“手塚治虫漫画全集”解説総目録について


 講談社の“手塚治虫漫画全集”全400巻は、手塚治虫の全作品を収録したものではありません。しかし、氏の業績の大部分を俯瞰出来るという意味では、その価値はまことに大きく、これに収められた全作品の全エピソードに感想/解説(時に評論もどき)を付ける(3.“手塚治虫漫画全集”総解説)、という行為にも、それなりの意味はあるでしょう。この作業は、2022年09月現在、まだ61巻分しか終わっていません。

 私の駄文に用はないとしても、この全集に収められた、全作品の全エピソードのデータを、プレーンテキスト化しましたので(2.“手塚治虫漫画全集”総目録)、これにはそれなりの利用価値はあるでしょう。また、全集未収録作品のタイトルも、わかる限り収集しておきました。(4.付録A:全集未収録作品リスト)この両者を合わせると、「私が把握している限りの」全作品リストになります。「付録B:全作品発表年代順リスト(アニメを除く)」が、それです。漫画以外の著作物(エッセイ、インタビュー、座談会、広告、イラスト等)も含まれていますが、アニメーション作品は記載されていません。「色紙」「セル画」の類も対象外です。

 ただし、完璧なリストではありません。

 国会図書館、現代マンガ図書館、大宅壮一文庫、都立中央図書館、多摩図書館、国際児童文学館、浜松市立中央図書館など、全国各地の図書館や施設で閲覧調査を進める傍ら、これらの施設に収蔵されていない場合は古書店やオークションで買い集めるなどして、初出誌調査を進めていますが、いまだに初出誌にアクセスできない作品も残されています。それらについては、下記の資料に記載されているデータを参照させていただきました。これらを作成された方々に、感謝いたします。


*伴俊男+手塚プロダクション「手塚治虫物語」朝日文庫
*手塚プロダクション「手塚治虫エンサイクロペディア」CD−ROM
*まんが資料センター「手塚治虫の軌跡」
*別冊太陽「手塚治虫マンガ大全」
*「未発掘の玉手箱 手塚治虫」立風書房
*手塚プロダクション「手塚治虫全史」秋田書店
*すずき寿ひさ「なつ漫探偵団」ぶんか社
*3軒茶屋の2階のマンガ屋「VINTAGE MANGA PHOTO CATALOG Vol.1 - 7 (1993 - 1999)」
*「まんだらけ」「まんだらけZENBU」まんだらけ出版部
*「中野書店漫画目録」中野書店
*「翠光堂書店漫画目録」翠光堂書店
*「ヒョウタンツギタイムス」手塚治虫ファンクラブ京都・会誌
*「手塚ファンmagazine」手塚プロFC
*坂本智彦氏による「ブラック・ジャック エピソードリスト」
*「ブラック・ジャック画集」秋田書店
*「『少年』傑作集 第1巻」光文社文庫
*「人間ども集まれ!(完全版)」実業之日本社
*「手塚治虫の動物王国」いそっぷ社
*「KAWADE夢ムック 文藝別冊 総特集 手塚治虫」河出書房新社
*「BRUTUS図書館 手塚治虫 ワンダー手塚治虫ランド」マガジンハウス
*「手塚治虫デビュー作品集」毎日新聞社
*「手塚治虫のすべて」大都社
*「鉄腕アトムクラブ」虫プロダクション友の会
*「蟲の森」手塚治虫ファンクラブ・東北
*「まんがのむし」全日本マンガファン連合
*「むしのなかま」手塚治虫サークル・山形
*寺田ヒロオ「『漫画少年』史」湘南出版社
*「少年なつ漫王」アップルBOXクリエート
*「消えたマンガ雑誌」メディアファクトリー
*「大宅壮一文庫雑誌記事索引総目録」紀伊國屋書店
*「手塚治虫作品総目録」虫ニュース編集部 手塚治虫作品総目録刊行会
*「二階堂黎人が選ぶ! 手塚治虫ミステリー傑作集」ちくま文庫
*「珍念と京ちゃん」京都漫画研究会
*「少年画報大全」少年画報社
*「バット博士とジム(復刻版)」パロマ舎
*「図説 鉄腕アトム」河出書房新社
*「鉄腕アトム コンプリートブック」メディアファクトリー
*「手塚治虫 カラー秘蔵作品集」ジェネオン エンタテインメント
*「リボンの騎士 少女クラブ カラー完全版」ジェネオン エンタテインメント
*「AERA COMIC ニッポンのマンガ」朝日新聞社
*「生誕80周年記念特別展 手塚治虫展 未来へのメッセージ 図録」東京都江戸東京博物館
*二階堂黎人「僕らが愛した手塚治虫2」小学館
*「手塚治虫 予告編マンガ大全集」ジェネオン エンタテインメント
*「鉄腕アトム《オリジナル版》復刻大全集」ジェネオン エンタテインメント、復刊ドットコム
*「銀河少年 − 手塚治虫少年漫画作品集」国書刊行会
*「手塚治虫・創作ノートと初期作品集」小学館クリエイティブ
*手塚治虫 のすべて(http://www.phoenix.to/)
*二階堂黎人「僕らが愛した手塚治虫 激動編」原書房
*本浜秀彦「手塚治虫のオキナワ」春秋社

 もう一点、ページ数について。これの(統一的な)数えかたは案外難しく、プラスマイナス・数ページ位の誤差はあるものと考えてください。基本的に、扉ページ(に相当すると考えられるページ)は含み、扉ページの裏などに空白ページがある場合は、その空白ページはカウントしない。目次はカウントしないが、エピグラフはカウントする。というルールを設定しましたが、なんとも微妙な例外処理を要求される作品もあります。(目次には記載されていない、プロローグに相当するパートは、原則として「プロローグ」として独立して記載しましたが、続くパートと同時に雑誌に掲載されたと判断出来る場合は、そのパート(例えば「第1章」)の一部としてカウントするなど。)

 そもそも、雑誌連載時には存在した扉ページが、単行本収録時には(多くの場合)削られることもあり、「ページ数」というデータには、それほどの精度を求めても仕方が無い側面は、あります。初出誌と全集で段組を変更した場合など、内容は同じでも、数ページどころか数十ページの差が生ずることもあります。手塚治虫は、雑誌に掲載した作品を単行本に収録する段階で、大幅に描き改めることが珍しくなく、単行本になってからも、版が改められる度に修正が入るわ、出版社が違えば、同じ作品とは思えないほど手が入るわ、で、手塚治虫研究者は、全初出誌はもとより、全単行本の全ての版を押さえておかなければならないのが、本当のところ。それは私には不可能なことであり、そういう制約条件下でまとめたデータ集なのですから、ページ数は、目安程度にしかなりません。(エッセイ等の文章のページ数も、一応記載していますが、これこそまさしく目安にしかなりません。)

 繰り返しますが、「ページ数」は、あくまでも「全集」に収録された状態での「ページ数」であることに、注意して下さい。初期の短編は、雑誌掲載時には扉無しの「正味8ページ」というパターンが多いのですが、全集に収録されると「扉」が付加されますので、「9ページ」となります。注意すべきは「4コマ漫画」の類で、これらは、全集未収録作品を初出誌(初出紙)掲載の状態でカウントする時は、1ページ/1本(1日分)とします。例えば43回掲載された「グッちゃんとパイコさん」は、43ページとします。対して、全集に収録された作品については、あくまでも全集の掲載ページ数でカウントします。全集の場合、1ページに2本(2日分)収録されます。さらに、4コマ漫画の全集への収録は、多くの場合、抜粋です。そのため、73回掲載された「マアチャンの日記帳」が、19ページと記載されることになります。

 「描き直し」の問題は、データベース作成者にとってはまことに悩ましく、コンパクトでエレガントな解決策は、未だ見出せていません。例えば「ブッダ」の初出データは、一見すっきりとしていますが、よくみると、初出誌の巻号がしばしば前後し、錯綜していることが判ります。このリストのフォーマットでは、単行本に収録されている各章に対して、初出誌の掲載号を記載しているのですが、単行本収録時の大幅な描き換えの結果、単行本には掲載されている章(あるいは、かなり長いエピソード)が、そもそも初出誌には存在しない、あるいは、全面的に描き換えられているが、内容(ストーリー)としては、その号の掲載内容に相当する、さらに面倒なケースとしては、エピソードや場面がバラバラに分割されて再構成されており、その章のオリジナルが初出誌のどの号であるのか、一意には決定しようがない、などなど、どうやってまとめたものやら。根本的な解決としては、膨大な校註情報を載せるしかないのですが、それを「初出誌を閲覧可能で、かつ、その後の収録単行本の出来るだけ多くの版を追跡可能な」全ての作品について行なうことは、今の私には、全く現実的ではありません。結局、工数のバランスを勘案して、「初出誌を順次読み下し、各号の内容が全集版のどのエピソードに相当するかを書き留め、最後にそれを全集のエピソード側から集計する」という手法を取りました。


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*解説


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Last Updated: Sep 7 2022
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