*97年07月03日


 毎度のことではあるが、レッスンのスタート時、発声を始める時には、まるで声が出ないのである。こんなんで大丈夫か?と思う位。しかしそれが、先生の選んだ音型で、低音域から高音域へ、そして低音域へ。これを2周位すると、すっかり“通り”が良くなる。

 ここ数回、かなり楽に声が出ているように思う。腹筋、背筋、上体の力の抜き方、口(というより上体)の角度、等などの個々の“パーツ”には、自分ではブレイクスルーは感じられない。突然、うまくできるようになった“動き”は、自覚できない。先生によると、それは“バランス”だとのことである。個々の(まだまだ稚拙な−と自分には思える)動作が、なんとかつながってきた、ということであろうか。

 但し、まだまだ危うい状況であると思う。先生にリードされて発声をして、ようやく、あ、うまく鳴っているな、と思えるのである。また、各パーツの動きの“つながり”について、2ヶ月前と現在とで、どこがどう違うのか(どう“良く”なったのか)、自分では説明できない。(それでいいのだ、という意見もあるであろうが、私は不安である。理屈抜きで体で憶えろ、という、体育会系の発想はできない。)

 コンコーネ22番の2回目。OKは出たものの、ブレスに課題を感じた。良くあることであるが、ここで指定されているブレス記号のタイミングは、私の(さして容量が大きくもない)肺活量に対しても、少しずつ早すぎる。そこで、ブレス記号を(例えばひとつ置きに)無視して、長い息で歌おうとする。このこと自体は必ずしも間違っているとは思わないのだが、教科書を無視していては勉強にならないわけで、ブレス記号どおりに、と指示される。すると..息が余るのである。必要以上に吸いすぎている。きれいに吐き終えていないと、次のブレスが出来ないので、余った息を吐き捨ててから、次のブレスに入っているという次第。資源の無駄使いである。必要なだけ吸う。沢山必要な時は、思い切り沢山。少なく必要な時は、少しだけ。

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*97年07月22日


 息を一点に細くまとめて額に当てる。そこに当てて、そこから息を吹き出すと、響きが広がる。一点に当たらずに“ぶれる”と、不要なビブラートがかかる。

 そのための練習(力を抜くための練習でもある)として、前屈の姿勢を取る。両足は軽く開いて、上半身の力を完全に抜く。頭も首も腕も、完全に力を抜いて落とす。すると、頚椎が伸びる。この状態のまま、発声練習をする。

 背筋も何も使えない。(腹筋だけは使えるが、これも使わない方がいいのかも知れない。)腕を振る補助運動で、胸や脇腹を動かしたり膨らませたりすることも、出来ない。つまり、この状態の、全く力の入らない、主観的には実に響かず情けない声が、自分の素(す)の声なのである。これは、特に首回りから上に力が入る人に有効な、練習方法である由。

 なお、口に力が入る場合には、両手で頬を押さえるのも、有効。元々は、特に「オ」ま発声の口の形を整えるために習ったと記憶しているが、これによって、口回りの力が抜けるようだ。

 一向に腹筋に進歩が見られないことに業を煮やされたか、毎日、下腹を引っ込め横隔膜が飛び出させる呼吸運動を500回、猫体操を50回位は、しなさい、と。[;^J^] 確かに、合わせて15分もかからないのである。さらに、ダンベル体操も薦められる。2Kgが適当かな?

 コンコーネの23番は、一回でOKが出た。次回は先生の舞台の準備等もあり、9月になる。夏のあいだに、ふやけてしまわないようにしないと。

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*97年09月02日


 下腹が動かない(あるいは、動かしかたのイメージが湧かない)ときは、猫のポーズをとって、スーハースーハーしてみる。あるいは、サッサッサッサッ、ハッハッハッハッ。とにかく、この姿勢だと、まず間違いなく動く。座っていたり起立していたりしては動かない場合でも、猫のポーズならば、動く。これでコツ(感覚)を下腹に染み込ませたまま、猫のポーズ → 膝だち → 中腰 → 直立、と、徐々に姿勢を戻しつつ、発声する。

 姿勢を戻すと、元の木阿弥になってしまう場合は、猫のポーズのまま、発声練習やソルフェージュ(コンコーネ)をするのも、一方法である。

 ここまでは、下腹から声を出す練習。

 さらに、猫のポーズで、首を脱力して肩の間に落として、コンコーネ。あるいは、軽く膝を開いて立った姿勢から、腰から上を完全に脱力して前屈姿勢となって、コンコーネ。これは、下腹から声を出す練習ではなく、額に声を当てる練習である。

 誰にでも向く練習方法ではなく、人によっては、喉がつまって苦しい感じになる。この場合は、この手法にこだわる必要はない。これに限らず、どんな練習方法も、人によって向いたり向かなかったりするのである。

 膝の力を“軽く”抜き、腰を“ストンチョ”と落としてみる。(足の裏の中心部に、真上から素直に体重を乗せ、膝と腰から、ヘナヘナし過ぎない程度に、力を抜く。)膝と腰が伸びた姿勢から、この姿勢にストンと落とすと、下腹に“入る”。その、入ったところから声を出すのである。

 コンコーネは24番。下腹を使って声を出すことを心がけると、アクセントがついてしまう。これは、やり過ぎ。というより、コントロールが出来ていないのである。下腹をガクンと引っ込める勢いで、息をドバッと出してスフォルツァンドをつけることは出来るのだが、下腹を細かく使って、ひとつひとつの音に置いていくのは、これは相当難しい。

 膝だちの姿勢でも歌ってみたが、この姿勢の方が下腹に“入る”かどうかは、正直なところ、よく判らない。

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*97年09月25日


 顎の先が上がってはいけない。(この失敗をすることは少ないが、やるときはやってしまう。)私の理解では、声を遠くに飛ばす時の“放物線イメージ”は、あくまでもイメージであって、現実に上を向く角度は、ほんの僅かなのである。この角度で、喉をしっかり下げていれば、顎の先が上がる筈がない。

 息は“ふんだんに”使うこと。そのために体を動かすのである。

 今日は、コンコーネの25番を「オ」で歌ってみる。(いつもは、「ア」+子音。)すると、なんたることか、まったく、声が出ない。口の先、50センチ位で落下していくのが目にみえるようである。「ア」に慣れ過ぎてしまっているのか。

 明白な弱点である。が、今日のところは無理をせずに、「ア」系列に戻す。苦手なポイントを中途半端に攻めると、他のところまで、全体的におかしくなってしまう(うまく出来ていることも出来なくなってしまう)、という判断からであるが、「ヤ」「サ」「ファ」等で試みても、やはりおかしい。声が届かない。いきなりここまで(「オ」のせいで)調子を崩したというより、今日は最初からおかしい日なのだ、と考える方が、理にかなっている様な気がしてきた。

 それにしても、「オ」が“出ない”のは確かなところ。口腔内の空間の容積は、「ア」と同じ程度に確保出来ているはずである。開口部が狭くて(要は、口の開け方が「ア」よりも小さいので)息と音が出て行かないのだろうか? ちょっと(かなり)釈然としない。しばらく「オ」を自習しよう。

 そうでなくとも、難曲である25番。声が出ないというレベルでひっかかってしまい、ボロボロであった。

 口(というより、顎の付け根)が疲れる傾向が、まだ残っている。力いっぱい、口を開けているからである。それは、腹筋が弱い証拠。

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*97年12月18日


 色々あって、随分と間が開いてしまった。ほぼ、リハビリである。

 上昇音型では、上がる時に声と息を前に出す。音自体の上向きベクトルと、声と息の前向きベクトルが合成されて、砲弾状に放物線を描く感じか。一方、重心が上ずらないように、声が上を向く時ほど、重心は下へ押し下げる。下向きベクトル。

 このイメージは、腕の補助運動を有効に使って、体に馴染ませることが出来る。発声時に左の掌を下に向けて、左腕ごと床に向けてゆっくりと押し下げて行く。右腕は、手前から遠くへ放るように、下から上へ水車のように振る。右手で音の位置を決めて、遠くへ運んで行く感じ。この2本の補助線に沿って、ベクトルを走らせる。

 腹筋のコントロール。ワイドレンジの息の長い音型で、ゆっくりと絞り出して行くのはともかく、細かく鋭く動かすと、スフォルツァンドになってしまう。まだ、コツが掴めない。

 20分ほど発声していると、軽く疲れて、ほぐれてくる。特に、腕を動かしていると、上半身が疲れてぐにゃぐにゃしてくる。すると声がふっきれて、抜けてくる。息がきれてくると、腹の底から大量の息が吹き出してくるので、声をその上に、自然に乗せるだけでいい。つまり、疲れれば疲れるほど、余計な力は不要になるのだ。

 自宅からはちょっと遠いけれど(徒歩だと30分位)、次回のレッスンからは、早足で歩いて来ることにしようか。

 コンコーネも26番まで進んだということで、イタリア歌曲集に取り組むことになる。今までは1回30分のレッスンだったが、1時間になる。

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MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Dec 31 1997 
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