ミッドナイト:SCENE 7

 真夜中に教会へタクシーを走らせる客。友人の結婚式があるのだという。真夜中に? その通り、なぜなら、相手は悪魔なのだから!

 彼は結婚する友人を、救出する決意なのだ。指環を交換する前に、教会から引きずり出して、目を覚まさせるのだ。しかし、悪魔が邪魔をするのか、目指す教会の周辺の道は迷路のごとく、彼らはなかなか辿り付けない。もう時間がない。ようやく教会の尖塔を見つけた客は、(教会から脱出したあと、逃走するために)ミッドナイトを待たせておいて、教会の方向に走って行った。

 あの客は、頭がおかしいのだろうか? その時、突然の雷雨! そして教会から走り出して来たふたり連れ。あの客と、花婿だ。結婚式の邪魔をされた花婿は、カンカンである。彼女が魔女であることなんぞ、あるものか! いーや、彼女は自分で魔女だと言っていた、目を覚ませ! と、客席で喧嘩をしているふたりを乗せて、教会から離れようとするミッドナイトだが、豪雨と雷鳴のなか、どう走っても、教会の前に戻って来てしまうのだ。

 何度目かに教会の前に戻って来たとき、雨の中、道の真ん中に花嫁が立っていた。魔女..!? 客と花婿を客席に置いて、ひとり、彼女に近づくミッドナイト。彼女は指環を抜いてミッドナイトに託すと、事情を話した。別にそれほど愛してもいなかったのだが、男が強引で引きずられていたのだ。真夜中の式は、安上がりだから。確かに私は魔女、バレー部で山陰の魔女と呼ばれていた、と。(まぁこんなところだろう。)

 走り去る“魔女”。車に戻ったミッドナイトは、花婿に指環を返すと、確かに彼女は魔女だった、結婚しなくて良かったね、してたら彼女が不幸になってたよ!


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Aug 18 1996 
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