どろろ:(無題)

 (69/05号 からの続きである。)

 どろぼう=どろろの登場。百鬼丸と座頭との出会い。(断崖の場。)焼け跡における、百鬼丸と戦災孤児たち、中でも、みおとの出会い。そして死別。

 百鬼丸とどろろは、万代の村で初めて出会い、そして百鬼丸は、どろろを探し出して殺すことを目的に、旅をしていたことが明らかにされる! なぜならば、百鬼丸が(その父親の魔神との契約により)生まれながらに失なっていた48のパーツ。それらから作られていたのが、どろろだったからである! 百鬼丸は、おのれの48のパーツを取り戻すためには48の妖怪を退治しなければならないのだが、どろろを殺せば、一気に全部取り返せるのである!(しかし百鬼丸は、どうしてもどろろを殺すことが出来ない。)

 どろろを殺せば、百鬼丸は一気に全てのパーツを取り戻せる、という新設定は、百鬼丸とどろろの間に、ある緊張関係を設定するためだけの思い付きのようである。(百鬼丸は、もちろん、どろろを殺すに忍びなく、一発逆転のジョーカーを伴ったまま、苦しい妖怪退治の旅を続けるのである。)さらに言えば、打ち切り対策の伏線ではないかとすら、邪推してしまった。[;^J^] なぜなら、いつ最終回になっても、どろろを殺してしまえば“完結”するからである。[;^J^](結構、恐い考えかも知れない。[;^J^])

 万代の村で出会ったふたりは、もちろん万代を退治して、そして(恩知らずの)村人たちに追い出される。(恩知らずとは書いたが、村落共同体の(生死をかけた)自己防衛本能に照らしてみれば、彼らのごとき危険な異物を排除するのは、当然である。)そして、苦しい旅が続くのだ。

 “美しさ”と“醜さ”が完璧に融合した万代というキャラクターは、実に素晴らしいもので、手塚治虫の創造したあらゆる異生物中、最高傑作のひとつであろう。開巻早々に、これほどの妖怪を登場させ得たという点で、「どろろ」の“永く記憶するに値する作品”としての成功が約束され、後続の妖怪たちが、これほどの水準には到達し得なかったという点で、「どろろ」の“週刊誌連載作品”としての失敗がもたらされたのであろう。


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Aug 6 1998 
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