ホタル狩り帰りの親子連れを乗せた、ミッドナイト。綺麗なホタルの群れだったが、最近のホタルは、台湾やフィリピンから輸入されて、観光スポットに放されているのだよ、と、子供に説明する父親。
彼らを下ろしたあと、ホタルが一匹、タクシーの中に残っていた。捕まえて外に逃がしても、車の中に戻って来てしまうのだ。諦めて、車の中でそのホタルを飼うことにした、ミッドナイト。
車の中でうたた寝をして目を覚ますと、裸のフィリピン女性が目の前に。国から騙されて連れられて来て、見世物にされて、仲間は次第に死んで行き..だから、逃げた.. これは、夢か? この女はホタルか? ..フィリピンに帰りたい..ホタルになって帰りたい..(しかし、ミッドナイトには、彼女を帰らせるだけの力はない。)
売春をさせられていた彼女らは、逃げ出せないよう、裸にされて押し込められていたのだ。そこに、女を追って来た暴力団の一行が。ミッドナイトは彼らを撃退するが、女は流れ弾を受けて絶命する。車の中には、またもホタルが..彼女はホタルになったのだろうか?
ミッドナイトは空港で、フィリピンへ向かう客に小さな箱を託して、海岸に沿った草地に捨ててくれ、と頼むのだった。
ジャパ行きさんの悲惨な境遇と、ホタルの運命とを重ねあわせて、夢かうつつか判然とせぬムードにまとめあげた、傑作。最後にミッドナイトが手渡した箱の中に入っているのは、生きているホタルだろうか? いや恐らく、ホタルの死骸だろう..
Last Updated: Aug 18 1996
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