寒苦鳥のはなし帝釈天とビシャモン天が、情け深いシビ王を試練にかける話である。
帝釈天は鷹に化け、鳩に化けたビシャモン天を追いかける。鳩はシビ王の元に逃げ込み、シビ王はもちろん鳩を保護する。すると鷹は、慈悲を施すのは結構だが、私はそのために飢えるのだ、と詰め寄る。シビ王は、もっともな話であると、自分の肉を、鳩と同じ目方だけ差し出すことにする。しかし、シビ王が肉を切り取って計量する度に、鳩はどんどん巨大化するのである。脚を切り取り、胴を切り取り、ついにシビ王は、自分の肉体を、全て鷹に捧げる。帝釈天とビシャモン天は感動し、光の雨を降らせてシビ王を蘇らせる。
“同じ目方の肉”とくると、どうしても「ベニスの商人」を思い出してしまう。[;^J^]
春、夏、秋と浮かれて、まともに巣を整備しない、鳥の夫婦。冬になれば、何故巣を直さなかったと、お互いを非難しつつ寒さに苦しむのだが、春になれば、またそのことを忘れて、浮かれ出す。これを、毎年毎年、いつまでも繰り返すのだ。
蟻とキリギリスみたいな話だが、この鳥たちは死にもせず、賢くもならずに、生きてゆくのである。
シビ王に感情移入出来る人は珍しかろうが、この鳥の夫婦に感情移入出来ない人も、また珍しいであろう。[^J^] 以上2編、仏典に由来するはずであるが、正確な出典は、私は知らない。御教示を乞う。
Last Updated: Jul 25 1996
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