*2003年10月13日:窓ガラス vs 新聞紙
*2003年10月14日:古本漫画漫画
*2003年10月15日:なごめる店、みっけ
*2003年10月16日:「宇宙震」
*2003年10月17日:「火星探検」/「パイレーツ・オブ・カリビアン」/覆面の男
*2003年10月18日:逆境の国会図書館
*2003年10月19日:古本関係の新刊、2冊
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*2003年10月13日:窓ガラス vs 新聞紙


 年末の話をすると、鬼が微苦笑するそうだが..滅多に実家に帰らない私も、さすがに年末年始の帰省は死守している。但し、例年、大掃除には間に合わないのだが..わざと外しているわけではない [;^J^]。29日より前に休暇を取るのは、まず無理なんだってば。[;^J^]

 ..とはいえ、ラスト3日に残されている“仕事”も、ある。ありがたいことである [;^J^]。それは「ガラス拭き」だ。実家の1階の3部屋ほどのガラスを拭くのである。

 「ガラス拭き」には、さまざまな方法がある。実家でも、メソッドが何度も変わった。普通に(?)各種のスプレーを使っていた時代もあった。しかしここ5〜6年(もしかすると10年近く)採っている手法は、極めてシンプルなものである。新聞の家庭欄か何かで仕入れたノウハウで、それがあまりにも効果的なので、それをずっと採用しているのである。

 「新聞紙を丸めて濡らして拭く」..これだけ。これだけで、ピッカピカになる(極めて高い透明度を得られる)。恐らくインクが、窓にこびりついたドロや砂と良く“馴染む”からだろうと思うが..化学には疎いので、いまいち自信が無いが..大体、そんなところだろう..

 ..ということを、引っ越して来て以来20年近く、一度も大掃除を(従って窓拭きも)したことのない、現在のアパートの自室の(汚れまくっている)窓を眺めつつ、思い出したわけだ。よっしゃ、拭こうじゃないの! 古新聞は、有り余っているしね!

 ..をを、落ちる落ちる! 20年来の頑固な汚れが、そんな歳月など存在しなかったかのごとく消え去り、まるでそこにガラスが無いような透明度が..! しかし、忘れていたことも、思い出した。

 これをやると、手が(新聞紙のインクで)真っ黒になるのである [;^J^]。これが、頑固な汚れでさ。すぐに気が付いて(炊事・洗濯用の)ゴム手袋を着用したのだが、今度は今度で、このゴム手袋に付着した「くろずみ」が、ちっとやそっとでは落ちない。(むしろ「素手」を汚した方が、あとからの洗浄(除去)が、楽なほどである。)ままならないものであることよ。[;^J^]

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*2003年10月14日:古本漫画漫画


 2〜3日前に(久しぶりに)アマゾンに発注していた物件が、今日、ひと箱届いた。とにかくここは、反応が早い。これが最大の値打ちである。(他にも、同程度に早いサイトは、いろいろあるのだが。)

 今回の目玉は、「金魚屋古書店出納帳 1、2」(芳崎せいむ、ヤング・キング・コミックス)である。実は、結構以前に「この漫画、面白いよ」、という情報を得ていたのだが、浜松市内の主要な書店を巡回してもちっとも見つけられず、痺れを切らして発注してしまった、という次第。(私には、できるだけ書店で現物を手にして買いたい(選びたい)、という性向がある。)

 とはいえ、まだ買っただけで、ページを開いてすらいないのだが..古本漫画を題材にした作品らしい。手塚治虫の初期作なども取りあげられているとか。えらくニッチな市場を狙っているようでありながら、(少年画報社の青年誌に連載されているらしい、ということは、)発表舞台を考えると、実はさほどニッチでもないのかな。マイナーな作品には違いないが。

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*2003年10月15日:なごめる店、みっけ


 代休取得。午前中は、ぐだぐだと。

 昼過ぎになり、例によってCoCo壱番屋かジョリーパスタで昼飯を食おう、と、館山寺街道の狸坂を北上しはじめた時点で、「キッチンさとう」が目に入り、いきなり方針を変更して、ここの駐車場に車を入れた。

 ずーーーっと以前から開店しているのだが、ここに入るのは始めてである。数年前に、この日記にも書いたような気がするが、そもそもなんの店であるのか、外からは良くわからないので、びびっていたのである [;^J^]。前身は「持ち帰り寿司」の店であるから、惣菜屋かな、とか。食堂かな、とか。もしかしてキッチン用品の店かな、とか。

 で、思い切って入ってみたわけだが..なんのことはない、普通のレストランであった。但し、なかなか良い。夫婦だけでやっているらしいのだが、こざっぱりとしていて明るいし、ほどほどに小さいし、趣味の良い絵がかかっているし、BGMも上品だし、なんともくつろげる。料理(ランチ)も、コストパフォーマンスが高い。そう度々くる必要は無いが、行き場所に迷った時のデフォルトにするのは、悪い考えではない。

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*2003年10月16日:「宇宙震」


 銀背(ハヤカワ・SF・シリーズ)の「宇宙震」(Murray Leinster、早川書房編集部編、1965)を読む。日本で独自に編まれた短編集であるが、特に表題作は、オールドSFファンなら誰ひとり知らぬものなき傑作。(逆に、昨今の若いSFファンは、マレイ・ラインスターの名前など、聞いたことがないのではあるまいか?)

 「宇宙震」の他、これまたあまりにも有名な「最初の接触」、イントロがまるで「ソラリス」な「孤独な星」。以上がベスト3だが、他の収録作、「禁断の星」「鍵の穴」「失われた種族」「破滅が来る!」も、全て十分に“佳作”以上であると言える。

 「宇宙震」は遙か以前に読んでいたはずだが、結末を失念していたので再読し、改めて感心した。

 これは、ほとんど設定の勝利と言える作品なのである。ある時、「地球全土にわたって」、大規模な(しかし一時的な)災害が起こった。「地球全体が、ガクンと、ずれた」のである。そしてしばらくたってから、再度、類似の災害が起きた。

 その原因は、太陽系の近傍(あるいは、太陽系の内部)を通過した、「途轍もない物体」であった。太陽の12倍もの質量を持つ物体が、亜光速で地球近傍を通過したために、地球がそれに揺すぶられたのである。そして地球は、たった2つの「超高速物体」の通過によって、凄まじい災害を引き起こされたのであるが..その2つは、ほんの前触れ(「斥候」)に過ぎず..数千もの超高速飛行物体が、宇宙のその方向から、飛来しつつあったのであった..!!

 ..単にこれだけなら、「よくある話」と思われるかも知れないが..この1945年の作品の真に独創的なところは、これらの物体の「正体」である。太陽の12倍もの質量を持つからといって、直径数百・数千・数万キロもの、超絶的な超巨大物体などでは“ない”のである。実は、全長(高々)数十・数百フィート程度の、(ごく地球的なサイズの)宇宙船に過ぎないのだ。問題は、その“スピード”である。極めて光速に近いが故に、相対論に従って、質量が超巨大化してしまったのだ。

 この大船団が、故郷の星を(なんらかの理由で)出発したときには、これほどまでにはた迷惑な [;^J^] 存在ではなかったのだろうが、加速を続けた結果、通り道に壊滅的な被害を与える脅威の船団となってしまったのだ。そして地球から彼らにコミュニケーションをとる方法はない。地球を蟻の巣とすれば、この船団は、大軍団のようなもの。太陽系を蹴散らしたとしても、そもそも彼らは認識すらしないであろう..

 この絶望的な破局を回避しようと立ち上がる天才科学者(というより、天才技術者)が、いい。何しろとにかく宇宙に出なければ話にならないので、2〜3人かそこらで、宇宙船を作ってしまうのである [;^J^]。彼が書いたアイデアスケッチを、助手が図面に起こす。それを読みとった自動工作機械が、プラスチックやら金属やらを加工して、なんとか飛び上がるロケットを作る..いいなぁ、こういうの [;^J^]。もうひとり助手がいて、これは天才ではなく秀才(しかも専門バカ系)で、「こんなの、まともに飛ぶわけねーだろ!」、と、もっともな突っ込みを入れてくるのだが、主人公は、「もちろん、まともじゃないのはわかってるが、時間がない。とにかく飛ぶのが先決で、細かい調整や仕上げは、あとあと!」..これですよ、これ。[;^J^]

 結局、とある超技術により、次にやってきた(3番目の)「斥候」を、異次元に飛ばしてしまう。(上述したごとく、これらの物体の「そもそもの」大きさ(質量)は、たいしたことはないのである。)そのあとの結末が、素晴らしい。なんと、この大船団は、「太陽系を回避した」のである。

 「圧倒的なスケール感」をテーマとして押し通すのであれば、別の解もあろう。つまり、「何をしても無駄」、という。太陽の12倍もの質量をもつ数千の物体が地球近傍(あるいは太陽系内部)を通過する..あるいは、地球に、太陽に、衝突する..現代SFであれば、このような虚無的な結末をつけるかも知れない。(現代SFというより、1970年前後のSFに、こういう作例がありそうだ。)ところが、この作品では地球は救われる。

 私は、むしろこの結末にこそ、「この大船団のスケール感」が感じられる。つまり、彼らとて、とおりすがりの太陽系を壊滅させる意志など、ないのである。(単に、気が付かないことが多いだけで。)で、斥候がひとつ、「消滅」した。事故った。何かがそこにいたらしい。(白蟻の巣を踏んだらしい。)じゃ、避けましょか..

 ..単に太陽系が蹂躙される、という結末よりも、遙かにスケール雄大だと思う。若い読者のみなさん、古典SFは読んでおかないと、損ですよ。

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*2003年10月17日:「火星探検」/「パイレーツ・オブ・カリビアン」/覆面の男


 中野書店に発注していた「火星探検」(大城のぼる画、旭太郎作、晶文社)が届いた。これは、昭和15年に中村書店から出た本の復刻本であり、1980年に6000円で刊行されたもの。この有名なSF漫画は、実は今年(2003年)の1月に、透土社からも復刻されており、これは入手済みだった。ただし、透土社版は晶文社版(の私家版)を底本としており、それは別に構わないのだが、残念なことに白黒印刷だったのである。オリジナルのカラー(3色刷り)は、とっくの昔に絶版となっていた晶文社版でないと味わえないのであった。

 ..ということで、探していたのである。(昭和15年のオリジナルを探す、という発想は、はなから無かった。[;^J^])異例ではあるが、入手価格も書いておこう。2万円である。2万円の値打ちは、絶対にあるからである。なんと素晴らしい色彩! まさに夢の色である!

 「パイレーツ・オブ・カリビアン」、最終日に間に合った。某氏から「面白いよ」と紹介されていたのだが、ぎりぎり滑り込みセーフ。

 素晴らしいじゃないか! ラブシーンらしいラブシーンが、最終場面まで無いのも、お値打ち [;^J^]。そんなうざったいことしてる暇があるか、といわんばかりのアクションの連続で、(お約束どおり)ヒロインがまた強い強い! [;^J^] この主役、どこかで見たことがあると思ったら、ロード・オブ・ザ・リングのレゴラス君じゃありませんか [^J^]。ヒロインは、ファントム・メナスの人だし。DVDが楽しみだ。

 あらあら、バスで帰宅している途中に雨になっちゃった。バス停から自宅までは徒歩10分なのだが、まいったな、傘がない..というわけで、バージンシネマでパンフを購入した時の、赤い袋を頭から被る。片手で頭上にかざしているのも面倒なので、頭から、がっぽりと [;^J^]。ま、帽子程度に頭にひっかけておけば必要十分なのだが..つい悪のりしてしまい..取っ手の孔から目を出すと口の上までしか届かないので、横の方をつまんで引き下げて、顎まで隠す。

 幸か不幸か誰ともすれ違わなかったが..帰宅そうそう、鏡もみずに、「これはネタになる!」、と、デジカメで(逆に構えて)自画像を撮影したのだが..液晶を観て..われながら引いた [;^.^]。誰とも会わなくて良かった [;^.^]。これはシャレにならん [;^.^]。既にしてほとんど犯罪である。[;^.^]

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*2003年10月18日:逆境の国会図書館


 ひさびさに国会図書館。7:20のひかり。(ダイヤが改正されているので、要注意。)

 ..みなさんに勧告しておく。今すぐ国会図書館に行く必要がないのなら、しばらく、やめておきなさい。現在、改装中で、超不便。年内には終わるのかなぁ。ま、10冊乃至数十冊程度を借り出して読むだけの人には、そう不便でもないのだが、私のように、連続して(秒を争いながら)雑誌のバックナンバー数百冊を、立て続けにチェックしよう、という使い方だと、非常に困る。

 ま、幸か不幸か(昨日も書いたな [;^J^])今日は大量チェックの日では無かったので、被害は軽微だったのだが。

 大量チェックじゃなければ、何しに来たんだ、と言われるか。主として「ミステリマガジン」の95年7月号を読みに来たのである。カーの「幻を追う男」が掲載されているのである。カーの入手困難だった数冊がようやく手元にそろったので、クリアしにかかっているのだ。で、長編でありながら単行本になっていないこれは、バックナンバーで片付けておく必要があった、と。(中編程度の長さではありますがね。)そこそこ良くできた話かな。

 手塚治虫的には、アニメックに掲載されていたインタビューなど。この雑誌は、リストには初登場であるが..アニメ雑誌もひととおりなめておかなくちゃならんのだろうなぁ。まだまだ未発見の記事がありそうだ。「火の鳥2772」の前後が、特にあぶない。[;^J^]

 昼過ぎに引き上げて、現代マンガ図書館へ。ここでは「ワースト 1」(小室孝太郎、ジャンプ・コミックス)の「あとがき」が収穫。この作品、よほど期待されていたらしく、全4巻のあとがきのメンバーが、豪華というかアカデミックというか。手塚治虫/福島正実/真鍋博/石森章太郎、というラインナップである。確かに、(ある意味、必要以上に)オーソドックスなSFである。

 秋葉によるが、ラジ館を覗いただけ。(またしても雨。またしても傘がない。[;^J^])

 東京ステーションギャラリーで「浮世絵アヴァンギャルドと現代展」。実に面白い。図版としては手持ちの画集に収録されているものも多いので、図録は購入せず。

 こだまで浜松へ。バージンシネマで「座頭市」を、もう一度。やはり面白い。これもDVDが楽しみだ。

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*2003年10月19日:古本関係の新刊、2冊


 古本関係の新刊を2冊、読了。

 「新刊! 古本文庫」(北原尚彦、ちくま文庫)- 気楽に楽しめる好著。こんな文庫シリーズがあったのか! という珍本(珍シリーズ)が、大量に紹介されている。むろん、ここに取りあげられていないものも、山のようにあるのであろう。欲しくなったものも(例によって)いろいろあるが..自重しよう。[;^J^]

 「古本極楽ガイド」(岡崎武志、ちくま文庫)- 知らない作家の名前が多い点は、大いに反省すべし。とはいえ、この著者、読書量のわりにはミステリ・SF系には疎いらしいので、プラマイゼロか。(そういう問題では。[;^J^])逆に言えば、これほどたくさん読んでも、まだまだ大穴が残っている、ということで、まっこと、読書趣味というのは、底なしの地獄でもあり極楽でもあることよ。第二章(古本をさがす旅)が、やはり面白い。「古書展へ行こう!(1万円コース)」「ベルギー古本漁り紀行」「木山捷平『軽石』体験ツアー」など。

 例によって、抜き書きしておこう。「新刊書店は小さい町内に複数あると、互いに食い合いになるが、古本屋はむしろ一軒より数軒あって、それぞれの店をにらみながら、互いにないものをそろえて共存共栄をはかるものなのだ」(159頁)。「あとコレクターというのは、フツーは集める対象にある程度の量がないと生まれない。と同時に、上限がなくてはならない。例えば、過去から現在までの日本で出た切手を全部集めようとしても無理でしょう。切手収集が廃れた原因はそこでね。全制覇が可能かもわからない、という終着点がはっきりしていないとダメなんですよ」(190頁)。「実は銭湯の消滅が古本屋の閉店時間を早くしてしまったのだ。銭湯帰りの道すがら、町の古本屋に立ち寄る習慣がかつてはあったという。だから店の方も終い湯近くまで商売を続けていた」(228頁)。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Oct 22 2003 
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