*1996年04月22日:死体を探すとき
*1996年04月23日:直訳名調子
*1996年04月24日:無敵の素人
*1996年04月25日:「リンクの切れ目が縁の切れ目」
*1996年04月26日:帰省日程組みなおし
*1996年04月27日:リブレットの衝撃
*1996年04月28日:「手塚治虫エンサイクロペディア」を買う
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*1996年04月22日:死体を探すとき


 人は死体を探すとき、どんな場所でも探すであろう。ただひとつ、探さない場所があるとすれば、それは「一度探したが、見つからなかった場所」である。これはミステリの定石のひとつだ。

 ネットサーファーは面白いホームページを探すとき、どんなページにでも訪れてみるであろう。ただひとつ、訪れないページがあるとすれば、それは「一度訪れたが、つまらなかったページ」である。

 “ホームページを公開する”ということは“ハンディを負う”ことと等価なのだ。一度もホームページを公開したことがない人は、初公開時に、なんの先入観もなしに試しに訪問する人を、迎え入れることが出来るであろう。その時に良い印象を与えれば、大勢のリピーターを確保することも出来よう。しかし、一度ホームページを公開して、良くない印象(内容が悪い、あるいは、内容は素晴らしいのだが、更新された形跡がないので、もう一度読みに来る必要は無いと判断された)を与えてしまった人は、まず先入観によって、最初から訪問の候補から外されてしまっているであろう。「面白くなったよ!」「更新したよ!」と、声を大にして叫んでも、無駄である。ネットサーファーが訪れるべきページは無数にあり、いったんケチがついたページを(金と時間を費やして)再訪するほど暇ではない。

 この泥沼にはまってしまったホームページ作成者が取れる、簡単な解決策がある。過去を(URLを)捨てることだ。昨今流行している、プロバイダからプロバイダへの引っ越しのうち、かなりのものは、この事情によるものではないかと、睨んでいる。

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*1996年04月23日:直訳名調子


 風邪が治らず、昨日に続いて今日も有休取得である。最低の5連休。寝転がったまま、本を読む気力もないとなると、ネタは夢か思い出話だけだ。

 最近は来ないが、数年前まで、unigram.X というコンピューター(UNIX)系の情報紙の日本語版が、毎週送られてきたものである。毎度、心地よい直訳名調子で楽しませていただいたが、未だに忘れられないのが、

「IBMは逆算して、無分別さに罠を仕掛けようとしている」
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*1996年04月24日:無敵の素人


 治りきっていないのだが、このままでは休み癖がついてしまう。無理矢理出社。日記は今日も昔話でお茶を濁す。

 15年以上も昔のことである。母の実家(三重の大手の酒問屋)を訪ねたら、立派なオフコンが入っていた。納品から安定稼働まで半年かかったそうだが、そのメーカーのSEによると最短新記録だそうで、私も、まずまずの数字だと思った。取り説をパラパラみてみたら、COBOL系の簡易言語が載っているらしい。当時はFORTRAN/BASIC文化圏の住人だったので、ちょっと距離があったが、私が情報科学科の学生で、電算機屋の卵だと知っていた叔父が、

「これ、すっごく便利で助かるんだけど、シングルタスクなのが、たまに傷なんや」

あ、そういう言葉も覚えたんだ。

「そこでな。明日までにマルチタスクにしてくれんか」
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*1996年04月25日:「リンクの切れ目が縁の切れ目」


 自分のページをリンクしてくれているところに連絡もせずに、ファイル名やディレクトリ名、ディレクトリ構造を変えてしまったりすると、当然先方からは辿りつけなくり、そうなってから自力でこちらを探し出して、リンクを張り直してくれるほど暇な人は、多くない。ちょっとした手抜きで、顧客も友人も失なうことになると、戒める言葉。

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*1996年04月26日:帰省日程組みなおし


 小康状態を保っていた風邪が、再び悪化し、ゴールデンウィークのプランを組みなおす。当初は平日の30日から2日まで有休を取って、27日から6日までの10連休として、27日に横浜に帰省、28日には水道橋のSFセミナーに出席して、30日から2日までは、国会図書館にこもろうと考えていたのだが(実に健康的なプランだ)、この容態で人ごみの中に出るのは、無理だ。前半の3連休は浜松で静養、中3日は素直に出社して、後半の4連休に帰省しよう。よって、会費(3千円)払い込み済みのSFセミナーは、パス。国会図書館での手塚治虫初出誌群の調査も、ま、火急の案件ではないので、パス。こういうこともあるさ。

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*1996年04月27日:リブレットの衝撃


 今日からゴールデンウィークであるが、私は、昼なお暗き廃墟の底で“手塚治虫漫画全集”の解説を書きつづけている。これがなかなか進まない。読者の便宜のために、原則として第1巻から順に書き上げていき、20巻分ずつまとまる度にアップしていくつもりなのだが、第1巻に立ちふさがっているのが「ジャングル大帝」なのである。生半可な思考や文章では太刀打ち出来ないのだ。「ぼくの孫悟空」など、いくらか楽な(20巻までの)別の巻に手をだしてみたりするが、やはり「ジャングル大帝」が気になって手が付かない。

 この「解説総目録」は、最終的には膨大な量のテキストの集合体となる、大プロジェクトだ。これにつきあう価値があるかどうか、読者は第1巻に付けられた文章の出来で判断する。ここで手を抜く訳にはいかないのである。

 東芝からリブレットなるVHSテープサイズのパソコンが出た。私が使っているT2150と、CPUは同等(DX4-75MHz相当)、画面もサイズが違うだけで品質も(TFT)色数も(65K)同等、メモリは標準8M最大20Mで、まぁ同等、ハードディスクは半分の270M、カードスロットも半減して1、と、本質的にはハードスペックは同クラスである。で、値段はほぼ1/3。言葉を失なう。

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*1996年04月28日:「手塚治虫エンサイクロペディア」を買う


 以前から気になっていた「手塚治虫エンサイクロペディア」(CD−ROM)を買うことにする。最初は「解説総目録」には、全集未収録作品のリストを載せるつもりはなかったのだが、やはり読者の便宜を考えれば、これは必要である。例えば「ブラック・ジャック」は、現時点で未収録エピソードが32話、残っているが、出版予定によれば、次回配本の第22巻で終わりである。すなわち恐らく、20話以上が全集には収録されない訳で、それは仕方がないとしても、「解説総目録」のリストを読んで、そこにブラック・ジャックの全エピソードが記載されていないとすれば、やはり不便だろうと思うのである。

 朝日文庫から出ている「手塚治虫物語」の第2巻の巻末に、かなり詳細な全作品リストが掲載されているので、これから収録作品を差し引けば、未収録作品のリストが出来る..のだが、これだけでは不安なのだ。というのは、この巻末リストのデータの「精度」は、全集に記載されている初出誌情報と、非常に良く似ている気がする。詳しくは述べないが、全集の記述を大いに参考にして作られたリストではないか、という気配が濃厚なのだ。つまり、互いに独立でない。レファランス用に、別系統の全作品リストが欲しいのである。そこでCD−ROMを買おうという訳である。

 浜松一番の品揃えではないかと思われる店で、入手。内容は大体予想通りで、全作品リストはテキストデータとして取り出せる訳ではなく、GUI経由で読むことになる。これはそれなりに良くできており、収録作品数も、僅かながら「手塚治虫物語」の巻末リストよりも多い。ただ、後者よりもさらにデータが大雑把である。初出誌について言えば、それが増刊号であるとか付録であるとかの記載が、多くの場合欠落しており、また、連載期間については、その範囲しか示されていない。これは「全集」も「物語」もそうなのだが、「エンサイクロペディア」がもっとも極端である。例えば前二者では「ブラック・ジャック」のデータは、個々のエピソードごとに記載されていたが、「エンサイクロペディア」では、まとめて一行である。さらに、数字の間違いも散見されるようだ。これは特に「物語」のリストと照合・補完して運用すべきデータである。

 ..という買い物&下調べは、実は全部、逃避行動なのである。未収録作品のリストなど気にしている場合ではない。一部の人には「“手塚治虫漫画全集”解説総目録は、連休直前にオープンする」と、予告していたのだ。既に連休二日め。最初の20巻の解説を書き上げてから公開する心積りだったのだが、まだそのうち4巻分位しか書けておらず、もっとも難物の「ジャングル大帝」は手付かずである。この公開に合わせてホームページを更新する予定だったが、公開が遅れると前回の更新(4月3日)から1ヶ月以上、間が開くことになり、これは極めてよろしくない。1ヶ月という数字がマジックナンバーだという訳ではなく、これまでは2〜3週間ごとに更新していたのだから(更新情報参照)「ペースが落ちてきたな」と、読者に見限られかねないということなのである。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Apr 28 1996 
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