*2002年06月17日:検査結果
*2002年06月18日:猫も杓子もブロードバンド
*2002年06月19日:「ユリシーズ」
*2002年06月20日:午後は激ねむ
*2002年06月21日:週末の放蕩、その一
*2002年06月22日:やはり虫太郎
*2002年06月23日:週末の放蕩、その二
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*2002年06月17日:検査結果


 午前半休。聖隷三方原病院で、胃カメラと注腸検査の結果説明を聞く。腸の方は全く問題無し。胃の方は「表在性胃炎」。要するに軽い胃炎であって、この程度のものは心配なしとのこと。

 もう少し詳しく言うと、私の胃はいくらか食道に“めり込んでいる”そうで [;^J^]、食道のその部分が、胃液の刺激を受けている痕跡がある。とはいえ今は腹痛も無いので、特に薬も服用せずに、様子をみることにする。

 仕事の話は書かないことにしているが、当たり障りの無い範囲なら、まぁいいだろう。

 現在、とある新製品の生産開始直前なのだが、外部に発注している、とあるデータが、まだ入ってこない [;^J^]。そのデータを組み込まないといけないのだが、入ってくれば即、組み込めるというものではなく、私が検査・整形・調整する必要があるのだ。

 組み込まなければならないデータは全部で4本。生産開始は木曜日の朝。月曜日の夜現在、まだ1本も届いていない [;^J^]。漫画家の原稿を(逆上しつつ)待つ編集者の気持ちが、良く解る。[;^.^]凸

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*2002年06月18日:猫も杓子もブロードバンド


 私の自宅はいまだにISDNだが、いまや私の周囲では、ADSLに移行済みの連中の方が多数派のような気がする。これはもちろん、ある種の錯覚であって、日本全体でも、そして恐らく勤務先の社員全体でも、ADSLユーザーは(まだ)少数派なのだが、「そういう話題を交わしたくなるような、アクティブなインターネットユーザーの多くは、既にADSLを導入している」、というわけだ。

 なんにせよ、全国的に見ても、ADSLを初めとするブロードバンドユーザーの数は、右肩上がりで伸び続けているらしい。逆に、伸び方が非常に鈍いのが、米国であるという。無論、今でも米国の方がブロードバンドユーザーは多いのだが、逆転する可能性が見えてきた。(ほんの数年前には、想像できなかった事態である。)

 理由はふたつあるらしい。

 まず、米国の方が、ブロードバンド(ADSL)の料金が高い。

 次に、米国では市内電話が、低額の固定料金で使い放題なのである。常時接続のインフラは、とっくの昔に確立しているのだ。(単に“遅い”だけで。)

 これはなかなか越えがたい壁である。彼らには、高い料金を払ってまでブロードバンドに移行するモチベーションが無い。これに対して、高い(従量制の)電話料金に悩まされている日本のインターネットユーザーは、「支出を抑えるためには」ブロードバンド(ADSL)に逃げ込まざるを得ないのだ。このモチベーションは、極めて明確で切実である。

 「そこそこ満足できる水準の環境」を構築してしまうと、容易なことでは次のステージに移れない(現状に安住してしまう)という、好例である。勤務先でも痛感しているし、こんにちの日本の諸問題も、根本的にはここに原因を帰せられよう。

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*2002年06月19日:「ユリシーズ」


 カミングアウトします。

 私はこれまで、ジョイスの「ユリシーズ」を読んでいませんでした..

 ..というわけで、ようやく読了。丸谷才一、永川玲二、高松雄一共訳の、河出書房新社版(「世界文学全集」所収)である。(一部で誤訳がどうこう言われていた版のような気がするが、数年前に購入して積んであったのがこの本なんだから、仕方がない。誤訳の無い翻訳などありえないのだから、細かいことは気にせず、まずは“読む”ことである。)

 なるほど..確かに20世紀の古典である。意識の流れを(ダラダラと [;^J^])描写する地の文の面白さと、これで押し切るのかと思いきや、徐々に文体がトリッキーに切り替えられて行き、やがて盛大に始まる言葉遊びの面白さ。しかし、「言葉遊び」は本質ではあるまい。

 この「饒舌さ」が気にかかる。必要以上?に膨大な言葉の奔流。恐らく、この「饒舌さ」と「膨大さ」を“制御”するために、舞台を一個所(ダブリン)に、日付を一日(1904年6月16日)に限定したのだ。そしてこの「饒舌さ」と「膨大さ」が目指しているのは、まず間違いなく「世界風景(宇宙風景)」である。それが典型的に現れているのが、最終章のひとつ手前の「イタケー」の章の「教義問答」だ。ここに至って、ストーリーの進行はほとんど放棄され、ひたすら森羅万象を網羅せんとするばかりの大量の雑学が展開(というより併置)されている。

 「言葉遊び」に目を奪われると、「太陽神の牛」の章が理解不能となる。ここで作者は、英文学(英語)の歴史をなぞるがごとき文体実験を繰り広げている(らしい)のだが、翻訳者たちはここで大胆にも(というか、これしか方法は無かったと思うが)日本文学(日本語)の歴史に置き換え、古代日本語、中世日本語、近世日本語、現代日本語の文体を採用しているのである。

 最初、私は、意味が判らなかった。一体全体、何故こんなことをするのか。実験のための実験に堕しているのではないか。とはいえ時代を考えれば先駆的試みか。しかしそれにしても単に読みにくいだけで、云々..と。

 そうではない。これは、「全英語史」「全英文学史」ひいては「全英国史」を、この一章に封じ込めんとする試みなのである。(作者の出自を考えれば、「英国」などと軽々しく言ってはならないのだが、ここではそれは論じない。)

 雄編である。傑作である。しかし..

 ..しかしいくらなんでも、最終章「ペネロペイア」は長すぎる [;^J^]。断固として長すぎる [;^J^]。5ページかそこらで出来るネタだろ、これ。それを、上下二段組で67ページ..[;^.^] 深夜、フトンの中(/w ウィスキー)で読んでいるうちに何がなんだかわからなくなり、意識が混濁し自前の夢と混淆して眠ってしまうこと両三度..(実に正しく理想的な読み終え方だということは、判っていますがね。[;^.^])

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*2002年06月20日:午後は激ねむ


 さて、「ユリシーズ」を読了したのは、昨日の朝2時か3時頃であったのだが、昨日(19日)の朝出社した時点で、(月曜日の日記で触れた)20日(すなわち、今日)の朝までに揃っていなければならないデータは、4本中1本しか届いていなかった。[;^J^]

 2本目が届いたのが、昨日の夕方18時頃。3本目が届いたのが、真夜中前後。最後の1本が届いたのが、今日の朝7時過ぎである。おいこらっ! [;^.^]凸

 結局朝まで徹夜で貼り付いて、整形・調整作業を続けたのである。さすがに、7時過ぎに納品されたデータを朝いちの生産に投入するのは無茶で、生産自体は昼いちにスライドしたが、それにしても滑り込みセーフ。こういう作業は何度か担当してきたが、ここまで追い詰められたのは初めてである。

 しかしこういうのはイカンね。納品が遅れたことが、ではなく、それを無理矢理間に合わせてしまったことが。悪い前例になる。

 どんなに締め切りを破っても、編集が辻褄合わせてくれるさ、と、漫画家どもが学習してしまうのである。(いや、うちは漫画出版社ではありませんが。[;^.^])

 ということで、ウェブページの更新どころでは無かったので、一日スライドする。

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*2002年06月21日:週末の放蕩、その一


 仕事を適当に手際良く切り上げて、有楽街に直行。今回関わった新製品関係の、打ち上げである。

 10人前後でスタート。皮切りは焼肉屋で、明日は週末ということで、心ゆくまで大蒜を貪り食う..それから、合計4軒ほどハシゴしたのかな。驚いたのは、マビーセブンというビルの7FにあるCという店で、確か以前はちょいと洒落たイタリア・レストラン(パブ)だったと記憶するが、いつの間にか(店の名前は同じだが)クラブになっていた。かかっていた音楽はハウス系である(らしい)。とにかく、店員・客含めて、日本人がほとんどいない [;^J^]。私は全く気が付かなかったが、サッカー選手もいた?らしい。

 意識を失うこともなく、3時過ぎには自然解散、タクシーで帰宅。

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*2002年06月22日:やはり虫太郎


 おっと、こんなのを積読していたのか、と、2冊片付けた。(読み始めたのは昨日から。)「失楽園殺人事件」「二十世紀鉄仮面」(いずれも、小栗虫太郎、扶桑社文庫)である。「昭和ミステリ秘宝」というシリーズの一環。

 これは、法水麟太郎物を(「黒死館殺人事件」を除いて)全て集めた、非常に便利な2冊。私はもとより、これらの作品は全て既読なのだが、法水物以外の単行本未収録エッセイ等が大量に収録されているので、購入していたのであった。

 「失楽園殺人事件」に収録されている諸短編は、表題作(と未読だったエッセイ群)以外はスキップ。(時間が無いしね..)しかし何度読んでも、「失楽園殺人事件」は物凄い。トリックがどうこうではない。(そんなものは枝葉も枝葉。)し、死体に(死体を)こんなことしますか..という、驚愕。

 「二十世紀鉄仮面」は、既読の「二十世紀鉄仮面」「国なき人々」も含めて、全て目を通す。やはり「二十世紀鉄仮面」は、抜群に面白い!(「黒死館殺人事件」を読んで、法水麟太郎に悪印象 [;^J^] を持っている人も、本書を読めば見直す [;^.^] はずです。)

 この2冊を、小栗虫太郎入門編として使うとまずいかな..そんなことはないだろう。法水麟太郎物だけだとはいえ。以前も書いたかも知れないが、小栗虫太郎を一編で代表させるなら、「白蟻」である。「白蟻」を読んで引っかかった人に、この2冊を読ませると良いのではないか。(「黒死館殺人事件」や「人外魔境」は、そのあとで良い。)

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*2002年06月23日:週末の放蕩、その二


 浜松駅南側直近のホテル「L.M.」の地下会場にて開催された、R指定のパーティへ。

 ..といっても、今あなたが目を輝かせて想像したような、そんな内容のパーティではない。(チケットは、R指定の店で購入したんですがね。)そりゃ、お子さまが見るべきではないショーは(絶え間なく)やっていましたが、例えば社員旅行@温泉街の余興のお座敷芸の方が、遙かにアダルトである、と聞いている。(私の勤務先の社員旅行では、一度もそういうものにお目にかかったことが無いが。[/_;][;^.^])

 わかりやすく言えば、ストリップなどは無かった、ということです。

 18時スタート。5分ほど遅れて着いた時には、既に凄い盛況。客は150人以上いたのではないかな。(コンパニオンは少なくとも4〜50人。)終了時刻は23時だが、それより少し前に退散し、別の店に寄り直してから、タクシーで帰宅。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Jun 26 2002 
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