とある国の片田舎で、高名なハンス・エンゲル博士に出会ったブラック・ジャックは、この付近に悪魔の親子が住んでいる、と、聞かされる。一笑に付したブラック・ジャックは、後学のために一度会ってみたいものだと、彼らの住まいへ向かい、医者であると同時に敬謙なクリスチャンであるエンゲル博士は、後悔するぞ!と吐き捨てて、村へ車で走り去る。
そこには一つ目の子供が住んでいた。その母親はゾロアスター教徒であり、公害病に冒されて奇形児を生んだのだった。これが「悪魔」の正体である。ブラック・ジャックは、眼球を増やすことは出来ないが、その目玉を普通の位置に移してあげようと、手術を始める。そこに、エンゲル博士と神父に率いられた村人たちが、悪魔を滅ぼすために攻めてくる。ブラック・ジャックに事情を知らされたエンゲル博士は、村人たちを追い返し(しかし彼は悪魔をかばったとがで、村から追放されるであろう)、手術は続けられる。
怪奇がかった題材、無知な民衆の迷信、最初はブラック・ジャックに敵対するが最後には心変わりして味方となる優秀な同業者、と、おなじみの題材がバランス良く手際良くまとめられた、佳篇。
Last Updated: May 3 1996
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