*2005年12月05日:ある「略奪芸術」を巡って
*2005年12月06日:最近のウルトラマンマックス
*2005年12月07日:ヒントは風呂場
*2005年12月08日:エロ本を買いたい
*2005年12月09日:「ゴダールの映画史」
*2005年12月10日:「狙われない街」
*2005年12月11日:「漫画家超残酷物語」
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*2005年12月05日:ある「略奪芸術」を巡って


 「医師ガシェの肖像」という、ゴッホの名画がある。史上最高価格で取り引きされたこともある作品である。もちろんゴッホ自身は、この作品をそんな価格で売ることはできなかった。彼の死後、数奇な運命に弄ばれ、人から人へ、美術館から美術館へと渡り歩くうちに、いつしか天文学的な値段がつけられ、確か最後に確認されている所有者は、日本の実業家である。1990年当時に8000万ドル位で購入したんじゃなかったかな。

 その男は、札びらを切る(切って「見せる」)だけが目的と思しき男であり、「ガシェ」に限らず無数の美術品を購入しては、一度見ただけで物置に放り込んでおくような男であった。この人間の屑は、「私が死んだらこの絵も一緒に火葬してくれ」などと分不相応なたわごとを言い放ち、国際問題にまでなった。

 幸いにして、この男が死ぬ前に、この男の事業は破綻した。そして破産のどさくさに紛れて、「医師ガシェの肖像」も誰かの手に渡ってしまった。

 彼が破滅したのは、快事以外の何物でもない。(「天網恢々疎にして漏らさず」という言葉がある。)しかし良いことばかりでは無いのだ。これによって、「医師ガシェの肖像」が(火葬は免れたにしても)永遠に陽の目を見なくなってしまった可能性があるからだ。それは何故か。

 それは、この作品が「略奪芸術」だからである。第二次世界大戦当時(あるいは戦前だったか)、ナチスによってドイツの美術館から「没収」され、国外に売り飛ばされた作品だからである。正統な所有者は、そのドイツの美術館なのであり、この美術館はこの絵の「無償返却」を要求する権利を有しているからである。前記の実業家が入手するに至るまで何度も取り引きされ、その都度所在は明らかであったのだが、その間、この「権利」は主張されていなかった。「略奪芸術であるから返還せよ」という主張がなされるようになったのは、(私のいい加減な記憶によれば)かなり近年になってからなのである。

 かの愚か者から「医師ガシェの肖像」を入手したのが何者であるのかは、わからない。しかし彼は「百億円クラス」の債権と引き換えに、ガシェを入手したはずなのである。それを「無償」で手放すわけがあろうか。「私が持っています。公開します」と表明した瞬間に、「返せ」と言われるのである。表明するわけがあろうか。

 斯くして、「医師ガシェの肖像」は闇に消え去ったのである。今、その謎の所有者の「物置」にあるのか「居間」に飾られているのかは、わからない。せめて後者であれかしと願いはするが..持っていることがバレたらアウトだ。まず間違いなく、「物置」であろう..

 (無論、世の中には「善意の第三者」という概念がある。例え盗品であろうとも、それが盗品であることを知らずに購入した第三者には、正当な所有権がある。盗まれた被害者(本来の持ち主)は、その「善意の第三者」に無償返還を求めることはではきない、買い戻さなければならない..しかしことこの作品に限っては、ナチスによって「強奪された」作品であるということは周知の事実だったからなぁ..今の所有者が「善意の第三者」を主張することはできないのだろうなぁ。)

 つまり、こういうことになる。「略奪された作品は無償で返却されなければならない」という、「正しい主張」をすることによって、その「略奪された作品」は、世界から失われてしまったのである。この「主張」は、妥当と言えるであろうか。「正義」は、「人類の宝」と引き換えにできるほどのものなのであろうか..

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*2005年12月06日:最近のウルトラマンマックス


 いろいろあって、3週間もウルトラマンマックスの録画を未消化状態であった。例によって地道にコマーシャルカットしながら再生していたら..おぉ、最近はこんなことしていたのか。

 11/19のゴモラの回は、まぁわりとどうでもいいとして、11/26の「胡蝶の夢」。心あるあなたには、このタイトルだけで内容が伝わったであろう [;^J^]。禁断の「メタネタ」である。細部も凝っていて、マニア殺しオタク殺しの小道具が山ほど。(引っかかったら「負け」である。[;^J^])それにしてもこの番組、メインターゲットは小学生の筈だが..今どきの小学生は、この位は着いてこれるのか? それとも、ディープでダークな世界観の「ネクサス」の不振を受けて企画された、宿命的に「明るく解りやすく楽天的な」世界観を背負わされてきた「マックス」の製作陣の欲求不満が、ついに爆発したのか!? [;^.^] 大体こんなの撮る奴は、押井守でなければ実相寺しかおるまい..と、巻き戻して(← 徐々に死後)監督名を確認したら..案の定、実相寺だしよぅ。[;^.^]

 12/3は、初代ウルトラマン出演者同窓会。このエピソードにおいては、怪獣はただの刺身のツマなので、どうでもいいです [;^J^]。それにしてもイデ隊員、太ったなぁ。[;_ _][;^.^]

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*2005年12月07日:ヒントは風呂場


 今日は「カルメン故郷に帰る」を録画した。これ、もしかしたら観たことが無いかも知れない。RD−X5のハードディスクはパンパンであり、これをいつ観られるか不明だが、なんとも楽しみなことである。

 録画予約をチェック。明日は、これの続編である「カルメン純情す」を録画するのだが..思わず、タイトルを読み間違えてしまった。(なんと読み間違えたのかは、書きません。私にも体面というものがあります。[;^.^])

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*2005年12月08日:エロ本を買いたい


 10時過ぎに起動。OAナガシマの隣りの資源回収業者に古新聞古雑誌を運びこみ、ついでにOAナガシマでDVD−Rを10枚買う。(録画メディアは、DVD−RAMもDVD−Rも「ニンレコ」で買っているのだが、どういうわけか「CPRM対応のDVD−R」だけは、ニンレコよりも地元のOAナガシマの方が廉いのである。)

 ロックタウンの靴屋で革靴。先日、口が開いたのを補修したはずの革靴が、また口を開け直していたのが判明したので、こういう「張り合わせ型」はダメだ、と見切りをつけ、「縫製」の革靴を購入。いくらか高く付く(というか廉いラインナップが無い)のだが、そこそこの値段でそこそこのものが買えた。

 ロックタウンの中の書店、「本の王国」で「みこすり半劇場」の今週発売号を買おうと思ったら..アダルト系は、漫画雑誌も写真集もその他も、いっさい無し。最近は、こういう店が多くなってきたねぇ。谷島屋もこうなんだよなぁ。コンビニの品揃えも悪くなってきたし。ただ、私は、こういう風潮に一概には反対していない。やはり大人用の書籍は、子どもがアクセスできない場所で売るべきである。エロ本はエロ本屋で買えば良いのだ。エロ本屋が街の中に(もちろん、裏道、裏町に)確保されているのならば、私は、こういう「表」の本屋からアダルト系が駆逐されても構わない、と思っている。(実際、行き付けとは言わないが、エロ本屋も何軒かは押さえているし。[;^J^])ただ問題は..そういう「エロ本屋」は、思い切って過激なハード系あるいはお下劣系に振れていることが多く、「みこすり半劇場」みたいな、マイルドなアダルト漫画雑誌は、はなから相手にされていないことが少なくないのである。こういう「マイルドアダルト」が、一番、被害を被っているのである。

 というわけで、高丘のアマノで「みこすり半劇場」を確保。(エロ本的には、アマノのチェーン店がオアシスです。[;^J^])昼食は環状線沿いの福太郎ラーメン。たまにはよろし。この店、味も悪くないが、それよりも、どことなく「昭和風」な店の作りの雰囲気が良いんだよなぁ..(店長に怒られなければ)半日ぐらい(店に備え付けの油汚れした漫画本を読みながら)ボーッとしていたい感じ。

 富塚町の BOOK OFF とツタヤに寄ってから帰宅。あとはヒッキー。読書と録画消化。

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*2005年12月09日:「ゴダールの映画史」


 郵便局で野暮用一件。口を開けてしまった靴の修理出し。以前もこの店で修理してもらったのが口を開け直してしまったのだから、技術力に若干の疑念は抱いているのだが..何かと蹴躓(けつまず)きやすい私の歩き方にも問題はあろうし。ま、口が開いたことを別にすればまだしっかりしている靴なので、捨てるという選択肢はあり得ないのだ。

 ハマラジでCDを4枚購入してから帰宅。

 録画消化。「ゴダールの映画史」の「第1章 すべての歴史」を観はじめて..10分間で挫折した [;^J^]。こんなのが全8章。4時間半も付き合わされるのかよ [;^.^]。解説によると「ヨーロッパで90年代最大の文化的事件と呼ばれた」らしいのだが..私は、「90年代のヨーロッパの文化水準」に重大な疑念を抱いてしまったね。[;^J^]

 まぁ、たった10分間しか観ていないわけですから、評価も批判もできるわけありません。いずれ、暇で退屈でほかにやることがなくなったら、(あるいは、苦行を厭わぬ気分になったら)観ることにしましょうかね。[;^J^]

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*2005年12月10日:「狙われない街」


 TV情報誌をチェックしていて気が付いた。いとうまい子って、1964年生まれだったのか。学生時代には「ひと世代下の女の子」だと思っていたのだが、今となっては、1958年生まれの私と「同世代」に括られてしまうのであろうなぁ。[;^J^](私は構わないが、彼女が不憫である。[/_;][;^.^])

 ちなみに、「いとうまい子なんて知らない、伊藤麻衣子なら知ってる」、というのはいいとして、「伊藤麻衣子」で反射的に「FM−8」を想起する人は、ちょっとアレである。(鬱陶しいから、名乗り出るの禁止。[;^.^])

 今日のウルトラマンマックスのタイトルは、「狙われない街」。あ〜ぁ、もうベタベタなセルフパロディじゃんかよぅ。今度も監督は実相寺だしよぅ。しょーもな..

 ..と、ブツブツいいながら観はじめたら..これが意外な傑作。もちろんセルフパロディなのだが、40年前の「メトロン星人」が、この街にずっと潜伏していた、という設定が、実に良い。そして、主人公たちとチームを組んで事件の捜査にあたっていた刑事が、その「メトロン星人」の友だちだったという設定も、素晴らしい。小出しにされるギャグの数々も決まっている。だからこそ、「もう地球を狙う必要はない。手を下して人類を狂わせるまでもない。便利な機械(携帯電話など)によって白痴化し堕落した人類は勝手に滅びる」、という、ある意味手垢にまみれたメッセージが、素直に新鮮に伝わってくる。

 そしてもちろん、実相寺監督ならではの映像美学である。光輝く三原色。どうしても水平に据え付けることができないカメラ..[;^.^]

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*2005年12月11日:「漫画家超残酷物語」


 仕事のあと、久々にイオンへ。肌着を中心に衣類を若干購入。

 3Fの谷島屋を冷やかしてみたら..をを、「漫画家超残酷物語」(唐沢なをき、小学館)がようやく発売されていた! 即座に確保。帰宅してから早速一読。さらに再読、三読する。

 まさに感動的な傑作である。彼の近年の仕事の中でも屈指の作品ではあるまいか。必ず買うこと。わかったね。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Dec 17 2005
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