ミッドナイト:SCENE 8

 カメラを持った高校生が、それを奪わんとする連中に袋叩きにあっていた。彼らを蹴散らしたミッドナイトは、わけありとみて、高校生から事情を聞く。高校生は、これから自分が撮る写真と手紙を、新聞社に届けてくれ、と、ミッドナイトに頼む。

 それは、42年前の悲劇だった。敗戦の日、玉音放送が流れる数時間前に、撃墜された米兵の口から、日本が降伏したということを聞かされた青年は、仲間たち共々、非国民として射殺され、埋められてしまったのだ。数時間遅ければ、殺されずにすんだろうに..

 疎開先から帰って来た、その青年の妹は、兄がどうなったのか、調べに調べ、探しに探した。そしてついに、埋められている箇所を探り当てたのだ。それは奇しくも、彼女の息子(すなわち、ミッドナイトが助けた高校生)が通っている高校の、校庭だったのだ。校長を説得して、試掘にこぎつけた母親。その作業は今夜なのだ。殺された青年の甥にあたる高校生は、その一部始終をカメラに収め、新聞に発表するつもりなのだ。

 何かが掘り出された、と、学校の発掘班から電話! 校門の前で妨害をする連中(それは、カメラを奪おうと、高校生を襲った連中だ)を蹴散らして、高校生と母親を校内に送り届けたミッドナイト。骨だ。フィルムと手紙を託されたミッドナイトは、新聞社へ走る。

 例えば、なぜ発掘作業自体を妨害しないのか?とか、僅かに練り足りないところがある。惜しい。


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Aug 18 1996 
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