ガムガムパンチ:(無題)

 近所におばけマンガ専門のマンガ家が引っ越してきた。しかし彼は、スランプに悩んでいた。恐いオバケを描けないのである。パンチたちはガムでモデルのオバケを作ってみせるが、却下された。いいオバケを考えてくれたら、千円やろう、と、マンガ家。

 はりきるパンチたちは、町でノッペラボウに出会うが、一向に恐がらない。オバケマンションに案内されるが、ろくろっ首以下、安っぽいオバケばかりだ、と、全然平気である。いつもガムで作られたオバケを見慣れているからだ。一番凄いオバケは誰?と聞くパンチたち。それはミイラ妖怪だろう、なにしろあんまり恐い顔なんで、誰にも顔を見せたことがないんだから、と、オバケたち。パンチたちはガムのオバケで本物のミイラ妖怪をやっつけて、捕まえてしまう。

 本物のオバケを捕まえて、意気揚々とマンガ家のところに帰って来たパンチたち。さぞや恐ろしい素顔だろう、と、包帯をといてみたら、なんとマンガ家と同じ顔である。一番弱くて恐くないオバケだったので、顔を隠していたのだ。これではモデル失格だ。ミイラ妖怪はマンガ家のアシスタントにされてしまう。

 なんじゃこりゃ、というオチ。[;^J^] オバケマンションというアイデアは、のちの名作「マンションOBA」に先行している。


*「手塚治虫作品集6 児童まんが1」(文民社)
*「ほるぷ版 手塚治虫選集16」(ほるぷ出版)


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Sep 23 1996 
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