三つ目がとおる:七蛇寺の七ふしぎ

 三人の子供の失踪事件の、重要参考人となった写楽。その子らを連れていくのを目撃されている上に、アリバイもない。どうも、みんなで遊園地に行こうと誘っていった途上で、七蛇寺という古寺に入ったらしい。現場まで写楽に案内させる、和登サンとヒゲオヤジ。彼らを尾行する刑事。

 薄気味悪い怪寺である。下記のような言い伝えがあるのだ。

*見かえりザクラ三かかえもあるサクラの老木で、木の精がとおりすがりの人によびかけるといわれる
*馬の首の井戸のぞくと中から馬の首がヌッとつきだして、かみつく
*あかずの門つくられてから、なぜか一回もあけられたことがない
*せっちん穴ぬけ穴なのだが、何人かにひとりは、とおりぬけるとちゅうでゆくえしれずになる
*舌だし観音夜中にベロをだしているのを見た人がある
*数知らずの杉何度かぞえても数があわない杉木立
*耳なり廊下この廊下をあるくと、ときによってジンジンと耳なりがする

 ここで失踪した子供たちの謎を解くため、写楽のバンソウコウが剥がされる。

 写楽は、桜の木が呼ぶ声を聞き、せっちん穴へ飛び込む。そこに子供たちがいた。泥で固められていたが、まだ息はあった。そして三つ目の住職のミイラも、そこに。この寺は、三つ目人の隠れ家だったに違いない。七ふしぎとは、無知な民衆を恐がらせて遠ざけるための、カラクリ仕掛けだったのだ。

 その時、寺の外から内部を伺っていた、尾行してきた刑事の指令により、警官隊の一行が攻め込んで来た、もとい、強制捜査に踏み込んで来たが、写楽の操作する七ふしぎのカラクリ仕掛けにより、撃退されてしまう。

 子供たちが、こういう酷い目に会う理由が、もうひとつすっきりしないのだが(桜の木には、敵と味方を見分ける力があるという)、超自然現象のカラクリ仕掛けによる種明かし、三つ目人の哀史を絡ませる味付け、飛んでもないドタバタで幕とする趣向、と、小意気にまとまった、洒落た佳篇である。(警官隊になんの罪があるのだ。[;^J^])


(文中、引用は、少年マガジン 76年4月11日号より)


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Last Updated: Aug 13 1996 
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