ミッドナイト:ACT.53

 呪いの駐車場。そこにとめていると、必ず頭がおかしくなるのである。由来はある。(例によって)お稲荷さんの祠を壊してビルを作ろうとしたが(お約束の)事故続発で、駐車場になったものの、その祠のあった真上のスペースには祟りが残り..というわけだ。

 そんなこととは知らないミッドナイトは、ある男に5千円の前渡し金をもらって、彼がラブホテルで用を済ませるのを、その駐車場の問題のスペースで待っている。

 コウモリが集まってくる..気分が悪くなってきた..手が動かない..金縛りだ! やがて女の影が近づいて来て、意識朦朧として動けないミッドナイトを、車から引きずり下ろす..失神..

 気がつけば、ラブホテルの中。朝まで出るな、と、例の女が忠告する。あれは超音波だったのだ。なるほど、確かにコウモリが寄って来た。いいなりになるつもりはサラサラないミッドナイトは、先に下ろした客が、このラブホテルに用があったことに不審の念を抱く。外からラブホテルを観察し、コウモリが集まっている窓を見つけた。

 その部屋では、兄と妹が、ある装置をはさんで言い争っていた。危険な実験はやめろ、今夜もまた被害者が出た、と懇願する妹。10年間の努力を無にする訳にはいかない、と突っぱねる兄。妹は装置を破壊し、兄は悲鳴を上げる。そこに踏み込んだミッドナイト。

 兄は、ミッドナイトが下ろした客だった。彼はここで10年間も、ある実験をしていたのだ。それは、かつて彼を首にした会社社長の頭を狂わせるために、その会社の社長室を射程に入れられる、このラブホテルのこの部屋から、超音波を社長に照射しようというものだった。その実験のために、手近なビルの壁を狙ってテストを繰り返していたのだが、超音波が反射して、あの駐車場の問題のポイントに集まり、そこに長時間いる人間を、狂わせていたのだ。

 10年間の努力の結晶の装置を壊されて絶望している兄に、ミッドナイトは、あと10年かけて作り直しな、と言い捨てて、去る。

 どう読んでも、完璧に「怪奇大作戦」の脚本である。[;^J^]


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Aug 18 1996 
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