よろめき動物記:第34話 クマ

 アイヌ部落の近辺で、二人連れの観光客の前にクマが現われ、仰天した観光客らは死んだフリ。実は観光客づいた、人によく慣れた飼いグマだったのだが、観光客の一人(チンピラ風の男)は激昂し、そんなクマは殺してしまえ!と、荒れる。

 やむをえず、熊祭をして殺すことになったが、殺されるクマの悲しげな様子に腰が引けてしまったチンピラは、もうそこらで許してやる、と。しかし始まってしまった祭を止めることは出来ず、クマは殺される。これでねんごろに弔ってやってくれ、と、金を置いて逃げさる男。

 実は、クマを射た矢は玩具だったのだ。これに懲りて、観光客に気を許したらいかんよ、と、飼い主に諭されるクマ。

 他日、クマは今度は、アベックと出っくわす。アベックは死んだフリ。クマも死んだフリ。

 型通りに(円環状に)、綺麗にオチがついている作品。


*「よろめき動物記」(奇想天外文庫)


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Apr 2 1997 
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