが、既にシリーズごと消滅していたのである。その時も、諦めきれずにfjでも探したのだが入手は叶わず、「すっげー、つまらない」という情報だけは、入手出来た。[;^J^]

 ..という、因縁のある書物なのだ。もはやこうなると、面白いつまらないの問題では、ないっ 紙屑だろうがスカだろうが、買って読まないことには、けじめがつかないのであるっ(我ながら、難儀な性格だ。)

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*1997年03月30日:暗い予感


 おやおや、紀伊國屋BookWebの注文状況確認のトラブル、今日確認してみたら、直っている。(念のため、この正しい「注文状況確認」のコピーを取っておく。)昨日の午後、メールはしたのだが、土曜日だったし、ただちに対応したとも思えない(それに、返信はまだ来ていない)。一時的なデータベースサーバーの混乱だったのかな?

 GUSTで朝食バイキング。メニューも変わらないし、相変わらず生卵はないし、ぼちぼち飽きてきたところである。図書館に寄ったあと、Y書店で「コミックウインクル」を購入。吾妻ひでおの、現時点で唯一の掲載誌(といっても、3回の短期連載)なのであるが、「切り抜き用」に購入した雑誌でも、一応モトを取るために隅々まで読む私も、さすがにこの雑誌の場合、読むだけ逆に赤字だと思うぞ。[;^J^]

 「ミッドナイト」の解説を、書き続ける。これから少なくとも2年間、休日は、ずーーっとこういう生活が続くのだ。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Apr 3 1997 
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