ブラック・ジャック:失われた青春

 石油王ゼット・リングは、失われた青春を取り戻そうと、ブラック・ジャックに依頼して、全くの別人となる手術を受け、1年後に戻るというテープを残して姿を消す。彼はゼット・リングのライバル会社のアブラハム石油にブラッドストーンという名で就職し、そこでめきめきと頭角を現わして(業界の事情に知悉しているのだから、当然である)、1年後には社長秘書となっていた。その夜、彼はアブラハム石油の社長を殺すと、アブラハム石油を去った。彼は青春を取り戻すためではなく、かつての恋敵であるアブラハム石油の社長を殺すために、姿を変えたのであった。

 しかし彼は会社でゼット・リングとして認められない。なぜならば今の姿の彼が、確かにゼット・リングである、ということを証明する証拠が、失われてしまっていたからである。ゼット・リングは、殺人容疑者ブラッドストーンとして追われ、射殺される。

 着想は良かったのだが、例によって詰めが論理的におかしい。一年たったらブラック・ジャックに元の姿にもどしてもらう、という約束だったのだから、会社などへ行かずに、とっととブラック・ジャックのところに行って、手術を受ければ、それで良かったはずなのである。作者はどうやら、前のページを読み返さずにネームを仕上げてしまったらしい。[;^J^]


*「ブラック・ジャック 19」(少年チャンピオンコミックス)


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Jul 12 2002 
Copyright (C) 1996/2002 倉田わたる Mail [kurata@rinc.or.jp] Home [http://www.kurata-wataru.com/]