第5巻 第2章 スギ ヤナギ ケヤキの精邪変渓の水をうっかり飲んでしまった、三蔵、八戒、沙悟浄は、あと一日でカボチャになってしまう。川上にはこれを治せる医者がいるが、べらぼうな治療代をふっかける。怒った悟空は馬を金に化けさせて、薬を騙しとる [;^J^] が、ばれて失敗。さらに川上に調査に赴いた悟空は、実は例の医者が、カボチャになる薬を川に流していたことを知る。カボチャの精(ほとんどカボチャ大王である)に化けた悟空は、医者の手下どもを騙して、元に戻る薬を川に流させ、危うくカボチャになりかけた一行は、元の姿に戻る。
そこに現われたのが、杉の木老人、ヤナギ老人、ケヤキ老人の三人。
第5巻 第3章 ボ××のきらいな国仙人たちの出現に心を奪われた三蔵は、天地の謎を教えてもらおうと、馬の諫めも聞かずに彼らについて行ってしまう。追う一行は、木の枝に絡みつかれた人や獣の骸を見つける。木の精の犠牲者たちである。腹を空かせた一行は、八戒が「食える」と保証したキノコを食うが、これが(案の定)毒キノコ。「絵物語タケ」でリアルになってしまい、「マンガタケ」で元に戻る。(このギャグは(これがオリジナルかどうかは知らないが)のちに他の漫画家たちによって何度使われたか、見当も付かない。例えば吾妻ひでおの「ななこSOS」には「ロマコメ光線」「ギャグ光線」「大友光線」「諸星光線」などが登場するエピソードがある。)
一方、三蔵は木の精に掴まってまさに食われんとするところ。一行は「クシャミタケ」にやられて力が出ないが、「クシャミタケ」を吐き出した悟空たちは、ジェット機などに豪快に変身して、木の精たちを退治する。
さて、一行は、大怪我をした三蔵を休ませるための町を発見するが..
第5巻 第4章 シダ嶺の三魔王そこは滅法国。既に9999人の坊主が斬られている、物騒な国である。大僧官ラスプーチンに惑わされた王は、10000人の坊主を斬る誓いを立てたのだ。三蔵が10000人めという訳である。一行は三蔵を医者に診せることも出来ずに、その場を逃げ出す。
さてラスプーチンの祭るクイクイ神の巨大な神像。これは素晴らしい迫力に満ち溢れた、量感豊かな物である。兵士長のギョウザは王を諫め、打ち首台から逃走する。悟空たちは、坊主は治療してもらえないので、三蔵を金持ちの商人の姿にして、強欲な医者の手当てを受けさせるが、そこに追っ手を逃れたギョウザが逃げ込んで来る。
10000人めの生贄を要求するラスプーチンは、クイクイ神の神像を動かす。神像は池の水を吹き上げて嵐を呼ぶと、闇夜の町へと踏み出してゆく。危篤状態に陥った三蔵を救うために、悟空は地獄へ降り、三蔵の寿命を延ばせとエンマ大王を痛めつける [;^J^] が、その間に神像が医者宅を襲う!
エンマの証明書を携えて悟空が戻ってきた時には、既に三蔵はさらわれた後。悟空は王の城に潜入し、ねむり薬で城中を眠らせ、全員を坊主頭にしてしまう。王は混乱し(元々情けない性格なのである)、ラスプーチンは三蔵を神像の生贄にしようとするが、香炉に化けた悟空が神像と戦って、これを破壊する。ギョウザはラスプーチンを成敗する。
筋だて自体は例によって例のごとくなのであるが、神像の造型が実に見事で、のちの「鉄腕アトム」の名作「エジプト陰謀団の巻」を髣髴とさせる、重厚な仕上がりのエピソードとなっている。
第5巻 第5章 牛の舌怪獣迂乱四万八千人の手下を率いているという(獅子と象と鳥の姿をしている)三魔王が住む、シダ嶺に差し掛かった一行。八戒と悟空は魔王の陰陽の壺に放りこまれ、八戒は壺の毒気にあたって洗脳されて魔王の部下にされてしまい、悟空は洗脳された振りをする。
いったんは三魔王をやっつけるが、詫びを入れて一行を送り届けんとする三魔王に騙されて、再度囚われの身となる一行。そこに現われたのが普賢菩薩、文殊菩薩、大日如来。魔王たちは、菩薩たちの元から逃げ出した彼らの乗物(やペット)、白象、青獅子、鳳であったのだ。もちろん魔王たちは相手にならずに取り押さえられる。魔王たちの偽りの陳謝を見抜いた悟空が、菩薩たちを呼んできたのだ。
魔王たちの造型が、妙に風格があると思っていたら、やはりただの獣の化身ではなかった。が、どうも、子供の喧嘩に親を呼んできたような気が、しないでもないが..[;^J^]
第5巻 第6章 悟空のメンタルテストようやく天竺国に着いた。これからが長いのだが。ここは金平府という町。迂乱(うらん)という暴れ牛の舌が、夜な夜な町じゅうの油を嘗めて回る町。この化け物を退治するため、悟空たちは迂乱の舌の出て来る地面の割れ目で待ち伏せするが、裏をかかれて三蔵がさらわれる。
迂乱の弱味は、水牛神ラメンの汗である。悟空はラメンを罠にかけて、ラメンの汗を絞りとり、これで迂乱を捉えたが、実は迂乱が町を騒がせていたのは、迂乱の主人を殺した三悪人がのうのうとしているからであった。それは悟空たちに怪獣退治を依頼した三人のことである。彼らは捉えられ、カタキを討った迂乱は三蔵を返して成仏する。
「妖怪のカタキ討ち」パターンは、例外なしに読後感が爽やかである。
怪獣事件を解決した一行は、連日のご馳走ぜめである。八戒にとっては極楽であるが、いつまでも足留めを食っているわけにもいかないので、一行は八戒を騙して町を出立する。食い意地に負けた八戒は、人間になれなくてもいい、国へ帰ってうまいものを食べている方がましだ、と、いとまをつげて去って行くが、悟空や三蔵の偽物に出会い、彼らにお前が偽物だと決めつけられて混乱する。
悟空と偽悟空の対決! どちらがどちらかわからなくなり、観音の出番となる。観音が金箍児(きんこじ。金輪)を締める呪文を唱えるが、両者の金箍児が共に締まってしまい、観音にも見分けがつかない。そこでお釈迦様の登場となる。二人の悟空に三蔵を百回叩かせるのである。叩けなかった方が本物。偽物の正体は、悟空の抜け殻であった。悟空は、もう昔の悟空ではなく、毛が二本生えていた。あと一本生えれば、人間になれるのである。
..ということは、昔の悟空は、三蔵を平気で殴るような奴だったということになるんかいな..? [;^J^]
Last Updated: May 25 1996
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