*96年07月10日


 歌いだす時には、息が入ったのを確認してから。息も入っていないのに歌いだすと、口先だけになる。息を吸った時に、横隔膜が半分位張って、吐く時に残り全部、張る感じで。

 フォームを意識する。高音部と低音部は、歌う方向、高さ、位置、口の形、息の量、全部違う。これを切り替えることを、チェンジと言う。チェンジ出来ないと、低音の歌い方で高音を、あるいは高音の歌い方で低音を歌うことになり、NGである。

 歌うのは、あくまでも腹。そして、背筋、腹筋、横隔膜の三位一体の動き。

 喉で歌う傾向がある日は、ピアノ(弱音)で歌いだすと良い。そして、息が自然に流れ出て来るのを待つのだ。

 息は、出しやすくすれば、それで良いのだ。喉を締めてはいけない。喉の、ほんのちょっとした開け具合で、息が抜けるか押し潰されるかが変わる。そのためには、体に力を入れないこと。フワッと動かしてフワッと声を出す。最初は“息声”で構わない。息が飛んでいくように。フワッと、遠くへ。フワッと、軽く。

 どうやら、横隔膜の張り方は、合っているようだ。前回、これまでの間違いに気がついて、治したのが良かった。しかし、横隔膜だけ張っても、駄目。背中で押し出すのが、うまくいかない。動き自体は出来るのだが、横隔膜の動きと調和しないのだ。

 僅かに(気持ちだけ)膝を曲げて、立つ。手を自然に下ろして、息を入れる。そして、1.膝を伸ばしつつ、2.両腕を上方に自然に振り上げ、3.胸と首を上向き加減にして、4.下腹を締めて横隔膜を張りつつ、5.息を吐き出す。この練習。

 「呼吸は、自律神経の働き中、唯一、自分の意志でコントロール出来るものである」という言葉を紹介される。つまり、呼吸をコントロールすることによって、自律神経が制御している領域にまで入り込める、と。

 最初の頃は、毎回毎回、体の堅さを注意されていたものだが、これはかなり改善されたようだ。自分では判りにくいものだが、体が柔らかくなってきたと、指摘された。恐らく、気の持ちようであろう。あまり細かいことにこだわらずに、気楽に構えるのが功を奏して来たか。

 横隔膜と背中の動きの調和という課題が解決していないが、息の回り方は、かなり良くなって来ているとのこと。(しかしまだ、下腹と横隔膜は、教えられた通りに、下腹の引っ込みと横隔膜の張り出しが連動していない。今日のレッスン中、横隔膜はきちんと張り出していたのだが、その時、下腹も膨らんでいた。次回のレッスンで、チェックしてもらう。)

 「強いけれども固い声よりは、頼りないけれども柔らかい声の方が良い」とのこと。頼りないけれども..というのは、私の声のことである。[;^J^] 誉められているのだ。[;^J^] 頼りないというのは、腹筋が入っていないからである。体が固いままに下腹の入った声は、芯の通った力強い声になるが、それは決して望ましくは、ないのである。

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*96年08月09日


 喉がつまるというか、喉に声を“入れ”そうになったら、すなわち、喉で声を出しそうになったら、“H”を入れて、ハハハ..と発声してみる。(但しドイツ風の鋭いHでは、なく。)すると、喉が開く。

 高音を歌う時は、力で押し開けない。フワ〜ッと体を解放するのである。そして頬は笑うように。声(と、息)を、額の一点に当てて、そこから息で広げていく。

 とにかく、息を通すこと。喉の声は、ひとつもいらない。全て“息の声”で。息を回すだけ。ブレスが足りなくなっても良い、息が続かなくなっても良い、息の無駄使いをしても良い。とにかく、喉で押し出さずに、息を吐く。

 ピッチが低くなりそうな時は、子音のS、Pを使って、サー、パー..と発声してみる。S、Pは、子音の中でも一番ピッチが高いので、上に引っ張ることが出来る。

 大切なのは、体を(特に上半身を)柔軟にすること。力を入れない。どうやったら力が抜けるか..と、考えるだけで力が入ってしまうのであれば、何も考えない方がましである。

 “下腹を絞ると同時に横隔膜が張り出す”という、一連の筋肉の動きが、正しいかどうか、チェックしてもらう。正しい。私の場合、腹筋が弱いので、下腹の凹み方が、見た目にも触ってみてもはっきりしないので、この方向の力の入れかたでいいのかどうか、自信が持てなかったのだ。(それに対して、横隔膜ははっきりと動く。)ふむ、筋肉のこの方向の動きを鍛えれば良いのだな。

 それはそうと、下腹に力の入れ過ぎ。筋肉を鍛えることと、常時力を入れっぱなしにすることとは、全然違う。(むしろ、力を入れずに、フワッと大きく筋肉が動くようにするために、筋肉を鍛えるのだ。)もっとしなやかに。緊張と弛緩のメリハリを。

 ダンベルを利用してみる。座って、左右に広げながら発声。前屈みになって、左右に広げながら発声。

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*96年08月21日


 呼吸法が、まだまだ。吸う息の量と吐く息の量の配分の問題である。とにかく、高い方で息が足りなくなってしまう。吸い込む絶対量も少ないのだと思うが、無駄使いも随分ありそう。低音では、相対的に少ない量で、高音では相対的に多い量で。呼気のバランスのメリハリ。

 それはそれとして、今日は確かに息が“抜けている”(気持ち良く、腹の底から頭のてっぺんまで吹きあがって来る)感覚が、ある。どこかの力が抜けたのだ。これを覚えないと。さらに、腰を僅かに押し出して上体を上に向けて吹き上げると、体の芯を息が通っていくのが実感出来る。

 但し、これは「ア」や「オ」では、うまくいったのだが..「イ」で試してみたら、まるで駄目である。“鳴らし方すら判らない”レベルである。全く響かない。口の中で息が止まってしまうようで、それに気を取られていたら、体の中の息の流れも止まってしまった。とにかく、余計なことを考えると、すぐにどこかが渋滞してしまうのである。(そもそも、低声では「イ」は(比較的)難しいらしい。)

 下腹の動きが、はっきりしない。正しい方向に動いてはいるのだが、ほんの僅かなのである。ためしに、前傾の姿勢を取ってみたら、大きく動く。どうもこれは腹筋が弱いからだけではなく(確かに弱いのだが)、下腹部の筋肉が、この動きを、まだ“納得”していないからのように思える。

 そして、このように下腹と横隔膜の運動に神経を集中させていると、背中(背筋)が、お留守になってしまうのであった。

 コンコーネ、今日の練習曲は、複付点音符の課題曲である。下腹の“軽やかな”脈動が要求されるところであるが、以上述べてきた事情により、重いというか、下腹よりも上の部位(といっても“喉”ではない)から押し出された、筋肉と空気の運動を、下腹が“あと追い”している感じである。これでは意味が無い。

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*96年09月11日


 「イ」は単体でも難しいが、「イー」「アー」と連続させるのもまた、難しい。「イ」で音階を上り「ア」で下りて来る発声練習をするが、頂上で折り返して来るところで裏返りがちで、失敗すると後半の「ア」が、口先だけの音になってしまう。

 息を吸う時が、一番難しい。素早く吸おうとすると上半身に力が入る。吸う時から力を抜くこと。急に吸い過ぎないこと。

 今日は、どうもうまく体が動かない。息を吹き出しながら両腕を上に(ゆっくりと)振り上げるだけの運動なのだが。(単に、これまでの逆方向の運動だから、体が戸惑っていただけのような気がしてきた。← 後知恵である。)(座ったまま)何度も腕を振り上げてスーハースーハーの練習をしてから、立ち上がったら、あはは、何と目が回ってしまった。酸欠ではなく、酸素過剰である。

 毎日、少しは歩きなさい、と、諭される。いやそれは重々承知しているのだが。昼休みに会社の敷地内(あるいは、すぐ近辺の堤防沿いの道)を散歩するだけで、随分違うはずだが、そうは言っても、昼休みと言えば、早朝にダウンロードしたニフティサーブのログに(食事しながら)目を通したり、(「ボイトレ日記」を含む)ホームページの原稿を書いたり、原稿の仕込みの読書や調査をしたり、誇張抜きで、目が回るほど忙しいのである。端末から離れている暇など、ないのだ。

 発声練習と異なり、コンコーネの方は、わりとうまくいった。息が乗りやすいメロディーだったからだ。今までは滑らかに息を吹き出し、滑らかに発声することだけを考えていたが、今日は、少しアクセントをつけてみた。まだ手探りだが。

 これは今日のレッスンでの出来事ではないが、心覚えに記しておく。時々、歌う機会があるのだが、まだまだ未熟である故、つい“喉で”歌ってしまうことがある。(歌詞に気をとられると、覿面である。)これは、すぐに判る。喉が“チリチリ”してくるからだ。そして咳き込むことになる。咳き込めば咳き込むほど、喉は痛めつけられる。

 “チリッ”と感じた時点で、「あ、まずいな」と気付く。そこで直ちに発声のポイントを変える。つまり喉を“全開”にして、腹(と胸)だけで息を感じるぐらいまで、声の出る位置を、下げる。これで、少なくとも喉には負担がかからなくなる。

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*96年09月25日


 声を、息で飛ばすこと。

 喉に声を溜めない。喉に声をくっつけない。喉は開けておくだけ。声は、そこを通り過ぎて行くだけ。息が声を乗せて、失速せずに飛んで行くように。

 “そば鳴り”は、駄目。声が、広いところで遠くに届かない。喉に引っ掛かった、そば鳴りをしている、無理矢理体を響かせる声は、聴いている自分には“力強く響いている”ように聴こえる。これが落とし穴。喉をするすると通り過ぎてゆく声は、そば鳴りをしている声に比べると、むしろスカスカと頼りなく感じるかも知れない。それでいい。頼りなく感じるのは、無理なく息が抜けている証拠である。

 つまり、「いい声を出そう」と思わずに「いい息を出そう」と意識するのである。(無意識に出来るに越したことはない。もちろん。)

 体の筋肉を絶え間なく(止まらないように)動かし続けるのだが、それは、喉の中も同じ。喉の天井を上に上げる(開く)にしても、力で引き上げてはいけないし、ロングトーンの際に、上げたまま固定してもいけない。喉の中も(コンマ1ミリのさらに十分の一でも)動かし続けていること。

 声を出すのではなく、息を出す。息を送る。うまくいかない時は(喉に引っ掛かりそうな時は)ハ行で発声練習を。フ、フォ、ファ、ハ。これらは、喉を開けて息を送ることをしやすい子音である。

 高い声ほど、沢山の息で声を遠くへ吹き飛ばすのである。これを忘れると(沢山の息を送り出すことを怠ると)、覿面に、喉で押し出す声になる。力まない。力は要らない。喉も要らない。必要なのは息の流量だけ。息を通すためには、喉を開けなくてはならない。

 息を取るときに、力を入れないように。ゆったりとした気持ちで、ゆったりと取る。

 今日は、右腕を(自分からみて)時計方向に、止めずに回転させながら発声練習。体を止めない補助運動。今日は一度も、喉に引っ掛かる感覚がしなかった。もっともそれは、課題曲の音域が、比較的低かったこともある。高音部になると、喉の存在が意識されてしまうことが、まだある。それと、「オ」ならいいのだが「ア」になると、これまた喉に「来る」感覚がある。

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*96年10月24日


 一回休みをはさむと、一ヶ月、間が空いてしまう。

 今日は少し変わった練習。(呼吸法の講習会から取り入れた手法である由。)固い椅子に座り、まず大腿骨の上に重心を置いて、この上で体を回転させる。重心は大腿骨の真上に乗せたり、そこから(斜めに)外したりする。手は前方に伸ばして掌を下に向け、両手で大地の上に(やや)大きな円をゆっくりと描く。そして、発声をするのである。

 発声も、いつもとは異なり、一音、「アーーー」と伸ばすだけ。そして大腿骨がまっすぐに重心を引き受けた時に、もっとも響くことを実感する練習。

 判らない。[;^J^] 難しい。[;^J^] 純粋に一音だけ吐き出してその響きを聴く、というストイックな方法は、これが初めてである。また、これは今回の練習の本質ではないのだが、ピアノの伴奏なしで(最初にピッチをもらうだけ)一音を伸ばすだけだと、ピッチが安定しないのである。どんどん下がる。これにはショックを受けた。[;^J^]

 次に重心移動を利用して、左右に体を張る。右大腿骨に重心を乗せて、左足を張って踵にも重心をかける。すると上半身が右に心持ち傾き、胸が張る形になる。これを左右入れ替えて。

 コンコーネは、今回は低声用の15番。今回のはとっても難しい。シンコペーションのリズムで上へ下へと動くので、息の流量(消費量)の配分がわからなくなってしまうのである。真ん中に山のあるタイプ、最初に山があって下がっていくタイプ、最後に山があってそこまでは息を節約しておくタイプ、と、基本型は3つなのだが、高く(アクセント付きで)始まって降りたあと、クレッシェンド付きで上がり直すフレーズなどがあり、難渋する。3つの型の歌いかた(呼吸の使い方)がしっかり身に着いていれば、素直に応用できるはず。

 次回も15番。もう一度さらっておくこと。

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*96年11月06日


 今日も、座骨の上(というか周辺)で重心を移動して発声る練習。どうも勘所が掴めない。重心を座骨の上に乗せたり外したりするのではなく、あくまでも座骨の真上に乗せたまま(つまり座骨で体重を支えたまま)、体の中心の体重軸を座骨の上で独楽のように回してみる。(もちろん、重力の向きが独楽運動をするわけがない。イメージの問題である。)う〜ん、響きが変わっているのかなぁ?(よく判らない。)

 上の音が出にくい時は、下腹に力を入れて、重心を下に落とす。その反作用で上に伸ばす。この(いわば)上下運動と、下腹(と背筋)の前後運動がポイントなのだが..どうも下腹が引っ込まない.. というより事実は逆で、むしろ引っ込むべきタイミングで張り出しているように思える。力の入れ方が足りないというより、力を入れる場所を間違っているのではないだろうか?

 姿勢を工夫してみる。フレーズ゛上がっていく所で、座る格好をしてみる(つまり。 腰を落とす)。これで下腹に力が入る。あるいは、重いものを持つイメージ。和式トイレにしゃがむイメージ。どうもしっくりこない..

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*96年12月05日


 下腹の腹筋の前後運動が、やはりなっていない。やり直しだ。

 動かないわけではない。例えば、体を前傾して、顔は床を向き、両手をぶらりと下げる(つまり、腹筋を“ぶら下げる”)姿勢を取って、呼吸と発声をすると、ちゃんと正しいタイミングで正しい方向に下腹が引っ込むのである。四つんばいになってみる。やはりOK。ところが、直立の姿勢に戻すと、下腹の動きが“ピタリと”止まる。[;^J^] いやほとんど、見事といいたいほどの、筋肉の“裏切り”ぶりである。

 どうやら判ってきた。これまでずっと、“横隔膜”の方に神経が行き過ぎていたのである。“下腹が引っ込むと同時に、横隔膜がプクリと膨らむ”という動きのうち、私にとっては横隔膜の膨らみがわかりやすく(これ自体は正しい動きをしているし)、従って、この連携運動の、より本質的な部分である、下腹の動きが曖昧でも、横隔膜はちゃんと動いているからいいや、という落とし穴にはまっていたのである。

 さらに、これが腹式呼吸ならぬ胸式呼吸の原因ともなっていた。つまり、十分に(あるいは全然)息を吸わなくても、横隔膜は張れるのである。ここで一種の悪循環が生じて、息は吸わない、下腹は引っ込まない、不要な力みは入る、という状態に落ち込んでいたのだ。(下腹に力を入れなくては、という思い込みも、恐らく悪い方向に作用していた。)

 そして多分、その遠因は、下腹が膨らむまで、十分に息を吸い込んでいないことにあるのだろう。

 コンコーネの16番。これらのことに注意して歌おうとすると、全然歌えなくなってしまった。それはそうだろう。やり直しだ。まず腹を膨らますところから、やり直し。

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*96年12月18日


 今日は、不思議に?楽であった。前回まで悩んでいた、下腹への力の入れ方について、“あまり考えないことにした”[;^J^] かららしい。いらんことを考えるから、おかしくなるのである。

 前回から工夫したのは、前傾姿勢を取ったり、あるいは四つんばいになったりして発声し、(その時は正しく動く)下腹の動きを、なんらかの“基準線”にあてて覚えることであった。

 実に簡単な(判りやすい)ことであった。つまり、ベルトがずり落ちればいいのである。[;^J^]

 力を入れることは、考えない。とりわけ、横隔膜のことは考えない。前回も書いたように、横隔膜を張ることは、ある意味で非常に簡単であり、そこで目的と手段の取り違えが発生しやすいからである。

 息がするすると楽に出る。これからしばらくは、この方針でやってみる。

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MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Dec 31 1996 
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