ある鄙びた温泉地における、子供たちの物語である。県会議員のどら息子(小学生)で、親の七光で威張っているツヨシ。彼にいじめられいている茂一。その妹のノン子(4歳)。墓場の石塔に石を置いてくるという、キモダメシ大会。ツヨシは道中、懐中電灯を持ってきたはずの子分を呼ぶが(ズルをするつもりなのである)、手違いで彼らは来ていない。彼は転落して大怪我をし、動けなくなる。次に出かけた茂一はツヨシを発見するが、見殺しにして帰ってくる。ツヨシが帰って来ないことに不審を抱く少年たちには、ツヨシは勝手に帰宅した、と、嘘をつく。ノン子は茂一の嘘を見抜き、誰にも話さないという約束で、ツヨシが大怪我をして死にかけているという真相を聞き出す。単身、夜の山中に入って、ツヨシを発見したノン子は、自身、大怪我をしながら旅館に辿りつき、ツヨシの急を告げる。そこに泊っていたブラック・ジャックは、運びこまれたツヨシは診ずにふもとの医者の元に送っておき、ノン子の治療をする。
ブラック・ジャックは、ここでは唯の脇役に過ぎない。いずれ真相が明らかになったとき、(残酷極まりない)子供社会の中で、茂一の立場はどうなるのであろうか、と、気になって仕方がない。
Last Updated: May 3 1996
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